やはり俺がボーダーの隊長なのは間違っていない 作:成瀬正義
あの呼び出しから月が変わった頃の話だ。特にこれといって平塚先生に絡まれることも無く、遥とはいつものようにお昼休みは生徒会室でお昼を摂り、談笑した後に先に遥が戻り、俺が後から戻るというやり方を通している。
無論、生徒会室が人通りの少ない場所にあるということが大前提で行われているのであって、もし生徒会室が人通りの多い場所ならば、決して近づかないだろうと考えている。
そして学校が終わればボーダーの防衛任務の時間に合わせてランク戦ブースでA級3バカとランク戦したり、遥と比企谷隊の作戦室でゆったりしたりする。その際は俺の手にはマッカンがある。遥の手にはいいとこのどら焼きか、甘い物、グミなどあったりする。
不思議なのは遥はよくお菓子を摘むことが多いのにあまり太らない。痩せ過ぎず、太り過ぎずで程よい大きさの膨らみのある胸に端正な顔立ちと、まさしく美術品だ。その代わりなのか歌と絵の才能に関しては壊滅的だ。ネット用語ではそういうのを画伯とジャイアンというらしいがどういう意味なのだろうか?
まあ、そのことは捨て置くとして、今、俺は生徒会室でお昼を食べない時に利用しているベストプレイスに遥を招待してお昼を食べながら、テニス部員の壁打ちを眺めていた。
そのテニスに部員の壁を相手にしたテニスの練習はリズムがあり、そのリズムが睡魔を誘ってくる。
「ふぁ、あ〜」
睡魔によって眠くなりあくびが出てしまう。そんな俺の隣の遥も、眠そうではある。
昨日は、お互いに忙しい中でようやく取れた休日をデートに当てたのだ。そう当てたまでは良かったのだが、お互いに久しぶりの休日であることと休日にデートできた嬉しさでつい、遥と1日を共に過ごした。要するにおはようからおやすみまで遥でお送りしたわけでつい昨日は遅くまで房事に夢中になってしまい、気がつけば日を跨いでいたのだ。そのため互いに寝不足であるのは至極当然なのだ。
「八幡くん、おいで」
そんな俺の状態を見た遥が、膝をポンポンと叩く。言葉で言わないでもわかる。膝枕してあげるから頭乗せていいよという合図だ。俺はそんな遥の好意に甘えてベンチに座る遥の膝に頭を乗せて横になる。遥は俺の髪の毛を優しく撫でながら、嬉しそうに微笑えんでいるのを最後に意識が遠のいていった。
何処だ此処?見たことないし、俺の部屋とも違う。遥の部屋も少し違う。何処か落ち着いた雰囲気のある調度品を揃えた寝室で、俺はそんな部屋にピッタリ合ったダブルサイズのベッドで目を覚ました。とはいえ、全く心当たりもない部屋のため対応に困った俺は落ち着いて自分の状況ゆっくりと確認した。
見ると自分は少し身体つきが俺の知る自分の体より大人らしくなっている。
(監禁されているわけではないようだ。監禁しているなら、俺をこんなにも自由にさせるわけがない。逃げられないように監視をつけるはずだ。監視カメラや人もいないのだからより一層奇妙だ。なにより、俺を監禁してもそこまでの金は出ないのだからする必要もない)
コンコン
思考に浸っていたら、部屋に人がやって来たのかノックをして扉を開けて1人の女性が入って来た。その人物は寝間着姿にエプロンで肩にかかる程度の茶髪に端正で整っているも未だに若さを感じさせる。また、その髪型と顔立ちから恋人である遥を連想させられるが、彼女はまだ高校生で、美人ではあるがそこに可愛いという形容詞がつく。この女性は可愛いというよりも綺麗という形容詞がつく、そんな女性だった。
「あら起きていたの。おはよ、八幡く、じゃなかった、あなた♪」
女性は俺のことを八幡くんと言いかけるが、すぐにあなたと言い直してくる。
(あなたって、二人称の方のあなた?、それとも夫のことをいうあなたですが?)
「寝惚けてるの?ふふっ、お寝坊さんなんだから。起きて、ンッ」
どうでもいいことを考えていて返事をしなかったのを寝惚けていると判断したのか、女性はベッドに腰を下ろすと俺に口づけして来た。女性との距離がゼロ距離となって感じた唇の柔らかさ、女性特有の甘くていい匂いに俺の心は不覚にもドキドキしてしまい、遥のことを考えると罪悪感が浮かんでしまうと同時に意識がブラックアウトした。
次に眼が覚めると遥の俺にだけ見せる笑顔が俺を見下ろしていて、頭の後ろに柔らかい感触と視線を動かせば見えるむn、ゲフンゲフン、お山も一緒に見えた。
「あっ、八幡くん起きた」
「遥、今何時だ?」
「もう放課後だよ。2人ともぐっすり眠っちゃったみたい」
「そうか。授業サボったのは初めてだな」
今の今まで、一度たりともサボったりしたりしたことがない。てか、生徒会副会長が恋人で生徒会会長がチームのオペレーターなのでサボるという考えはとっくの昔に捨てた。苦手な科目も恋人に教わったりして頑張っている。
「私も初めてかな。あはは、お互い初めてだね」
「そうだな。俺たちはこれからまだたくさん初めてが待ってるさ」
俺たちはお互いに笑みを浮かべると、キスを交わしてきょうしつにかばんをとりにいった
後日、そのことがエリカにバレてエリカ達の前でキスする羽目になったのは別の話だ。