魔法科高校の愛溺事録   作:薔薇大書館の管理人

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団欒と言ってもいいのだろうか、これは?


懐かしい団欒

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオと二人で休息を取っていた幹比古達の元へ、役人たちが声を掛けてきて、輪の中に入ってきた。その役人たちの顔を見て、幹比古は息を呑んで驚く。

 

 

 「ん?俺の顔に何かついているのか?」

 

 

 「い、いえ何もないです!」

 

 

 「そうか?」

 

 

 「もしかして君の眼光にびっくりしたとかじゃないのか?ほら君の顔って狐みたいだし、目が細いから余計に鋭く見える。」

 

 

 「誰の顔が狐だって~?この女名が!!」

 

 

 「…それは聞き捨てならないな。俺は事実を言ったまでだ。」

 

 

 「俺だって事実を言ったまでだぜ~?お前男にしては可愛い名前だしな~?」

 

 

 「……その人を嘗めまくった顔と口を使い物にできなくしないと分からないようだな。」

 

 

 「やれるもんならやってみろよ…!」

 

 

 座ったばかりだというのに、いきなり喧嘩腰になり、腰を浮かせ、足を立て、火花を散らす二人。それを見て、レオは面白がっているが、幹比古は止めなくていいのかという気持ちになった。しかし、幹比古が止めに入る前に事態は収拾される。

 

 

 「二人とも、客人の前だ。無礼な態度を取るものではないぞ。稽古が再開すればその時に決着をつければいいだろう?」

 

 

 いや、収拾したと言ってもいいのだろうか?問題を後回しにしただけのようにも感じる。しかし仲裁に入った人物により、二人もそれもそうだなという感じであっさりと浮かしかけた腰を元に戻し、座り直す。

 

 

 「すまない、無粋なものを見せてしまったな。」

 

 

 「いえ、皆さんの変わらないところが見れてよかったです。少し和みました。服部先輩。」

 

 

 「…なぜ俺の名を知っているんだ?しかも俺はお前の先輩でもないと思うが?」

 

 

 「あ! え~っとそれは…。」

 

 

 そう、幹比古が口籠ったのも、先程驚いたのも同じ理由で、話しかけてきた三人は、なんと服部、桐原、沢木だったのだ。…と言っても、三人とも姿や性格が似ているだけの赤の他人なのだが。幹比古は三人とも本人だと錯覚してしまったのもあるし、三人の反応も本人達と同じだったため、普段通りに話してしまった。それをギャクに不審に思われてしまい、どう言葉を返せばいいのか、必死になって考える。

 

 

 「それはですね!僕の学塾の先輩にも似ている人がいまして、その人の名が服部先輩なのでつい口走ってしまったんです。」

 

 

 嘘ではない。そっくりな人がいるという点だけを除いて、他は本当だ。そのお蔭で幹比古の話は真実だと受け取った服部は、納得する。

 

 

 「そうか、では改めて俺の名は服部上総だ、ここでは十門お頭の補佐を行っている。」

 

 

 「俺は桐原武士だ。お前さっきの稽古見てたんだけどよ、良い腕してるじゃねぇ~か!後で俺と一戦やろうぜ!」

 

 

 「俺の出番を邪魔するな。…俺は沢木だ、よろしく。俺の事はくれぐれも沢木と呼んでくれ。」

 

 

 「…はい、心得てますよ、沢木先輩。」

 

 

 『くれぐれも』というフレーズで強めに忠告するあたりも沢木に似ていて、やはりこの世界でも女名のような自分の名前にコンプレックスを持っている事が分かった幹比古であった。

 

 




ちょっとした仲睦ましいものになりましたが、服部が止めなかったらどうなっていたのだろうね~。

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