魔法科高校の愛溺事録   作:薔薇大書館の管理人

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なんだか久しぶりに時代劇見たくなったな…!


親分レオっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 「ここは俺に預けてもらおうかぁぁ~~!!」

 

 

 

 

 

 大きく腕を振りまわし、二人の間に立って仲介に入ったレオ。その本人は、カッコよく決まったと思っているのか、頬が緩んで、粋がっていた。幹比古は、レオが助けに入った事には感謝はしたが、そこまで大見得を切る必要性があったのかと冷静に突っ込む気持ちもあり、複雑な心境になる。

 尤も、相手の御用人達は幹比古以上に複雑で明らかに動揺していたが。

 

 

 「お。おい!しっかりしろ!」

 

 

 「ど、どういうつもりなんだ…、なのですか!」

 

 

 「罪人を庇いたてしようものなら、例えあなたでも捉えなければいけなくなりますぞ!」

 

 

 御用人達からレオに言葉が降り注ぐ。それを耳にして、幹比古は首を傾げる。

 

 

 (……んん? なんだ、この人達? 何でさっきからレオに敬語だったり、ペコペコ頭下げたりしているんだろう?

  レオ…、一体何をしたんだ?)

 

 

 さっきからレオに対する御用人達の様子に訝しく感じる幹比古は、自分との対応の違いに唖然とする。幹比古の場合は口出しだけで斬りかかられていたが、レオの場合は、口出しよりも完全に御用人を殴っている。(幹比古を助けるためだったので、正当防衛だけど)それなのに、激怒して、今度は総掛かりで懲らしめに掛かるのではなく、躊躇しながらも一応敬語を通しているのだ。ここまで対応が違ったら幹比古が訝しく思っても不思議ではないだろう。

 

 レオと御用人達との振る舞いから両者の関係に何かあったのかはなんとなく理解した幹比古は、事態が最悪になりそうだと判断したら動く事にして、この場はレオの言うとおりに任せてみようと思った。

 

 

 「お前ら、頭を冷やせよ。

  幹比古の言っている事は何も間違っていねぇ! 幹比古はナンパされていた美月を護ろうとしただけだぜ!? それなのに何で幹比古を斬らないといけねぇ~んだよ。」

 

 

 「な、なんぱ……ですか?」

 

 

 「おう…、えっとだな~…、女子を無理やり攫う事だ!」

 

 

 「な、なんとそのような事を一言で表現されるのか!」

 

 

 「レオ殿には勉強させられる事がたくさんでありますな~。」

 

 

 「…っということはつまり?」

 

 

 「そういうことだ。そのなんぱをしようとしていたこの連中から女子を庇っていた幹比古が喧嘩両成敗で同罪って言うのは可笑しいだろ?

  ここにいる見物人達からも聞いてみたけど、みんな口をそろえて言ってるぜ?

  『そこの兄ちゃんが宿屋の娘を助けていた』ってよ~。」

 

 

 「そうなのですか! …ならこの者達をひっ捕らえよ!」

 

 

 殴られて気絶している御用人の代わりに次に偉い御用人が仲間達に声を掛け、伸びている若者たち三人組を連れて行く。

 

 

 「さすが、レオ殿です! ご協力ありがとうございました!それではこれにて。」

 

 

 「ちょっと待てよ!」

 

 

 先に連行していく仲間達の後を追ってこの場を去ろうとした御用人をレオが呼び止める。

 

 

 「お前ら、何か忘れていないか?」

 

 

 「なにをでしょうか?」

 

 

 「お前達、幹比古に何しようとしていたのかもう忘れたってのかよ? 罪なきものを殺そうとしたんだぞ? おまけに周りの連中は誰も止めようともしなかったじゃねぇ~か。」

 

 

 「それは…」

 

 

 「さっさと幹比古に謝れよ! 幹比古は俺のダチだからな! こいつに手を出したら俺が許さねぇ~ぞ!!」

 

 

 「…………申し訳ございやせんでした。」

 

 

 頭を軽く下げ、謝った御用人はすぐさま足早に去っていった。

 

 

 ちょっとした出来事も終わり、見物人達もこの場を去っていく。いつものような日常に戻りつつある中、幹比古は久しぶりに再会する事が出来たレオと二人で話をする。

 

 

 「レオ、ありがとう。お蔭で助かったよ。」

 

 

 「悪いな、幹比古。気分悪かったよな。俺だってあれには腹が立ったぜ。」

 

 

 「いや、レオのお蔭ですっきりしたからもう大丈夫。…良いパンチだったしね。」

 

 

 「そうか? ハハハハハ…!!!それならいいぜ。 けど、あいつら、どっかの誰かに似ていないか?特に幹比古に斬りかかろうとしていた奴。」

 

 

 「う~ん、知り合いか?」

 

 

 「いや、知り合いでもないな。そこまで親しい雰囲気ではなかったと思う。」

 

 

 「そう言われても、僕には見当が…あっ!」

 

 

 「あ!」

 

 

 二人同時に頭の中で閃いたようで、顔を見合わせて、互いに指を突き出し、思い浮かんだ人の名を口出す。

 

 

 「「森(山/川)!!」」

 

 

 名前は全く違うが、互いに浮かんでいる人物はシンクロしていた。

 

 一科生であることに誇りを持ち、エリート意識を高く持つが故に二科生を見下すあの森崎を。

 

 

 




もう森崎の事は、既にモブ崎と頭の中で変換されているため、名前がなかなか出てこなかったうちです。

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