魔法科高校の愛溺事録   作:薔薇大書館の管理人

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おお~~!!これは幹比古が頑張ってくれる予感!!


君は僕が守る!

 

 

 

 

 

 

 

 

 下宿の玄関にやってきた幹比古は、玄関先でなにやらもめ事が起きている声が耳に入り、眉をひそめる。ここはいわば民宿のような場所だ。その玄関先で騒ぎなんてされたら、営業妨害になるし、今後の影響も考えると好ましくない展開だ。ここでお世話になっているのだから、お役に立たないといけない。その熱意が幹比古へもめ事の仲裁に入る決意を固める。それに幹比古は風紀委員長として、一高内の巡回でも仲裁や校則違反者の取り締まりもしているため、この状況には慣れてもいて、それが幹比古の決意を後押ししていた。

 

 草履を履き、店先に出ようとした幹比古。だが、次の瞬間不意に聞こえてきた声で足が止まり、無表情になる。

 

 

 「は、離してください!! 私はそんなつもりはありません!!」

 

 

 「そんなに怯えなくてもいいだろ? 俺達はあんたを買ってやるって言ってるんだ。金だって払ってるんだし、これから俺達に付き合ってくれりゃ~良いんだよ!」

 

 

 「そうだ。ちゃんとれっきとした商売をしたつもりだぜ? だったらお客の期待に応えるのがお前の示す”誠意”ってやつじゃないのか~?」

 

 

 「…それともこの下宿では、御客に対してぞんざいな態度を取ってもいいっていうのかよ?大した店だな~! なんなら、この辺り一帯の飯屋を巡って騒いでもいいんだぞ~。『あそこの下宿はとんでもねぇ~最悪な店だ!』ってな!」

 

 

 「そ、それは駄目です! そんなでたらめな言い分が通るとでも…」

 

 

 「通るんじゃないのか~? この町の連中にはきかねぇ~だろうが、地方の旅人はろくでもねぇ~宿屋だと思っても無理はないだろ? そうなると困るのはどっちか…、言わなくても分かるよな?」

 

 

 「……………」

 

 

 「よし、なら俺達と一緒に遊んでくれよ。ほら…!」

 

 

 「痛っ…! だから離してください!!」

 

 

 明らかにナンパにしては度を越したやり口に幹比古は怒りが込み上げてくる。しかもミツの悲痛な叫びを聞いては黙って見過ごすなんて真似、するはずもない!

 

 

 店ののれんを潜り、店先に出てみると、すぐにミツと三人組の若い男達がおり、ミツを囲んで迫っていた。…まるでミツを逃がさないようにしている雰囲気で。それが却って幹比古の怒りを煽る事になる。

 

 

 「申し訳ありません。店先ですので、争い事はご遠慮ください。」

 

 

 怒りで我を忘れそうになるほど、目の前の若い男達を成敗したい気持ちだ。最初は穏便に話しかけた方がいいと考え、話しかけたが、ミツが幹比古を見た悲痛な助けを求める目には恐怖を感じていたのだろう、涙がうっすらと浮かんでいた。幹比古はもうこの瞬間、彼らを許す気は毛頭なくなったのである。

 

 

 「争ってなんていないですよ~?ちょっと俺達この町に来たのは初めてなんでね。ちょっとお宅の娘さんに町を案内してもらいたくてお願いしていただけですよ~。」

 

 

 白々しくあくまで町案内をお願いしている風を装う彼らに幹比古は鼻で笑う。それを見て、男達の内の一人が掴みかかってきた。

 

 

 「何だてめぇ~! 何笑ってやがんだ! 俺達は町案内をしてもらうだけだと言っているだろうが! 」

 

 

 「いや、すみません。あまりにもそうは見えなかったんで。無理やり連れて行こうとする怪しい集団にしかまるで見えない方々が町案内なんて言ったので、おかしくてつい。」

 

 

 「てめぇ~…! 」

 

 

 幹比古の胸倉を掴んでいた若い男が拳を振りかぶり、幹比古の顔目掛けて殴りにかかる。ミツから悲鳴が零れ、騒ぎを聞きつけた周囲の店々から人が現れる中、それが起きる。

 

 誰もが幹比古が殴られたと思った。

 

 

 しかし、彼らが目にしたのは、地面に倒れている若い男とその傍らで悠々とした佇まいで残りの男達を見つめている幹比古の姿だった。

 

 何が起きたか分からない彼らは、自分達に近づいてくる幹比古に反応できず、ただ身体が固まっていた。そしてミツの手を優しく握り、二人から引き離すと自分の背中に匿う。

 

 

 そして背中越しにミツに声を掛けるのだった。

 

 

 「…もう大丈夫だから。ミツさんは僕が守るから…!」

 

 

 

 この時。幹比古の表情は男前で、そんな表情を肩越しで見たミツは顔を真っ赤に染めるのであった。

 

 

 




窮地を助けられたミツ~!! 颯爽と現れ、一人倒しちゃった幹比古。

これはもしや愛の為せることだったりして~!!(やはり美月を意識してしまうのはあると思うんだよ~!!)

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