とある放課後の一年ろ組。そこでは斜堂影麻呂先生とろ組の暗いけど良い子達が何かを相談していた。そして何故か黒板には何処で手に入れたのだろうか、食満小三郎の似顔絵が貼られている。
斜堂先生「あの話だけだと思っていましたかぁ〜……。」
斜堂先生のドアップに背後で笑うろ組達。そしてまじまじと小三郎の似顔絵を見つめる。
斜堂先生「いいですねぇ…食満小三郎くん…是非とも君が欲しい…。」
孫次郎「斜堂先生…言葉を選んだほうが…。」
怪士丸「かなり危なそうな人に見えます…。」
孫次郎と怪士丸の言葉にはっとなる斜堂先生。
斜堂先生「おっと…ありがとうございます…でも皆さんも…お好きでしょ?彼が…。」
ろ組全員「は〜い…。」
良からぬ企みが動き出す。
は組の良い子達は小三郎の勤勉さと真面目さに影響され程よく清掃され、宿題の提出率も良くなり今は珍しく居残りする者はおらず、長屋では小三郎一人勉強机に向かっていた。珍しく考えているのか動かない。その時、背後からろ組4トップが忍び寄る。
伏木蔵「小三郎〜…あれ?」
伏木蔵が小三郎に触れた瞬間、パサッと音を立て……小三郎の首が取れた。
平太「ギヤァァァァァァァァ!!」
孫次郎「お、落ち着いて!平太!」
絶叫し走り回る平太。宥める孫次郎。
怪士丸「に、人形だ…これ。」
よく見ると装束を着た藁の張り子。そして4人に何者かが忍び寄る。
????「…いらっしゃい…。」
不気味な声が聞こえ、伏木蔵のうなじ部分にちょんと誰かが触る。振り返る四人。そして見たのは…。
伏木蔵「ギャァァァァァァ!!のっぺら坊!!」
平太「うわぁぁぁぁぁ!!」
孫次郎「あぁぁぁぁぁぁ!!!」
怪士丸「わぁぁぁぁぁ!!!」
そこにはのっぺら坊が立っていた。へたり込む四人。しかしのっぺら坊はピースサインをする。そして顔を持ち上げた。
小三郎「大せ〜こ〜♫」
顔は張り子、出て来たのは一年は組のできる子、小三郎だった。
伏木蔵「な、なんだ小三郎か……はぁ、はぁ…。」
孫次郎「びっくりしたぁ……。」
怪士丸「へ、平太大丈夫?」
平太「ち、ちびっちゃったぁぁ……。」
平太が袴に触れると同時に、小三郎は懐から袴と褌と拭き用の手拭いを取り出し衝立の裏に平太を手招き。
小三郎「はい、着替えよう?」
伏木蔵&孫次郎&怪士丸「だぁぁぁぁ!!」
三人はすっ転び、平太は衝立の裏に。
伏木蔵「相変わらず…用意がいんだから…。」
平太が着替え終わり、全員は小三郎が出した座布団に座る。
小三郎「改めていらっしゃい。そして脅かしてごめんね?」
小三郎は悪戯っぽくべっと舌を出して笑う。
伏木蔵「まさか驚かすはずが驚かされるなんて…。」
孫次郎「びっくりしたよ〜。でもなんでまた人形とのっぺら坊?」
孫次郎の問いに小三郎は忍たまの友を差し出し、あるページを指差す。
平太「驚忍の術?」
小三郎「えへへ。一回やって見たかったんだ?」
ミニコーナー
土井先生「驚忍の術とは、迷信などで敵を驚かしてその隙につけ込む、五車の術の一つのこと。」
山田先生「平たく言えばびっくりさせる事だが驚いた相手は隙だらけになると言う訳だ。一瞬の隙でもプロの忍びの世界では命取りになるぞ。」
伏木蔵「まんまとはまっちゃった訳だね?」
小三郎「ごめんね?ところで僕に用があって来たんでしょ?」
首を傾げる小三郎に伏木蔵が口を開く。
伏木蔵「実は今度の休みにまたみんなでピクニックに行こうと思ってるんだ。」
孫次郎「前にまた一緒に行こうって言ったじゃない?」
平太「だからどうかな?って……。」
怪士丸「今度は少し遠いけど乱太郎が紹介してくれた神秘の池に行こうかと思うんだ…どう?」
4人の話を聞いて小三郎は笑顔で頷く。
小三郎「神秘の池かぁ。うん!行こう!僕、伏木蔵達とのピクニックまた行きたいなぁ。って思っていたんだ。何故かその後の記憶が曖昧なんだけど……。」
小三郎の言葉に四人はニィッと口元に笑みを浮かべた。そして約束を交わし四人は部屋を後にする。その帰りに乱太郎ときり丸としんべえに出会った。
乱太郎「あれ?伏木蔵達。」
伏木蔵「やぁ。うふふ……。」
伏木蔵は笑う。そして通り過ぎる。
きり丸「な、なんだ?あいつら。」
しんべえ「ぶ、不気味な笑い…。」
良からぬ企みが回り出した。