忍たま乱太郎〜食満留三郎の弟〜   作:誰かの影

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おかしな忍術学園の段

庄左ヱ門「……んっ……う〜ん……。あれ?学園の校庭?」

 

庄左ヱ門は目を覚まし、辺りを見回した。そして小三郎の装束を調べていたら不自然なポケットを見つけ手を入れたら吸い込まれた事を。しかし奇妙な事に今いる場所はよく見知った学園の校庭だった。

 

????「あれ?庄左ヱ門。」

庄左ヱ門「あっ。伏木ぞ……ってエェェェ!?」

 

庄左ヱ門は話しかけて来た一年ろ組の鶴町伏木蔵を見て驚きの声を上げた。いつも縦縞が入り暗い感じの伏木蔵が今は笑顔で縦縞がなくなり、明るい好少年になっているのだ。驚きのあまり言葉が出ずにいた時、今度は下坂部平太がやって来た……富松作兵衛の様に用具箱を肩に背負って。

 

庄左ヱ門「エェェェェェェェェェエ!!!???」

 

平太「ん?やぁ!伏木蔵。庄左ヱ門!今日もいい天気だね!さてと!修補修補!!」

 

何時ものビビリの怖がりやな平太では無く、キリッとした表情の太陽が似合う少年になっていた。

 

庄左ヱ門「ど、ど、ど、どうなっているの!?」

伏木蔵「どうって……何時もの僕たちじゃない。やだなぁ!もう。あっはははは!」

 

キラキラな表情で笑う伏木蔵に庄左ヱ門は引き攣った表情をする。すると向こうの方から何やら土煙を上げながら走って来る誰がが見えて来た。それはなんと!一年は組のしんべえだった!

 

庄左ヱ門「ししし、しんべえがすっごいスピードで走ってるぅ!!」

伏木蔵「すごいよねぇ?は組が誇る俊足のぽっちゃり忍たまだね?あっ。乱太郎ときり丸が来たよ?」

 

庄左ヱ門が見るとそこには何も変わった様子のない乱太郎ときり丸がいた。

 

乱太郎「あっ。庄左ヱ門に伏木蔵。」

きり丸「珍しい組み合わせだなぁ?」

庄左ヱ門「よかったぁ。二人とも普通だ。」

 

庄左ヱ門がほっとした時だった。

 

 

 

チャリーン!

 

 

 

 

何処かで小銭が落ちる音がした。どうやら伏木蔵が落としたらしい。その小銭がコロコロと転がりきり丸の足元に。

 

伏木蔵「おっと!」

きり丸「おいおい。気をつけろよぉ。銭は大事なんだぜ?はい。」

庄左ヱ門「エェェェェェェェェェェェェェェェエ!!!きき、きり丸が小銭を返しタァァァ!?」

 

なんとドケチであるはずのきり丸が小銭を拾い、落とし主である伏木蔵に返したのだ。

 

乱太郎「驚く事ないじゃない。キリくんは人の小銭は絶対に届けるんだから。」

庄左ヱ門「エェェェ!?ってかキリくんって。」

 

乱太郎の言葉に庄左ヱ門がさらに驚く。

 

 

きり丸「っと!そうだった!しんべえどこ行ったか知らない?」

伏木蔵「あぁ。あっちへ行ったよ?」

きり丸「サンキュー!よし行くぞ!乱太郎!」

乱太郎「あぁん!待ってよぉ!キリくん!私そんな早く走れない!」

庄左ヱ門「ら、乱太郎足遅!」

 

何時もの乱太郎は俊足だが、何故か今の乱太郎は牛歩も牛歩になっている。見送った後で今度は一年い組のみんながやって来た。サッカーボールをラフティングしながら。

 

彦四郎「やぁ!庄左ヱ門!」

庄左ヱ門「あっ。彦四郎。め、珍しいね?い組がサッカーなんて。」

伝七「はぁ?何行っているだよ?」

佐吉「僕たちはよくサッカーやっているじゃないか。」

一平「昨日もは組とい組で試合したじゃない?」

 

庄左ヱ門「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

普段はガリ勉で全然遊ばないい組とサッカーの試合なんてあり得ない。庄左ヱ門はすっ転んだ。

 

伝七「いい試合だったよなぁ!」

佐吉「珍しく彦四郎が[神の◯◯ト]を使ったもんな!」

一平「やっぱり頼りになる学級委員長!」

 

庄左ヱ門「ひひひ、彦四郎が頼りにされてるぅ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからも奇想天外なものを庄左ヱ門は見た。

 

滝夜叉丸「私が千輪の名手?ふん。私などまだまだ未熟者。」

 

硬派で自分に厳しい滝夜叉丸。

 

喜八郎「またこんな所に穴が…埋めなくちゃ。」

 

穴掘り小僧ならぬ穴埋め小僧な喜八郎。

 

作兵衛「え?用具貸してくれ?好きに持ってけ?ふぁぁ…寝みぃしかったりぃ。」

 

不真面目で無責任な作兵衛。

 

留三郎「そっち押さえてくれ、文次郎。」

文次郎「よし来た。」

留三郎「すまんなぁ。手伝わせて。」

文次郎「なぁに。気にすんな。」

 

仲の良い留三郎と文次郎。

 

小平太「あぁあ……私はやっぱりダメだぁぁぁぁ。」

長次「細かいことは気にするな。」

 

細かいことを気にする小平太ともそもそ喋らない長次。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして極めつけが……。

 

 

土井先生「練り物うめぇぇ!おばちゃん!ちくわとはんぺんおかわり!」

おばちゃん「はいはい!土井先生は練り物がお好きですねぇ?」

土井先生「はい!大好物です!」

伝子さん「でも練り物ばかりでは栄養が偏りますわよ?しっかり野菜も食べなくちゃ。」

 

練り物大好きな土井先生と美女な伝子さんだった。庄左ヱ門の感じる違和感が徐々に恐怖に変わって来た。

 

庄左ヱ門「ち、違う……な、なんか変だ。うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「「「あぁっ!どこに行くの?庄左ヱ門!」」」

 

みんなが一斉に追いかけて来た。そして来るわ来るわ!所々おかしな人が。

 

清潔な団蔵、虎若。全然湿ってない喜三太。火縄銃を持つ金吾。不潔な伊助。からくりでは無く竹細工に興味のある兵太夫に三治郎。

 

どれを、何処を見ても異様、奇怪。

 

 

その時!庄左ヱ門の足元に落とし穴が開いた。

 

 

庄左ヱ門「ウワァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

庄左ヱ門は再び真っ暗な所へ落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭の上の方から伊助の呼ぶ声が聞こえて来た。

 

伊助「庄左ヱ門!庄左ヱ門!!」

庄左ヱ門「うっ……うわぁぁぁぁぁぁ!!」

伊助「うわっ!びっくりしたぁ!」

 

庄左ヱ門は汗だくの状態で飛び起きた。

 

庄左ヱ門「はぁ…はぁ…。」

伊助「大丈夫?かなり魘されてたよ?」

庄左ヱ門「はっ!小三郎の!小三郎の装束の中に異世界が!」

 

取り乱す庄左ヱ門に伊助は?を浮かべる。

 

伊助「何言ってるの?結局小三郎の装束は脱がせなかったじゃない。」

庄左ヱ門「へ?あっ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庄左ヱ門は思い出した。乱太郎が眠り薬を飲ませようとしたが、感の鋭い小三郎には見破られてしまった事を。

 

 

庄左ヱ門「さ、最初から夢だったんだ……よ、よかったぁ……夢で良かったぁぁぁ…っ!うわぁぁぁぁん!」

 

伊助「ちょちょちょ!庄左ヱ門!?どれだけ怖い夢見たのさぁ!」

 

庄左ヱ門に抱き着かれて泣かれ、伊助は苦笑いを浮かべた。その様子を外から聞いている一人の忍たまがいた。小三郎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小三郎「へ?僕の装束の中はどうなっているのかって?さぁね?」

 

小三郎は読者に向けてウィンクを飛ばした。

 




装束のポケットを抜けた先はおかしな忍術学園でした。

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