忍たま乱太郎〜食満留三郎の弟〜   作:誰かの影

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変装してみるの段

八月も終わりが近づき、それまでの蒸し暑さがだいぶ薄れ、日陰はかなり涼しくなった。

 

土井先生「と言い訳で、変装を行う場合は変装する者に成り切らねばならない。変装の名人こと、五年ろ組の鉢屋三郎も不破雷蔵なりきっている。つまり……。」

 

小三郎「少しでもおかしな言動や行動はしてはいけないっという事ですね?」

 

土井先生「その通りだ、小三郎!流石だな。」

喜三太「流石は小三郎~。」

金吾「凄い凄い!」

 

 

全員が小三郎に拍手を送ると同時に半鐘が鳴り、今日の授業が終わった。みんなが遊びに行く中、小三郎は筆を用意する。

 

乱太郎「あれ?小三郎は遊ばないの?」

小三郎「先に宿題を終わらせるよ。」

きり丸「真面目だな~?サブちゃんは。」

しんべえ「でも小三郎ならパパッと済ませちゃいそう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなが遊びに行く中、小三郎は教室に残り、本日の宿題を始める。

 

 

小三郎「……これくらいならすぐに終わりそうだな?」

 

筆を順調に進めて行くと誰かの足音が近づいて来た。

 

????「おっ?小三郎一人か?」

小三郎「あぁっ!……あっ…えっと……。」

 

小三郎は入って来た五年生の先輩に見覚えがあった。それは図書委員会で見た。しかし何か違う。

 

小三郎「不破雷蔵先輩……いや、違いますよね?……あっ!不破雷蔵先輩に変装した鉢屋三郎先輩!」

 

三郎「正解!」

 

三郎は教室の窓から校庭を見下ろす。

 

三郎「みんなは遊んでいるのに、お前は真面目だな?小三郎。」

 

小三郎「宿題とトイレは早い方がいいですから。」

三郎「ハハッ!違いないな。」

 

小三郎が人懐こそうに笑うと三郎も笑う。そして小三郎の側により宿題の内容を見る、そして変装の基本のページが開いているのが目に止まった。

 

三郎「今日は変装の授業だったのか?」

小三郎「はい。実技ではありませんが。あっ。そう言えば鉢屋三郎先輩は変装の名人って呼ばれていましたね?」

三郎「昔からモノマネが得意だったんだ。最初は声真似だけだったんだけど、そのうち姿、服装、髪型も真似してたら……いつの間にかこんな事に……だから最初は遊びだったんだよ。」

 

小三郎「特技を活かしたいい例ですね!でもやっぱり限界はありますか?」

三郎「流石に一年や二年に変装は無理だよ。」

 

そう言うと三郎は教室から出て、今度はしんべえに変装して来た。

 

三郎「ご、五年生になったしんべえ?」

三郎「ほら、身長までは真似できない。そうだ、君なら知ってるかもだけど、あからさまに無理な相手に変装しない事。相手をよく観察してから変装する事。教科書には当たり前な為省略してあるけど、これも基本だよ?」

 

小三郎「あぁっ!土井先生が授業中言ってました。」

 

小三郎は筆で今言われた事を追記しておく。しばらくして宿題も終わった。

 

三郎「小三郎の体型ならしんべえ以外なら上手く変装出来るんじゃないかな?よし。ちょっとついておいで?」

 

小三郎「はい?」

 

 

 

 

 

小三郎は教科書などを片付け三郎と教室を後にし付いていくと、付いたのは「鉢屋」と書かれた五年生の忍たま長屋だった。

 

小三郎「ここ三郎先輩の部屋?」

三郎「そうだよ?君なら変装メイクを教えてもいいかな?っと思ってね?」

小三郎「まさかのご伝授⁉︎ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で乱太郎達、他の忍たまは校庭でサッカーを楽しんでいた。

 

乱太郎「小三郎遅いね?」

きり丸「サブちゃんの事だから細かいとこまで勉強してるんだよ!」

庄左ヱ門「ハハッ。違いないね。」

 

みんなが話していると、突如団蔵が輪から抜けた。

 

虎若「団蔵どこ行くの?」

団蔵「ちょっとトイレ。」

 

 

団蔵がトイレに行くと同時に草むらから三郎が覗き見る。

 

三郎「よし、今がチャンスだ。ちょっといたずら&伝授、開始。行ってこい!」

団蔵?「はい。」

 

草むらから団蔵?が飛び出し、みんなの所へ駆け寄る。

 

団蔵?「お待たせ〜。」

乱太郎「はやっ!」

虎若「もう済んだの?」

団蔵?「うん。さぁ、サッカーの続きやろうよ!」

 

 

それから、全員が目を疑った。普段から体力のある団蔵だか今回はまるで違う。軽快なフットワークで翻弄しゴールを決めまくる。

 

三治郎「ど、どうしちゃったの団蔵⁉︎」

兵太夫「ナイスプレー!!」

 

みんなが団蔵?の周りに集まる。

 

団蔵?「いやぁ。たまたまだよぉ。」

きり丸「またまた〜。謙遜しちゃって……あれ?デジャブ?」

 

きり丸が何処か違和感を感じる。すると団蔵?は再び輪から外れる。

 

乱太郎「どこ行くの?今度は。」

団蔵?「汗が鬱陶しいから拭いてくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

団蔵?が校舎の角を曲がる、きり丸はやはり浮かない顔をしている。

 

しんべえ「どうしたの?きり丸。」

乱太郎「どうしたの?きりちゃん。」

 

全員が集まるときり丸は顔を上げる。

 

きり丸「団蔵って、おだてると調子に乗る方じゃなかったか?あんな風に謙遜するか?」

 

きり丸の言葉にみんながハッとする。

 

虎若「確かに……。」

庄左ヱ門「あんな風に謙遜するような性格じゃないよね?」

 

 

みんなが考える中、本物の団蔵がやって来た。

 

団蔵「あれ?何かあったの?」

 

団蔵が現れるなりみんながギョッとする。それもそのはず、先ほど向こうに行ったのに、後ろから来たのだから。

 

伊助「えっ⁉︎な、何でそっちから来るの⁉︎」

団蔵「え?だってトイレはこっちじゃない。混んでたから時間がかかっちゃって。」

金吾「だ、だって!君さっきトイレから帰って来たんだよ⁉︎」

団蔵「えぇ⁉︎」

乱太郎「じ、じゃあさっきの団蔵は……。」

しんべえ「分かった!さっきの団蔵はきっと鉢屋三郎先輩の変装だったんだ!」

 

しんべえの言葉に誰しもが納得するが、喜三太が異議を唱えた。

 

喜三太「それはありえないよぉ。三郎先輩の変装だっとしても、さっきの団蔵は僕たちの背丈は同じくらいだったじゃない?さっきの授業でも、プロの忍者でも子供に変装するのは無理だって土井先生が言ってたじゃない。」

 

乱太郎「じゃあ……さっきの団蔵は……だれ⁉︎」

 

 

みんながあれこれ考える中、次は兵太夫が発言した。

 

兵太夫「い組の伝七や佐吉あたりのいたずらかな?」

庄左ヱ門「それもどうかな?い組は実戦に弱いタイプが多いから。」

乱太郎「庄ちゃんってば冷静通り越してさりげなく毒吐いた!」

伊助「とりあえず…曲者だといけないから、土井先生に言った方がいいんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でいたずら組、小三郎は三治郎に変装して職員室前に来ていた。

 

三治郎?「先生方に通用しますかね?」

三郎「まぁ、宿題提出を変装で来ただけだから怒られはしないよ。」

 

三郎に行ったこいと言われ、三治郎?は職員室の戸をノックする。

 

三治郎?「失礼しま〜す。」

土井先生「三治郎……ん?」

山田先生「どうかしたのか?……ん?」

三治郎?「小三郎の代わりに宿題の提出に来ました。」

 

入室し、宿題を提出しに来た三治郎に土井先生と山田先生は少し違和感を感じた。そしてふっと笑った。

 

土井先生「それはご苦労。」

山田先生「ついでにみんなにも宿題提出を促すよう頼めるかな?三治郎に変装した、食満小三郎。」

 

山田先生の言葉に三治郎に変装した小三郎はやっぱりっと言った具合で笑った。

 

小三郎「やっぱりバレましたか。上手く変装したと思ったのに。」

土井先生「私はお前達一年は組の担任だぞ?生徒、しかも担当クラスの生徒の変装を見抜けないわけはない。」

山田先生「私も一年は組の実技担当者。そして……。」

 

山田先生が衝立の後ろに隠れ、次に出て来たのは。

 

伝子「女装の達人よぉ?そんな見た目だけの変装なんて見破れるわ。」

 

小三郎「伝子さん!」

土井先生「や、山田先生「伝子さんよ!!」で、伝子さん……何も女装しなくても……。」

伝子さん「プロの技を見せているだけよ?そして……鉢屋三郎くん。そこにいるんでしょ?」

 

伝子さんが戸の方に呼びかけると、戸の裏から三郎が出てきた。

 

三郎「やっぱりダメでしたか。」

伝子さん「ダメとは言わないわ。ぱっと見は三治郎だからとりあえず合格点ってとこかしらね?ね?土井先生?」

土井先生「確かに乱太郎達なら騙せれるな?」

 

 

 

 

そうこう話していると複数の足音が職員室に近づいて来た。

 

乱太郎「土井先生、山田先生!大変です!忍術学園に曲者……あぁぁぁぁぁぁ!!!」

三治郎「ぼ、僕⁉︎」

小三郎「やぁ。」

 

乱太郎達が入って来るなり、三治郎に変装した小三郎を目撃し、驚きの声を上げる。小三郎はニコリと笑い手を振る。

 

庄左ヱ門「そいつです!そいつが曲者です!」

伝子さん「違うわよ。三治郎に変装した小三郎よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沈黙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ギャァァァァァァァァァァァァ!!!お化け!!!」」」」」

 

伝子さんを見た瞬間、全員が叫び声を上げ何処かへ逃げて行ってしまった。

 

小三郎「あらまぁ。」

 

伝子さん「ちょっと!何で逃げるのよ!待ちなさーーい!!」

 

 

 

伝子さんは逃げて行ったみんなを追いかけて行った。

 

小三郎「伝子さんってそんなに不気味ですか?僕はあれはあれでありだと思いますが?」

三郎「ま、マジか?」

土井先生「小三郎……お前は天然なのか冷静なのか。」


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