25期が始まりましたね!
今日は社会見学の為、小三郎は自室で荷物の整理をしていた。行く場所は兵庫水軍の海。初めての場所。
そして集合時間になり、一年は組全員が門の前に集まった。
山田先生「それではこれより、社会見学に向かう!」
は組一同「は〜〜〜〜い!!」
全員が元気よく返事をしていざ、出発!!
小三郎「兵庫水軍かぁ……楽しみだなぁ!」
乱太郎「そっか。小三郎は兵庫水軍は初めてだったね?……ん?うわぁぁ…。」
小三郎「どうしたの、乱太…ってしんべえ!」
しんべえ「うへへ〜〜。」
そこには恍惚の表情をしているしんべえがよだれを垂らしながら歩いていた。
きり丸「よだれ!よだれ!」
小三郎「はい、手ぬぐい。」
しんべえ「ありがとう〜。」
小三郎が懐からから手拭いを取り出し、しんべえに渡す。
乱太郎「そんなに兵庫水軍の第三協栄丸さんの所でお魚食べるの楽しみなの?」
乱太郎達曰く、兵庫水軍に行くと必ずお魚バーベキューをするらしくしんべえはそれが楽しみで仕方ないようだ。
しんべえ「楽しみ〜〜!」
きり丸「今度は鼻水!」
小三郎「はい、トイレットペーパー。」
しんべえ「ありがとう、小三郎。毎回ごめんね〜?」
小三郎は今度は懐からなんとトイレットペーパーを取り出し渡した。
乱太郎「毎回思うけど、その懐の中どうなっているのさぁ?」
団蔵「あっ。それ僕も気になる!」
虎若「僕も!」
乱太郎達は小三郎の懐の中を覗き見るが、小三郎はさっと身を翻し隠した。
乱太郎「なんで隠すのさ!」
小三郎「乱太郎のエッチ!」
団蔵&虎若「どっ!……エッチって……。」
小三郎がおちゃらけではぐらかし、団蔵と虎若がこけかける。
伊助「でもしんべえじゃないけど、お魚バーベキュー楽しみだね?」
庄左ヱ門「そうだね?」
それからは全員でお魚コールをする。
は組一同「お〜さかな〜♫お〜さかな〜♪バ〜ァベ〜キュ〜♪」
小三郎「魚魚魚〜〜♫さかな〜を〜たべ〜ると〜♫頭頭頭〜♪あたま〜が〜よく〜なる〜♩」
金吾「ちょっ…。」
喜三太「古いよ〜、小三郎〜。」
兵太夫「でもぴったりじゃない?」
小三郎が懐かしい曲を歌うと金吾と喜三太が古いと言ってきたがまさにぴったりなのでみんなが歌い出した。
は組一同「さ〜さぁ〜♫み〜ん〜なで〜さかな〜をーたべ〜よぉ〜♫さかな〜が〜ぼく〜らを〜♩待って〜いるぅ〜〜♪」
全員が歌い中、土井先生は何やら山田先生とヒソヒソ話をする。
山田先生「スト〜〜プ!」
庄左ヱ門「どうかしましたか?山田先生。」
山田先生「私たちは楽しい遠足ではなく!社会見学!すなわち兵庫水軍の事を勉強しに行くの出会って!美味しいお魚を食べに行くわけじゃない!くれぐれも誤解しないように!」
ごもっともな注意に小三郎は理解するが、後のは組はぽかんとしており、しんべえなど顔から涙と鼻水とよだれを垂らしている。そしてお魚バーベキューなどないと言われ、泣き出してしまった。
しんべえ「そんなぁぁぁ……うわぁぁぁん!」
乱太郎「しんべえ!鼻水!」
きり丸「よだれよだれ!」
乱太郎ときり丸がなだめる中、小三郎が再び懐に手を入れた。それを見た先生を含む全員が注目する。
小三郎「対しんべえが泣いちゃった時用の……デカデカ手拭い!!」
全員「で、デカっ!!!」
小三郎が取り出したのはしんべえくらいなら楽に包めそうなでかい手拭い。それでしんべえの顔を包んだ後、勢い良く引っ張ると……。
しんべえ「復活!」
小三郎「ふぅ。」
はい、もとどおり!
乱太郎「て、手際がいいね?」
きり丸「お前は手品師か⁉︎」
山田先生「兵庫水軍の海に到着!」
浜辺、波の音が心地よく、カモメが歌う、綺麗な海に着いた。
小三郎「ここが兵庫水軍の海…!」
乱太郎「そうだよ。あっ!あそこに総大将の第三協栄丸さんが……。」
は組一同「うえっ⁉︎」
乱太郎に言われて小三郎とは組全員が指差した方を見る。そこには……。
協栄丸「みなさ〜ん。お待ちしておりました〜〜ん。」
は組一同「ギョエ〜〜〜〜!!!」
そこには浦島太郎に出てきそうな乙姫様に扮した兵庫水軍大将、第三協栄丸がニコニコ顔でいた。しかし余りの君悪さに全員、小三郎も含め悲鳴をあげた。しかしよく見るとそれは変装ではなく、旅行先などにある撮影プレート見たいなものだった。
山田先生「だ、第三協栄丸さん!なんですかそれは!」
協栄丸「いや〜。来てくれたみんなに遊んでもらおうと思って〜。ほら、お魚バーベキューも用意しました。」
お魚バーベキューがあると聞き、しんべえが鼻水とよだれと涙を流し喜ぶ。小三郎はそれをすでに見越していたので再び手拭いを取り出し拭いてあげる。
土井先生「困ります!我々は楽しい遠足に来たのではありません!社会見学をしに来たんです!」
協栄丸「えぇ〜。じゃあこのお魚バーベキューは?」
土井先生「中止です!」
しんべえ「そんなぁぁぁ!ウググッ⁉︎」
再び泣き出してそうになったしんべえの顔面に手拭いを当てた。
小三郎「はい、チーンして。」
しんべえ「チーン!!!ありがとう。」
小三郎「どういたしまして。」
は組一同「だぁぁぁぁ!!」
小三郎としんべえのやりとりにコケた。
乱太郎「一体何枚手拭いもっているのさぁ!」
乱太郎が突っ込む中、協栄丸はある事に気がついた。
協栄丸「あれ?山田先生。は組の良い子達の数が……庄左ヱ門、伊助、団蔵、虎若、兵太夫、三治郎、喜三太、金吾、そして、乱太郎にきり丸にしんべえ……この子は?」
協栄丸は小三郎を見る、目が合い小三郎も頭を下げる。
山田先生「彼はは組に新しく加わった編入生で、食満小三郎と言うものです。」
小三郎「初めまして、第三協栄丸さん。一年は組に編入生しました、食満小三郎と申します。今日は社会見学に参りました。ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」
協栄丸「は⁉︎」
は組一同「おぉぉぉ!」(パチパチ)
小三郎のお約束、綺麗で丁寧過ぎる挨拶に協栄丸は度肝を抜かれた顔をし、他のは組が手を叩いた。
協栄丸(や、山田先生。小三郎くんだけもの凄〜く優等生に見えるんですけど。)
山田先生(実際そうですよ。我らは組の期待の星ですから。)
ひそひそ話を終え、協栄丸は小三郎を見る。
協栄丸「丁寧な挨拶ありがとね。でもそんなに固くなくていいぞ?俺たちかな〜り柔らかいから。」
そして社会見学が始まった。
協栄丸「では山田先生、土井先生。我々は何をすれば?」
山田先生「いやぁ〜いつも通り、普段どおりで結構ですよ?」
協栄丸「普段どおりだってよぉ〜!」
船員「「へい!」」
まずは荷物の積み入れ、次に道具の壊れていないかの点検、帆の点検、進むべき場所、危険な海路を海図で確かめ、船に破損個所がないかの点検を見学した。小三郎は全ての要所できちんとメモを取っていく。
小三郎「やはり大きい船は点検も大変ですね?」
協栄丸「まぁな?でも我々は「船中の四攻」で役割を分担しているからスムーズに行うからそこまででもないぞ?」
小三郎「船中の四攻?」
協栄丸「そう!船頭、舵取り、山立、手引きを船中の四攻と呼ぶんだ。あそこで戻しそうになっているのは舵取りのかげろうは腕は優秀だが陸酔いが酷くて。」
小三郎「お、陸酔い?船酔いじゃなくて?」
協栄丸「そう。海上は大丈夫だけど陸に上がると毎回なっちゃうんだ。おっと、まだ説明が残っていたな?」
話が逸れたが再び説明に戻る。
協栄丸「あそこにいるのが、四攻の中で一番偉い、船頭の由良四郎。陸酔いもしないぞ!そして、潮の流れや、危険な暗礁などを見定め、舵取りに伝える、山立の鬼蜘蛛丸、でもほら。やっぱり陸酔いしちゃうんだ。」
小三郎「あらら。」
協栄丸「そして、あれが船の帆を扱う。手引きの疾風。以上だ。」
小三郎「なるほどなるほど。良くわかりました!」
小三郎はささっとメモを書き進める。
山田先生「ほらほら、みんなも小三郎を見習え!」
土井先生「明後日までには見学結果を提出してもらうぞ!」
は組一同「ヒェェェェエ!」
全員が一斉に筆を走らせた。
一通り書き終えると団蔵が船頭の由良四郎に声をかけた。
団蔵「由良四郎さ〜ん!今日は船を出さないんですか?」
由良四郎「今日は天候が悪いので船は出せませ〜〜ん!」
三治郎「天候が悪いって、こんなに晴れているじゃありませんか?」
三治郎の声に小三郎は沖の方を見てみる。そこには何やら嫌〜〜な黒雲が迫って来ている。
小三郎「みんなあれ見て。なんだか嫌〜〜な雲。」
兵太夫「あー!ほんとだ!」
伊助「一雨来そうだね?」
由良四郎「小三郎くんの言う通り、怪しい雲が出ていますから時期に悪くなります!」
船が出せないと聞きみんなが残念がる。しかし、土井先生がちょっとだけでも出せないかと言われ、ちょっとだけ出航となった。小三郎は懐の中を確認した。
小三郎「まぁ……何とかなるかな?」
由良四郎「では!ちょっとだけ!出航!」
浜辺を出て船は沖へと出る。鬼蜘蛛丸とかげろうはすっかり陸酔いが治り、たくましい海の男に戻った。みんな真剣でかっこいい。そんな中、小三郎は由良四郎と話したのちいそいそと何かを準備中。
庄左ヱ門「それにしても……大将の第三協栄丸さんは相変わらず船酔い治らないんだね?」
伊助「まぁ。らしいけどね?」
そんな中、空には暗雲が立ち込め始めた。
鬼蜘蛛丸「やっぱり。嵐が来ます。」
由良四郎「やはりそうか。一年は組のみなさ〜〜ん!天候が怪しくなって来ましたので、気をつけてください!」
小三郎「みんな〜!こっちに来て!」
乱太郎「へ?小三郎?」
きり丸「何してんだ?」
小三郎に呼ばれて側によると、帆を張る柱に何やら縄が巻かれている。その縄の端を一人一人に手渡した。
庄左ヱ門「なぁに?これ?」
小三郎「波が荒れて海に投げ出されるといけないから命綱!腰に結んでね?」
伊助「まさかこの縄も自前?」
小三郎「もちろん!」
きり丸「一体どんだけ用意してんだ!」
小三郎「こんだけ〜♫(ニコッ)」
きり丸「普通に言うな!」
船は帆をたたみ、いよいよ空が暗くなってきた。は組のみんなは小三郎が用意した縄を腰に縛った。雷が鳴り、風が吹き出し、波も荒れだす。
は組一同「うわぁぁぁぁ!!」
みんなは揺れる船にふらつく。
由良四郎「これしきの嵐の海!」
かげろう「我ら兵庫水軍!」
鬼蜘蛛丸&疾風「難なく乗り切って見せよう!」
「「いざ!」」
しかし流石は兵庫水軍。海の男たち。荒波にも動じず、船中の四攻の役割も含め、テキパキと働き、荒れる海を渡っていく。
は組一同「うわぁぁぁぁ〜〜!!………うわぁぁぁぁ〜〜!!!」
揺れる船に全員があちこちに滑り、ふらつくが小三郎の縄のおかげで投げ出されはしない。しかし何処かのアトラクション見たく振り回されてもいる。
土井先生「流石は海の男たち!」
山田先生「実にたくましい!みんな!よく見ておくように!!!」
は組一同「は、はぁぁい!!」
振り回されながらも小三郎はしっかりと兵庫水軍の働き、動きを観察した。
そして見事に嵐を乗り切り、浜に戻って来た。みんな船酔いでヘトヘトになっていたが小三郎だけは木箱の上に紙をしき、見学結果を書き記している。
乱太郎「もう……サブちゃんは真面目なんだから〜……。」
きり丸「いや……そうでもなさそうだぞ?」
小三郎が立ち上がろうとした時、ふら〜っとなりそのまま伏した。
小三郎「ダメだ…気づかないようにして頑張っていたけど…まだ揺れてる……うぇ〜。」
金吾「ふ、船酔いしているのに……それを勘違いだと自分に言い聞かせて書いていたのか…!」
三治郎「小三郎〜。休みなって!」
みんなが浜辺で休む。その様子を兵庫水軍と先生方が見る。
協栄丸「みんな大丈夫かな?」
山田先生「少し休めば大丈夫ですよ!それに……まぁ、飴も必要でしょう。ですよね?土井先生?」
土井先生「そうですね?お〜いみんな!よく頑張ったご褒美に……お魚バーベキューをやるぞぉ!!」
は組一同「やったぁぁぁぁ!!!」
お魚バーベキューと聞き、全員の顔色が一気に良くなり、飛び跳ねて喜んだ。無論、小三郎も。