春のよく晴れた日、小三郎は乱太郎、団蔵、しんべえと一緒に街から食堂のおばちゃんに変わって食材を運んどいる最中。ちなみにきり丸はバイト中。
しんべえ「今日の夕飯はカレー♪」
小三郎「よくわかるね?」
団蔵「しんべえは食材を見れば大体なんの料理か分かるからね?」
乱太郎「ある意味才能だよね?」
乱太郎、団蔵が前、小三郎としんべえが後ろから後押しをして会話をする。その時、前方から聞きなれない声がして来た。
????「おーい!忍たま!」
乱太郎「ん?」
????「な〜に楽しく話してんの?」
団蔵「あ!ドクたまの。」
乱太郎「しぶ鬼、いぶ鬼、ふぶ鬼、やまぶ鬼!久しぶり〜。」
小三郎「……しんべえ。あいつらは誰?」
しんべえ「へ?あっ、そっか。小三郎は初めて会うんだったね?ドクたまって言ってドクタケ忍者のたまご。」
小三郎「ドクタケ忍者って兄者から聞いたあの悪名高い……。」
ドクタケ忍者と聞き小三郎は怪訝な表情を浮かべた。それを見てしんべえは直ぐに訂正を入れた。
しんべえ「あぁ!友達だから!」
小三郎「なんだぁ〜。敵かと思っちゃった。」
小三郎が前に出ると、しぶ鬼達は一斉に注目した。
しぶ鬼「あれ?誰そいつ?」
いぶ鬼「は組にそんな子いたっけ?」
小三郎「初めまして、ドクたまの皆さん。一年は組に編入した食満小三郎と申します。どうぞ、よしなに。」
ふぶ鬼「あっ。これはご丁寧に、僕はふぶ鬼。」
やまぶ鬼「私達はドクたま。私はやまぶ鬼。よろしく。」
いぶ鬼「僕はいぶ鬼。」
しぶ鬼「そして僕はしぶ鬼……って違〜う!」
小三郎の丁寧な挨拶にドクたま一同が頭を下げながら挨拶を返す。しかし途中でしぶ鬼が声を張り上げた。
しぶ鬼「今日は友達として来たわけじゃないんだ!」
いぶ鬼「おっとそうだった。」
ふぶ鬼「授業の一環で。」
やまぶ鬼「忍たまの荷物をなんでもいいから奪うことになったの!」
乱太郎&団蔵&しんべえ「えぇ〜〜〜〜〜〜〜⁉︎」
小三郎「!」
ドクたま達の言葉に乱太郎達は声を上げる。しかし小三郎は直ぐに顔つきが変わりそして、しぶ鬼達が手裏剣を出すと同時に、なんと袖口から小刀が出て来た。
しぶ鬼「えぇっ。刀⁉︎」
いぶ鬼「ちょっ…どこに隠してたの⁉︎」
予想外な事に忍たまのしかもは組の一人が普段着の中から刀を出した事にたじろぐ。乱太郎達が前に出た。
乱太郎「ふふん。ドクたま達!」
団蔵「聞いて驚け!見て慄け!彼こそ一年生中、最強!は組一できる子!」
しんべえ「用具委員会委員長、食満留三郎先輩の実の弟!」
ジャジャジャジャ〜〜〜〜〜〜ン!!
乱太郎&団蔵&しんべえ「食満小三郎だぁ!!!」
パパ〜〜〜ン!!
小三郎「それ恥ずかしいからやめてってば!しかも最強って付け足されてるし!」
恥ずかしがる小三郎に対し、ドクたま達は後ずさる。
しぶ鬼「ま、マジかよ……⁉︎」
いぶ鬼「か、彼が噂の……忍術学園の魔人……っ!!」
小三郎「ま、魔人?」
ふぶ鬼「ある時は一人の侍の尻に風穴を開け…ある時は六年生を罵倒させ……。」
小三郎「はぁ⁉︎」
やまぶ鬼「またある時は…山賊を素手で真っ二つにした……ひっ!!」
小三郎「ちょ、待って待って!!絶対噂が180度曲がってる!!」
後ずさるドクたまに小三郎は絶対違うと訂正するが、乱太郎達は苦笑いを浮かべた。
乱太郎「でも間違ってなくない?確かに尻に風穴開けたし……。」
団蔵「潮江先輩を罵倒したし。」
しんべえ「山賊をやっつけたし!」
しぶ鬼「こ、怖くなんかないぞ!」
後ずさるドクたま達だがリーダーであるしぶ鬼は小三郎にジリジリと、それでもガタガタ震えながら寄って来た。
小三郎「ふ、震えているけど?」
しぶ鬼「む、武者震いだぁい!!騙されないぞ!忍術学園の魔人だろうが、は組一できる子だろうが!は組にいる以上お約束があるさ!!えい!」
しぶ鬼は小三郎目掛けて手裏剣を投げて来た。それを見た乱太郎のメガネがキランっ!と輝いた。
乱太郎「甘いね!しぶ鬼!小三郎は別名!」
団蔵「は組の「お約束ブレイク」と呼ばれている!故に!」
しんべえ「お約束は通じない!」
小三郎「……見えた!おんどりゃぁぁぁぁ!!」
カキ〜〜〜ン!チャリチャリン。
小三郎は手裏剣の軌道をよく見てから、小刀を振る。切っ先が見事手裏剣の真ん中を捉え叩き落とした。
しぶ鬼「うっそぉぉ⁉︎」
あまりにも度がすぎるお約束ブレイクにしぶ鬼が声を上げた。小三郎はしぶ鬼の手裏剣を拾う。その瞬間。
しぶ鬼「ご、ごめんなさい!見逃す!見逃すから手裏剣投げないでぇ!!」
しぶ鬼が取り乱した。恐らく手裏剣を投げ返されると思ったのだろう。
小三郎「え?いや、返すだけ…。」
いぶ鬼「やめてぇ!!投げ返さないで!!」
やまぶ鬼「まだ私たち手裏剣の受け止め方習ってないのよ!」
小三郎「いや、だから返すだけ……あぁ!もう!ドクたま静かに!!」
ドクたま一同「は、はいぃ!!」
小三郎がしびれを切らし、大きな声を上げ制止を呼びかける。ドクたま一同は速やかに静かになった。
それから小三郎は説明した。自分は手裏剣を返すだけ、そして自分はそんなに凄いやつでも恐ろしい奴でもないと。
しぶ鬼「な、なんだぁ。噂の一人歩きかぁ。」
いぶ鬼「あぁ〜。慌てて損した。」
胸を撫で下ろすドクたま達に小三郎はふぅ。っと一息ついた。
しぶ鬼「なんだか……無駄に疲れたぁ。」
ふぶ鬼「もう荷物を奪うって空気じゃなくなっちゃったし。」
やまぶ鬼「……出直しましょうか?」
しぶ鬼達、ドクたまは出直すことにし、その場から去っていく。
しぶ鬼「食満小三郎!」
小三郎「なに?しぶ鬼。」
しぶ鬼に呼ばれて小三郎は振り返る。
しぶ鬼「この借り、絶対返すからなぁ!」