忍たま乱太郎〜食満留三郎の弟〜   作:誰かの影

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お手本と苦労人とお約束ブレイクの段

 

昼からは山田先生の実技の授業の為、皆校庭に集まった。間も無くすると山田先生がやって来た。

 

山田先生「全員揃ったな?」

全員「は〜い!」

山田先生「よろしい。今日は今までの授業内容を復習するぞ!っと。その前に、今日は特別に私の息子、利吉も見学する!」

利吉「や、やぁ、みんな。」

全員「利吉さん!」

 

 

 

 

全員がにこやかに笑うが利吉だけは何故か引き攣った表情をする。小三郎はその理由が分かっていた。午前中に職員室にいた為会話を聞いた。前回も見学兼特別講師をやったが悉く酷い目にあったそうでトラウマらしい。

 

 

 

 

山田先生「それでは先ずは手裏剣の復習。的をよく見て、慌てずに投げる!」

 

 

山田先生の合図と共に小三郎以外の全員が一斉に投げ出す。途端に利吉は悲鳴をあげて山田先生の後ろに隠れた。手裏剣はお約束の如く、ブーメランのように曲が山田先生の方へ飛んでいく。しかし山田先生と利吉には手裏剣は刺さらなかった。何故ならその前で小三郎が道具箱の蓋で防いだ為。

 

 

小三郎「……も〜!みんな真面目にやろうよ!山田先生と利吉さんに怪我させる気⁉︎」

乱太郎「でた!」

きり丸「我らがサブちゃんの!」

しんべえ「お約束を素でぶっ壊す!」

全員「お約束ブレイク!!!」

小三郎「だぁぁ!……な、なんじゃそりゃ?」

 

転ける小三郎とおかしな事を言うは組に山田先生が頭を抱えるが小三郎と目が合い頷いた。

 

山田先生「食満小三郎!みんなにお手本を見せなさい。」

小三郎「はい!」

 

小三郎もうなづき白線に立ち手裏剣を手に持ち、的をじっと睨む。みんながまるで神仏を見るようなキラキラした目で見る中、利吉はまたこちらに手裏剣が来るのではないかハラハラしている。

 

小三郎「たぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員「おぉぉぉ!!」

利吉「⁉︎」

 

小三郎の投げた手裏剣は見事的のど真ん中に命中した。みんなが拍手を送る。

 

庄左ヱ門「流石は小三郎!」

団蔵「よっ!一年は組の出来る子!」

 

小三郎「はぁ、みんなも出来る子になろうね!」

全員「は〜い!」

小三郎「まったく……。」

 

全員が元気よく返事をする、小三郎はため息をつくが決して嫌な顔はしなかった。それからは棒渡り、鉤縄、塀越えなど小三郎はそつなくこなし、石垣登りの時はしんべえのサポーターに回り、お約束が起きようとしても「お約束ブレイク」で阻止したりと何かと世話を焼いた。

 

利吉「ち、父上!小三郎くんは本当には組なんですか⁉︎」

山田先生「どうだ?彼は素晴らしいだろ?流石は留三郎の弟だ。って言うか利吉!今の言い方まるでは組がダメ生徒みたいに聞こえるが?」

 

ムッとした表情で山田先生は利吉を見る。

 

利吉「いや!決してそう言う意味じゃ……。」

山田先生「……ハハハ。まぁ、事実か。しかしな利吉、小三郎が来てからは組の授業態度はぐっと良くなったぞ?」

 

笑う山田先生に利吉も笑顔が溢れる。そして小三郎とは組のみんなを見る。

 

乱太郎「完璧だね!小三郎!」

きり丸「流石はサブちゃん!」

しんべえ「いつもありがとう〜。」

庄左ヱ門「いや〜尊敬するよ。僕に代わって学級委員長もやってみる?」

 

小三郎「さ、流石にそれは遠慮するよ…。」

 

みんなが小三郎褒め称える。小三郎は照れ臭そうに頭を掻く。

 

庄左ヱ門「よ〜し!みんな!小三郎を見習って僕たちも頑張ろう!」

小三郎「慌てずゆっくりで、失敗しても良いんだからね?」

 

全員「おぉぉぉ!」

 

 

庄左ヱ門の号令と小三郎のアドバイスの後にみんな声をあげ訓練に励む。

 

利吉「彼は…優しくて気遣いの出来る良い子ですね?」

山田先生「あぁ。良い子だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

利吉「それでは父上、は組のみんな。僕はこれで。」

山田先生「うむ。母さんによろしくな?今度の連休には帰るさ。」

利吉「絶対ですよ!」

乱太郎「さようなら、利吉さん。」

小三郎「さようなら、最近寒くなって来ていますから、道中お気をつけて。」

 

利吉「ご丁寧にどうも。小三郎くん。それじゃあ。」

全員「さよ〜なら〜!」

 

 

 

 

 

 

 

みんなに見送られ利吉は帰って行った。そして学園が見えるか見えない所まで来ると、再度振り返った。

 

 

利吉「食満小三郎くんかぁ……フフ。苦労人だな。」

 

 


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