提督は存在するはずのない天龍型の三番艦!?   作:戦闘狂の道化師

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提督は....

昼下がり、とある鎮守府の執務室には二人の女性の楽しげな声と一人の女性の恥ずかしげな声が響いていた。

 

「はぁ....」

 

「どうしましたの~?海龍ちゃん?」

 

「辛気くさい顔してどうした?海龍?」

執務室で提督は天龍と龍田に着せ替え人形にされていた。ゴスロリ、チャイナ服、セーラー服にメイド服と次から次へと着せ替えられている提督は決して天龍と龍田にこうして遊ばれるのは決して嫌いでは無いし嫌でもない。ただあるものがどうしても楽しむ心を邪魔をするのだ。男の尊厳が....。

 

「そろそろ仕事をさせてくれません....?お姉ちゃん?」

 

「「姉相手に意見とは偉くなったものだな~?海龍?」(お姉ちゃん相手に偉くなったものね~?海龍ちゃん?お仕置きしちゃおうかしら?)」

まぁ、今の彼には一時的とはいえ、立派な胸部装甲が着いて股間の大砲は無いため男ではないし揉みくちゃにされながら涙目で叫ぶ姿には男の尊厳どころか提督としての威厳と言うものは一切ない。

 

「仕事させて~‼」

 

「「ダメだぜ♪」(ダメよ♪)」

彼がこうなったのは一年前まで遡る。

 

 

 

 

一年前、彼は友人と共に海軍学校を卒業し、新米の提督として何処かに派遣されるはずのごく普通の男だった。だが、彼の人生は海軍学校を卒業した日に元帥に呼び出された事により大きく変化することになる。

 

「君が黒鉄 新夜で間違えはないかな?」

 

「は、はい」

この時新夜は、ドキドキしていた。それもそうだろう学校を卒業したらすぐに海軍元帥に呼び出されているのだから。

 

「私は君の祖父とは友人で君が小さい頃に出会った事があるんだよ」

 

「そうなのですか!?」

急に知らされた自分の祖父と元帥、それと自分の関係にびっくりしながらも彼の頭は何故呼び出されのだろうと言う疑問に包まれたままである。その後元帥に進められ元帥と向かい合って座った彼は暫く黙っていたが話を切り出した。

 

「何故私は呼び出されたのでしょうか?」

 

「ふむ....実に言いにくい事なのだが....」

新夜が構いませんと言うと元帥は説明を始めた。

 

「今、提督にも敵と戦う力を持たせるべきと言う話が海軍内に出ておってな。それで君の祖父に相談したところ君自身が構わないと言うなら孫を使って試してみればいいと仰られてな....」

 

「私は海軍のため国民のためそして家族のためなら何でもいたします‼。どうぞお使いください」

彼は父を深海棲艦との戦いで亡くしている。別に深海棲艦を恨んで海軍に入ったわけではない。これは戦争なのだ。お前達が急に襲いかかってこなければと言う事でもない。むしろ人間が深海棲艦の逆鱗に触れるようなことをしたのかもしれない。きっかけがなんにせよもう戦争は起こってしまっている。もう敵を撃つしか人類が生き残る術はないのだ。彼にとってはもう自分のように誰かを失って嘆く者を一人でも減らしたいその一心だった。

 

「そうか....入りなさい」

元帥がそう言うとドアが開き二人の艦娘が入ってきた。新夜は海軍学校の授業で学んでいたため入ってきた艦娘が誰だかすぐに理解した。好戦的な姉の天龍におっとりしているようで天龍絡みと怒らせると怖くなる龍田であった。

 

「彼を例の場所へ連れて行ってくれ」

天龍達に付き添われ彼が着いた場所は艦娘用の医務室であった。中に入ると部屋の真ん中には一つの血液パックと輸血用の道具一式が置かれており更には献血の道具も揃っている。新夜がビックリしていると、

 

「は~い、あなたが新夜さんですね。提督艦娘化実験に参加してくれてありがとうございます」

工作艦 明石が来て新夜に椅子に座るように指示する。彼が椅子に座ると明石が怖いことを言い出した。

 

「それじゃあ血を半分抜きますからね~」

 

「ちょっと待ってください!?それって死んじゃいますよね!?」

 

「大丈夫です。血を抜きながら輸血しますから....艦娘の血を....」

明石はそう言うと新夜の右腕に献血用の管に繋がる針を刺し血を抜き始めた。新夜も抵抗するだけ無駄だとなされるがままにし椅子に深く座り直した。段々と体から熱がなくなっていくような感じがして眠くなっていき彼は夢の世界へと旅立っていった。

 

「終わりましたよ~」

明石に起こされたのはかれこれ二時間後で彼が起き上がって見ても特に変化は無いようだった。別に体がダルい訳でもなく何処か一部が変化しているわけでもない。

 

「飲んでください」

不思議に思っていると明石が新夜に一粒の赤い怪しげな錠剤を渡してきた。新夜はもう自棄になり薬を飲み込むと....

 

「な、な、何だこれ!?」

段々と胸が膨らんでいってC位のサイズまで育っていって髪も腰ぐらいまで伸びていった。そしてふと違和感を感じて股間に手を当てると....

 

「無い!?」

何時もどんな時もそこにあった大砲が無くなっていた。

 

「提督を艦娘にする実験成功ですね。此方に着替えてくださいね?」

明石にそう言われながら手渡されたのは天龍と龍田が着ている制服と良く似たものだった。新夜は明石から下着の着け方が書かれている紙を受けとると制服を持って更衣室に入って苦労しながら着替えていった。

 

「着替えましたよ」

 

「それじゃあ出てきてください。どうぞ‼」

明石の声に従いカーテンを開けて出てみると天龍達と似た少し気の弱そうな少女が正面に置かれた姿鏡に映っていた。

 

「天龍型 三番艦の海龍の完成です‼」

こうして彼は提督でありながら天龍型の存在しない筈の三番艦の海龍になったのであった。

 

 

 

 




今回新夜の体に入った血は数人の天龍型達から集めた物で赤い薬は艦娘の血を固めた物です。今回の実験は人間に艦娘の血を半分入れ薬で艦娘の血を人間の血より濃くした場合艦娘となるのか?と言う実験でした。結果は成功。だが、人道的にどうなのか?とかその後のそいつの事を提督の扱うかなど問題が出てきたため新夜の実験終了後この実験は凍結された。

キャラ紹介

黒鉄新夜
一年前に海軍学校を卒業した新米提督。海龍が人間の血やDMAなどを纏めた分かりやすいように青く色付けされた薬を飲むとなる。卒業してすぐに提督艦娘化実験の被験者となり存在しない天龍型の三番艦の海龍となった。彼の行動理念は正義感などではなく人や艦娘が悲しむことが無いように自分が傷付こうとも助けると言う良く言えば優しい悪く言えば人が善すぎる提督。海龍となった今は天龍と龍田に毎日遊ばれている。重要な会議以外はずっと龍田に人間に戻る薬を取られているため海龍のまま執務をして居るため秘書艦と思われておりちゃんと提督が仕事しているとは思ってもらえない可愛そうな提督である。


海龍
存在しない筈の天龍型の三番艦。天龍型の血を半分入った新夜が赤い薬を飲む事でなる。ラバウルにしか居ないし建造も、今の所出来ないが一部の提督が建造で造る事ができると思い必死に建造を頑張って居るらしい。容姿は姉たち譲りの艶ある黒髪を腰まで伸び、顔は龍田の面影があるが少し涙目で一言二言強くいってしまえば泣いてしまいそうなほど気弱な雰囲気を漂わせている。天龍が刀、龍田が薙刀を持っているのに対し海龍はレイピアを持っており一撃では仕留めずゆっくりとダメージを与え追い詰めるような戦いを得意としている。
何時もこちらの姿で執務をこなしており、性格は新夜の性格がほぼ反映されており優しいが口調と戦闘の事を龍田と天龍にしつけられて口調は完全に女に戦闘は前線で戦えるほどになっている。彼、いや彼女は今日も天龍達に楽しみにしていたプリンを食べられるなど小さなイタズラをされながら執務を頑張っている

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