あんハピ♪ 目指すは7組脱出!   作:トフリ

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あんハピの二次創作小説を書かせていただきます。
ちなみに、リアルタイムであんハピを視聴せず放送終了後にたまたま見てとてもはまり、すぐさま全巻揃えました。




1話 入学式、今日から高校生

「よし忘れ物はないなって、もうこんな時間かよ!」

 

カバンの中を確認しながらふと時計を確認すると思っていた以上の時間が流れていることに気づき急いで玄関に向かおうとするが、その前に身だしなみを整える為に鏡のある洗面台へと足を運ぶ。

だが、そこにはヒゲを剃っている父親の姿があった。

 

「父さん、変わって、急いでいるんだよ!」

 

「ん、幸太?、ああそうか今日が入学式だったな」

 

息子の格好を見てすぐに察した父は鏡から離れる。

 

「ありがとう!」

 

すぐさま鏡の正面に立ち髪と服を整えていく。

寝癖が酷く直すのにいつもより時間がかかりそうだ。

 

「なあ・・・幸太」

 

「大丈夫だって、心配性だな父さんは」

 

身だしなみを整えるのに集中していた為、横に目をやり、意識を半分だけ向けて答える。

 

「・・ああそうか、気を付けていって来い」

 

きっと父さんが言いたいのは俺の『体質』のことなんだろう。

天之御船に入るって決めた時から毎日のように言われてきたことだ。

 

「よし、これで完了!」

 

髪を整え終わり玄関に向かう。

 

「事故にあわないようにゆっくり行けよ」

 

「分かってるって、行ってきまーす!」

 

中学時代と全く同じ朝の問答を行い、玄関から出て近くにある自転車に乗りペダルを踏んで漕ぎ出す。

もちろん、事故には合わないよう周りにをよく見ながら少しずつペダルに力を込め速度をどんどん上げていく。

ついに、今日はあの有名な天之御船学園の入学式だ。

天之御船は勉学やスポーツなどの置いて優秀な成績を上げている学生を集め、さらにその才能を伸ばすということを目的とした教育機関だ。

様々な著名人がこの学園から輩出され、卒業後も輝かしい功績を上げている人が多い。

そして、自分も今日から天之御船の生徒となる。

 

自分は父親の影響から小さい頃から野球が大好きで小学生時代はリトルリーグ、中学時代はシニアリーグに入り、数多くの大会に出場し、多くの結果を残してきた。

もちろん、自分だけの力ではなくチームメイトの力もあったが、自身も強豪チームに在籍し練習を重ねて実力を身につけてきたという自負はある。

 

自分の父親もかつてはここに通っており、現在はプロ野球選手として活躍している。

だから自分も天之御船学園に入学し野球部に入ることが夢だった、だからこそ、合格を聞いた時は人生で一番と言っても過言ではないほとんど嬉しかった。

夢は叶った、だからこそ新しい夢を見つけた。

 

天之御船の野球部に入り甲子園へ出場、いや優勝を目指すと。

 

 

 

自転車を漕いで行き、遠くに見覚えのある橋が見えてきた。

入学試験の時にこの橋を渡ったことが記憶に残っている。

 

「あの橋が見えたってことはもうすぐだな」

 

だんだんと橋へと近づき、全体が見えてきたその時に橋の柵の外側に人が立っているのが目に入ってきた。

 

「あの制服は・・・俺と同じ天之御船の女子生徒?」

 

まさか川に何か落としものでもしたのか?

自転車を止めその女子生徒に声をかけようとする。

と、その時に橋のヘリに犬を抱きかかえた女の子が引っかかっていることに気がついた。

 

「あ! お願いあなたも手伝って、私だけじゃ引き上げられない」

 

「ああ、分かった!」

 

状況を理解しすぐざま自分も橋の柵を越え、下で引っかかっている女の子に手を伸ばそうとした。

その時、女の子が引っかかっているヘリの鉄骨部分、よくみると誰が見ても明らかなほど変色していた。

 

「ヒバリちゃん、しっかり、受け止めてね!」

 

女の子はそう言って犬を放り投げた瞬間、変色した部分が折れ落下していく。

同時に犬が俺たちの頭上を越えていきそのまま落下してくる。

反射的に犬を受け止めようと犬に視線を向け落ちてくる場所に手を伸ばした。

しかし、隣にいた女子生徒も同じように犬を受け止めようとしていた。

その結果、

 

「きゃっ!」「うわっ!」

 

お互いとも同時に犬を捕まえることに成功した。

ただし、とっさのことだった為に二人とも相手が同じ行動をする可能性を予測できずに抱き合うような形で倒れこんでしまった。

 

「いってて・・・あ、大丈夫?」

 

自分が押し倒してしまった状態となっており、下になっている女子生徒に声をかける。

倒れこんだ拍子に頭でも打っていれば大変だ。

 

「ん?」

 

ふと左手に柔らかい感触があることに気づく明らかに橋の一部分の感触ではない。

犬の感触かと思ったが犬はとっくにどこかに行ってしまっている。

じゃあこれは…ッ!?

 

手に目を向けるとそこには女子生徒の胸をしっかりつかんでいるの自分の左手が目に飛び込んできた。

 

そして、その女子生徒が目を覚まし視線がぶつかる。

 

「うっうわわわ!」

 

とっさに手を離し急いで離れる。

両手を上げて、まるで降参するかの様な姿勢をとる。

 

「あっ、あなた、わ、私の胸を・・・さっ触って・・」

 

女子生徒は胸の辺りをを両手で隠す。

その表情は熱でもあるかの様に紅潮し怒りをあらわにしている。

 

「ちっ違う! い、今のは偶然で!」

 

すぐさま必死に弁明するが説得力はまるで無く、ただ言い訳をすることしか出来ない。

 

(ああ、またやってしまった・・・)

 

「あ、そんなことより!」

 

女子生徒は俺から目を外し、川を眺める。

はっとなって、確かに今はそれどころではないもっと優先すべきことがある。

つられて俺も視線を川に向けるがあの女の子の姿はどこにも見えない。

最悪の場合を想像し、背筋が冷たくなった。

女子生徒が橋の柵を越えて河川敷へ向かって走り出す。

俺も急いで同じ場所へと走り出した。

 

「どっ、どこに、・・・まさか死っ ・・・」

 

河川敷にたどり着いたがそこでも姿は見えない。

 

「もしかして、流されたんじゃ・・・」

 

そう考えついた途端、女の子が川の中から突然浮かび上がってきた。

慌てて川に飛び込み女の子を救い出す。

幸いにも助け出した後、女の子は自分で制服を絞って水を出していて意識ははっきりしている様だった。

 

「本当に大丈夫?、怪我は?」

 

「うん、川の深い所だったからどこも打ってないし平気だよ」

 

「良かった・・」

 

よく見るとこの女の子も女子生徒と同じ制服を着ている。

 

「もしかして君も天之御船学園の生徒?」

 

「うん、私今日が入学式なんだ」

 

ニコニコと可愛らしい笑顔で答える。

 

今日が入学式ってことは俺と同じ一年生か、とても同い年には見えないな。

男女の差を考えてもその女の子は平均より小柄で、ランドセルを背負っていても違和感がなさそうだった。

 

その時どこからか、さっきまで女の子が抱えていた犬が近寄ってきてくる。

 

「あ!、わんこも無事良かった」

 

女の子はそう言って犬に手を伸ばそうとする。

しかし、その犬はがぶりと女の子の手に噛み付き、そのまま走り去ってしまった。

 

「だ、大丈夫かよ」

 

犬相手だから仕方ないとはいえ助けた相手に噛まれるとか…なんて不運な。

 

「あはは、びっくりさせちゃったかな?」

 

それでも女の子は特に気にした様子も無く傷口を眺めている。

 

女子生徒がポケットからハンカチを取り出し、女の子の手に巻きつけた。

 

「ありがとう、ひばりちゃん」

 

「犬は無事でも、あなたは大丈夫じゃないでしょ、川に落ちた上に犬に噛まれて」

 

そのまま、二人の話を聞いていると、どうやら橋から落ちそうになっていた犬を女の子が助けようとして、あそこに引っかかり、ひばりと呼ばれた女子生徒が助けようとしていたことが分かった。

 

「あなた、入学初日から不運だったわね・・」

 

それに関しては俺も全く同意見だった。

 

「ううん、私はとっても幸運だったよ」

 

あんな踏んだり蹴ったりな目にあったにもかかわらず、陰りのない笑顔を見せる。

 

すごくポジティブだなこの子、俺も見習いたいくらいだ。

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

 

遠くから鐘の音が聞こえてくる。

 

「これってもしかして予鈴の音じゃないのか?」

 

だとしたらもう時間がない。

 

「二人とも、急がないと遅刻するぞ!」

 

慌てて、橋の上においたままになっている自転車に向かって走り出す。

 

「うん、ひばりちゃん急がなきゃ!」

 

「あ、待って、靴とカバンを橋の上に起きっぱなしなんだから」

 

「じゃ、じゃあ、良かったら俺の自転車使ってよ、俺は走って行けるから」

 

お互い橋に向かいながら、さっき偶然に胸を触ってしまった申し訳なさからか、ふと、そんな言葉が出た。

そう言うとひばりと呼ばれた女子生徒はちらりとこちらを見やると

 

「結構よ、走っていくから!」

 

と、はっきりと断ってきた。

表情から明らかに警戒されていることが伝わりきまずさを覚える。

 

まあ、あんなことしてしまったらしょうがないか・・

 

 

 

 

 

 

 

自転車に乗って急いで学校に向かい入学式の会場に間に合った。

その数分後、本当にギリギリであの女子生徒と女の子が会場に姿を見せて、川に落ちた女の子は制服ではなく、体操服に着替えていた。

そして、今は入学式恒例の理事長の長くてありがたい話を聞いている最中だ。

なお、入学式の席順は先着順なのか、2人は俺の隣に座っている。

2人は対照的に女子生徒は疲れた顔で女の子はニコニコと笑顔を浮かべていた。

 

「入学式に遅刻しなくて良かったねひばりちゃん」

 

「ええ、そうね・・・」

 

クラスは全部で7組あり俺たち3人ともが7組に配属されていた。

確率的には3人が同じクラスになる確率は約2%くらいだから結構すごい偶然かもしれない。

 

その時、視界の隅に教師に支えながら歩いているメガネを掛けた女子生徒がいるのに気がついた。

 

「こほっ、こほっ、こんな大切な日に遅刻した上、入学式早々先生の手を煩わせてしまうなんて・・・私」

 

と、言い終わった途端床に倒れこんでしまい、そのまま運ばれていく、おそらく行き先は保健室だろう。

教師に「久米川さん」と呼ばれていたのでそれが名前だろう。

 

体調が悪いのに無理やり出ようとしたんだろうか?

 

まあ、その後は特に何も無く入学式は終了し、教室に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

偶然だが、席は3人とも近くで俺の前に女子生徒が座り、その右隣の女の子が座っている。

 

「そういえば、あなたの名前まだ聞いてなかったわね」

 

席に着くなりひばりと呼ばれている女子生徒が隣の女の子にそう尋ねる。

てっきり友人同士かと思っていたがどうやら今日が初対面だったらしい。

 

「あ、そだねっ、私っ花小泉杏っていいます! 中学時代は杏って呼ばれることが多かったよ、よろしくね! 」

 

「・・よろしく、はなこ」

 

2人の話を聞いていると、どうやら女の子は苗字からとったあだ名をつけられていたみたいだがそれを気に入った様子だった。

 

「・・・」

 

ふいに、ひばりと呼ばれている女子生徒が振り向きこっちに顔を向けてくる。

 

「う・・」

 

不機嫌さが表情から読み取れて、非常に気まずくなる。

遅刻しかけた際のとたばたでうやむやになっていたが、俺は橋の上で起きた件は未だに片付けてはいない。

ここは誠心誠意謝るのが筋だろう。

 

「さっきのことならもう気にしてないわ」

 

「え?」

 

謝罪の言葉を口に出すより先に、女子生徒が先に口を開いていた。

 

「偶然だったんでしょ、犬を受け止めようとして」

 

「・・・ああ、本当にごめん、俺が悪かった・・」

 

そう言って、頭を下げる。

 

「もういいわよ、あれは事故だったんだから」

 

どうやら、彼女は俺を許してくれてるようで、表情からも不機嫌さが消えていることが理解できた。

 

「さっきのことって?」

 

その時、花小泉さんが口を挟んでくる。

 

「なっ、何でもないわ! そっ、それよりあなたはなんて名前なの!?」

 

「お、俺は、葵坂幸太(あおいざかこうた)、友達からは幸太って呼ばれてる」

 

俺にとっても彼女にとってもわざわざ人に聞かせるような話ではないのでとっさに俺の自己紹介でごまかすことにする。

 

「そうなんだ、じゃあよろしくね葵くん!」

 

「え、葵くん?」

 

「うん! 私が花小泉ではなこ! ひばりちゃんは苗字の雲雀丘から!、なら葵坂なら葵くん! これであだ名がおそろいだねっ!」

 

なるほど、苗字からそれぞれ取って、それぞれ、はなこ、ひばり、あおいか。

しかし、あだ名がおそろいって・・女の子同士ならいいかもしれないけど、高校生の男女同士だとちょっと恥ずかしいな・・

そういえば、『ひばり』ってのは本名じゃなくてあだ名だったんだな。

 

「私の名前は雲雀丘瑠璃(ひばりがおかるり)よ、ひばりは、はなこが勝手につけたあだ名」

 

「うん、せっかく友達になれたんだからこうしようよっ、葵くんならお花の名前でかわいいからっ!」

 

この子の中ではもう俺たちは友達になってるのか…

うーん、はなこさんはそう言ってニコニコと笑っているけど、実際呼ばれるとやっぱり恥ずかしい。

まあでも、変なあだ名付けられるより、苗字からってすぐ分かるし別にいいかもな。

 

「ああ、分かった、じゃあそれでいいや、よろしく、はなこさん、ひばりさん」

 

「うん、じゃあよろしくねっ、葵くん!」

 

「よろしく、葵くん」

 

出会い方が衝撃的だったとはいえ、いきなり女子の友達が2人もできるのはちょっと予想外だったな・・

中学は男子校に通ってたし、女子とこんなに会話するなんて何年ぶりだろうか?

それ以前に、家族や一握りの親戚以外じゃ女の人と関わろうとしてこなかったんだから赤の他人の女子と会話したのは本当にひさしぶりだ。

まあ、男子校に通っていたのも女の人と関わってこなかったのも俺の『あの』体質が理由なんだし、これからは共学に通うんだから気をつけていかないとな。

気をつけてどうにかなる問題というわけでもないんだけれど・・

 

「この学園って勉強も運動も専門的に伸ばしてくれるんだって!」

 

「ああ、そうらしいな」

 

「私家から一番近いから受けて見たんだけど、試験に通った時、いろんな人からびっくりされちゃったよ」

 

「私もそんなものよ、特に優れた才能なんて思いつかないし、どうして受かったのか?」

 

「俺は受かった時は別にそこまで驚かれなかったな、多分スポーツ面の方で合格できたんだと思うけど」

 

少し自慢っぽくなってしまうかもしれないが、昔から多くの大会で結果を残してきたのは少なからず事実だし、

それに、この2人だってここに合格してるんだから別にこれ位は大丈夫だろう。

 

「じゃあ、何か好きなものはない?」

 

「すっ、好きなもの!?、趣味なら少し料理とか・・」

 

「私は動物が大好きなんだ! 何でか分からないけどいろんな動物が私のところへやってくるんだ! さっきもほら、助けたわんこが」

 

いや、あれ噛まれてただけじゃん・・

 

「クス・・」

 

その時、俺の二つ前の席、ひばりさんの前の席の女子生徒が振り向いて微笑んできた。

よく見るとその女子は入学式の途中で現れてすぐに倒れてしまった生徒だった。

 

「あ、ごめんなさいお二人の会話がとても楽しくてつい・・こんな得体の知れない女が会話を盗み聞きした、なんてさぞ気分を害されたでしょうね」

 

いや、そんなこと程度でそんな風に思わないよ、どんだけ、ネガティブなんだよこの人…

 

「あんた確か、入学式の時に倒れてたけど大丈夫なのか?」

 

「ええ、体調はもうすっかり良くなりました、しかし・・・入学式という大事な時に私のという醜い人間の記憶を植え付けさせてしまうなんて・・なんとお詫びしていいか・・」

 

「いや、だから別にそんなこと思ってないから・・・」

 

俺と同じようにひばりさんも過剰すぎる自己嫌悪を見せられすっかり引いてしまっている。

少なくとも俺からしてみれば美人だと思うけどなあ・・

というか、ひばりさんも美人だと思うし、はなこさんは美人というよりは、かわいいって感じの人だし。

まあ、わざわざそれを皆に言う必要もないけど。

 

「私は久米川牡丹(くめがわぼたん)と申します。名前負けする病弱でクズな人間ですがどうぞよろしくお願いしますね」

 

そう言って久米川さんはまずひばりさんと握手を交わし、次にはなこさんと握手を交わす。

 

 

 

ビキッ

 

 

 

教室中に突如嫌な音が響く。

その音はほとんどの生徒にも聞こえたようで教室中が静まり返る。

 

「ビキ・・・?」

 

「何今の音・・?」

 

「・お・・・お気になさらないでください、よくあることです、きっと指の骨に少々ヒビが入った程度で…大したことありませんから」

 

「いや、大したことあるだろ、それ!」

 

ヒビ!?、骨にヒビッ!?、握手だけでッ!?、おかしいだろ!?

しかも口ぶりからすると、こんなことは日常茶飯事みたいな・・

 

「いや、本当によくあることですから少しのことで良く骨が折れてしまったり…はなこさんは悪くないですから、お気になさらないでください・・残念ですがHR後に早退します」

 

どうやら、本当に日常茶飯事らしい・・・

正直このクラスって変な人が多いんじゃ・・

まあ、俺も人のことは言えないかもしれないが・・・一体このクラスって・・・

 

「はーい、みんな揃ってますか? 先生が来ましたよー!」

 

その時、教室のドアが開き1人の教師が入ってくる。

この人がおそらく7組の担任なんだろう。

先生は教団の前に立ち、生徒が全員席に座り終わるとすぐさま話し出す。

 

「このクラスの担任の小平です、この学園は入学式でも説明したように生徒の才能を伸ばしてたくさんの偉人輩出しています1組から3組は勉学を、4組から6組はスポーツのスペシャリストを目指してもらいます」

 

え、思わず言い間違いかと疑ったが小平先生は顔色を少しも変えることなくはなかった。

じゃあ、7組って・・・?

 

「先生、そんな学科に分けられるなんて受験前は聞いていません」

 

ひばりさんが手を上げて小平先生にそう尋ねる。

 

「あら、あなたは雲雀丘瑠璃さん」

 

「はい、それにこのクラスは7組ですけど、私達は何をするんですか?」

 

おそらくこのクラスの全員が気になっていることであることを質問する。

無論俺もその1人だった。

 

「いい質問です、あなた方には」

 

そう言って先生はチョークを横に持ち黒板に大きな文字を描いていく。

書き終わるとそこには・・・・

 

「全員幸せになってもらいます!」

 

そこには大きく『幸福』の二文字が描かれていた。




用語解説

リトルリーグ・・主に小学生が入る野球チームの総称

シニアリーグ・・主に中学生が入る野球チームの総称

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