殺人鬼メアリー   作:フリッカ・ウィスタリア

2 / 14
未だに記憶の戻らないメアリー、師に教わった戦術を磨くために近くにいた妖怪に手合わせを頼むが…


2話 邂逅

魔法の森

メアリー「私はこっちの世界で殺人を犯してたようだけど、全然覚えてない…」

そんな事を呟きながら森の中を歩いているメアリー

メアリー「…もう、なるようになれって感じね。ベルさんに言われてた実戦修行でもしようかな?相手はそこら辺の妖怪でいいとして…あっ、ちょうといいのがいたわ」

そう言って見つけた妖怪に近づいていく

メアリー「ちょっとお願いがあるんだけど」

ルーミア「え?私に何か用なのかー?」

振り返ったルーミアの顔を見てメアリーは驚いた

しかし、それはルーミアも同じ事だった

二人「私がもう一人いる(のだー)!?」

二人共ほぼ同時に驚いたが、すぐに冷静になった

メアリー「いや、ただ似てるだけか」

ルーミア「えっと、何の用なのだー?」

メアリー「私の実践訓練に付き合って欲しいのよ」

ルーミア「それ、私は何の得もないのだー」

メアリー「んー、じゃあ私に勝ったら、私のことを食べてもいいわよ。あなた妖怪でしょ?」

ルーミア「!?…のったのだー。後で助けてとか言っても知らないのだー!」

メアリー「ええ、交渉成立ね」

そう言って少し二人の間を作った直後、ルーミアが人外なスピードで跳んできた

だが、見えないほどでもないルーミアの攻撃はたやすく避けられてしまった

ルーミア「なかなかやるじゃないかー」

メアリー「貴女も、なかなか素早い攻撃じゃない。次はこっちからよ」

そう言ってメアリーはナイフを取り出して、ルーミアの遥か頭上に投げた

ルーミア「え?どこを狙ってるのだー?」

ルーミアは不思議に思ったが、すぐにその意味が分かった

メアリーがナイフを投げた直後、ルーミアに大量の落ち葉が降ってきて、視界を遮った

ルーミア「くっ!邪魔なのだー!」

ルーミアが落ち葉に気を取られている隙にメアリーはルーミアの後ろに回り込んでもう一つ取り出していたナイフでルーミアを拘束していた

メアリー「チェック…メイトね」

ルーミア「…負けたのだー…」

だが、メアリーはルーミアが負けを認めると、すぐに拘束を解いた

ルーミア「…どういうつもりなのだー?」

メアリー「ん?何がかしら?」

ルーミア「何故拘束を解いたのかと聞いているのだー!」

メアリー「え?だって、貴女はもう負けを認めたでしょ?なら、それ以上攻撃も拘束もする必要性ないじゃない」

ルーミア「それでも、私はお前を食べようとしたんだぞー?」

メアリー「いやいや、さっき約束したじゃない実戦訓練に『付き合って』、戦いに勝てたら『私を食べてもいい』って、お互いそれで納得したし、実戦訓練は十分できたんだからそれ以上のことをする気はないわ」

ルーミア「…変な奴なのだー」

メアリー「フフッ、よく言われるわ。それじゃ、私はもう行くわね。手伝ってくれてありがとう」

ルーミア「待つのだー!妖怪として恥をかかせた罰として、名前を聞かせるのだー!」

メアリー「あら、それは失礼したわ。私はメアリー、メアリー・フォードよ」

ルーミア「私はルーミアなのだー」

メアリー「そう、分かったわルーミア、それじゃまたね」

ルーミア「次は負けないのだー!」

そう言って二人は別れた

 

迷いの竹林

メアリー「さてと…建材は竹とか木が手頃なのかしらねぇ…家とか作ったことないから全くわかんないけど…」

その時メアリーは、竹藪の向こうを誰かが通ったのを見つけた

メアリー「(あ、今誰か通ったわよね。今の人に聞いてみようかしら)」

そう言ってメアリーはその者?に近付いて行った

すると、近づくにつれその者は獣のような耳が生えていることに気が付いた

メアリー「(あれはケモ耳?っていう事は、妖怪なのかしら?まあいいけど)」

一瞬他をあたろうかとも思ったが、人通りが少ない事にはメアリーも気付いていた為、その者に聞くことにした

メアリー「あのー、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

影狼「え、私?何…かし…ら?…」

メアリー「?…どうかしたんですか?」

影狼「メア…リー?」

メアリー「!?私の事を知ってるんですか?まさか、貴女の家族か知り合いにもなにか…」

影狼「今度は記憶喪失を装ってるの!?騙されない!私は騙されないわよ!?」

影狼は異常なまでに怯えていた

メアリー「ほ、本当なんです!何も覚えてないんです!」

影狼「じゃあ教えてあげるわ!あんたは現世で私を生きたまま解剖して笑ってたキチガイよ!」

メアリー「え?…」

メアリーは勘違いをしていた

フリッカ達から話を聞いた時、自分はただの殺人鬼だったのだと思っていた。しかし、今目の前に居る妖怪の話が本当ならば、自分は快楽殺人を犯してきたイカレた女という事になる

そう考えた瞬間、足の力が抜けて、その場にへたり込んでしまった

メアリー「生きたまま…解剖?そんな非人道的な事を私は…嬉々としてやっていたというの?」

メアリーはそんな事を呟きながらゆっくりと立ち上がった

影狼「な、何!?私とやろうっていうの!?言っとくけど、あの時みたいに簡単にはやられたりはしないわよ!?」

影狼は半狂乱になっていたが、メアリーが向かってくることはなかった

メアリー「何も思い出せないですけど、貴女の言動から察するに本当の事なんですよね?すみません、私は消えますね…」

そう言い残し、フラフラとどこかへ消えて行った

メアリーが立ち去った事で安心したのか、影狼もその場にへたり込んだ

影狼「た、助かったぁ…またバラされるかと思った…」

 

To Be Continued




幻想郷で偶然影狼と再会したメアリーですが、元を糺せば影狼の裏切りが原因じゃ…
次回はメアリーがベルさんと別れ、影狼と出会うまでの話を書こうと思います
それではまた次回 (*≧▽≦)ノシ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。