メアリー「ガッ…ハッ!?まだ、そんな…力が…?」
EXルーミア「ハァ…ハァ…ハァ…油断…したわね!私の…勝ちよ!」
霊夢の術式が完成するまでまだ数分はかかる。そのことを確認したルーミアは勝利を確信した
メアリー「まだ…よ!」
EXルーミア「え?何か言ったかしら?」
メアリー「まだ…終わって…ない!」
そう叫んだかと思うと、メアリーが突然起き上がり、いつの間にか手に握り締めていたものをルーミアの頭に叩きつけた
EXルーミア「痛っ!…って、これは…封印符!?何で貴女がこれを持ってるのよ!?」
メアリーがルーミアに叩きつけたのは、霊夢から貰っていたルーミア用の封印符だった
霊夢が神社からここへ来るときに「もし可能なら」という事でメアリーに渡していたのだ
EXルーミア「ぐっ!…力が…抜ける!」
そう言いながらルーミアは倒れ込み、どんどん体が縮み見慣れた幼女の姿になった
ルーミア「うぅ…何があったのだー?」
ちょっとしてからルーミアが起き上がり、辺りを見回した
ルーミア「…!?メアリー何があったのだー!?その大怪我、まさか私が?…」
メアリー「ええ…そうね。すっごく強かったわ」
ルーミア「ち、違うのだー!あれは私の様で、私じゃないのだー!」
メアリー「貴女さっき…まさか私が?って…自分で言ったじゃない…」
ルーミア「そ、それは…」
そうルーミアが口籠っていると、霊夢が降りてきた
霊夢「メアリー!無事かしら?」
メアリー「見ての通り…相討ちよ」
ルーミア「霊夢!早くメアリーを永遠亭に運んで欲しいのだー!」
霊夢「…もう、手遅れよ。素人目にも出血が多すぎるし、何よりそのお腹の穴はどう見たって助かりようがないわ。今生きてるのも驚きなくらいね」
ルーミア「そ、そんな…」
メアリー「ね、ねぇ…ルーミア」
ルーミア「どうしたのだー!?何か言いたいことがあるのかー?」
メアリー「一つ…私のお願い…聞いてくれない?」
ルーミア「な、なんなのだー?」
メアリー「私を…食べてくれない?」
ルーミア「!?…何を言ってるのだー!今はそんな冗談聞きたくないのだー!」
メアリー「冗談では…ないわ…貴女…約束したじゃない…私に勝ったら私を食べる…って」
ルーミア「あれは食べても``いい''って言う約束なのだー!食べるかどうかは私の勝手なのだー!」
メアリー「よく…覚えてるわね…でも、私の技術を…貴女以外には…あげたくないのよ」
霊夢「最後ぐらいいうこと聞いてあげれば?そんな哀れな罪人でも一人の人間よ」
メアリー「霊夢は…手厳しいなぁ…」
霊夢「ふん、どうとでも言いなさい。それじゃ、私はもう帰るわ。ルーミアも元に戻ったんだし」
そう言って霊夢は帰っていった
メアリー「私の最後の我儘…聞いてくれるかしら?」
ルーミア「…私はこの森の妖怪、そしてお前は私にやられた一人の人間。それでいいのかー?」
メアリー「ええ…実力があるわけでもないのに…功績目当てで妖怪退治をして…返り討ちにあった馬鹿な人間よ」
ルーミア「…ったく…手間かけさせ…グスッやがったのだー…ようやく…グスッ餌にありつけたのだー…」
そう言いながらルーミアはメアリーに近付いていき、ルーミアの闇がメアリーを包んだ
そしてしばらくの間、闇の中からは何かを咀嚼したり噛み砕く音が森に響いていた
数日後
博麗神社
霊夢「ハァ…今日も誰も来ない…」
ルーミア「霊夢―、遊びに来たよー」
霊夢「あらルーミアじゃないの。いらっしゃい」
その時、霊夢はルーミアから流れてる妖気から自分が帰った後の事を察した
霊夢「…メアリーの望みどおりにしてあげたのね」
ルーミア「うん。メアリーがそれを望んでたしね」
霊夢「ところで、いつもの『のだー』口調はどうしたのかしら?」
ルーミア「ああ、メアリーを食べた影響なのか、自然と消えたみたい」
霊夢「一人の人間を食べただけでそんなに影響されるものなの?」
ルーミア「普通はそんな事ないんだけど、私は同じ位の歳の妖怪に比べて人間を食べれてないから、一人あたりの人間からの影響が大きいのよ」
霊夢「へえ、そう言うもんなの?」
ルーミア「そう言うもんなのよ。それにしても、私もメアリーの闇の量には驚いたよ」
霊夢「闇の量?」
ルーミア「私の場合、食べる者の闇の深さや大きさを取り込んで生命エネルギーにしてるからね。知識は肉を食べなきゃ手に入らないけど」
霊夢「つまり、メアリーは闇が深かったと?」
ルーミア「うん。当分何も食べなくても大丈夫なくらいの闇だったわ。流石に先代ほどではなかったけどね」
霊夢「え?先代?何であんたが先代のこと知ってるのよ」
ルーミア「ああ、この封印が不完全だったのか、昔の私の記憶が一部だけ残ってるのよ」
霊夢「…改めてちゃんと封印した方がいいかしら」
ルーミア「だ、大丈夫だって!ちゃんと約束は守るし、私の妖気で霊夢には勝てないのは目に見えてるでしょ?」
霊夢「あら、えらく謙虚になったものね…それもメアリーの影響かしら?」
ルーミア「んー、そうかもね。メアリーを食べた事で一部だけどメアリーの思想も知ることができてね」
霊夢「へぇ、どんな思想を持ってたの?」
ルーミア「『幸せとは、相対的な物である。最初の内は小さな幸せで満足していられるが、次第にその幸せは『日常』になってしまい、その幸せでは満足できなくなり、今度はそれ以上の幸せを求めてしまう。そして、ある時気が付くのだ。自分の周りに誰も居なくなっていることに。だから、まだ私に近付いて来てくれる人が居たら幸せを追い求めすぎると身を滅ぼすとその人に言おうと思う。これ以上、私みたいな惨めな人間は現れてほしくないから』こんな内容だったわ」
霊夢「へえ、あのメアリーがそんな事を思っていたのね」
ルーミア「私もその考えには共感するところがあるし、私自身、高望みし過ぎて失敗したことも多々あるから見直さないといけないと思うしね」
霊夢「そう…その思想、貫けるといいわね」
ルーミア「うん。貫いてみせるわ」
霊夢「それ以外には何かメアリーから得られた物はあるの?」
ルーミア「うーん、あと得られたものって言ったら、ナイフ攻撃、気配の消し方と探り方、CQCとかかな?」
霊夢「CQCって言うのはわからないけど、結構いろんなことをメアリーから得られたのね」
ルーミア「一応私とメアリーの能力を合わせたスペカで、闇討『常闇の殺人鬼』っていうのも作ってみたよ」
霊夢「へぇ、メアリーとあんたの能力の合わせ技ね…なかなか強そうじゃないの」
ルーミア「私はまだ弱い妖怪だけど、メアリーと一緒だと思えば頑張れる気がするわ。それじゃ、私はそろそろ帰るね」
そう言ってルーミアは魔法の森に帰っていった
霊夢「ええ、またいらっしゃい」
その後、少しの間鳥居の方を見ていた霊夢であったが、急に振り向き、虚空に向かって話し始めた
霊夢「…紫、居るんでしょ?」
紫「はいはい、居ますよー」
霊夢「あんたが連れてきた殺人鬼、最期は人間らしく死ねたみたいよ?」
紫「ええ、そうね。正直私も驚きだわ」
霊夢「人間は変わることで成長し、過ちを正していく生き物よ。あんたら妖怪が思ってるより強いのよ」
紫「それはそれは、お見逸れ致しました」
霊夢「メアリーは、人里では大量虐殺の大罪人として記憶されることになるでしょうけど、私達やルーミアの中では身を挺して幻想郷を救った者として記憶されるわ」
メアリー・フォード:殺人鬼異変の主犯者,ルーミア暴走時、身を挺してルーミアの再封印をし、ルーミアと相討ちになる。本人の希望によりルーミアの中に眠る
The End
今作をご覧になった皆さん、誠にありがとうございます!m(_ _)m
今回でこの『殺人鬼メアリー』は終わりとさせていただきます
それでは、また何処かでお会いしましょう!(*≧▽≦)ノシ