RE:世界一可愛い美少女錬金術師☆   作:月兎耳のべる

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お風呂むずい。下手風呂描写でごめんなさい。
あとガールズラブタグつけそうになったわ。


第十ニ話 湯煙の中の金と銀

 大理石の床。広い天井。何十人が入っても狭いと感じそうにない巨大な浴槽。湯けむりに包まれた浴室は壁に取り付けられた明かりでぼんやりと、しかし決して暗さを感じさせずに照らされている。湯気の立つ温水でなみなみと満たされた湯船には白い花弁が散りばめられており、ライオンを模した石像からは絶えずお湯が継ぎ足されているのが見えた。

 絢爛豪華な浴室。見る人が見ればまるで古代ギリシャ風の建築だと興奮したかもしれない。そんな華美な浴室を、衣類、装飾品とその全てを外し、髪を後ろで纏めて柔らかなタオルのみ身につけた存在が独り占め、いや、二人占めしようとしていた。

 

 

 

「わぁ……☆」

 

「ね、すごいでしょ? 長旅の疲れを癒やすには、ここのお風呂は最高の場所だと思うわ」

 

 

 広く湿った空間に二人の声が木霊する。カリオストロは視界に広がる光景に感嘆し、エミリアもそんな彼女を見てふふんと少しだけ自慢気に、かつ嬉しそうにしていた。

 

 エミリアからの急なお風呂の誘いは、元男性のカリオストロとしては少し思う所もあった。が、当の本人の体はとっくの昔に女性に作り替えており、加えて言えば元の世界では騎空艇で日常的に女性と湯を共にしていたという事実があった。

 よってカリオストロが導き出した結論は「まあいいか」であり、断る理由を考える手間を惜しみ一緒に入る事にしたのだった。一緒に入れるのが分かった時のエミリアはそれはそれは輝くばかりの笑みだったとか。

 

 どこかうきうきとしている二人は早速軽く体を流す。そしてカリオストロがタオルをつけたまま先に湯船に入ろうとすると、エミリアがそれを止めた。

 

「カリオストロ。湯船にタオルは付けちゃ駄目」

 

「ん? そうなの?」

 

「えぇ、私も知ったんだけど、この間本に書いてあったわ。湯船にタオルを付けるのはマナー違反だって」

 

「エミリアって本当本の虫だよねぇ……☆ んー分かった、じゃあそうさせてもらうねっ☆」

 

 普段こそタオルは身に付けずに湯浴みをするが、知り合いになったとは言え日にちの浅いエミリア相手に裸体を晒す、あるいはその裸体を見るのはほんのりと抵抗があった。故にタオルを身に付けて入ろうとしていたのだが……そう言うのであれば、とはらりとタオルを肌蹴させていた。

 

 タオルの下からは華奢だが瑞々しい体躯が現れる。成長を暗示させる、微かな膨らみを持つしなやかな肢体は、触れれば折れてしまうような儚さがあり、発展途上だと言うのにまさしく芸術と言っても良い程完成されていた。

 対するエミリアも同じく自らのものを肌蹴させると、タオルの上からも感じさせた豊かなモノと、均整の取れたすらりとした美しい躰が表れる。中身はまだ子供だというのに、そのスタイルは大人顔負けのプロポーションであった。

 

 二人の染み一つない白磁の肌はお湯の粒を弾き返し、浴場の熱気に中てられたか、肌はうっすらと上気し、薄い桜色に染まっていた。

 

 

「「はぁ~……」☆」

 

 肩まで浸かった二人を包む熱すぎず温すぎないお湯は、あの騒動と長時間の移動で蓄積した疲労を溶かしていく。これはいい。非常に堪らない。この世界に来て初めての心から休息出来た瞬間だとカリオストロはしみじみと思った。そして何よりも、自分の美しさを重要視するカリオストロにとって、これからの拠点にこのような豪華な浴室があるのはとても素晴らしい事だった。

 

「ねぇ、エミリア☆ 変なこと聞くけど、ベアトリスって……実は人間じゃなかったりする?」

 

「え? ……あ。そうね、そう言えばロズワールはその事説明してなかったかも。確かにベアトリスは精霊よ」

 

「ふぅん、やっぱり☆ って事はあの子って、エミリアとパックみたいに誰かと契約してるのかな? ロズワールとかと?」

 

「うーんと、詳しくは分からないけど多分そうじゃないと思うわ。私でも、ロズワールでも、レムでもラムでもない。でもずーっと。それこそロズワールのご先祖様の頃からこの屋敷で禁書庫を守っているらしいわ」

 

 ロズワールの先代の、そのまた先代の先代。ずーっと前から居るのよ、と説明するエミリアの話を聞いて、ベアトリスのロズワールへの無礼の理由は、子供扱いのようなものかと理解する。

 

「じゃあベアトリスとパックって、凄い長い付き合いだったり?」

 

「あ。それなんだけど、そう言う訳でもないのよね。ただ、パックの方が精霊としての格が凄く高くてそこにベアトリスが惹かれてるみたいなの」

 

 精霊としての格、と言われて二人の姿を脳裏に思い浮かべるが、ビィより小生意気な猫と同じく生意気そうな少女ではどちらの格が高いのかなんて、カリオストロには判断がつかなかった。

 

「そう言えば私の方からも聞きたいことがあるの。ずっと気になってて……いい?」

 

「うーん、内容によるけどいいよ☆ 私も聞きたいこと一杯聞いてるし」

 

「ありがとう。わかってるわ、そんな突っ込んだ話はしないから! えっとね、カリオストロって──」

 

 聞きたいこと。オレ様が使う魔法の事か。それともどこから来たのか、という質問だろうか? 考えるカリオストロを置いて、お湯の中で少し距離を置いて座るエミリアが詰め寄り、その際に年頃の少女にしては大きな膨らみが目の前で揺れるのがカリオストロの目に入った。

 

「──どうして時々、男言葉になるの?」

 

「……」

 

 それは、カリオストロにとってちょっと想定外すぎる質問だった。

 

「あのね、カリオストロって自分で言ってた通りすごーく可愛いと思うの。髪の毛も凄く綺麗だし、目も透き通った紫で吸い込まれそうで、顔も整ってて、肌も真っ白で……身体も……あ、ジロジロ見てごめんなさい。でもカリオストロって時々男口調になるでしょ? それが凄く意外だって言うか、驚くって言うか……で、でもでも! どっちの口調も好きなのよ?でも何でだろうって思ったら、凄く気になっちゃって」

 

「……お、おう☆」

 

「あ、ほら!また男言葉に……あれ? 今のはでもちょっと男言葉じゃない?」

 

 このエミリア、言うことがとてもストレートだ。下手をすれば間違われる発言にカリオストロも思わず言葉が詰まってしまう。しかし竜車での移動中、時々何かを言おうとしては口を噤んでいたエミリアがずっと聞きたかった事が「これ」とは思わなかった。

 

 カリオストロは軽い音を立てて顔を湯で洗うと、一息ついてエミリアに説明し始める。

 

「そうだね~☆ エミリアって傭兵って知ってる?」

 

「傭兵? えっとお金で雇われる兵士……でいいかしら」

 

「そうそう☆ カリオストロはぁ~、そういう傭兵稼業をやってた経験があるんだ☆ だからどうしても荒事とかになると、時々そう言う言葉がつい出ちゃうの☆」

 

「……そう、だったのね」

 

 嘘ではない。だが、本当のことは言っていない。言うまでもないがカリオストロにとっては、男口調の方が本性だ。女口調は擬態するため(そしておちょくるため。更に可愛さを補強するため!)に使っているというのが正しい。だがエミリアはその答えには一度は頷いたものの、腑に落ちない様子だった。

 

「納得いかない~?」

 

「…………うん。正直に言うと。カリオストロっていつもスバルと話す時は男言葉、よね?」

 

「――」

 

「二人の態度を見ると分かるの。あの盗品蔵での二人のやり取りから、ずーっとそう思ってた。みんなで話す時はちゃんと女言葉で話してるけど、多分二人きりになったらもっと気軽に、男言葉で話してるんだなって……カリオストロはそんなスバルとの関係を「腐れ縁」だって言ってたわね。最初は意味が分からなかったから後で調べたら「切っても切れない、好ましくない縁」。あんまりよくない縁ってのはちょっと分かったけど……でも。でもね、そんな二人の関係が私はすごーく、羨ましく感じたわ」

 

 エミリアは吐露していく。自分の思いを。あの盗品蔵での、スバルとカリオストロの気軽で気楽な関係を思い浮かべながら。それは物語で読んだ、エミリアが夢想する友達像そっくりで、

 

「女言葉も可愛くて良いと思うけど、男言葉の方が凄く距離が近い気がしたわ。だから私も、出来るならカリオストロに男言葉で話しかけて欲しいの」

 

 要するにこのエミリア、カリオストロとずっと友達になりたかったのだ。

 

 エミリアは王候補というやんごとなき身分でありながらも、嫉妬の魔女と容姿が似ている被差別対象の銀髪ハーフエルフ。そんなエミリアの友達は今は一人も居ない。唯一居る理解者はパックのみという状態。誰しもが自分を冷たくあしらい、時に罵倒する過酷な世界の中で生きてきたエミリアだが、徽章の件でパックに次いで色眼鏡で見ない存在と出会った。それがスバルとカリオストロだった。

 特にカリオストロは同性でありながら自分の容姿を嫌な目で見ず、そして気紛れだと言いながら自分を助けてくれた。それは確かに打算的だったのかもしれなかったがエミリアにはそれだけでも十分嬉しく、そして初めて親しくなりたいと自分から思っていた。

 

 カリオストロには当然、そんなエミリアの気持ちはほとんど分からない。だが彼女の「仲良くなりたい」と言うストレートにぶつけてくる子供そのままの欲求は彼女にもしっかりと届いた。それは聞いているこっちが恥ずかしいくらい。いつも天真爛漫な少女を演じるカリオストロでさえも中々真似出来ない物で、まるでルリアのようだ、と思わず考えてしまう程だった。

 

「……質問だけじゃなかったの?」

 

「あっ、ご、ごめんなさい!」

 

 若干の気恥ずかしさを吹き飛ばすためか、カリオストロが突っ込むと何を言ったのかを理解したエミリアは顔を赤く染め、視線を下げた、だが下げた後にちらちらとこちらを覗き見てくる辺り、何を求めているかは一目瞭然だった。

 

 

 

 

「……はぁ。言っておくが、いつもは無理だからな」

 

「! うん!」

 

 輝く程の満面の笑みを浮かべたエミリアは、その後始終嬉しそうにカリオストロとのお風呂を楽しんだ。その中では、身体を洗わせてとねだるエミリアの姿があったとか。

 

 

 

 § § §

 

 

 

「カリオストロ様は非常に、ひっじょうぅぅぅぅうに、いいご身分を堪能したようで」

 

 その日の夜。カリオストロがスバルの部屋に訪れると、超不機嫌そうな顔をしたスバルが出迎えた。

 

「スバル落ち着いて☆ いつもよりキモ怖い顔が、もっとキモ怖くなってるから☆」

 

「おぉよどうもありがとう、カリオストロ様の為にもっとキモい顔で迫ってやらぁ……!?」

 

 スバルはラムレムに連れられて労働の楽しみを知ったようだ。最後に見た時にはなかった生傷が至る所についている所からそれを察する事が出来た。

 

「お前。何で俺も一緒に食客にしてくれなかったんだよ……! お陰様で俺がどんだけ過酷な仕事させられたと思ってんだ、言っとくが俺は就労経験すらもないただのニートだぞ!? 家事も掃除もほとんどした事ねえのに、病み上がりの俺に課せられる仕事の重いこと重い事……! あぁ労働の尊さはよく分かったさ、もうお腹いっぱいなくらいだ! 明日から立場交換してくれよ!? あとエミリアたんと一緒にお風呂入ったってな? 一緒にお風呂とかお前……! ――なぁ!?」

 

「はいはい分かった分かった大変だった大変だった~☆ でもスバル知ってっか? 食客ってのは才能ある人を囲うことを言うんだぜ?」

 

「才能あるわ!……裁縫とか!」

 

「ロズワールが欲しがる才能か? って言うかお前ナイナイ尽くしって自己紹介しちまってんだろうが」

 

「はい、自業自得でしたァーっ!!」

 

 ベッドに座るカリオストロの横でくねくねと気持ち悪く蠢くスバルに、カリオストロは気持ち悪っ☆と煽って返す。 

 

「まあいいじゃねえか、そこそこな美人姉妹に手取り足取り教えて貰ったんだろ? なら女の子と手握って貰った事のないスバルなら、それこそ嬉しかったんじゃねえか?」

 

「どどどど、童貞ちゃうわ!」

 

「そこまでは言ってねえよ」

 

 脱線を繰り返しようやく本題に入る。カリオストロがスバルの元に訪れた理由はスバルが手に入れた情報を教えてもらうためだった。

 

「……ただ情報つってもな。今日やった事は掃除とか料理の手伝いしただけで、何の探りも入れてねえしなぁ。と言うかこの場所で情報収集とか必要あるのか?」

 

「馬鹿。これだから童貞は駄目なんだ。何も知らない異国の地では一つでも多くの情報が必要だ。下手すりゃそれが命取りになったりする。ロズワールから一応褒章として今の権利を勝ち取ったとしても、いつ放り出されるか分からねえぞ」

 

 さりげなく童貞で弄らないでくれますぅ!? 違いますまだ大事に取っておいてるだけですぅ! と見苦しい主張をするスバルだが、思い当たる節が全くないのか首を傾げるばかりだ。

 

「些細なこと……うーん。あんま特徴的な事とかねえんだよな、精々料理の仕方とか掃除の仕方教えて貰ったくらいだし……ちょっと頼みが抽象的過ぎて思いつかないって言うか」

 

「いい情報くれたらエミリアとのお風呂の話、聞かせちゃおっかなー☆」

 

「唸れ俺のCPUとメモリー! 思い出せ何か重要なキーワード! ちょっと待っててくれ、絶対にカリオストロをうんと言わせる情報を絞り出すぜ!!!」

 

 いきなり頭を抱えてベッドにヘドバンよろしく頭を突っ込むスバル。しばらくベッドに顔を埋めていたようだが、不意に起き上がったかと思えばカリオストロへと絞り出した結果を出力し始めた。

 

「ラムが俺の事をバルスって呼ぶ。ここの屋敷の通路がループする。レムのおっぱいが大きい。ラムの得意料理が蒸かし芋、芋の皮の剥き方は包丁じゃなくて野菜を動かす。ベア子がパックを密室でもふもふしてた、ロズワールの発言がねっとりしててホモっぽい。ラムが毒舌。レムが俺の事をじーっと氷点下の目で見てくる、掃除洗濯以外ほとんどレムの活躍が大きい。エミリアたんの私服が超可愛いってか作った人分かってる。何かイ文字とかロ文字とかあるっぽい。エミリアたんが夜中に微精霊と語り合ってるのすげー可愛い、みんなが入り終わった後に最後に風呂入ったらすっげーいい匂いがした……あとは、あとは……」

 

「ところどころで変態っぽい発言があるけど聞かなかった事にしてあげる☆ ま、割りと気になるのはあるな。屋敷の通路がループするってのは?」

 

「あー俺がこの屋敷で目覚めた直後にな。通路歩きまわってたら何かずーっと同じ道をぐるりと巡ってる気がしてたんだよ。歩いた先に直前まで見た同じ絵とかが飾ってあって」

 

「ふんふん。侵入者用のトラップか何かか。それで?」

 

「俺のセンスが冴え渡って、ループを見破った。何となく扉を開いたらベア子……ベアトリスに出会った」

 

「ふん、扉渡りって言ってたな。普通はベアトリスの部屋は見つからないらしいが。お前は一発で見つけたと」

 

「おおそうそう、扉渡り。ラムもそう言ってたな。でも今のところあの時以外でも何回かベア子の部屋は見破ってんな。俺は十中八九でベアトリスの部屋を開けられるぜ!」

 

「何でだよ。だがそれはでかした、褒めてやるぜ」

 

 殆どの情報は使えなさそうだったが、一番の収穫はスバルがベアトリスの扉渡りの対抗手段になりえるという事だった。最もコンタクトが取りづらかったベアトリスとの連絡手段が付くというのはとてもありがたい。兼ねてから琴線に触れる禁書庫。もし入れるのであれば是非とも入りたいし、あわよくば読み耽りたい。

 

(ただ、それを許す程ベアトリスも甘くはねえだろうが……既に()()()()()()()()()()()()()。それを使わせて貰うかね)

 

「ま、あとは気になるのは……レムの視線か。言うまでもないだろうが、スバル。お前は今も監視されてるって考えとけよ」

 

「やっぱり? まあ、どう考えても俺たちって怪しいもんな。ラムはともかく、レムがあんな目で見てくるのも監視対象だからか……にしては露骨な気もするけど。しっかしカリオストロならまだしも人畜無害の俺を監視するとかなぁ。何もやらかさねえってのに……」

 

「この童貞、この屋敷に来て早々やらかしたこともう忘れてるのかな?」

 

「う――そ、そんなことよりも! ご褒美のエミリアたんとのお風呂話プリーズ!」

 

 他の話を聞こうとした矢先に、スバルが何かを誤魔化すように食い気味にエミリアとのお風呂話を強請ってきた。カリオストロは十分いい情報も手に入れたのもあってか、やれやれと思いながら疲れ気味の少年にご褒美をあげる事にした。

 

「んーっとね、エミリアとのお風呂は~……すっごく楽しかったよ☆」

 

「そう言う小学生的な感想を求めてるんじゃねぇ。分かってんだろ。分かってんだろカリオストロ先生よぉ……!」

 

「鼻息荒くて本格的に気持ち悪い……うわっ!? わかったわかった顔近づけんじゃねえ! ぶっ飛ばすぞ!?」

 

 風呂話を焦らそうとするカリオストロに、スバルが血走った目でベッドの上で彼女の元へとにじり寄る。あまりの剣幕にさしもの彼女も引くしかなく、それを更にスバルが両手を広げて追い詰める。

 

「いーやダメだ今の俺は褒美に飢えたクソニートよ。カリオストロから詳細な話を聞かない限り、何度ぶっ飛ばされようと絶対に食いついてやるぜ。教えてくれカリオストロ……!いや、カリオストロ様! エミリアたんのお風呂での一挙一投足、あとボディラインとか余すこと無く全て俺に教えてくれ! ぶっちゃけ大きかっただろ!? っていうか背中流し合いしたか!? したよな!? 二人の美少女の温泉姿とか言うイベントCG入り間違いないシーン、俺にも脳内補完させてくれぇ――!!!」

 

「お前そこまで必死だと本当に気持ち悪いぞ!? いいから落ち着けよ、オレ様に汚らしい鼻息浴びせんじゃねえ!」

 

「ねえスバル、カリオストロ、聞こえてる? そこに居るんでしょ? 入ってもいいかしら? 二人して何を騒いで──」

 

 その時。ノックの音に反応はないが、扉の向こうから聞こえたどたばた音に業を似やしたエミリアが顔を覗かせた。そのエミリアが部屋の中で見たのは『ベッドの端っこに追い詰められるカリオストロ』と『それを両手を広げて追い詰めようとするスバル』の姿だった。それは百人中百人が幼女を襲う変態の構図であると断じるには違いなく――、

 

「……」

「……」

 

「──」

 

 

「きゃー☆」

「……違っ」

 

「──ヒューマ!」

 

 スバルはその日、二度目の気絶を体験する羽目になった。

 




《スバルの特技》
スバルは他にも色々才能持ってたりする。
才能例:裁縫、刺繍、弾き語り、似顔絵、ベッドメイク、粘土細工、習字、日曜大工、手品、折り紙、あやとり、オセロ、パズル、IQテスト

《微精霊》
微力な精霊の事。ベアトリスやパックと違って、小さな光として姿を表す。属性によって光の色が異なる。精霊使いのマナを介した触れ合いで、わりと簡単に小さなことを協力して貰えたりする。エミリアは微精霊と日常的に語り合ってて、その光景は非常に美しいとか。

《ヒューマ》
言ってしまえばヒャド系の魔法。氷の塊を射出する攻撃。
ヒューマ、エルヒューマ、ウルヒューマ、アルヒューマの順に攻撃力が高くなっていく。

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