「まったくよ。洗濯物が乾かないしゴミもさせないわ」
「絵里の服なら俺の愛の炎で乾かしてやろう!」
「うるさいから黙って粗大ゴミ」
「そ・・・・・・粗大ゴミ?」
「やばい・・・・・・非常にやばい・・・・・・」
大学生活が始まり4ヶ月が経とうとしていた。絢瀬との関係は現在進行形状態である。特にこれといった変化はないが度々絢瀬が見せてくる女の子の表情にたまにドキッとさせられたり・・・。俺への扱いはこれっぽちも変わらないけどな!!この前なんかバイクのフロントタイヤに頭をこすり付けられたぐらいだ。そろそろ俺の命が危うい・・・。なんとかしなければ・・・って!俺はいまそれ所じゃない!大学のⅠ期が終わろうとしているという事はあれがあると言う事だ。何を隠そう・・・・・・『期末テスト』だ!俺はありえないというくらい頭が悪いという訳じゃない。ごく普通であるのだが予想以上にテスト範囲や内容の難しさに頭を抱えている。これが大学の厳しさというのが改めて実感した瞬間である。ついでに言うと大学では俺は話しかけられたら話すが一緒に飯を食ったりや勉強を一緒になどの友達がいない。ある一人を除いてな・・・。だからテスト対策などの勉強を一緒にやる奴が居ない!このままじゃ俺は完璧に留年してしまう!どうしたらいいのかと考えた中で出てきた解決策は・・・・・・。
「テスト勉強をしているがあまりにも難しい。このままでは留年しそうなんで私に勉強を教えて欲しいと?」
「その通りでございます・・・絢瀬殿・・・」
椅子に座ってる絢瀬の目の前で土下座してる俺・・・・・・・。
解決策とはこれだ。『絢瀬に勉強を教えてもらう』だ!俺だってこんな事はしたくなかった!けど頼れるのはこいつだけだ!絢瀬は俺らの学部では頭一つ飛び出してるほど頭がいい。テストの順位ではダントツで1位だろう。学部で気軽に話せて頼れるのはこいつしかいないと俺は考え絢瀬を頼る事にした。
「貴方それでも私の恋人なの?私の恋人なんだったらそれなりの学力をもってなさいよ」
「色々と言い返したいが今は素直に黙っておこう・・・。頭が悪いのは俺だ」
「でも良かったわね。私と一緒の講義とってて」
「まさか選んだ講義全部お前と当たってた事に俺は度肝を抜かれたがな・・・・・・」
「まあ教えるのは別に構わないわよ」
「マジか!」
「えぇ。それには条件があるわ」
「それは?」
「私の靴を舐めなさい」
ん?
「はあ!?」
「私の靴を舐めなさい。そして永遠に私に服従しなさい」
「お前の下僕になるなんて死んでもなりたくない!」
「なら一回死んでみる?」
「無駄にリアルすぎるからやめてくれ・・・」
「ま、それは冗談として・・・。別に教えるのは構わないわよ。私も希と勉強する気だったし今更一人増えようが気にしないわよ」
「お前が始めて女神に見えたよ」
「それなりのお金は貰うけど」
「前言撤回だ。やっぱり魔女だ・・・」
「あ、後もう一人くるけどいいかしら?」
「別にいいけど誰?」
「私の同級生よ。アイドルをやってるの」
「アイドル兼大学生!?」
「あの子もまあまあ勉強が出来なくてね・・・。毎回希が教えてるのよ」
「あー・・・。なるほどね・・・」
「じゃ行くわよ。場所は貴方の家ね」
「ええ!?また来るのかよ!」
「何か問題でも?」
「まるでヤンキーのたまり場だ・・・・・・」
「つべこべ言わずに行くわよ」
「あいあいさー」
俺は一旦家に戻り絢瀬は東條を連れてくるらしく神田明神にバイクで向かった。スタイル抜群の二人がタンデム・・・。いかんいかん妄想はやめよう・・・。
家で待つ事数分。俺の家に東條がやってきた。
「お邪魔しま~す」
「おう。今日はよろしくな」
「此処が隆也君のアパートか。意外と綺麗やね」
「意外は余計だ。これでも俺は綺麗好きなんだよ」
「ま、汚いところだと勉強ははかどらないしね」
「初めて絢瀬と意見があった・・・」
「これが普通なのよ」
いやー・・・。あれだな。素晴らしい光景だな。大学生とは思えないスタイルを持っている東條と絢瀬が家にやってくると色々と凄い。いかん妄想してしまう・・・。しかも元スクールアイドルのトップに立った人物である。一般学生である俺の家にこんな凄い人達が家にいるって今でも信じられない・・・。ま、絢瀬は一晩家に泊まってたけどよ。
「隆也。希に手を出したらこの世から消すわよ?」
「俺はいつから暗殺者に狙われるようなお尋ね者になったんだろう・・・」
「隆也君はそんな事せーへんよエリチ。へタレそうやし・・・」
「へタレ!?」
「そうよね。私が家に泊まったときも何もしてこなかったし」
「俺はそんな男じゃない!それくらいの感情ぐらいコントロールできる!」
「エリチから聞いたけどこの家で二人とまってんやんな~?エリチも大胆やね」
「どこがよ!何も大胆な事してないわよ!」
「男の人の家に躊躇なしに入り込むのも大胆や思うけどな~。もう二人付き合えばええのに」
「「絶対しない!」」
(相性抜群やな・・・)
東條が来るとなんというか色々と疲れる・・・。色々とからかわれるしいじられる・・・。東條・・・恐ろしい子。
「処でそのアイドル兼大学生の奴は?」
「そろそろ来るわよ。この家の住所教えたから」
「勝手に人の住所を教えんな!プライベートの侵害だぞ!」
「信用できる子だからいいのよ」
「ポリシー聞いてねえよ!」
ピンポーン
噂をすればなんとやらだな。
「はいはーい」
扉を開けると、少し小柄で髪の毛をツインテールにしている女の子が・・・。
「あんたが横山隆也?」
「そうだけど・・・もしかしてあんたがアイドル兼大学生の?」
「そうだけど」
「あ、にこ!久しぶりね!」
「にこっち~!久しぶり~」
「あんたたちも久しぶりね。元気そうでよかったわ」
え?なにこれ感動の再開?絢瀬と東條がにこという少女と一緒に抱きついてる。
「もしかしてμ'sのメンバーか?」
「そうやで。自称宇宙No1アイドルやで」
「じ、自称・・・」
「ちょっと希!自称じゃないわよ!にこは本当の宇宙No1アイドルなのよ!」
「わかってるよ。変わってなくてよかった」
「変わるわけないでしょまったく・・・・・・」
どうやら本当の友達らしいな。実は自分をアイドルっていってるナルシストかと・・・・・・。ん?にこ?
「あれ?にこって名前どこかで聞いたような・・・・・・」
「そういえば自己紹介してなかったわね。にこの名前は・・・・・・」
すると俺に背中を向け・・・。
『にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこにこー♪にこにーって覚えてラブにこー♪』
・
・
・
「へ?」
いきなりの少女の行動に俺の頭の思考回路が一瞬バグった。え?これはあれ?アイドルがやる自己紹介なの?
「どう?にこにメロメロでしょ?」
「いやメロメロにはなってないが・・・。まあよろしくな矢澤にこにこさん」
「だれが矢澤にこにこよ!にこの名前は矢澤にこ!覚えときなさい!!」
「言い方から聞くとそう聞こえるぞ・・・。まあ名前は覚えた。俺は横山隆也だ」
「隆也ね。覚えてあげるわ感謝しなさい!」
「こいつもこいつで上から目線だな・・・。誰かさんとそっくりだ」
誰かとは言ってない。
「で絢瀬。こいつが勉強できないやつか?」
「まあ大学でどうなったか知らないけど一応恒例行事で希に見てもらうのよ」
「恒例行事って・・・・・・お前も大変だな東條・・・」
「慣れてるから大丈夫!にこっちの相手はウチと決まってるし」
「確かに・・・こいつを相手にするのは骨だしな・・・」
「こいつって失礼ねあんた!」
「さあ。勉強始めるわよ!隆也は私が。にこは希お願いね」
「了解!」
それからすぐに勉強会は行われた。俺は絢瀬に問題の部分で簡単な事でも難しい事でも質問し、絢瀬は分かりやすく教えてくれた。絢瀬の教え方は独特で、けど決して難しい訳でもない。俺の質問するレベルに合わせて教え方を変えてくる。こりゃ頭に簡単に入るわ・・・。ある程度の質問を終えた後、絢瀬にこの通りに勉強したら覚えやすいという勉強法も教わった。もうお前教師になっちまいなよ。
「ふぅ・・・。これくらいかな・・・ん?」
横に視線を向けると。
「さあにこっち。この問題の答えは?」
「え・・・えっと・・・・・・」
うわぉ・・・。凄い光景だ。教科書を持った東條の前でノートに視線を送ったまま動かない矢澤・・・。汗が尋常じゃないぞ?
「分かるやんなこれくらい?」
「わ。分かるわよこれくらい!」
「じゃ答えて?♪」
「えっと・・・・・・にっこにっこにー♪」
勉強中に何をやっているんだお前は・・・。
「にこっち?それふざけてる?」
「ふざけて無いわ!これは頭の回転を早くするおまじないなのよ!」
そんなおまじない聞いた事ねえよ・・・。
「ちゃんと答えないとわしわしすんで~」
「いやああああ!」
わしわし?
「絢瀬わしわしって?」
「見てたら分かるわ」
どゆこと?
「じゃこの問題は?」
「えっと・・・わからないにこ!」
「えい!」
「きゃーーー!?」
な、なんと!いきなり東條が矢澤の成長しかけの胸を後ろから鷲掴みにした!しかもそこから矢澤の胸を両手の指を使ってわしわしと揉みしだいている!これはネット上で人気のある『百合』というやつか!!
パコンッ!
「いてぇ!!」
「貴方いま変態なこと考えたでしょ・・・」
「考えてねえよ!」
その持っている木刀を下ろそうか絢瀬さん?俺の頭が壊れる。
「はい。一旦終了やでにこっち」
「ふぇ~・・・。終わった~・・・」
深いため息をつき机に突っ伏す矢澤。俺はここで気付いた。
「宇宙No1アイドルじゃなくて宇宙No1ポンコツアイドルだろお前」
「誰が宇宙No1ポンコツアイドルよぉぉおお!」
そして俺たちは夜遅くまで勉強を続けた。この後矢澤は東條にめちゃくちゃわしわしされてた。
「「終わったぁぁああ・・・・・・」」
俺と矢澤は同時に畳の上に同時に倒れ込んだ。アイドルってこんなのでいいのか?
「もう夜も遅いしご飯でも作りましょうか」
「さんせーい!ウチエリチと一緒にご飯作るー!」
「はいはい。隆也とにこは留守番してて。食材買ってくるから。隆也財布」
「なんで!?」
「貴方の家で食べるんだから貴方の家の食材じゃないとダメでしょ」
「お前が出すという選択肢は?」
「無いわね」
「オーマイゴット・・・・・・」
素直に財布を渡した。
「じゃ行ってくるからちゃんと留守番しててな」
「ここ俺の家なんすけど・・・」
バタンッ
「さてと、帰ってくるまで俺たち暇だな」
「確かに暇ね・・・。なにしようかしら」
俺の家にゲームは特に無い。在るとしたら学校の課題をするようのパソコンぐらいである。
「あんた。絵里の恋人役をしてるって本当?」
「え?そうだけど・・・・・・」
「ふーん・・・。ま、うまくいってそうで良かったわよ。また一人になるんじゃないかって思って心配してたのよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
また・・・・・・一人?
「絵里は元々他人にそこまで興味の無いクールな子で、μ'sに入る前は希と生徒会にいたのよ。その時期に私達の母校である音ノ木坂学院は廃校を決定していた時だったの」
「廃校・・・」
「絵里は生徒会で学校を存続させるために必死だった。色々考えて案を出して理事長や生徒会にみんなに見せたけどどれもダメだった。そこで廃校を阻止しようとしたのがμ'sなのよ」
「学校を存続させるためのスクールアイドル?」
「そうよ。私も途中で参加したんだけどμ'sの活躍で入学希望者が増えていったの。けど絵里も頑張ってた。なのに生徒会の皆や生徒誰も見てくれなかった。絵里が間違っていたわけじゃない。間違ってはいなかったけどその当時のμ'sの力が強かった・・・。その存在が大きかった。生徒会長である絵里の力は届かなかった。けど諦めなかった。一人になってもやり続けた。それなら自分もμ'sと一緒に頑張れば存続を可能にできるかもしれないと考えてた。けで当時にそれは出来なかった・・・・・・」
「な、なんでだよ。その時に一緒にやれば・・・・・・」
「絵里は小さな頃バレリーナをやっててね。ダンスが上手かったのよ。その時のμ'sよりも遥かに。その実力を持っている絵里にμ'sはダンスを教えてほしいとお願いしてその日から練習は行われたわ。皆誰も出された課題をクリアできなくて絵里はキツイ言葉を言ってたわ。いや・・・それよりも前のμ's設立の時もキツイ言葉をかけていた・・・。最初は遊び程度にしか見えなかったのよ。他の学校ではスクールアイドルのお陰で入学希望者が増えてたのが事実だった。ならスクールアイドルを始めたらこの学校も救われるかもと考えた。けど絵里はバレリーナで一度挫折した事があるから知っている。『現実はそう甘くは無い』」
「・・・・・・・・・・・・」
「そんな簡単に学校が存続させれたら苦労はしない。簡単じゃないから当時は絵里たちも苦労してたのよ・・・。認めなかった。μ'sの事も・・・・・・。自分たちも頑張っているのになんでμ'sはあんなにも凄いのか。その時ダンスの練習の後にメンバーからμ'sに入ってとお願いされたのよ・・・」
「それで入ったのか?」
「いいえ・・・。絵里は断ったのよ」
「な、なんでだよ!?」
「μ'sも否定してメンバー達の素人さも否定してきた。そんな事言ってたのに今更入る事なんか出来ない・・・・てね。責任を感じていたし、孤独感も感じていた。絵里は完全なる一人になったのよ・・・。誰も認めてくれない・・・。自分から自分を認めることも許さない。放った言葉はもう返ってはこないのよ」
「・・・・・・・・」
「けど私達は諦めなかった。μ'sには絵里が必要だったのよ。学校を救うには絵里の入ったμ'sが必要だったのよ。それで絵里を取り巻いている孤独から救い出してμ'sに入ったって訳。」
「そんな過去が・・・・・・」
「今じゃ思い出話みたいな感じなんだけどね。μ'sも解散したし学校も卒業してバラバラになったってわけよ。私はプロのアイドルもなれたし、希もいい友達ができたって言うし。けど絵里が心配だったのよ。またあの時のクールな感じになちゃってるんじゃないかってね。けどあんたが側にいるんだったら安心できる」
「俺・・・いつも罵倒されたりこき使わされてるだけなんだけど・・・・・・」
「それでも絵里から離れないでしょ?友達も必要かもしれないけどそれより絵里に必要なのは自分を見てくれる『理解者』なのよ」
「理解者?」
「生徒会当時は理解してくれるのが希しかいなくて大学では希も居ないから理解者は現れないんじゃないかって思ってたけどあんたが側にいて一安心したのよ」
「どうして?」
「自分のことをちゃんと理解してくれる人が側にいてくれてるからよ。今絵里の側に必要なのは元μ'sもだけどあの子を理解している隆也・・・。あんたが必要なのよ!」
「!」
「隆也!約束しなさい!」
「な、なにを!?」
「絵里を一人にしないって約束して!あの子は人一倍孤独をしっているから一人になったらどうなるか分からない。だからあんたがずっと側にいてあげなさい!」
「いや、俺恋人役なだけなんだけど・・・」
「そんなの関係ないわよ!あんたがいるから今の絵里がいる!あんたは恋人役だったとしてもたった一人の女の子を守ることもできないの!?」
「そ、それは・・・・・・」
「はっきりしなさい!」
にこから言われた言葉を聞き、拳を握った。
「やってやるよ!!東條からも矢澤からも言われてるがそんな事関係なしに!俺は!絢瀬の友達からお願いされたことを守らないような男じゃねえ!もうここまで来たなら後には退かない!あいつを守るって約束する!」
「言ったわね!男に二言はないわよ!」
「おう!」
俺と矢澤は握手を交わした。この握手には絢瀬の側から離れない覚悟と絢瀬の友達である東條と矢澤のお願いを必ず達成するという決意がこもっている握手である。
「裏切ったら針千本よ」
「そんな小学生のような約束・・・・・」
「誰が小学生よ!」
「お前だよポンコツアイドル!」
「むきぃぃぃい!」
「何を喧嘩してるのよ二人とも」
「食材買ってきたからご飯作るで~」
「ふん!私も料理するわよ!」
「隆也は大人しく正座してなさい」
「は、はい・・・・・・」
元は魔よけになるためとして恋人役いなったのにいつの間にかここまで大きな存在になるとは想わなかった。東條から頼まれた絢瀬を仲良くしてという願いと矢澤からの願いである絢瀬の側を離れない、守るという約束。その感情が入った存在である絢瀬絵里の恋人役。もう俺だけの問題じゃない。二人の想いも詰まった存在になったのだ。ここまで来たら腹を決めなきゃいけない。
アニメの感じで言うと。
「これが運命ならそれに従うぜ」
その後、絢瀬、東條、矢澤と一緒に食事をしてその日はお開きになった。
どうも作者です。隆也はのんたんやにこにーの願いを叶えることはできるのだろうか!みたいな感じになりましたね。いや元々はギャグコメディみたいに書こうと想っていたんですけど気付いたらこんな事になっていました。(後悔はしていない)
絵里の過去を知っていく事につれ隆也の絵里を想う気持ちがどんどん変わっていっています。いつになったら恋心になるのかな~絵里は(そっちかよ!)
そして新しく評価してくださった。
侑聖さん!EATERさん!Aromaさん!クリクリんさん!
ありがとうございます!
次回ですが夏休みに突入します!隆也と絵里にはどんな事をさせようかな~。ぐへへへへへ・・・。おっと涎が・・・フキフキ
ではまた次回お会いしましょう!またな!
感想・評価お待ちしております!