「なによ。マッサージでもしてあげましょうか?」
「まじで!頼むわ!」
「じゃ横になって」
「はーい。エリーチカにマッサージをしてもらえる日が来るとは!嬉し・・・イダダダダダダダ!!」
「え?痛かったかしら?」
「なんでマッサージの時に俺の腰をハイヒールで踏みつけてくるの!?」
「これの方が貴方を気持ちよく出来るかと・・・(別の意味で)」
「気持ちよくなるわけないだろ!(別の意味で)」
現在の時刻。午後5時30分。いつもの俺はこの時間は特にやることがないのでテレビを見て時間を潰していた。『いつもの俺なら』・・・だ。だけど今はそれどことじゃなった。少し前にさかのぼるが俺の家に客人がやってきた・・・それは何を隠そう、俺の恋人である絢瀬絵里だ。外を見れば分かるがとてつもない大雨だ。そんな中バイクで帰ろうとしていた馬鹿な雨女を家に泊めることになった。大丈夫なのかって?大・問・題だ!こんなこというのもアレだけど俺は女の子を家に入れたことがない!一体どう対応したらいいのかさっぱりなんだ。あ、でも絢瀬だったら大丈夫かな?とも思ったけどあの絢瀬だぞ?ほんの少し何かをしたら一体どうなるかわかったもんじゃない・・・。これでも俺は紳士(?)だ。最低限の対応はする。けど相手が絢瀬だからという理由もあるけど緊張で冷や汗が半端じゃない・・・。こいつはこいつで横でテレビ見てるけどよ・・・。しかもだ!俺のTシャツ&半ズボンを着てだ!さっきまで雨で濡れたビショビショの服を着てたからシャワー浴びさせて着させたんだが、色々とヤバイ!ただでさえこいつは美少女だ!がさつで凶暴で俺を這いつかばせる女王様だが女だ!色々と犯罪臭が漂っている!頼む!俺の理性よ!我慢してくれーーーー!!
「隆也貴方さっきから何をブツブツ言ってるのよ」
「現状報告だ。気にするな」
「誰に対してよ・・・」
「絢瀬、日本にはこんな言葉がある・・・。気にしたら負けだという言葉が」
「それくらい知ってるわよ。馬鹿にしてるの?」
「馬鹿にしてる」
「貴方の私への印象がよく分かったわ。ちょっと待ってなさい。今台所にある包丁で貴方を調理してあげるから」
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」
残像が出来るほどのスピードでスライディング土下座。
「分かればよろしい」
「いつか下克上してやる・・・」
「やれるもんならやってみなさい」
「こんちくしょうめ・・・・・・」
こんなやり取りをしていると気付いたら時刻は6時。
「そろそろ飯でも作るか」
「あ、それなら私が作るわよ」
「いいよ客は座ってろ。お前をギャフンと言わせる飯作ってやる」
「そう・・・。期待しないで待っておくわね」
「期待しとけよ・・・・・・」
*料理シーンはカット*
「ほい出来た!俺特製カツ丼だ!」
「ハ、ハラショー・・・。初めて見るカツ丼ね・・・」
「卵が少し黒いだろ?俺特製の調味料を入れたんだ」
「貴方って色々と凄いのね」
「色々は余計だ」
「じゃ、いただきます」
箸でカツを掴み口に運ぶ。
「むぐ・・・・・・」
歯でカツを噛むと・・・。
(お、おいしい!なによこれ!食堂や店で食べるのよりずっと美味しい!カツは完璧にカラッと上げてるしなによりこの卵!フワフワしてるしカツに絡み合って味を引き立ててる・・・。これは私でも作れないわ・・・。隆也に負けてる気がする・・・そんなの認められないわ!)
「で、お味はどうですかな?」
「え!?ま、まぁ・・・いいんじゃないかしら?」
「喋る時はその人の目を見て言いましょうね?絢瀬さん?」ニヤニヤ
「うるさいわね!それ以上言ったらタダじゃおかないわよ!」
「わー!わー!分かった分かった!もう充分に分かったからその目に突きつけている箸を下ろせ!目玉ほじく気か!」
真っ黒黒介見たいな感じで・・・。見たことないけど。
ま、食べてくれて安心した。雨で濡れて寒そうだったからな~。携帯のバイブ機能みたいに・・・・・・。
「ご馳走様でした」
「お粗末さま。さてと次はデザートにでも行こうか」
「デザート?」
「昨日作ったチョコケーキだ」
「いますぐ用意しなさい!い・ま・す・ぐ!」
「チョコの事に関すると目の色変わってるぞお前・・・」
ケーキを皿に盛り、絢瀬の前に出す。
「隆也って、生まれてくる性別間違えてない?」
「よく言われる。料理も家事も洗濯も掃除も出来るときてるからな」
「女の子だったら可愛がってあげるのに」
「断固拒否する」
パクッ
「隆也に負けた気がするわ・・・・・・」
「いやいやそこまで絶望するなよ」
「一生の不覚だわ・・・・・・」
「喧嘩売ってんのかコラ!」
ここで一つ気付いた。
「なあ絢瀬」
「なに?」
「あれだなこうやって一緒に飯食ったりとかケーキ食べたりするのって・・・・・・」
「?」
「本当の恋人みたいだな」
・
・
・
「・・・・・・・・・・っ!?///」ボンッ
絢瀬の顔が茹蛸みたいに真っ赤だ。
「な、なななな・・・何を言い出すのよ!///」
「いや、思ったこと言っただけだけど・・・。そして少し落ちつけ」
「わ、私はそんな事!これっぽっちも思って無いわよ!///」
「だから俺は思ったこと言っただけだ!そしてその皿を下ろせ!ここでチョコケーキでのパイ投げなんか洒落にならねえから!」
「隆也の馬鹿ーーーー!エリチカお家かえるーー!」
「この雨で帰れるのならどうぞ」
「うっ・・・・・・うぅ~・・・・・・///」
今回は俺の勝ちだな(ドヤァ)
恋関係の話をすると顔が真っ赤になる・・・・・・と。メモメモ
「隆也!今度覚えときなさいよ!バイクで轢いてやるんだから!」
「そんなので俺の人生終わらしたくねえよ!」
「いや、今度じゃなくていいわ・・。今殺してあげる!」
「待てーーー!その手に持っているスパナとドライバーを下ろせーー!」
「隆也!覚悟ーー!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
これは後々の事だが、後に俺のアパートの一室は男の人の断末魔の声がゴールデンウィークに聞こえてくるという噂が後を断たなかった。
それから約一時間後。俺は絢瀬の攻撃を逃げ切り休戦協定を結んだ。
「今度同じ事言ったら容赦しないわよ」
「はい・・・・・・・肝に免じておきまず・・・・・・・・・」
スパナとドライバーを持った絢瀬の目の先には畳の部屋に続く扉に頭が挟まった隆也の姿があった。
***
「じゃ風呂でも入れるか。絢瀬先に入れ」
「ならお言葉に甘えて。服どうしようかしら・・・」
「また俺の服貸してやるよ。下着は・・・・・・乾燥機で回しとくから」
「なんだが悪いわね。ゆっくりさせてもらうわ」
「あいよ。ゆっくり浸かってこい。ちゃんと100数えろよ」
「小学生じゃないんだけど・・・」
「それくらい浸かれって事だ。はやく行って来い」
「わかったわよ」
タオルや替えの服を持って浴室に向かう・・・・・・かと思いきや、いきなり俺の方に振り返った。
「なんだよ」
「覗いたら燃やすわよ」
「それは覗けってフリか?」
「寝込みを襲うから覚悟しときなさい」
「言い方が生々しい!それと年取ったらお布団さまの上で普通死ぬけどこの若さでお布団さまの上で死にたくない!」
「ふんっ!」
そうして絢瀬は浴室へと入っていた。
あぁ・・・・・・いつもより疲れる・・・。
約40分後。
「上がったわよ~」
「はいよ。じゃ俺も入るか・・・」
「あ、その前にお風呂の湯を抜きなさい」
「は!?なんで!?」
「貴方みたいな変態の事だから私の上がった湯を飲む気でしょ?」
「お前は俺のどんな偏見を持ってんだ!」
「貴方みたいな男って全員そんなもんでしょ?」
「馬鹿にすんな!さすがにそれは俺でもしない!」
「大学で可愛い女の子を見たりは?」
「それはする」キッパリ
「最低・・・・・・」
「なんでだよ!俺もお年頃なんだよ!」
「私がいるでしょ?」
「どの口が言うか。恋人(仮)だろうが」
「本当は嬉しいくせに~」
「まあ、美少女と一緒にいるのは嬉しいな」
・
・
・
「・・・・・・・へ?///」
「あん?なんだよ」
「なんでもないわよ!このケダモノ!」
「ケダモノ!?」
「早くお風呂入っちゃいなさいよ!」
「へいへい・・・。何を怒ってるんだか・・・・・・」
多分わかった者もいるが教えておこう!隆也は鈍感である。
そして俺は風呂でさっぱりしたのでそろそろ寝ようと思った。だが!ここで重大なミスを犯した。『おれの家には布団が一つしかない!』元々俺の家には他の人が来るとは想定していなかった。やばいぞ・・・。これは非常にやばいぞ。さすがに絢瀬を床で寝かせるわけにも行かない・・・。さすがの絢瀬もこれは焦って・・・・・・。
「私が布団で寝るから隆也は床ね」
「あのですね?ここ俺の家。分かる?」
「貴方は客を床に寝かせると言うの?」
「さすがにそれはしないが・・・・・・」
「なら良いじゃない。これで決定ね」
「あぁ・・・。何時もどおりで安心しましたよ(血涙)」
と言う事で、俺は布団からかなり離れた場所の冷たい床の上で寝ました。え?絢瀬の寝顔?あいつが見せると思うか?家具なんか使って完璧にあいつの領域を作っちまったよ。悔しいかって?クヤシイデス!!
「隆也・・・・・・まだおきてる?」
「おきてるが・・・」
「今日は・・・ありがとね・・・」
「気にすんな。俺は何もして無い・・・」
「貴方は私を簡単に家に入れてくれた。普通なら拒否するところよ」
「拒否?」
「まだあって一ヶ月しか経ってないのに特に仲がいい訳でもなく、本当の恋人でもない。しかも異性同士。普通なら入れないものよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なんであの時、普通に入れてくれたの?なんで助けてくれたの?」
こいつを家に入れたのはこのまま帰らせたら絶対に事故するという結果が見えてたからだ。しかもビショビショ。あのままでいさせたら雨なのに忠告しなかった俺の中に後味の悪いものを残す。だから家に招きいれた。けど・・・本当の理由は・・・・・・。
「助けるのに理由が必要か?」
「え・・・・・・?」
「別にお前だからって理由じゃない。もし他の知り合いだったとしても俺は家に招き入れてるさ。今回はお前だったてだけだ。困っている奴を助けるのに理由なんて必要ない」
「隆也・・・・・・」
「早く寝ろ。俺はもう眠いんだ・・・・・・」
「あ・・・お、おやすみなさい・・・・・・」
「おやすみ・・・Zzz」
(隆也の言葉・・・・・・・・・)
『困っている奴を助けるのに理由なんて必要ない』
「まるで・・・貴方みたいね・・・。『ライダーさん』・・・・・」
俺と絢瀬は深い眠りについた・・・。
・
・
・
翌日
「ふああぁぁ~・・・・・・」
床で寝ていたお陰で少しだけ体を動かしただけであちこちからバキバキと音が鳴る。人間が出していい音じゃないよな・・・。
今の時間は午前7時。休みだからもう少し寝ててもいいがそうしたらダラダラとした生活になってしまう。それは俺が全力で阻止する!
「おい絢瀬~。朝だ・・・・・・・・・ぞ?」
家具で出来た領域を進んでいくと俺のいつも使っている枕を抱き枕にして寝ているあの凶暴な絢瀬がいた・・・。
「俺は夢でもみているのか・・・・・・」
いや完璧に目が覚めている試しに顔面を殴ったが大丈夫だ。問題ない。
「それにしても・・・・・・子供みたいな寝顔だな・・・」
特に涎をたらしながら寝ているとかそうではない。体を横にして枕を抱きしめリズム良く呼吸しながら寝ている。ふむ・・・。これは見ていて飽きないな。
「いやいやいやそれ所じゃない。おい絢瀬起きろ」
「ん・・・ん~?りゅう・・・や?」
「完全に寝ぼけてやがる・・・。ほら顔洗って来い」
「ん・・・・・・・・りゅう・・・や・・・?」
「なんだよ」
(嫌な予感・・・・・)
「えへへ・・・・・・・・・ありがと・・・・・・・・・」
はい?何この子?いつものクール感あふれるあの顔は何処に行った!?いまのこの顔を見てみろ!寝起きでだらしない顔になってるけどなんか可愛い!まるで無邪気な子供もみたいだ!
何に対してのありがとうかわからないが・・・・・・・・・。
「んー・・・・・・ふあぁぁ・・・おはよ・・・・・・りゅう・・・・・・や?」
目をこしこしして起きた絢瀬。半開きだった目が完全に開き、完全に覚醒した。
(あ・・・)
「なんで貴方がここにいるのよ!なんで勝手に入ってきてるのよ!」
「なんで俺怒られてんだ!?お前を起こしにきたんだよ!」
「まだ7時じゃない!しかもこの領域に入らないでっていったはずよね!?」
「聞いてねえよ!しかもここは俺の家だ!俺のルールに従え!」
「私の寝顔を見た罰よ!覚悟しなさい!」
「寝顔ぐらい別に・・・って!その持っているフライパン達を下ろせ!」
「あなたを殺すためならこのフライパンも本望よ!」
「勝手にフライパンたちの言葉を解釈すんな!ではサラバダ!」
「待ちなさい隆也ーーー!」
「いやああああああああああああああああ!!」
二度目の断末魔の叫び。この声によってアパートに住んでいる人達全員が起きたとか起きてないとか・・・。
はい。今回もありがとうございます!お泊り回ですね~。自分もエリーチカとお泊りしたいものです。そしてあんな事やこんな事を・・・。え?本当にするのかって?するわけ無いじゃないですか~やだな〜(ゲス顔)
そして!新しく評価してくださった
十六夜鈴谷さん!セラフィさん!oksさん!かねぎさん!
ありがとうございます!
さてさて、今回の話で気になったのではないでしょうか?エリーチカが言葉に出した『ライダーさん』とは。一体だれなのか!その話もいずれ書いていきますよ~。
次回は隆也にとって大学で更なる難関が襲ってきます。それは一体!そしてあのキャラも姿を現すぞ!
では次回でまたお会いしましょう!またな!
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