【ツンデレ】
今は大学での午前講義が終わって、さあいつものお昼タイム。けど今日は弁当を準備する時間が無くてそのまま大学に来たから昼飯は自動的に学食かコンビニのパンかおにぎりになるんだよな。
「どうすっかな・・・。大学の購買でもいいんだけど高いからできるだけ買いたくないんだけどな」
普通のコンビニでのパンなら100円少しか120円を超えるか超えないかぐらいだが、大学の購買のパンって140が最低金額なんだよな。あれってぼったくりも良いところだ。学生にはもっと優しい値段にしてほしいぞ。
「・・・しかたない。バイク走らせてコンビニかマックス○リューでも行くか」
「隆也。どうしたの?」
教室の机に座ってもんもんとしながら悩んでると、俺の彼女にして超絶美人の絵里が近付いてきた。あれ?今日は学部の女の子と飯じゃなかったか?
「いいのか俺のところに来て?」
「今だけよ。たまたま貴方が眼に入ったから来てあげたとかじゃないわよ」
(それただただ気になったから俺の場所に来たって言ってるもんじゃないのか?)
あ、こいつ耳が赤くなってる。絵里って何かを我慢してるときとか素直になれないときに耳が赤くなるのが癖なんだよな。まあ癖というか反応というか。
しかもそれプラスに顔を少しだけプイッと逸らしてる。
「で?どうした?」
「あ・・・いや、ちょっと・・・ね」
「?なんだよ。言わないとわからねえぞ?」
「そ・・・その・・・」
絵里が自分の鞄をごぞごぞと漁り出し。
「こ・・・これよ!」
「おっ?」
黒いバンダナで包まれた弁当箱を取り出した。
「弁当?」
「ち・・・違うわよ!?ただ私と亜里沙のお弁当を作ってて・・・亜里沙がそこまでおかず要らないって言ってたからおかずが余ったのよ。食べないのも勿体無いから隆也に仕方なく・・・仕方なく!お裾分けしようかなっと思っただけよ!」
「おぉ・・・。絵里の弁当久しぶりだな。いいのか?」
「い、いいから渡したのよ!ちゃんと食べなさいよね!?お・・・おいしく・・・作ったんだから・・・」
顔真っ赤で手をモジモジさせながら言ってるから可愛さが倍増してるんだよなこれ。
多分絵里の事だから俺の事思って用意してくれたんだろうな・・・。
「おう。ありがとな絵里」
優しく頭をポンポンと撫でてやるとさっきよりも顔が赤くなる。まるでトマトだ。
「っ・・・!」
あ、逃げた。
弁当を開けるとと、明らかにおかずの残り物ってほどの量じゃないぐらいのおかずがでてきた。から揚げに玉子焼き、きんぴらごぼうと少しのおから。綺麗に切られているうさぎ型のりんご。あとはホウレン草の御浸し。
から揚げを食べると俺の好きなコショウ多めの味付け。流石に肉汁がじゅわっと溢れたりはしないがそれでも凄く美味い。玉子焼きも白だしを隠し味にしてあった。
はっきり言うとこのおかず全部俺の好物ばっかりだ。こういう心遣いが絵里の優しすぎるところなんだよな・・・。
「また今度絵里にお詫びしないとな。ごちそうさまでした」
うん。凄く美味かった。今度は俺が絵里に弁当でも作ってあげようかな。
スマホでLINEを開き絵里のトーク画面を開く。キーボードをスライドさせて文字を打ち込む。
隆也【弁当ありがとな】既読
既読つけるの早っ。
絵里【全部食べたの?】既読
隆也【おう。全部食べちまったぞ】既読
絵里【その・・・おいしかった?】既読
隆也【おう。凄え美味かった】既読
絵里【あ、当たり前よ!私が作ったんだから!】既読
隆也【だな。また作ってくれ】既読
絵里【べ、別にいいわよ。そこまで言うなら作ってやらない訳にもいかないわね】
隆也【なら、またよろしくな】既読
返信が止んだ。多分顔赤くなって悶えてるところだな。恐らく。
あ、それと・・・。
隆也【俺の為に弁当作ってくれてありがとな。絵里、大好きだぞ】既読
その後、絵里からのスタンプ連打が止まる事は無かった。
+++
【クーデレ】
今日は俺のバイトも絵里のバイトも休みが重なったという事で、久々のデートに勤しむ事となった。いつもは絵里の服を買いに行ったりバイクでそこまで一緒にツーリングしたりなどまあ用途は色々だが、今回は映画を見る事になった。最近上映された恋愛映画を絵里が見たい言い出したのがキッカケだ。まあ確かに俺も久々でちょっとワクワクする。恋愛映画ってワクワクドキドキの他にたまに心がキュンッと締め付けられたりする。アレが俺は嫌いじゃない。
「ごめんなさい。待たせたかしら?」
「いや、今来たところだから大丈夫だ」
「もう、嘘は良くないわよ?」
「ちょっとはカッコつけさせてくれよ」
「ふふっ・・・。ならそうしとこうかしら」
駅での待ち合わせを予定していて、今の時間は待ち合わせの20分前。やっぱり絵里も映画が楽しみだったんだな。多分絵里自分では分かってないと思うけど1つ1つの動作にソワソワとした感じが入っている。しかも少しスキップ気味。絵里って大学では賢い可愛いエリーチカでいるためにクールに立ち回ってるけどこういう2人っきりの時って少し素がでるよな。いや、嬉しいんだけどさ・・・。
「・・也・・・隆也!」
「うぇあ!?ど、どうした?」
「さっきから呼んでるのになんで聞いてないのよ」
「
「もう・・・バカッ。せっかくのデートなんだから楽しんでよ・・・」
「・・・悪い」
ちょっと申し訳ない事したな。
そんな事考えてると、絵里が俺の右手を左手で握ってきた。
「私、今日凄く楽しみにしてたんだから・・・ちゃんとエスコートしないと承知しないわよ?」
(・・・可愛い)
「そうだな。自分に着いて来て下さい。お嬢様」
「えぇ、よろしくね?執事さん」
映画館まで手を繋いで歩いていった。
・
・
・
映画館に入って、俺はポップコーンLサイズとメロンソーダ。絵里はポップコーンSサイズとカルピスを注文し、チケット購入して中に入った。
座席は1番後ろ。真ん中でもいいんだが如何せん人が多いので少な目の後ろの席を指定。
部屋が真っ暗になり早速映画が始まる。この映画は1人の男性会社員がとある駅で困っている金髪クォーターのお姉さんを助けた事がキッカケで知り合って行き、2人の甘くて切ない物語を描いたストーリー。
うん・・・なんだか俺たちと少し似てる気がする。
「・・・・・・・・・」
絵里がうっとりとした眼で映画を凝視している。普通なら映画を見なきゃいけないんだがなぜか絵里の方に目がいってしまう。その整った顔が、綺麗な蒼い瞳が、サラサラとした金髪が俺はとても好きだ。
「・・・・・・見すぎよ」
「お、おう・・・悪い」
確かに見すぎてしまった。絵里が横目で俺をジト目で見つめてくる。しかも少しだけ頬を膨らましてムスッとしてる。メロンソーダを口に流し込み映画に目を向ける。
『貴方が好きです。俺に・・・貴方を護らせてください!』
『私で・・・本当にいいんですか?』
『貴方じゃないと嫌なんです!』
『私も・・・貴方が好きです!』
ついに来た告白シーン。なんだろう、胸がキュッと苦しくなる。やっと恋が叶って感動するシーンなのだが、なんだか俺たち2人との面影が重なって見える。
俺はちゃんと絵里の彼氏としてしっかり出来ているのだろうか・・・。
肘置きに右手を置くと、絵里の左手の小指と俺の右手の小指がちょんっと当たる。
絵里も俺も少しビクッとしたが、徐々に指同士が絡み合い手と手が重なって恋人繋ぎになる。
横目で絵里を見ると、顔が真っ赤になり俯いてしまっている。恥ずかしいのかなと思い右手を離そうとすると絵里の方からギュッと強く握ってくる。更にもう離したくないと言っているのかにぎにぎと俺の手を握ってくる。少しくすぐったい。
「絵里・・・?」
「・・・・・・・・」
呼びかけても反応が全く無い。
うん・・・今はそっとしておこう。
「・・・・・・隆也」
「ん?どうし・・・・・・んむっ」
顔を横に向けて絵里の方を見ると、絵里との顔の距離がゼロになり俺の唇と絵里の唇が触れる。別に激しいキスでもないが、愛を確かめれるぐらいのフレンチなキス。しかも絵里からしてくる事が特に珍しい。
でも場所が映画館で他の人に見られるわけにもいかないので、そっと唇を離す。すると絵里が顔を真っ赤にしながら俺の耳元に口を近づけて呟いてきた。
「ずっと私の事・・・護ってね・・・?」
+++
【ヤンデレ】
「えっと・・・絵里さん?」
「んー・・・?」
「な、なんで俺は押し倒されているのでしょうか?」
「黙ってて」
「うっす」
夜になって今日は絵里が俺の家に泊まりに来てるんだが、来た途端に暗い顔を、いや黒い顔をしながら俺の事をベットに押し倒してきた。そこから俺の体のあちらこちらの匂いを嗅いできて頬や額をグリグリと押し付けてくる。一体どうした?今日はいつも通り大学に行っていつも通りの日常を過ごして明日が祝日だから絵里が俺の家に泊まりにきただけなんだが・・・。
「なあ絵里どうした?今日は何時もより甘えん坊というかなんというか・・・」
「そう?私はいつでも隆也になら甘えられるわよ?時と場所関係なしにね」
「いや時と場所は考えなきゃいけないだろ」
「私は隆也が好き。好きな人とずっと一緒にいたいと思うのはおかしいことかしら?」
「いや、全然おかしい話ではないが・・・」
「なら良いじゃない。んんぅ・・・隆也の匂い好き・・・」
「ぅ・・・少しくすぐったいぞ絵里・・・」
「我慢して・・・。隆也に私の匂いをつけるためなんだから」
(に、匂い・・・)
いや、まあ嫌ではないんだぞ。絵里にこうやってされるの。けどいつも泊まりに来た時にこんな事は中々しないんだ。少し抱きついてきたりするくらいだが・・・。
「ねえ隆也」
「お?」
「なんで貴方から別の女の匂いがするの?」
瞬間、頭を掴まれて絵里の方に引き寄せられた。
「!?」
「ねえ?どうして?どうして別の女の匂いがするの?ねえ?」
「ちょ、ちょっとまて絵里!いっ・・・いてぇ・・・」
女性とは思えない力で俺の頭を鷲掴みにする絵里。しかもその顔を良く見たら目のハイライトが消えている。
怖いけど・・・ちょっとゾクッとしちまった。
「ま、まて・・・ちゃんと話すから待ってくれ・・・」
「・・・・・わかった」
話は一応聞いてくれる感じだな。俺の頭から手を離す。
まあ、俺の体から女の人の匂い?がするのか知らないが、一応心当たりはある。
今日の昼過ぎぐらいに大学の図書館にある、とある参考文献を見ながらレポートを書いてくださいと言われて探してたとき。俺よりも、最悪絵里よりも背が低い女の人が本棚の高い場所にある本を頑張って背伸びして取ろうとしていたんだ。横目でずっと見てたんだがいてもたっても居られなくなって変わりにとってあげようかと近付いたんだ。その時頑張って背を伸ばしてた女の人の足が本棚に当たって高い段においてある本が落ちそうになっていた。
急いで近付いて女の人の後ろから本棚を支えたわけだ。その時俺の胸に女の人が背中から倒れてきて、完全密着。多分・・・そのときの接触でついた匂いだと思う・・・。
その一連の流れを絵里に話した。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・絵里?」
刹那、絵里が俺の首筋に吸い付いてきた。
「ふぁ!?」
「んっ・・ぢゅっ・・・」
「うぁ・・・え、絵里・・・うっ・・」
「ん・・・・・ぷはっ・・・」
机に置いてある手鏡で俺の首筋を見るとそこには真っ赤になったキスマークが1つ。
「絵・・・里?」
「ダメよ。隆也は私のモノよ。他の女には絶対渡さない。匂いも絶対に残さない。隆也、希やにこは仕方ないかもしれないけど出来る限り、いえ・・絶対に他の女と喋っちゃだめ。私だけをずっと見て。私だけを愛して。貴方はずっと私の側にいればそれでいい。愛してる・・・隆也」
「お・・・俺はずっと絵里が大好きだぞ?他の女の子を好きになったりしない」
「本当?」
「本当だ」
「嬉しい・・・けど、それだけじゃ信じられない・・・だから・・・」
「だから・・・?」
また首筋にキスマークかと思ったら・・・。
「・・・・・・・・・がぶっ!」
「いッッ!?」
吸い付くでは無く・・・『噛み付いてきた』
首の肉に絵里の歯が喰い込み、そこから真っ赤な鮮血が溢れてくる。それが首筋を伝っていき俺の鎖骨部分まで流れてくる。
「じゅるっ・・・じゅるるる・・・んくっ・・・ぢゅっ・・・」
まるで吸血鬼のように俺の血を吸い取っていき、綺麗に喉を鳴らしながら俺の血を大事に大事に飲み込んでいった。
「・・・・・・ごくっ・・・ぷはっ・・」
俺の首筋から顔を離した絵里が俺の目を見つめてきた。その蒼い瞳はいつもより輝いており、艶かしく感じた。まるで獲物を捕らえた捕食者かのよう、それか好きなものをやっと手に入れて喜んでいる子供、はたまた・・・。
肉を貪る肉食獣のようだ。
それの証拠に、唇の端から垂れていた俺の血を舌で舐め取った。
「隆也・・・私だけの隆也は・・・・・・誰にも・・・」
【ダレニモワタサナイ・・・】
+++
「・・・・・・という夢を今朝見たと言うわけだ。いやぁ、色々な絵里の一面が見れて俺は楽しかったけどな。はははっ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
その後、俺に噛み付いた首筋のところを涙目になりながらずっとペロペロしてきた。
はい。久々にこちらの方で投稿しました。
皆さんはどのデレが好きでしょうか?自分はツンデレが1位かもしれないです。いや、この頃ヤンデレもいいかもと思ってきてるので断定できませんが、今の自分の中ではツンデレですね。
今回ツンデレ、クーデレ、ヤンデレを書いてみましたが似ていたでしょうか?もしかしたら違うかもしれないのであしからず。
絵里のデレなら何でも大好きです。はい。
では!今回はここまで!
感想・評価お待ちしております!
では・・・またな!