絢瀬絵里に出会った   作:優しい傭兵

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さて、最終章書いていきますか


ロシアでの

 

 

兵庫県での里帰りも終わり、大学も新学期に入った。

季節も秋に入り、灼熱の夏から涼しい時期に移っていった。

秋といえば食欲の秋などスポーツの秋などとよく言われるが、俺にとって秋は1年で唯一心を休める事が出来る季節だと考えている。この季節は紅葉が綺麗に見れる時期だからそこで景色を眺めると凄く体を落ち着く事が出来る。あとお茶や栗料理が美味しい。甘味類なら栗きんとんだな。あの甘さが大好きだ。

今度栗でもとって絵里に作ってもらおう。多分作ってくれるはず……。

いや、1期の終わる前にあったテストの点数がそこまでよくなかったからもしかしたら作ってもらえないかも知れない……。

まぁ今度ダメ元でお願いしてみよう……。

 

そして俺は教室のドアを開ける。そこには俺の所属する学部の人数の殆どが集まっていた。

 

もちろんその中には俺の彼女の絢瀬絵里の姿も見える。

 

 

 

「おはよう絵里」

「おはよう隆也。集合時間ギリギリよ?また寝坊しかけたんでしょ」

「あー…いや大丈夫寝坊じゃない。おそらく…多分…まぁ…その…」

「正直に話したほうが身のためよ?」

「はいすみません寝坊しかけました」

「よろしい。けど夜遅くまでなにしてたの?」

「筋トレしてたら夜中の2時になってた」

「貴方は頭本当に筋肉で出来てるんじゃないの?」

「新学期の朝から毒のある台詞どうも……」

「ちゃんと寝なさいよ?心配しちゃうから……」

「はいはい。気をつけますよ」

 

 

いつもの席に座り学部の教授を待つ事数分。

 

 

 

「じゃあ出席取りますよ~」

 

 

 

久しぶりの大学生活がスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで連絡は以上です。それと明日にですが他の大学からの2週間ほどの他大学体験講義で大学に10人ほど来ます。その内の1人がこの学部に来ますので仲良くしてあげてくださいね」

「先生!その人って男ですか?女ですか?」

「かなりイケメンなクソッタレ野郎らしいですよぉ」

 

『キャーーーーーー!』

『ちぃっ!!!!』

 

 

あるあるだよなこれ。イケメンとか美少女が来るとかで騒がしくなる感じ。っていうか教授?今クソッタレ野郎って言ったよな?教授がそんな事言って良いのか?更にはだが女どもの口から黄色い声が教室内に木霊し、男どもから超不機嫌な舌打ちが響いた。多分女の子を期待してたんだよなお前ら。大丈夫、諦めなかったら希望はあるから。保証はしねえけど。

 

 

 

「へぇ~そんな制度があるのね」

「まあそんなに気にする事でもないしな俺たちからしたら」

「少し興味あるかも………」

「……………………絵里さん今なんと?」

「そのイケメンな男の人」

「え?そこ?」

「私だってイケメンな男の人に興味あるに決まってるじゃない」

「あのね?俺貴女の彼氏なんだけど……?それ普通彼氏の前で言うか……?」

「え?」

「え!?」

(なにこのやりとり?やべ…泣きそう……)

 

「あははっ!冗談よ。ごめんね?」

「マジで泣きそうになった…絵里怖い……」

「ちょっとやりすぎたわね。今日美味しい晩御飯作ってあげるから許して?」

「……おう…」

(隆也……流石にチョロイくないかしら?)

 

 

 

 

 

 

「ですので明日も気をつけて且つ遅刻しないように。それと掲示板に新しい講義内容を記載してるのでしっかり考えて時間割を組むようにしてください。それでは今日はここまでです。お疲れ様でした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ時間割はおいおい決めていくか。期日まで少しだけ時間あるし」

「そうね。あ、公務員試験対策っていうのがあったからそれ受けるわよ」

「はいはい」

「はいは一回よ」

「はいよ」

 

 

今日は連絡事項だけだったから大学での講義は無い。あとやることとしたら自分のロッカーの整理とかかな。ま、それも終わったから暇なんだけどな。

 

 

時間ができた俺と絵里は大学の食堂で軽い昼飯を食べている。今日は俺はカレーライスを、絵里は日替わりランチ。特に講義が無いからお互い弁当は作ってきていない。

そして今回は俺の横に座っているオマケ付き。

 

「いや~編入生もどきが明日来るんだよな~。どんな奴だろうな?」

「さあな。たった2週間ぐらいなんだからそんなに仲良くするつもりはない」

「とか言いながら隆也。心のどこかで楽しみにしてるんじゃないのか?」

「してない。断じて。お前のから揚げ食ってやる」

「あ!この野郎!俺の好物を取るな!!」

「ちょっと貴方達!ここ食堂なんだから大人しくしなさい!」

 

 

俺の横に座ってるのは俺の大学での友人『神崎煉(かんざきれん)』。ひょんな事で仲良くなり、よく一緒にラーメンや寿司や焼肉などなど。よく一緒に飯などを食いに行くほどの仲。体格はほぼ俺と一緒で、ツンツン頭が特徴。

絵里がμ'sのメンバーだという事も知りながら絵里と対等に喋ってくれる唯一の同い年の男性。こいつ曰く『それがどうした?』と抜けた発言をするほど。

そのお陰で絵里とも仲良く喋っているところを見ることもチラホラ。

けど俺と絵里が付き合ってる事は知ってるので、出すぎた事は一切していない。そこのところの歯止めはしっかりと利く。俺よりのバカだけど。

 

 

 

「いいだろ俺のカレーライス一口あげたんだから」

「全然量無かったわ!しかもさっきのから揚げ食堂のおばちゃんが作ってくれた中で1番大きかったやつだぞ!」

「マジで?」

「マジだ」

「まあいいか」

「よくねえよ!そのカレーライス食ってやる!!」

「げっ!この野郎返しやがれ!」

のごごふ!んがふ!(させるか!返さぬ!)

 

だがこんな事してると……。

 

 

 

「いいかげんにしなさい!!」

 

『へぶがはっ!!』

 

 

お嬢さまの怒りを刺激するのも勿論のことである。

因みに今回の鈍器は折りたたみ傘である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何かいう事あるわよね?」

『誠に申し訳ございましぇんでした……』

「よろしい」

 

日々日々絵里の俺を殴る力が強くなってる気がする……。

 

「隆也も煉くんもここが大学だってこと忘れてたわよね?他の人にも迷惑が掛かるってこと分からなかった?」

「いや、こいつが俺のから揚げを取るから……」

「俺のカレー食ったから……」

 

 

「誰が言い訳をしていいと言ったかしら?」

 

((理不尽……))

 

「食堂ではお静かに…OK?」

『サー・イエッサー』

 

今回は俺たちが悪いがここまでされるのは解せぬ。

 

 

 

「あ、俺のツレから聞いたんだけどよ」

「ん?」

「どうやら俺たちの来る奴ってハーフらしいぜ?」

「え?ハーフ?」

「それどこ情報だよ」

「その大学に友達が居るらしくてさ。そいつから根掘り葉掘り聞いたらしいぜ」

(根掘り葉掘り…)

「そいつの特徴ってなにかある?」

「えーっと…」

煉はスマホをスライドしていき数秒たってそれをピタリと止める。

 

「身長177センチで体重64キロ。髪の毛が綺麗な白髪で整った顔。因みに髪は地毛。んで目が赤?いやちょっと濃い紅色かな」

「えっ……?」

「絵里?どうした?」

「あっ!いや…なんでもないわ」

「?」

煉の一通りの説明を聞いた絵里の顔色が少しだけ青くなったのを俺は見逃さなかった。

「んで続きある?」

「ん?えーっとこれは特徴じゃないけど成績は優秀で運動もできてそしてモテる。死ねば良いのに……」

「だなリア充死ね」

「お前もリア充だろうが」

「え」

「んで、武道では合気道をしてたらしいぞ」

「うわぁ…ケンカしたら勝てないな」

「いやケンカなんてすんなよ!」

「隆也。合気道ってどんな武道なの?」

 

 

ロシアのクォーターの絵里も流石に分からないかと理解した俺は簡単に説明した。

 

 

 

 

「合気道っていうのは柔道、空手、剣道と違って自分からの攻撃をしない武道のことだ。この武道はやっかいなやつで相手の体格、体力、強さ関係なしで相手を倒す事が出来るんだ」

「え?それって反則級じゃない!」

「俺もそこまで詳しいって訳じゃないんだが体の運用を利用してこれぞという力を使わずに相手を投げ飛ばしたり固め技をしてくるんだ。150センチの人間が180センチの人間を投げ飛ばしたっていう話を父さんから聞いた事がある」

「もう無敵じゃね?それ」

「もし俺が相手しても多分勝てないな。合気道は相手の呼吸に合わせて相手との接触点が離れないように保って円の動き……螺旋って言ったほうが早いな。その動きで相手の重心や体勢を崩す方向に持っていって無駄な力を使わずに流れるように相手を屈する事が出来るんだ」

「チートだな」

「柔道は投げ技類、空手は打撃技類、剣道は剣術、そして合気道は攻撃を受け流す。大概の攻撃は返されるか流される。ほぼカウンター類だな」

「そいつのモテる理由もしかしたらそういうので女の子守ってきたからじゃねえのか?」

「かもな」

「やはり時代は武道なのか……」

「そんな気を落とすなよ。お前もいつか彼女ぐらいできるって」

「そうだといいんだがなぁ…………ぐすん…」

 

合気道か。多分俺じゃ勝てないっていったけど訂正しよう。絶対勝てない。ありとあらゆる攻撃をしても絶対にひっくり返される。メタルギアのCQCかよ。スネークかよそいつ…。

 

 

「ねえ煉くん」

「ん?」

「その男の人ってどの国とのハーフなの!?」

「お、おい絢瀬落ちつけ。そんな焦らなくても教えるから」

 

それとこの話をしてから絵里の様子が少しおかしい気がする。焦っているのもあるが。

 

『怖がってるみたいだった……』

 

 

「えっと…確かこいつは………」

 

 

 

そして煉の出した言葉を聞いた瞬間、絵里の顔に大粒の汗が流がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本とロシアのハーフらしいぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「なんだったんだろ絵里のあの態度」

「そんなに普通じゃなかったん?ロシアの単語があかんかったんかな?」

「ロシアだけであーなると思わんが……希なにか知らないか?」

「んー…ロシアではバレエしてたとか話は聞いたことないなぁ」

「そっか…」

 

俺は絵里の事を1番知っている少女である希がいる神田明神に来ている。煉との話で見せた絵里の表情がどうにも頭で引っかかってモヤモヤする。

 

「エリチのことやからまた1人で抱え込んでるんやろうね」

「一応何かあったのかとか聞いたんだけど『なんでもないわ』しか言ってくれなかったんだ」

「まったくエリチは……。一応ウチの方でも話きいとくね」

「悪いな希」

「ええよ。こういうのは女の子同士の方が聞きやすいっていうのもあるから」

「間違いない。適材適所だな」

「分かったらすぐ連絡するわ」

「おう。頼んだ」

 

希に軽く手を振り神社の鳥居を通り階段を下りていった。

 

 

 

「絵里…俺に何か隠し事でもしてるのか……」

絵里と付き合って数ヶ月はたったがやはりお互いを完全には理解していないのかもしれない。だけど俺は絵里の彼氏として隠し事は出来る限りして欲しくないと思ってる。人間だれしも言いたくない事はあるだろう。けどあんな態度されたら聞きたくなくても聞きたくなってしまう…。

いや、いや…それはデリカシーが無さ過ぎるか。束縛彼氏になっちまう…。

 

(絵里、俺はお前の味方だ。だから、出来る限り俺を頼ってほしい・・・。力になるかは分からないが)

 

 

 

そんなことを考えながら歩いてると気付いたら家に到着していた。

 

家の扉の鍵を開けると同時にスマホの着信音がなり、画面を覗くとそこには『東條希』の文字。

 

「以外と早かったな」

 

 

LINEの内容は………。

 

『ちょっとロシアの頃を思い出してただって』

 

 

 

「ロシア…か」

 

 

 

それが一体どういった意味なのかは今の俺には理解できていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

そして翌日。

 

昨日のことを夜ずっと考えながら大学に登校する。横には絵里もいるが、顔の表情が中々よろしくない。なにかを心配しているかのような、それか今内心で思っていることが起こらないように願っているかのように感じる。

俺はその絵里の頭を優しく撫でた。

 

「隆也?」

「まぁ、なにかあったのかは聞かない…今はな。けど決心してくれた時でいいから話を聞かしてくれるか?」

「…うん…。ごめんね?心配かけて……」

「大丈夫だ。だからそんな顔すんなよ。俺もなんか元気なくなっちまうから」

「そう・・・ね。出来る限りいつも通りにしてみるから」

「空元気は好きじゃないけどな」

 

ポンポンと頭を撫で昨日と一緒の今日室に入り席に座る。横で絵里がそわそわしてるから他の奴らにばれないように手を握る。すると絵里も握りかえしてきて安心したのか微笑み返してくる。うん…まあこれで元気出してくれたならいくらでもしてやるよ…。

 

 

そして教授が急ぎ足で教室に入ってきた。

 

 

 

「はい、おはようございます。昨日連絡したとおり他大学のイケメンで成績優秀スポーツ万能の非リア充からしたら完全なる敵である学生が今日から皆さんと一緒に講義を受けることになってます」

 

『キャーーーー!』

『ケッ!!!!』

 

教授さん凄い煽るな。しかもなんかこの光景どこかで見たことがあるような…。

 

 

 

「じゃ、入ってきて」

 

ガラリと扉が開き、昨日煉から聞いた通り白髪で俺とほぼ同じぐらいの体格の男がゆっくり入ってきた。

そしてその男は教授の横に立ってホワイトボードにペンで名前を書いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー・・・○○大学から来ました。青山 (たくみ)です。少しだけの期間ですがよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

その男、青山は綺麗なお辞儀&女性陣にウインクをプレゼント。瞬間女性陣はさっきよりも甲高い黄色い悲鳴を上げた。

 

 

「え!?予想してたより美形なんだけど!」

「しかも綺麗な白髪に凄く輝いてる紅色の瞳!」

「イケメン万歳!!」

 

 

 

 

 

「へぇ、予想してたよりイケメンじゃん。な?隆也」

「え?あー…そうだな。絵里お前の評価は………どう……だ……?」

 

 

 

絵里の方を見るとさっきまで見ていた微笑んだ笑顔は消え失せていて変わりに驚きの表情になっていた。

そして青山は教室をキョロキョロし俺と目が合った。

 

 

「…………」

(ん………?)

 

 

一瞬睨まれた気がしたがすぐに視線を逸らし俺の横に座っている絵里を見つめ手を振りながら近付いてきた。

 

 

 

 

「あ!絵里!久しぶり!」

 

 

 

『え……?』

 

 

 

俺含め、教室全員の心と言葉が一致しその視線はその2人に注目した。

 

 

「絵里、ずっと会いたかったよ。元気にしてた?」

「え、えぇ…匠も元気そう……ね」

「あぁ、もう絵里と会えなくなって心配してたんだ。μ'sのことも知ってる。あんなに輝いてる絵里を見たのも久しぶりだよ!」

「わ、分かったわ…。だから後で話しましょ?ね?」

「ん?あー…そうだな。その方が都合が良い(・・・・・)な」

(都合が良い?)

 

 

「あー…青山くん。思い出に浸るのもいいですが先に連絡事項を伝えたいのですが…」

「あ、すみません。ちょっと興奮しちゃって」

「大丈夫です。ちょっとこちらに来てください」

「はい」

 

 

 

 

青山は絵里から離れて教授の方へと向かう。離れた瞬間絵里は電池の切れた人形のように椅子にストンっと座りこんだ。

 

 

 

 

「なんだ…あいつ」

「なんか絢瀬のこと知ってる感じだったな」

「あぁ、しかも幼馴染みたいな感覚で………」

「絢瀬。あいつ誰だ……?」

 

 

 

 

 

 

 

「なんで…貴方がここに居るのよ…」

「絵里……?」

「あの時……別れたのに…」

「別れた………?」

「隆也、私あなたに1つだけ隠してた事があった。けどこれはできるなら貴方には知って欲しくなかった事なの…ごめんなさい……」

「絵里、顔色悪いぞ?俺は何も怒ってねえよ。大丈夫だから落ちつけ」

「本当にごめんなさい……もしかしたら先に話していた方が良かったのかもしれない……」

 

絵里は弱々しく俺の右手を両手で握りこんでうっすら涙目で俺を上目遣いで見つめてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼……青山匠は………ロシアで出来た……………私の嫌いな………元彼氏なの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、この世の時間が止まった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。絵里の元彼です彼は。かなりぶっとんだ話だと思いますがそこは気にせず←
一体彼はどんな人物なのか、絵里との関係は、そして隆也とどうなるのか。
これからはそれを書いていこうと思います。よろしくです。



そして今回新しく評価してくださった!
白月姫さん!あ  んさん!ありがとうございます!


大学の試験が終わっても今も大学に行く事がたまにあるのでなんとか頑張って書いていこうと思います。さぁて…面白くなってきたぁ……。




それでは今回はここまで!
感想・評価お待ちしております!



では……またな!

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