絢瀬絵里に出会った   作:優しい傭兵

27 / 51
結婚までの修羅場???

東京。

 

日本の首都である大都会。この場所で、嘗てスクールアイドルのトップに君臨した『μ's』が最も名を轟かせた場所。μ'sのメンバーは高坂穂乃果、南ことり、園田海未、星空凛、小泉花陽、西木野真姫、矢澤にこ、東條希、絢瀬絵里。若者にその名を聞けば10人中8人は『知っている』と応えるのではないだろうか。

 

この物語はμ'sが有名になった年から約7年後の話。

 

 

東京のとある一軒家の表札に書かれている名前。

 

 

 

『横山』

 

 

 

この家には横山隆也という男性と、その男性と結婚した横山絵里、旧名絢瀬絵里の住んでいる愛の巣である。

 

 

 

 

 

これは、その2人で過去を振り返りながら語られる結婚後の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま・・」

とっぷりと暗くなった夜に俺こと横山隆也は、重くなった足を無理矢理動かしながら帰宅することができた。今日も今日で残業が入ってしまいいつもの帰る時間より2、3時間ほど遅れてしまった。

「流石に寝てるか・・・」

なんていったって今の時刻は11時前。よい子も悪い子も大人も眠りに入っている時間である。『彼女』もいつもの時間なら寝ている・・・・・・と思っていた。

 

 

「あ!おかえりなさい!」

部屋の奥からパタパタと小走りしてくる女性。ロシアのクォーターで綺麗な金髪をポニーテールに纏めている俺の恋人で今は俺の嫁、奥さんになった。

 

 

 

 

「起きてたのか、絵里」

 

絢瀬絵里である。

 

 

 

 

 

 

「夜遅いから寝てればいいのに」

「夫を待つのは妻の務めよ。今日もお仕事お疲れ様」

「あぁ。父さん俺のことこき使うからさ」

俺の今の職業は警察官である。大学を卒業して小さいころの憧れだった父さんと同じ職業である警察官になる事が出来た。まだ凄く偉いという地位には着いていないが愛する絵里の為に日々頑張って馬車馬の如く動いている。日々俺の父さん、今は警部になって俺はその警部直属の部署で汗水&血を流して働いている。

絵里は公務員になり東京の市役所で働いている。大学で公務員試験に合格して大学を卒業してすぐそこに勤める事ができた。賢い可愛いエリーチカという名前は伊達ではなかったということか・・・・・・。

 

「今少し失礼なこと思ったでしょ?」

「な、なんのことかな!?ハハハハ・・・」

「本当かしら?まあいいわ。ご飯温めるから座ってて」

「おう」

鞄を置き服装を楽な状態にし凝っている肩を自分の手でマッサージしながら椅子に座る。父さんに「お前はまだ特訓が足りん!」って言われて柔道でこの頃よく投げ飛ばされてるからな~。

「明日は待つに待ったお仕事がお休みの日ね。ゆっくりできるじゃない」

「頑張って耐えた甲斐があったよ・・・久しぶりに絵里と一緒にいれるからな」

「も、もう!///恥ずかしい事言わないでよ・・・」

(そ、そりゃあ一緒にいれるのは凄く嬉しいわよ?この頃『隆也成分』が足りてないから・・・」

「隆也成分?」

「え!?私今声出てた?」

「モロにな」

「り・・・」

「り?」

「隆也のばかああああ!!///」

「ぅわっちゃいいぁあ!!」

台所で準備してくれていたあっつあつのおにぎりを顔面に投げつけられ、目が火傷したんじゃないかってくらいの激痛に襲われ地べたでゴロゴロと転がりまわる羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿・・・最低男・・・クズ・・・・・生ゴミ」

「どんどん口が悪くなっている・・・・・・」

「ふんだ・・・」

晩飯はしっかり食べる事は出来たがさっきから絵里がずっとこんな感じだ。いじけるところも可愛いぞと言ってやりたいが次は何を投げてくるのか分からないので言わないようにしとこう・・・うん。

「ほら絵里。機嫌直してくれよ。な?」

「むぅ・・怒ってないわよ・・・」

ツンデレなのか?見た感じ怒った表情してるのに手招きすると俺の胡坐の中にすっぽりと納まりスリスリと顔を胸に押し付けてくる。

「ツンデレ絵里・・・大好きだ」

「私も大好きよ。隆也のこの包容力」

「包容力・・・・・・?」

男に包容力ってあっていいのか?

「あ!そうよ隆也!今日これを見つけたのよ!」

「ん?」

絵里の持っているのは少し厚みのあるアルバム。

「あ、懐かしいなそれ。よく見つけたな」

「今日速めに仕事が終わったから家の中を軽く掃除してるときに見つけたのよ」

「なんという偶然。久しぶりに見ていくか」

ページをペラペラと捲っていくと懐かしい写真が顔を出してくる。

 

 

 

 

 

「これ懐かしいな。初めて絵里と海に行ったときの写真」

「私が隆也を後ろからバイクで追いかけたわね。道を間違えたから」

「間違えただけであんなに必死に追いかけてこなくて良かったのに」

「ちょっとムカッと来たのよ」

「理不尽だ」

また1枚ページを捲ると。

「これは私達が付き合い始めて始めて取ったツーショットね」

「この時も思ったけど初めて会ったときと比べて絵里凄い変わったなと思うな」

「そんなに私変わったかしら?」

「自覚なしなんだな」

「凄く普通なんだけど・・・」

(あの時は俺が初対面の人間だったからかな?元は今の状態で初対面の時は初めてあう人間に対する対応なのかな・・・まぁ、深く考えない)

 

 

そしてまた1枚捲ると。

「やっぱり・・・これが1番心に残ってるな」

「そうね。今までの人生の中で1番幸せだったわ・・・」

「凄く緊張したけどな」

 

写真に写っているのは結婚式の時の俺たちだ。ウェディングドレスを着ている絵里とタキシードを着ている俺。この時は絵里から目が離せなかった。綺麗で可愛くて美しくて、俺は絵里のことを愛しているんだなと深く自覚することができた。

「私・・・凄く夢だったのよ。愛している人と結婚式を挙げるのを・・・」

「そっか。願いを叶える事が出来たんだな」

「隆也には今も感謝してるわ」

「ありがとな。まぁ・・・この結婚に至るまで苦労したけどな」

「そうね。隆也のお父さんに結婚は簡単に認めてもらえたけど・・・」

「絵里の親父さんがな」

「今でも記憶に残っているわ」

 

 

 

そう・・・結婚に至るまでで最強の難関だったのが・・・絢瀬絵里の親父さんとの対面だった。

 

 

 

 

***

 

 

約3年前。俺と絵里は無事に大学を卒業する事ができ、就職した職場でも安定してきたので俺は絵里と結婚することを決意した。貯めて貯めた貯金で指輪を購入し、絵里にプロポーズをした。

 

 

 

 

「絵里・・いや、絢瀬絵里さん・・・・・俺は、横山隆也は今でも貴女のことを愛しています。これからも・・・俺の側にいてくれますか?」

指輪のケースから指輪を見せながらのプロポーズ。告白した瞬間絵里は数十秒ぐらい固まって無表情だったが、瞬間。

 

 

涙を流して喜んでくれた。

 

 

「やっと・・・言ってくれた・・・。横山隆也さん・・・・・・私、絢瀬絵里は貴方の事を愛しています。これからもずっと貴方の側にいさせてください・・・」

どんどん溢れてくる涙を拭いながら答えてくれた。俺は誓った。この人をずっと守っていこうと・・・・・・。

 

 

プロポーズは見事に成功し、残りは両方の親への報告だ。俺の父さんと母さんに報告したら、止める事もなければ褒めてくれるわけでもなく。

 

『『やっとか』』

 

の一言。両親そろってアバウトだな・・・・・・。

 

 

 

「初めて隆也のお母さんに会ったけど凄く若くて綺麗な人よね」

「なんで俺の母さんを見た奴は若いっていうのかな・・・」

「え?年を考えたら若いんじゃないの?」

「俺の母さんの年齢教えてやるよ」

「う・・・うん」

「○○歳」

「え・・・・・・」

「信じられるか?」

「・・・・・・今から若さの秘訣を教わってくるわ」

「待て待て待て待て!!」

目の色が変わった絵里を止めるのに苦労したのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

次は・・・・・・。

 

 

 

「絵里のご両親に挨拶だな」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

その日は絵里の一通のメールから始まった。

 

『私の両親がロシアから帰ってきたから婚約の話を報告しましょ』

 

俺はすぐに恥ずかしくない格好に着替え、急いで絵里の家に向かった。

玄関の前に到着すると、得体の知れないオーラのようなものに体が反応したのかインターホンを押す事を躊躇してしまった。

(ここで止まってんじゃねえよ・・・覚悟をきめたんだろうが)

 

ピンポーンッ

 

 

数秒後。

 

 

「どちら様?あ!貴方が絵里の彼氏さん?」

「あ、え、そ、そうです!!」

 

出迎えてくれたのは絵里そっくりの大人の女性。絵里よりも背が高く綺麗な金髪を背中まで伸ばしていた。

 

「絵里のお母さんですか?」

「そうよ。いつも絵里の側に居てくれてありがとう」

「い、いやいや!俺の方こそ絵里によくしてもらってます!」

「そうなの?絵里も大人になったわねぇ。こんなイケメンな彼氏を捕まえて」

「い、イケメンじゃないですよ!?」

「ふふふっ、そうやって慌てるの可愛いわよ?」

(ヤバイ!絵里のお母さんのペースに乗せられて何て言ったらいいのかわからない!)

そんなやりとりをしていると・・・・・・。

「ちょっとお母さん!隆也の事困らしたらダメよ!」

凄い勢いで絵里が走ってきた。

「あらあらごめんなさい。どんな人なのか気になったものでね」

「もう!///」

絵里のお陰で何とか助かった・・・・・・。そのまま絵里に導かれリビングに向かうと、背中を向けている男性と絵里の妹の亜里沙がいた。

「あ!隆也さん!お久しぶりです!」

「亜里沙。久しぶりだな、元気にしてたか?」

「はい!あれ?隆也さん少しの間しか会ってないのに背が伸びてませんか?」

「え?そうか?」

「180あると思いますよ?お姉ちゃんと幸せな時間を過ごしたから背が伸びだんじゃないんですか?」

「それで背が伸びたら世界中の背が低い男共が一心不乱に彼女を作り出すぞ・・・・・・」

「私も隆也さんみたいな彼氏が欲しいなぁ~。お姉ちゃんから奪っちゃおっかな?」

「ちょっと亜里沙!いくら妹でも隆也は渡さないわよ!」

(亜里沙・・・少し見ない間に色々と覚えたんだな・・・・)

小さな子供って色々と覚えていくから怖い・・・・・・。

 

「お父さん!隆也が来たから紹介するわ」

「ん・・・分かった」

背を向けていた絵里のお父さんが此方を振り向いた。俺よりほんの少しほど背が高く、がっしりとした肩幅に太い腕。男らしい顔つきに綺麗な黒髪。

「隆也!この人が私のお父さんよ。名前は『絢瀬真太郎』」

「よろしく・・・横山隆也くん」

「よ!よろしくお願いします!」

 

 

俺は瞬時に深く頭を下げた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

ソファーに座らせてもらい絵里のご両親と面と向きあう。

 

「さて、今日は報告があるんだって?絵里」

「えぇ、それは・・・」

「絵里、俺が言う」

絵里より先に言わせるわけにはいかない。

 

 

 

 

「俺・・・僕は絢瀬絵里さんを愛しています。どうか・・・娘さんと僕が結婚することを許してもらえないでしょうか?」

「「・・・・・・・・・・・・」」

無言、ただそれだけだった。絵里のお母さんは俺をじっくりと見た後、ニコッと笑み浮かべてくれた。だが、絵里のお父さん、真太郎さんは全然表情を変えていない。

「私は良いと思いますよ。ね?あなた?」

「・・・・・・・・」

お母さんは良いという答えを出してくれたが、真太郎さんは口を開こうとしなかった。

「お父さん・・・・・・」

「あなた?」

「私と隆也くん以外、別の部屋に行ってなさい」

真太郎さんの一言で絵里、亜里沙、お母さんは席を外した。

 

 

 

 

 

「隆也くん」

「はい」

「君の事は絵里からよく聞いている。大学在学中に絵里を守ってくれたと」

「はい・・・」

「まずはそれに礼をいいたい。ありがとう」

「・・ありがたいお言葉です」

真太郎さんの一礼はとても貫禄があるように感じる・・・・・・。

「私と妻は事情で今ロシアに滞在している。できることなら絵里と亜里沙の側にずっと付いてあげたい。だが今はそれができない状態にある。その中絵里を守ってくれる男性が出来て私は安心している」

「安心・・・・・・」

「その絵里と君が結婚する。それは大いに大賛成だ・・・・・・」

「それじゃあ・・」

結婚を許してもらえるのですか?と聞こうとしたが真太郎さんの言葉が先に出た。

 

 

 

 

「だが、君にその覚悟はあるか?」

「覚悟?」

「絵里と結婚する。そうしたら今まで以上の重みを背負うことになる。私も妻と結婚する時にそれを思い知らされた。それがどれだけ大切なのかと言う事も・・・・・」

「はい・・・」

 

次の真太郎さんの言葉は、ずっと心に残っている。

 

 

 

 

 

 

「男は、歳いくたびに人に頼られる事はあっても、人に頼れない立場になってくる。人に頼れないという事は、全部自分でするという事・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「君に絵里を含め・・・それ全てを背負う覚悟があるか?」

「・・・・・・・・・」

 

 

覚悟。真太郎さんの言葉が凄く重く感じる、今はこれぐらいかもしれない・・・これからはそれがどんどん重くなってく・・・・・・。絵里を守っていく・・・これから先の人生・・・それが出来ないと絵里を守っていく事など到底無理だ・・・。男には・・・どんな困難なことがあってもやらなきゃいけない覚悟がいる・・・。

 

 

俺は・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

「隆也!!」

 

 

絵里が隣の部屋から飛び出してきた。その目にはうっすらと涙を浮かべている。ずっとこの話を聞いていたんだろう・・・・・・。

 

 

(絵里・・・・・)

 

 

 

 

 

「俺は・・・・・・」

「ん?」

「絵里を守る覚悟や・・・一緒に生きていくという覚悟。その覚悟すら受け止める所存です。これから絵里と歩んでいく道に後悔という言葉なんて出させない。絵里は俺の人生の中で始めて心の底から愛していると思えた女性です」

 

 

 

俺は・・・・・・真太郎さんの目を見て応えた。

 

 

 

 

 

 

「覚悟すら受け止められない男にはなりたくありません・・・。絵里を守るために、真太郎さんよりも絵里を守れるほどの強い男になる・・・俺を此処まで育ててくれた俺の父さんのように・・・絵里をずっと守ってきた真太郎さんのように・・・今度は俺が『守られる』側の人間などではなく『守る』側の強い人間になります。それが・・・俺の覚悟です」

 

 

 

 

 

 

 

 

少しの静寂の後・・・真太郎さんが口を開いた。

 

 

 

 

「その言葉だけで充分だ・・・・・・その言葉・・・しかと受け止めた・・・隆也くん」

「はい・・・」

「絵里をよろしく頼みます」

「・・・・・・はい!!!」

 

 

 

 

 

「隆也ぁ!!」

「絵里!」

 

俺は強く絵里を抱きしめた・・・・・・。

 

 

 

 

 

これからも・・・・・・よろしくな・・・絵里。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で結婚できたというわけだな」

「お父さんによくあんなに強く出れたわね」

「緊張で汗がやばいけどな・・・・・・特に冷や汗」

「それを口に言わなかったらかっこよかったのに・・・・・・」

 

アルバムを閉じた。

 

 

 

 

 

「絵里・・・」

「なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これからも・・・・・・よろしくお願いします!」

「ふふっ・・・よろしくしてあげるわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺たちは・・・・・・・『ホンモノ』の恋人の次に・・・『ホンモノ』の夫婦になった。




はいお久しぶりです!今回はリクエストにあった『海未ライバー UMR』さんの結婚後のお話でした。まぁ・・・殆ど絵里のご両親への報告とお話でしたね。イチャイチャじゃなくてすいませんでしたぁああああああ!次回はイチャイチャ書こう・・・・・・うん・・・。



今回新しく評価してくださった!
あとらすさん! 紅蒼の魔神さん!ありがとうございました!

次回は『ドスメラルー』さんのリクエスのお話を書きます!更新が遅くて申し訳ありません。また機会があればもう一度リクエスしようかなと想っております。


それでは今回はここまで!
感想・評価お待ちしております!



では・・・またな!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。