絢瀬絵里に出会った   作:優しい傭兵

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「我の癒しの場所はお風呂である」
「奇遇ね。私もよ」
「まさに!肉体と精神と心の洗濯機!すべてを洗い流すのだ!」
「貴方の煩悩も流されてしまえばいいのに」
「それは不可能だ。俺の煩悩を処理する事は出来ぬ!」
「なら硫酸ですべて流しましょう」
「WRYYYYYYYYYY!!」


目覚めの時

???―

 

 

 

「ん・・・・・・・・・ここは・・・・・・?」

 

全てが白で埋め尽くされている世界が目に入ってきた。右をみても左を見ても白。なぜ俺はここにいるんだ?

 

「確か俺は絵里を庇って腹を刺されたはず・・・」

 

腹を見てみると傷跡は残っていた。が・・・痛みがまるでなかった。

 

「あ・・・・・・もしかして俺って死んだ?」

 

アニメで転生したりや死んだときは普通ではない世界に行くってあったけどもしかしてここがその世界だったりして?

 

『違うで』

「へ?」

 

聞き覚えのある声が聞こえる。声は俺の後ろから聞こえた・・・。後ろを振り向くと。

 

 

『久しぶりやね。隆也』

「お婆ちゃん・・・・・・?」

 

亡くなった・・・・・・俺のお婆ちゃんがいた。

 

 

 

『隆也はまだ死んでへんよ。まぁ・・・死にかけってとこやな』

「それってほぼ死んでるのと変わらないような・・・・・・」

『隆也がここに居るんは天国と現実の狭間におるんよ』

「天国と・・・現実の狭間?」

『ここで隆也に聞くよ?隆也はどこに行きたい?』

「どこに行きたい?」

『天国に来るか、現実に戻るか・・・やな。隆也の自由やで』

「つまり・・・俺が望めばどっちかの世界にいけるって事?」

『そう。お婆ちゃんと一緒に天国に行くのも1つの道。隆也が望めば今生きてきたあの世界にもいける。隆也はどっちがいい?』

「どっちか・・・・・・」

『好きにしなさい。隆也の選ぶ道やで』

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

現実の世界・・・。俺はあの世界で苦しい日々を経験してきた。中学校の奴らにはいじめられ、高校では遊び心で俺の気持ちを弄ばれ続けた。死にたいって何度思ったことだろうか・・・・・・。けど・・・死ぬのが怖くて自分を終わらせる事も出来なかった。所詮弱い奴が強い奴に劣るんだと思った。けど、あいつらが・・・・・・あいつらが俺を救ってくれた。心が壊れていた俺を・・・優しく癒してくれた。感謝してる。それでは足りないと思うほどに感謝している。あいつらを守りたいと思った。それが恩返しになると思っていた。俺が強くなってあいつらを守りたいと心に誓った。心のどこかであいつらを守り抜いたと思っていた。

 

 

(もう・・・俺は必要ないかな・・・・・・)

 

 

お婆ちゃんの方に歩を進めようとすると脳裏にあいつの声が聞こえた。

 

 

 

『隆也!!』

 

(絵・・・・・・里・・・・・・?)

 

 

大学であいつと出会った。偽の恋人になって、一緒に過ごして、毎日喧嘩して、一緒に遊んで、ごたごたで別れて、仲直りして、そして絵里を好きになった。だが、心のどこかで高校時代の俺の気持ちが邪魔をしていた。またあの時と同じ思いをするんじゃないかって思っていた。

 

 

だけど、あいつを守ってあげたいと思った。深い理由は無いけどあいつを助けたい、守りたいと思うぐらいだ。

俺はあいつが好きだ。一緒にいたいと思った。あいつの側に居たい。

 

 

 

 

 

 

 

『隆也!死んじゃ嫌よ!!こんな事で死なないでよ!私を守ってくれるんでしょ!私のこと置いていかないでよ!まだ貴方に言ってない事があるのよ!!私は・・・・・・貴方が好きなのよ!私を守ってくれる・・・助けてくれる貴方が好きなのよ!『ニセモノ』の恋人じゃなくて・・・私の本物の・・・『ホンモノ』の恋人になってよ!!』

 

 

 

 

 

(絵里!!)

 

 

 

 

 

 

『隆也?決まったかな?どっちに行くのか』

 

 

俺が行くのは・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

「お婆ちゃん」

『ん?』

「おれさ、今守りたい人がいるんだ」

『守りたい人?』

「そいつはさ、素直じゃなくて、いじっぱりで、ツンデレでさ。よく俺はそいつに振り回されてるんだ。最初は嫌いなタイプって思う奴だったんだ。けどさ・・・・・・一緒に居るたびに色々と分かったんだ。笑顔が可愛くて、明るくて、元気で、無意識に俺の心をドキドキさせてくるんんだ。俺はそいつが好きなんだ。その人は・・・・・・俺が守ってあげたいって決めたんだ。まだあっちにはあいつが居るんだよ。あいつを1人にしたらまた悲しい顔すると思うんだ。あいつの悲しむ顔はもう見たくないんだ。あいつの笑顔を見るのが俺の幸せなんだ。生まれて初めてあいつと一緒にいたいと心の底から思った」

 

 

 

 

 

 

 

 

「大事な人を置いてはいけないんだ」

 

 

 

 

 

 

お婆ちゃんは笑顔で答えてくれた。

 

『そっか。なら早く行きなさいな。お婆ちゃんいつでも見てるから』

「ありがとうお婆ちゃん!元気でな!」

『幸せにね。隆也』

 

 

 

 

 

(待ってろよ!絵里!)

 

 

お婆ちゃんに背を向け一直線に走った。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピー・・・ピッ・・・ピッ・・・

 

 

「心拍数戻りました!安定してます!」

「なんだって!?」

「奇跡だ!生き返った!」

 

 

 

「隆也!!」

「隆也君!」

「隆也!」

 

 

 

ゆっくり目を開くと、そこには俺の右手を掴んで涙を流している絵里。俺を囲んでいる医者と、東條と矢澤が居た。

 

 

 

 

 

「絵・・・・・・里・・・・・・」

「隆也!」

「俺・・・・・・生きてる?」

「生きてるわよ!さっきまで死んでたのよ!」

「はは・・・・・・。そっか・・・・・・・・・」

 

頭がまだボーッとしているが、自分が生きているという事ははっきりと分かった。

 

 

 

 

 

 

「良かった・・・。隆也君が目を覚まして・・・・・・」

「本当に・・・心配させるんじゃないわよ!!」

「2人も悪かったな・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・」

 

東條もにこも涙を流しながら俺の目覚めを喜んでくれた。

 

 

「では我々は西木野先生に報せてきます」

「「では」」

 

医者たちは場の空気を読んでくれたのか病室から姿を消した。

 

 

「じゃウチらもみんなに連絡してくるね」

「海未たちにも連絡してくるから!絵里、隆也の事よろしくね」

「え・・・えぇ・・・」

 

 

ガチャ・・・バタンッ

 

 

 

「なんだが・・・・・・気を使わされちゃったわね・・・」

「だな・・・・・・」

「けど、本当によかった・・・。隆也が目を覚ましてくれて・・・・・・」

「そうだな・・・・・・お婆ちゃんのお陰かもな・・・・・・」

「お婆ちゃん?」

「いや・・・・・・なんでもない・・・・・・」

 

俺はゆっくりと起き上がり、絵里の頭を優しく撫でた

 

 

 

 

 

 

 

 

「絵里・・・・・・」

「なに・・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺もお前が好きだ・・・・・・。俺の・・・本当の恋人にしてくれないか・・・?」

「っ!」

 

絵里は顔が真っ赤になり、少しだけ慌てふためいたが、すぐに冷静になり目に浮んでいた涙を指で拭った。

 

 

 

「私も・・・・・・隆也が好き・・・。私の・・・ホンモノの恋人になってください!」

「あぁ・・・」

 

 

絵里の笑顔。綺麗で・・・愛らしい。ここにもう一度誓おう。絵里の全てを守ると。

 

 

 

 

 

「ただいま・・・絵里」

「おかえり・・・隆也」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の時刻は夕方。窓から差し込んでくる夕日に照らされながら俺と絵里は正真正銘、ホンモノの恋人同士になった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

それから何日が経過した。俺の体調は良い方向に進み、腹の傷が治りかけまで回復したので無事に退院する事が出来た。小さいころから俺は怪我をしてもすぐに治る回復力を持っていた。ここにきて覚醒した模様・・・・・・。

絵里、東條、矢澤には日を改めて感謝を込めてお礼をした。俺のせいで迷惑をかけてしまったことのお詫びに全員の好きなものを買ってあげた。絵里には高級チョコ、東條には焼肉の食べ放題、矢澤にはアイドルグッズ多数。かなり金がなくなったが後悔はしていない。

そして俺と絵里は正式に恋人同士になった。東條と矢澤は「あんな大胆に告白して」とからかわれ、絵里は数日の間おもいっきりいじられる羽目になった。見ていて滑稽だったな。大学の奴らにも心配され色々とごたごたしたが心配してくれたことの嬉しさが身に染みた。翔輝含め高校の奴らには腹を刺されたことより絵里と恋人同士になったことをねたましく思われ夜中のイタ電が無り止む事はなかった。

(あいつらいつかぶっ飛ばす・・・・・)

父さんにお礼を言ったら「もっと強くなれ」の一言だけ言われ電話を切られた。その言葉がどれだけ重く深い意味があるのかを理解し心の奥にとどめることにした。

 

因みに霧生はあの後逃亡したらしいが見事に捕まったらしい。誰が捕まえたのかを聞いた時はあいつバカだなって思ったな。

 

 

 

「隆也は霧生が誰に捕まったのか知ってるの?」

「あぁ、絵里は父さんと会ったけど職業知らなかったな。俺の父さんの職業は警察で刑事なんだよ」

「え!?じゃあ霧生を捕まえたのって!」

「俺の父さんだ」

 

俺の父さんは追跡は上手いらしくなんの手を使ったのか影で隠れていた霧生を柔道技でボコボコにして捕まえたらしい。

 

「ついでに柔道は俺と一緒の二段だけど俺より強いな。一度も勝てた事が無い」

「隆也の父さんって何者・・・・・・?」

「昔は兵庫の怪物って呼ばれてたらしい」

「聞かなかったことにしておくわ・・・・・・・」

 

 

 

 

父さんに見つかった時の恐怖は俺も熟知している。まさに怪物だ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「んで?なんでお前は俺の家に居る?」

「今の貴方じゃろくに家事できないでしょ?今日は泊り込みよ」

「マジで?」

「マジよ。いいでしょ・・・・・・その・・・・・・恋人同士なんだし///」

「お・・・おう」

 

恋人同士になってからというもの、絵里が可愛く見えてきた。いや元から可愛いのだが・・・・・・。ちょくちょく俺の萌えポイントを狙撃してきやがる。おのれ絵里・・・・・。

 

 

「もう今日は寝るだけでしょ?早く寝なさいよ」

「あー・・・いやそうもいかなくてな。絵里がくれた大学のプリントとか整理したいからな。絵里は先に寝てていいぞ」

「・・・・・・そう、わかったわ」

 

絵里の返事が怖い・・・・・・。

 

 

 

 

 

現在の時刻23時。さすがに入院した日が多すぎたお陰でプリントが多すぎる。またこれを覚えなきゃいけないんだよなぁ・・・。

 

「少し一休みするか」

 

シャーペンを机に起き、椅子に座りながら固まった体を伸ばす。伸ばした時にこの頃動いていないからかバキバキと音がなる。

 

「早く運動しないとな・・・・・・」

 

コンコンッ

 

 

「ん?絵里か?」

「えぇ。今大丈夫?」

「大丈夫だ。入ってもいいぞ」

「じゃ・・・・・・じゃあ・・・・・・」

 

ガチャ・・・。

 

 

ドアをノックし、絵里がゆっくりと入ってきた。だが俺は驚いたのは絵里の服装だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ど・・・どうでしょうか・・・・・ご主人様・・・・・・」

 

 

 

 

 

メイド服を着た絵里が居た。

 

 

 

 

大学で着ていたものとは違い、黒を多めに白を少なめにしたメイド服。しかも胸元が開き谷間が顔を出している。そして黒のニーソックス。ミニスカートだからニーソックスとスカートの間から見える絵里の太ももが凄く魅力的だ。しかも髪の毛をいつものポニーテールじゃなく下ろしている。いつもの絵里とは違う雰囲気が逆に可愛らしい。

 

しかも止めの一撃で恥ずかしがっている絵里の表情がエロい・・・・・・。

 

 

 

「えっと・・・・・・なんで?」

「そ・・その隆也の退院のプレゼント・・・」

「プレゼント・・?」

「え、えぇ・・・。似合わないかしら・・・?///」

 

そんな上目遣いで見ないでくれ・・・・・・。

 

「凄く可愛いと・・思うぞ・・・。似合ってる」

「本当?よかった・・・。似合ってなかったらどうしようって考えてた・・・・・・」

 

ホッとしたように呟く。

 

 

 

「メイド服を着た絵里が見れたからこれは中々なプレゼントだな」

「あっ!いや・・・・・・その・・・・・・」

「へ?」

「そ・・・その・・・・・・///」

「どうした?」

 

絵里がモジモジしながら目を泳がしている。

 

 

 

「えっと・・・・・えいっ!」

「どうした・・・え・・・っうおわぁ!?」

 

絵里が椅子から立った俺をそのままベットに押し倒し、体を密着させてきた。

 

 

 

「え・・・絵里さん?」

「その・・・・・・しが・・・・・・ゼント・・・」

「な、なんだって?」

 

声が小さすぎて全部聞き取れなかった。

 

 

 

 

 

「私が・・・・プレゼントよ・・・///」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

 

 

「だ、だから!私が隆也のプレゼントよ!二回も言わせないでよ!///」

 

(ツンデレ最高・・・・・)

 

 

「絵里が・・・俺へのプレゼント・・・・・・?」

「・・・///」

あ、頷いた・・・・・・。

 

 

「その・・・隆也にはなにもお礼が出来てないから・・・・・・男の子って・・・こういうのが好きなんでしょ?///」

「嫌いでは・・・・・・ありません・・・・・・」

(むしろ大好物です・・・)

 

 

 

「隆也は・・・私の恋人でしょ・・・?彼女がこんなことしたらどうするかぐらい分かるでしょ///」

「なんで・・・こんな事・・・」

「隆也には感謝しきれないくらいの恩があるわ・・・私の恋人にもなってくれた・・・。だから・・・・・・隆也に私のはじめてをあげたいのよ///」

「俺でいいのか・・・?」

「隆也がいいのよ!隆也しか嫌なのよ!もう隆也のあんな姿は見たくないのよ・・・・。貴方が居なくなるのが怖いのよ・・・・・・。だから私を抱いて!貴方を忘れないようにして!貴方を・・・・・・愛させてよ・・・・・・」

 

俺の首に腕を回し力一杯抱きしめてくる。だがそれと同時にからが震えているのが分かる。

 

 

「絵里・・・。俺は君が好きだ・・・勇気を出してこんなことしてくれて俺は嬉しいぞ。もう絵里を悲しませないようにするからさ。もう泣くなよ・・・・・・」

「な・・・泣いて無いわよ・・・・・・」

 

うそつけそんな涙溜め込んで・・・。

 

親指で絵里の涙を拭う。

 

 

 

「隆也が大好き・・・・・・ずっと一緒に居なさいよ・・・?」

「あぁ。約束するよ・・・・・・絵里、大好きだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そっと目を閉じた絵里の頬に手を添え、ゆっくりと近付き俺と絵里の唇が合わさった。

 

 

 

 

 

「ん・・・・・」

「んぅ・・・・・・」

 

触れるだけのキス。けどそれだけでも俺にとっては心地いいものだった。

 

 

 

 

 

「隆也ぁ・・・・・・」

「絵里・・・・・・プレゼント・・・・・・貰っていいか?」

「はい・・・・・・プレゼント貰ってください・・・・・・ご主人様ぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

色気のある表情を見せられ俺は我慢ができなくなり・・・絵里のメイド服に手を掛けた。

 

 

 

 

 

 

「ぅあ・・・・・・・・・///」

「絵里・・・・・・いただきます・・・・・・」

 

 

 

 

そこから俺は頭が真っ白になり、気づいた時はもう朝になっていた。




どうもみなさんこんちくわ!!めでたく隆也と絵里が本当の恋人になりました~。長かったこれまで・・・あっというまだった。←(どっちだよ)


そこでこれを読んでくださった皆さんにお知らせです。
話のネタがたまに思いつかないことがあります。そこで皆さんにネタを提供して欲しいわけです。リクエストって奴ですね笑。ジャンルはなんでも構いません。皆さんが提供してくださったネタで小説を書いていきたいと思います。グロや精神崩壊などやそういった辛いものは出来る限り無しでお願いします笑(エロも大丈夫です。上手く書ける保障はありませんが・・・笑)

活動報告の方でリクエスト募集します。期間は1月12日の23時59分までとします。その活動報告は新着活動報告一覧にはありません。わたくしのユーザーページにある活動報告にありますのでそちらからお願いします!
期限は短いと思いますがそこは気にしないようにお願いいたしますですます。



そして新しく評価してくださった!
コナミさん!倉崎さん!竹千代さん!蒼瑪瑙さん!
ありがとうございます!




さてこれからは頑張って2人をイチャイチャさせていこうかなと思います!
働け!我が煩悩!覚醒せよ!我が妄想力ぅう!

バカはこれぐらいにしておきましょう笑


それでは今回はここまで!感想・評価お待ちしております!

では・・・・・・またな!!

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