絢瀬絵里に出会った   作:優しい傭兵

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友達と後輩

「さて、なんでお前らがいるのかを説明させてもらおうか」

 

約数分前、いきなり家に押しかけてきた絵里と希。大体の予想はつぐがこの二人に聞いたほうがいいと思い、目の前で座らせている。そしてその横には俺の友達の中上翔輝と元μ'sもメンバーである園田海未。

 

「簡単に言うと、昨日の帰りの時に隆也と一緒に帰った人が誰だったのか気になってここに来たと言う訳よ」

「エリチは女の子かもって勘違いしてたらしいけどね。ウチもやけど」

「ほう…」

 

とんでもない勘違いだな。いきなり絵里たちが押し掛けてきたから何事かと思ったがこいつらの勘違いだったというわけね。まあ説明をしてない俺も悪かったのかもしれないが勘違いも甚だしいこと極まりないな。俺は絵里が好きなのに……。俺がヘタレなだけかもしれないがな………。

 

「ま、その正体はこいつだったんだけどな」

「へへへ」

「褒めてねえよ」

「マジかよ……」

「マジだよ」

「まあ謎が解けたからよかったやん。な、エリチ」

「え、えぇ…」

 

(安心したけど……なにかしら…。この胸のモヤモヤ……)

 

誰も見ていない中、絵里は自分の胸に手を当てていた。

 

 

 

 

 

 

―それから数分後―

 

 

時間が時間になってきたので、集まっている5人は一緒に俺の家で昼食をとることになった。

 

 

 

「なあ隆也くん。翔輝くんのこと教えてや。どんな人なんか気になるし!」

「あぁ。こいつは中上翔輝。俺の高校時代の友達で今はこっちに来て働いてるんだ。昨日メールで久しぶりに遊ぶぞって誘われてこいつの車に乗って出かけてたんだ」

「そうなんや。友達なんは分かったけど、隆也くんとはどういった仲なん?高校時代どんなことして仲良くしてたん?」

「どんなことっすか?そうっすね~…うーん……」

「こいつが悪いことしてたら俺が拳骨か頭突きで制裁していたな」

「「げ、拳骨か頭突き……」」

 

絵里と希の顔に冷や汗が流れる。二人の心中では、一体、この男の高校時代に何があったのかと疑問に思っていた。

 

 

「なんでお前は今それを言うんだよ!」

「何か間違ったことでも?」

「間違ってないけどよ……」

「こいつはすぐに調子に乗るからな」

「それはお前も一緒だろ!!」

「やかましい!久しぶりにぶん殴ったろか!!」

「あぁ!?やれるもんならやってみろや!」

「やったるわボケェ!!」

 

(ふ、2人の口調が関西弁に戻っってしもうてるやん……)

『二人は兵庫県出身である』←豆知識

 

 

「「やめなさい!!」」

「「ほげぇ!?」」

 

隆也の頭にフライパン。翔輝の頭には鍋がたたきつけられていた。隆也に攻撃したのは勿論絵里で、翔輝には海未が鍋を叩き付けた。

 

「こんなところで喧嘩するんじゃないわよ!そろそろ本気で大人しくさせるわよ!」

「ここは人様の家ですよ!迷惑を掛けてはいけません!」

「「だってこいつが!!」」

「「まだ足りない?(足りませんか?)」」

「「す、すんません……」」

 

ただ一人、蚊帳の外で傍観してる希は一人でポカンとしている。今の光景はとってもシュールである。背後から般若のオーラを滲み出している絵里と海未。その二人に土下座をしている隆也と翔輝。そしてその光景をこっそりと写真に収めた希。やりおる……。

 

 

 

 

「処で海未ちゃん。翔輝くんとどんな関係なん?」

「・・・・・・・・・え?」

「だって、隆也君とはほんの最近会ったばかりやんな?隆也君とは仲が良いって訳じゃないけどさっき翔輝君の頭を躊躇なしに叩いてたから結構前から仲が良いんかなぁって思って」

「それは私も思ったわ。二人はどういった関係なの?」

「えっと・・・・・・それは・・・・・・」

 

海未が顔を赤くしながら両手を合わせてモジモジしている。翔輝は焦っているのか恥ずかしいのか視線を当たりにキョロキョロさせ落ち着かないご様子。さすがにもう分かっていると思うだろうからここは俺が言おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未と翔輝は恋人同士。付き合ってるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「えぇぇぇ!?」」

 

そりゃ驚くはな・・・。

 

 

「本当なん海未ちゃん!?」

「いつから!?どうやって!?何があったのよ海未!!」

「い、いっぺんに質問しないでください!1番恥ずかしいのは私なんですよ!」

「俺も一応恥ずかしいけどな・・・・・・」

 

 

俺も話しを聞いたときは驚いた。高校時代は人見知りが激しくて女の人と話せないくらいだったのにも関わらず、俺と高校時代のあいつらと会わない間に1つ下の美人な彼女が出来てるんだからなあ。あれなんだろう・・・俺こいつに負けてる気がする・・・怒りで拳が凄い震えてるんだけど・・・・・・。

 

 

 

「ま、また後日話すので今は簡単な説明でもいいですか・・・?」

「ふむ・・・。仕方ないわね」

「それで今日は許してあげるよ」

 

お前らは金をたかってるヤンキーか。

 

 

「その・・・・・・6月の話です。私は一時期数名のストーカーに後を付けられてたんです」

「学校からの帰りに?」

「はい。 穂乃果やことりにも一応相談に乗ってもらったんですが、不安で押しつぶされそうだったんです。そんな時に翔輝が私を助けてくれたんです」

「そうなん?」

「まぁ・・・・・・はい」

 

はっきりしろよなお前も。後で蹴り飛ばすか。

 

「私がそのストーカーに声を掛けられた時に、車で移動していた翔輝がそれを見かけてくれて私を守ってくれたんです」

「翔輝君男前やん。どっかの誰かさんと違って」

「それは誰の事だ?アン?」

 

俺のことか。

 

 

「それから翔輝と仲良くなり・・・車でどこかに連れて行ってもらったりなどしてて、凄く楽しい日々を過ごせたんです。今でも私は翔輝に感謝してるんです・・・」

「・・・・・・っ」

 

お前顔すんごい真っ赤だぞ?これ俺から見たら単なる後悔処刑みたいなもんだぞ。

 

 

「それで一ヶ月前に翔輝から・・・・・・その・・・告白をされて・・・・・・私達は恋人同士になったわけです・・・・・・///」

 

 

「ハラショー・・・」

「海未ちゃん。いい人とめぐり合えたんやね」

「はい。凄く楽しいです!」

 

海未の満面な笑顔。こいつも凄い男になっちまったな。

 

「大事にしろよ翔輝」

「分かってるよ。お前も絵里さんを守れよ」

「別に恋人同士じゃねえけどな」

「それでもだよ。ニセモノでも恋人なんだから」

「わーったよ・・・・・・」

 

なんだか凄く恥ずかしいな・・・・・・。

 

「絵里も隆也さんとはどんな感じなんですか?」

「ど、どんな感じ!?」

「神田明神の倉庫でイチャイチャする仲やで」

「ちょっと希!?」

「お前なに余計な事言ってんだぁぁあ!?大体アレはお前のせいだろ!」

「ん?なんのこと?」

(こいつシラきってやがる・・・・・・)

 

「い、イチャイチャ・・・・・・ですか・・・?」

「そうなんよ。エリチのこと押し倒してたし」

「ちょっ!」

「お・・・・・・押し倒して・・・・・・///」

 

やばい!海未の頭から湯気が!んでもって顔が茹蛸になってる!

 

「希!それ以上言わないで!海未も私も耐えられないから!」

「そ、そうだぞ!海未も混乱して頭がパニック状態だ!」

「お、おい海未!そろそろ帰ろうな?な?」

「は・・・・・・」

「「「は・・・?」」」

 

海未の口がワナワナと震えながら開き、涙目で翔輝をにらみつけた。

 

 

「破廉恥です!!」

「俺じゃねぇっぎゃぶん!!」

 

海未のビンタが翔輝の頬にクリーンヒット。

 

「な・・・なんで俺が・・・・・・」

「彼氏の宿命だ・・・・・・哀れな男よ」

 

しっかり手を合わせて合掌するのをお忘れずに・・・・・・。

 

 

 

 

 

***

 

 

変な絡みが終了し、各自帰る時間になってきたので翔輝が海未と東條を車で送る事に鳴った。絵里?俺がバイクで送るんだよ

 

 

 

 

「じゃ、海未と希さん送ってくるわ」

「おう気をつけてな」

「絵里。また音ノ木坂にも来てくださいね」

「えぇ。希と一緒に行くわ」

「またねエリチ」

 

翔輝の運転する車に海未と東條が乗り込み、神田明神の方向へと発進していった。

 

 

 

「まさか海未に彼氏か・・・。よかったわ」

「心配性だな」

「大切な後輩なんだもの。どんな時でも心配ぐらいするわよ・・・。大切な後輩で、μ'sの時の仲間なんだから」

「・・・・・・・・・そうか」

 

俺も高校時代の友達であるあいつらがとても大切だ。色んなことがあって、すれ違う時やぶつかる時もあったけどそのお陰でより絆が強くなった。絵里やμ'sのその後輩たちもそれと一緒なのだろう。また、あいつらにも会いたいな・・・・・・。

 

 

「彼女か・・・・・・」

「なに?隆也も彼女が欲しいの?」

「そりゃ俺だってそれくらいの欲ぐらいある。お前と違ってな」

「そのように考えられてるとは心外ね。私だって彼氏ぐらい欲しいわよ」

「ほぉ。ついでに聞くがどんな奴が好みなんだ?」

 

ありきたりの質問をすると、絵里が俺の顔を凝視し、フッと軽く笑った。

 

 

「さぁね。それくらい自分で考えたら?」

「なんだよ。教えてくれたっていいじゃねえか」

「女の子はね。謎が多いほうが輝くのよ?」

「なんだそりゃ・・・」

「ほら!亜里沙が待ってるから早く私を送りなさい!もうすぐ大学祭なんだから色々と準備しないといけないのよ」

「はいはい。ほら、後ろ乗れよ」

 

絵里に予備のヘルメットを渡し、バイクに跨った。

 

「しっかり捕まれよ」

「えぇ」

 

アクセルを回し、バイクを発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

『どんな奴が好みなんだ?』

 

 

隆也のその言葉を聞いたとき、私の心は一瞬だけドキッとした。

 

 

 

 

 

 

「私の好みの人は・・・・・・1人しか居ないわよ・・・。バカ・・・」

 

 

彼の体に手を回し、家に着くまでの間、私は彼の体から離れる事は無かった。




今回もありがとうございました!

続きも頑張って書いていくのでよろしくお願いします!


では・・・またな!

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