「希・・・・・・。まだかしら・・・・・・」
希のメールに呼ばれて神田明神に着たけどそこには誰も居なかった。できれば、すぐに帰りたい気持ちで一杯になった。ここは・・・・・・隆也と別れた場所でもある。私は隆也にひどい事を言ってしまった。入学式のあの日から・・・・・・隆也と一緒にすごした。こき使って・・・罵倒して・・・・・言い合いの喧嘩を毎日して・・・・・・。けど一度も楽しくないと思ったことは無かった。私を敬ったりせず対等の立場として接してくれた・・・。どんなときでも私の側に居てくれて・・・風邪を引いたときも一緒に居てくれた・・・・・・。隆也と会う度に胸がドキドキした。楽しかった。幸せの時間であった・・・・・・。なのに私はそれを無き物にしてしまった。隆也を・・・・・・傷つけてしまった・・・・・・。
「うぅ・・・・・・・・・ぐすっ・・・・・・」
絵里の瞳から大粒の涙がポタポタと落ちていく。
「隆也ぁ・・・・・・」
謝りたい・・・。許してもらいたい・・・・・・。けど、もし拒絶されたらと思うと胸が苦しくなる・・・・・。もしも・・・嫌われたらどうしよう・・・。いや・・・もう嫌われているはずだ・・・。自分勝手に引っ張り回して・・・勝手に斬り捨てた・・・。頭ではもう手遅れだと言う事が分かっているのに。今だ心の中のどこかで何かを期待している・・・。
「ごめんなさい・・・・・・隆也・・・・・・」
その時、階段を誰かが登ってくる音がした。コツッ・・・コツッと一段一段踏みしめて登ってくる音。まさか・・・いや・・・・・・これは希だ。第一、今の時間にこの場所に彼が来るわけが無い・・・。こんな悪い事をした子に・・・神様が願いを叶えてくれるわけが無い・・・・・・。
そして階段を登ってきた人物が現れた。最初は夜の暗さにより顔は見えなかったが、月明かりが神社全体を照らしてくれた。そこに居たのは・・・・・・希じゃなく男性・・・。
「ぇ・・・・・・・・・?」
消えるような声が口の中から出てきた。まさか・・・・・・そんな・・・・・・。もしかして・・・神様が願いを叶えてくれたのか・・・・・・。そこに現れた人物は・・・・・。
「久しぶりだな、絵里」
横山隆也・・・。本人だった。
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神社の鳥居の近くで立っていた絵里に声をかける。いつもならなにも思わないのに、今回は違った・・・・・・。緊張している。絵里と喋るのなんか・・・初めてでもないのに・・・。
「何しに来たの?」
「・・・・・・お前に会いに来た」
「会いに?どうしてよ・・・」
「話・・・・・・かな?」
「なにを話そうって言うのよ。貴方と話すことなんて無いわ。希も来ない感じだし私はもう帰るわ」
俺の言葉を無視して横を素通りしていく。
「待てよ」
ガシッ
「離して・・・・・・」
「嫌だ」
「離してって・・・・・・っ!?」
俺は逃げようとしている絵里を抱きしめた。
「隆・・・・・・也・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・」
優しく、だが強く抱きしめた。絵里を逃がさないように・・・・・・。
「は・・・離しなさいよっ!ちょっと!」
「離したら逃げるだろ?」
「なんで・・・・・・こんなことするのよ!誰も頼んで無いわよ!」
俺から離れようと絵里は俺の胸元を叩いてくるが俺は一層強く抱きしめた。
「絵里・・・」
「っ・・・・・・・・・」
耳元で呟いた。
「もう・・・自分を責めるのはやめろ」
「っ!」
この言葉で絵里の体がビクッと跳ねたが言葉を続けた。
「お前はもう自分に罰を与えた。もうこれ以上自分を責めることはないんだ」
「なにを・・・・・・」
「アレはお前のせいじゃない。お前は何も悪くないんだ」
「だ・・・だってあれは・・・・・・」
「もう・・・自分を責めるな。俺はお前を嫌ってないし・・・。迷惑だと思ってない」
「でも・・・・・・私は・・・・・・」
「確かにあの言葉を聞いたときは傷ついたさ。けど東條と矢澤からちゃんと話は聞いたよ。俺を思ってのことだったんだろ?」
「隆也・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・」
絵里の瞳から涙がポロポロと出てくる。
「不器用で、けど優しくて、誰よりも自分より俺のことを考えてくれた。こうでしか俺を守れなかったんだろ?」
「うぅ・・・・・・ぐすっ・・・・・・」
「なあ絵里。もういいんだ。もう苦しまなくていい。もう悲しまなくていい・・・・・・。もう・・・・・・笑っていいんだ」
「隆也・・・・・・隆也ぁ・・・・・・・・・」
なんで?なんで貴方はここまでしてくれるの?私は貴方に対してひどいことをした・・・・・・。もう治せない傷を負わせたかもしれないのに・・・・・・。そんな事言われたら私・・・・・・もう・・・・・貴方しか見えなくなっちゃう・・・・・・。
「絵里。もう大丈夫だ。側にいてやるから・・・・・・」
「うん・・・・・・うんっ・・・ぅあぁぁぁぁ・・・・・うわぁぁああん!!」
絵里は泣いた。まるで赤子のように泣いた。俺の服を握り締め。声をあげ涙を流し俺の服を濡らしていく。俺はそれを快く迎え入れ、泣き止むまで頭を撫で続けた。
・
・
・
少し時間が立った後、絵里はようやく泣き止んだ。
「ありがとう・・・。もう大丈夫よ」
「そうか。まさか絵里があんなに泣くなんてな」
「それ以上言ったらタダじゃすまないわよ・・・・・・・・」
「おぉ怖い怖い・・・。ま、それでこそ絵里だな」
「心配かけて・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・」
「謝るなよ。もう大丈夫だから」
「本当に・・・・・・ありがとう・・・隆也」
「お前に礼を言われるなんてへんな気分だな・・・。ま、絵里が元気になってよかったよ」
絵里に笑顔が戻った・・・。これでめでたしめでた・・・・・・。
「ところで隆也。私のロッカーにあった海苔と梅干って貴方が?」
「あーあれか。親戚からの贈り物でお前にお裾分けをと・・・」
少し前の話だ。まだ絵里と別れる話をしていない時だが少しでも絵里の機嫌が良くなってほしいと思って海苔と梅をお裾分けでロッカーに置いたのだ。
「私の嫌いなものはね・・・・・・・・・」
「あん?」
「梅と海苔なのよーーーー!」バッチーン!
「へぶらぎゃあああああああああああああ!!?」
神田明神に俺の美声な断末魔の叫びが鳴り響いた。
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それからというもの少しは俺と絵里の距離が近付いたかと思ったが以前と変わらない形となった。何時もどおりこき使われ、罵倒される日々である。じつはと言うとあの時絵里に告白しようと思っていた。が・・・完全にタイミングを逃してしまったのだ・・・・・・。まぁぼちぼちとやっていきますか。
「ん?」
またまたロッカーに果たし状らしきものが。
『またあの場所へこい』
「またかよ・・・」
「隆也。どうするの?」
「行くしかないだろ。もう関わってこないようにするためにな」
「でも・・・またボコボコに・・・・・・」
「あ・・・・・・そのことで絵里に言ってない事あったんだ」
「え?」
「まあ見てれば分かるよ」
レッツゴー!!
・
・
・
はいやってまいりましたここ渡り廊下です。まあ嫌な思い出でもありますね。そして置くにはいつしかの男たち。
「おい、ちゃんと絵里さんと別れたのか?」
「別れてるわけねえだろ」
一度別れたようなもんだが・・・・・・。
「まだこいつ分かってないみたいだな」
「また痛い目に遭わせてやる」
一瞬にしてあの時のように取り囲まれた。
ついでに言うと、物陰で絵里が見ています。
「よし、押さえつけろ!」
「おう!」
ガシッ!
「じゃ、あの時みたいに一発やるか」
「おいおい。ちゃんと俺の分も残しとけよ」
ご飯のおかずの取り合いかお前ら・・・・・・・・・。
「そういえばお前らはこの前やられたけど1つ言い忘れてた事がある・・・・・・」
「「「「ああ?」」」」
これは絵里にも東條にも矢澤にも言ってない事である。
「俺、柔道で二段なんだよ」
ドスゥン!ドゴ!バキッ!ゴキッ!グチャッ!
約数分後。4人の屍の山が出来ました。
はいみなさんどうも!シリアス書くとか言いながら簡単に終わってしまいました。こんな終わりを望んでいない人もいたでしょうが、これにてシリアス編終わりです!!(我は満足である。後悔はしていない)
次からまた日常編に戻っていきます。今回の出来事で二人の距離も縮まったと思います!多分・・・・・・笑
そして新しく評価してくださった!
霧纏の淑女さん!どんこつカカオさん!歌姫さん!ネウロイさん!紅月玖日さん!クーゲルシュライバー刃さん!ソプラノさん!BIbaruさん!kisyohさん!
ありがとうございます!!
そしてお気に入り500突破いたしました!ありがとうございます!また時間があれば500記念を書きたいと思います!!(時間があれば・・・・・・です)これからも書いていくのでよろしくお願いします!!
それでは今日はここまで!それじゃあ、またな!!