「やっとなのね。早いような遅いような・・・・・・」
「だが色々と緊張はしている。だが!それを超えてこそ勝者である!!」
「中二病まるだしね」
「やかましい!世界の半分は中二病だ!」
「馬鹿なこと言ってないではやく書きなさい。クソ虫」
「お前の次の台詞は!こ、これは作者への応援なんだからね!と言う!」
「一回・・・・・・死んでみる?」
「どこかで聞いたような台詞・・・・・・・・・なんのアニメだっけ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
一瞬、一瞬だった。絵里の言葉へ反応が遅れた。今、何て言った?恋人役は終わり?なに言ってんだよ・・・・・・。
「え、絵里?いきなり何言ってんだよ・・・。お前らしくも無いな。冗談が上手くなったな・・・・・・」
なんでだろう・・・。汗が止まらない・・・。心臓がうるさい・・・・・・。バクバクと心拍数が上がってきている。
「冗談じゃないわ。もう恋人役は必要ないかと思ったのよ・・・。もうしつこく告白してくる人はいないから」
絵里の言葉が耳から入り逆の耳から抜けていく。なんでだ?なんで俺はこんなにも焦っているのだろう・・・。冷や汗が止まらない。動悸が激しい。少しは落ち着けよ俺・・・・。
「じゃあ・・・。なんで俺のこと苗字で呼ぶんだよ。別に何時もどおりに呼べばいいじゃねえか・・・。この偽の恋人の関係が終わっても今までの関係には支障はないだろ?」
違う・・・。俺はこんな事を言いたいんじゃない・・・。じゃあ何を?何を言いたいんだ俺は・・・・・・。
「別に名前呼びなんかどうでもいいでしょ?元々、なんの接点もない他人なんだし・・・・・・」
絵里の言葉が痛い・・・。心に突き刺さる。手で上から胸の心臓部分を押さえる。
「お前・・・・・・今まで付き合ってきたけどそれは無いんじゃないか!」
「そう?元は利用するために私の横に置いていたのよ。気付かなかったの?やっぱり馬鹿ね」
「お前・・・・・・・・・」
東條が言っていた。俺を信用しているから俺に恋人役を頼んだと・・・・・・。矢澤と約束した・・・・・・。絵里を絶対に1人にしないと・・・・・・。だがこれまでの思い出と言えるべき過去が簡単に崩れ去った気がする・・・・・・。
なんだよ。結局俺はこいつに踊らされてただけかよ・・・。1人で浮かれて、1人で頑張って・・・。そして1人で後悔する・・・・・。騙されていたのか?俺は・・・・・・。絵里に・・・・・・・・。
「なんだよ・・・・・・・・・」
恋人の関係?違うだろ・・・・・・。これまでの関係の終わりじゃねえか・・・・・・。
「そうか・・・。俺はお前に騙されていたのか。いい魔よけとして使われ、こき使われ、そして最後には裏切る・・・・・・。東條に言われたけど、俺を信用しているから?違うよな?結局お前は、魔よけになれば誰でも良かったんだよなぁ・・・・・・」
「っ・・・・・・」
絵里の表情が少し険しくなったがそれすら目に入らなかった。
「ならこの関係は終わりにしようか・・。ここで俺たちは他人に戻る。もう会うこともないな。会ったとしても何も口を交わさない・・・。そうだ・・・。俺たちはもうただの『赤の他人』同士だ・・・・・・」
「っ!」
パァンッ!
絵里の平手打ちが俺の頬に当たる。ジンジンとした痛みが身に染みる。絵里の方を見ると俺を鋭く睨みつけ、目にはうっすらと涙が浮んでいた。
「さよなら・・・・・・・・・『隆也』」
そして絵里はそのまま神田明神の階段を下りていった。
痛みを帯びている頬を抑える。別に凄く痛いというわけではない。だが、それ以上にズキズキと痛いのは俺の・・・・・・・・・心だ・・・・・・。
そうか・・・。こんなに焦っているのがなんでなのか今分かった。絵里と一緒にいたくて、絵里と別れるのが嫌で・・・・・・そしてこんな結末になってしまったのがとても悲しい・・・・・・。
「ビンタ・・・。今までのより・・・・・・一番痛いじゃねえか・・・・・・」
片手で目元を覆い隠し、そこから一粒の涙がこぼれた。
俺は・・・・・・、絵里が好きだったんだ・・・・・・。
_____________________________________________
それから一週間ほど過ぎた。絵里とのあの会話があってからか学校ですれ違っても声をかけることは無かった。いや、声すら掛けれなかった・・・・・・・・・。目が合う事は数回あったが見事に逸らされた。講義の時はいつも隣同士で座っていたが今は席の距離を離して受けている。帰りも一緒でお互いバイクで登校しているのでよく見かけるが目線すら合わさず帰る毎日である。別にとても気にしている訳でも無く、とても会いたいとも思わない。なんだろうか・・・・・・。心にぽっかりと穴が開いたような感じである。
「はぁ・・・・・・」
深いため息が出る。いつもよりも疲れが出ているのか動きたくない気分になる。
「帰るか・・・。ここにいても何もやることないし」
プルルルル
「あん?」
電話?
画面を見ると。
『東條希』
「東條?」
なんのようだ?
「もしもし?」
『あ、隆也君?今大丈夫?』
「まぁ、大丈夫だけど・・・・・・」
『今からウチの家に来てくれへん?にこっちもおるし」
ポンコツアイドルもいるのかよ・・・・・・。
『なんで呼ばれたのかは隆也君が一番分かってるやろ?」
「よくお分かりで・・・」
『隆也君に聞きたい事がたくさんあるんや。来てくれるやんな?」
おそらく此処で行かないなんて言ったらありとあらゆる理由をつけてくるだろう・・・。
「分かった」
『物分りがいいんやね。じゃ待ってるよ?」
「・・・・・・・・・おう」
プツンッツーツーツー・・・
***
「いらっしゃい。中に入って」
「お邪魔・・・・・・します・・・・・・」
あの後、俺は急いで東條の家に向かった。何が起こるかは大体予想はつく。だが、俺はここで逃げるわけには行かないんだ・・・・・・。
「おそいわよ!何分待たせる気なのよ!」
「まだ電話して一時間も経ってないだろうが・・・・・・」
そして中では椅子にドカッと座っている矢澤にこ。
「隆也君。そこに座って」
「おう」
希に言われたとおりに椅子に座り、希は俺にお茶を出してくれて矢澤と一緒に俺とは反対側に座る。
「じゃ、単刀直入に聞くわ。絵里と何があったの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
やはりそれか・・。さすがあいつの同級生と言うべきか・・・。
「隆也君。ウチらの目を見て言うてな」
真剣な二人の眼差しが向けられる。まるで人生で一番大切な試験の面接を受けるような緊張感が俺の中から溢れる。
俺は二人の目を見つめ・・・・・・・・・言った。
「絵里の・・・・・・恋人役をやめた」
「「・・・・・・・・・・」」
この言葉を聞いた二人は驚きもせず、うろたえる事もせず、しっかり俺の言葉を聞いた。
「つい先週の話だ。東條は知ってる通りにあの後神田明神で絵里とサシで話した。話の内容はもう恋人役は必要ないってことだった。特に近寄ってくる男もいないから俺の魔よけとしての役目を終わった・・・。元から利用する為に俺を恋人役を頼んだ・・・。信頼してる言葉なんかあいつの中には無かった・・・・・・。利用するだけして好きなようにこき使った・・・・・・。あいつにも言ったけどよ・・・結局あいつにとっちゃ誰でも良かったんだよ!別に俺じゃなくても!他の男でも良かったんだ!!俺は当たりの中に隠れていたはずれのクジを引いたんだ!!使うだけ使って捨てたんだ!!」
情けない・・・・・・。俺は今超情け無い・・・・・。男らしくなく何の関係もない少女達に叫んで・・・・・・・・・。
「隆也君。今度はウチらが話すよ」
俺の言葉を聞いた東條が口を開いた。
「隆也君がエリチとの話合いが終わったあと、エリチはウチのこの家に来たんよ」
「絵里が?」
「にこも来てたのよ。あんたが出た瞬間にたまたまここを通ってね」
「そうか・・・・・・」
「それでにこっちとエリチを家に入れて話を聞いたんよ。さっき隆也君が言った事をね」
「じゃあ、俺が来るより前から知ってたのに呼んだのか・・・・・・」
「そうゆうことよ。騙したみたいで悪かったわね・・」
「別にそれはいいけど・・・・・・」
なんか俺騙されてばっかだな・・・・・・。
「それで、エリチ・・・凄く悲しそうやったんよ」
「悲しそう?」
「悲しそうって言うより悲しいのよ・・・・・・・・・。取り返しもつかない事をしたからって」
「取り返しのつかないこと・・・・・・?」
どういうことだ?
「隆也君。あの後、エリチ・・・・・・・・・ずっと泣いてたんよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・え?」
泣いていた?絵里が?
「絵里があんなのになったのには理由がるのよ。隆也、この前学校のリンチ覚えてる?」
「そりゃ覚えてるよ。俺被害者だし・・・・・・」
「あの現場を、絵里は見ていたのよ。あんたがぼこぼこにされているのをずっとみていたのよ」
「そう・・・・・・だったのか・・・・・・」
「こう言われたんでしょ?絵里さんと別れろって・・・」
「あぁ・・・」
「けど、あんたは反抗して4人の男たちにリンチにあってボコボコにされた」
「そうだ・・・」
人の気配は無かったんだがな・・・。
「絵里はそれを見て悔やんでいたのよ。自分がスクールアイドルのトップに立ったことに後悔はしていない。けどそのおかげでなんの関係もない隆也があんな姿になるまで殴られていたことに・・・」
「エリチはな、それを自分のせいやと思ってるんよ。自分の招いた種のお陰で隆也君に迷惑をかけていたって。私が隆也をあんなめに遭わせたって言ってるんよ・・・」
絵里が・・・そんな事を・・・・・・。
「家に来たとき涙がとまらないほど泣いていたのよ。神田明神で隆也に酷い言葉を言った、私に対してなんの嫌な顔をしないで接してくれた隆也の顔にドロを塗った、感謝しないといけないのに信用していないって自分に嘘までついて隆也を拒絶したことにとても後悔していた。あんた達が別れてよく絵里はここに着たわ。大学で隆也と会う度に心が締め付けられる、けど自分は強い人間じゃない。これも隆也を傷つけたことへの償いなんだって」
絵里・・・・・・。
「エリチは、ウチらと会う度にずっとこの言葉を言ってたんよ」
「この言葉?」
『希・・・にこ・・・。私・・・・・・どうしたらいいんだろう・・・・・・?』
「っ!?」
「ずっと悩んでるんよ。大学が始まって、隆也君と出会って、恋人になって、色々経験して、隆也君に助けられて、そして拒絶した。もう隆也君に合わせる顔が無いって」
「絵里とあんな風な結末になってしまったけど、本当はあんたの事、ずっと信じてたのよ。心の底から信頼してて、いつでも自分のそばに居てくれて、どんな時でも必ず来てくれる、自分のヒーローだと言っていたわ。隆也の話をする時の絵里の顔・・・・・・とっても楽しそうだった」
「エリチは不器用やからあんなやり方しか考えられんかったんよ。隆也君をこれ以上傷つけ無い為に・・・・・・」
「隆也・・・」「隆也君・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おう・・・」
「「貴方は、どうするの?」」
絵里・・・・・・。人一倍不器用で、人一倍賢くて、人一倍可愛くて、人一倍優しくて、そして人一倍・・・・・・悲しみを知っている少女。人間なんて誰しも完璧ではない。必ず誰しも抜けているところは必ずあるし、完璧だといえる部分なんてどこにもない。絵里は不器用だからこうするしかなかった。優しいからこうでしか俺を守る方法しかなかった。今でも自分を戒めているのかもしれない・・・。今でも自分を責めているかもしれない・・・。今でも・・・泣いているかもしれない・・・・・・。別に俺はヒーローになりたいわけじゃない。けど俺は・・・・・・『好きな女の子が泣いているのになにもできない男にはなりたくない』
「東條・・・・・・。絵里はいま何処に居る?」
「今やったら神田明神におるよ。今日神社で会おうって約束してたから」
「分かった。今から行って来る」
「隆也君・・・。エリチを助けてあげて」
「勿論だ・・・。もう泣いてもらっちゃ困るからな」
「やっぱり隆也君はいい人やな。エリチにお似合いや」
「そりゃどうも・・・」
玄関に向かい靴を履き替えて扉を開けようとすると。
「隆也」
「ん?」
矢澤が俺を見つめてきて・・・・・・・・・・。
「にことの約束、覚えてるわよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・Of course」
「「絵里を絶対1人にしない!」」
「行って来る」
「「いってらっしゃい」」
そして俺は東條の家を出た。
「まったく、絵里も世話をやかせるわね」
「そんなんμ'sの時からやん。友達は助けてあげないとね」
「違いないわね。ところで希。あの二人はどうなるのか占ってよ」
「ええよ!」
タロットカードを机に広げ、一枚を取り出した。
「ふふっ。こんなカードが出たで?にこっち」
「あら・・・。意味は何て言うの?」
「意味は・・・・・・・・・・・・」
***
長い階段を俺は一歩一歩踏みしめながら登っていった。まるでゲームでいうラスボスを倒しに行くかのような緊張感。だが妙に落ち着いている。絵里に言われた事を思い返してみる。信用?利用?他人?だから何だ・・・。どんな事を言われても・・・どんな理由を並べても・・・・・・それで絵里が苦しんでいい理由にはならない。この出来事は誰のせいでもない。なのに絵里は責任を感じて、1人で抱え込んで・・・1人で悲しんでいる。駄目だ。彼女に涙は似合わない。彼女には・・・・・・笑ってもらいたい。俺はあの子の笑顔を取り戻す。好きな人を守れないで、何が男だ・・・・・・。
階段を登り終える。視線を上げていくと誰かが立っていた。今夜は満月。月の光が雲から顔を出し、辺りを明るく照らしてくる。神社が明るくなり。立っている人物を照らしてくれる。そこに居たのはあの時と同じシチュエーション。立って居たのは夜風に靡いている髪を手で押さえ目に涙を浮かべていた俺の好きな少女・・・・・・。
絢瀬絵里が立っていた。
「久しぶりだな。絵里」
どうもみなさん!隆也と絵里。別れてしまいましたが一体どうなるのかと自分で考えながら書いていると何か胸にくる何かがありました。っていうか展開早いと思う人も居るでしょう。シリアスを書きたいと自分で言いながらこんな事いうのもなんですが言わせていただきます。
こんな悲しいのが長く続くなんてイヤダアアア!
というわけです。絵里が大好きなのに絵里がこんなことになるなんて認められないわ!
とうとう自分も馬鹿になりそうです。いや元からだな。うん・・・・・・。
次回、隆也と絵里。どのような事でどのような関係になるのか。頑張って書くので応援よろしくお願いします!
それでは今日はここまで!次回もお楽しみに!じゃあ・・・またな!!