「そこはカルピスでしょ。作者は分かって無いわね」
「なんだと!コーラほど素晴らしい飲み物はない!」
「炭酸飲料って骨をボロボロにするらしいわよ。特にコーラは」
「それってマジで・・・・・・?」
「マジよ。ついでに聞くけど一日何本飲んでる?」
「2本」
「貴方の骨は今日で終わりね」
「嫌だよママーーーー!」
「誰がママよ!!」
「はぁ・・・またか」
大学の新学期が始まって約一ヶ月がたっていた。俺は何時もどおりの時間に学校に通っていた。だが大学の新学期が始まり俺に対して変化があった。
俺が使っているロッカーを覗くと荒らされた。いや、荒らされていただな。新学期が始まってからか知らないが久しぶりに空けたロッカーの中が荒らされていた。なんでこんな事になったのか。予想は簡単につく。
『俺が絢瀬絵里の彼氏だからだ』
入学式が終わって次の日に俺が彼氏だと絵里を知っている奴ら全員の前で告白したのだ。驚く者もいればおめでとうと祝福してくれる者もいた。だがその中には勿論俺たちを良くないと思うものもいるだろう。絵里は少し前まで全国でトップに立ったスクールアイドルだ。すべてのファンに認められた少女だ。なのに大学に進んで見てみればどこの馬の骨とも知らない男が自分の恋人だと言っているのだから。面と向かって言いに来ない代わりにこんな陳腐なことをしてくる。
「やれやれだぜ・・・・・・」
とりあえずロッカーの中にあるゴミや埃を取り除こう。おっと、この見えないところにある画鋲もな。
ってか大学生にもなってこんな事するやついるんだな。恥ずかしくないのか?
うわ、なんだこの汚い液体・・・・・・・・・。ってかくッさ!!
「隆也、なにしているの?」
え?
後ろに俺の偽の恋人である絢瀬絵里が俺に対して険しい表情で見つめてくる。やめて!そんな目で俺を見ないで!
「何をしているの?」
「んー、ロッカーの掃除?」
「それ前もやってたじゃない。何回するつもりなのよ」
「あー、ほらあれだ!俺って綺麗好きだからさ」
「じゃあその入ってるゴミや画鋲ってどう説明するの?」
それを言われちゃおしまいだな・・・・・・・・・。
「お前が気にする事じゃない。これは前からの事だ」
「・・・・・・・・・そう。ならもういいわ」
絵里は自分のロッカーの中を整理し必要なものだけ取り出し、俺に冷たい視線を浴びせながら講義が始まる教室へと向かった。
***
あれから何日たったか覚えてないが、それからというもの俺は絵里と言葉を交わさず別れることが多くなった。誰がみてもわかる。こいつ明らか不機嫌だ。確かにこいつには気にするなと言ったがそこまで怒ることだろうか?これは俺に対する問題であり絵里は特に気にすることではないのだ。
そして今日の講義が終わった時、ロッカーに何時もと違うものが入っていた。
『今日の17時。大学にある渡り廊下に来い』
果たし状?と思ったが絶対違う事が分かった。おそらくこのいじめ行動に俺がなにも応えてない事を見た犯人が俺を呼び出してなにかしらの事をするつもりだろう。まあ、予想は出来るが・・・。ここで断ればまた面倒なことをされそうなので。
「行くしかないか・・・・・・」
その手紙を手に握り俺は渡り廊下へと向かった。
・
・
・
渡り廊下。この大学では渡り廊下を使用する学生はたくさんいるが今の時間帯は利用する者はいない。なぜなら今の本当の時間は講義の時間なのである。この時間にここを通る者はいない。なら俺を呼ぶのに相応しい場所なのである。
渡り廊下に着くと丁度廊下の真ん中付近に4人ほど座って俺を待ち構えていた。
「やっと来たか。なんでここに呼ばれたか分かるよな?」
「いや?まったく」
本当は分かっているがシラを切っておく。
「おい。調子にのるのも大概にしろよ?」
「俺は調子には乗っていないが?」
「チッ。分からせてやらねえと駄目だな。おいこいつが逃げないように取り囲め」
1人のボスらしき男が言うと他の男たちが俺が逃げないように取り囲んできた。
別に逃げる気はないのに・・・・・・。
「単刀直入に言うぞ。お前、絵里さんと別れろ」
「大体お前みたいなどこにでもいそうな奴が絵里さんと付き合ってるのがおかしいんだ」
「しかもあの人はμ'sの絢瀬絵里だ。お前と一緒にいちゃいけない人なんだよ」
「分かったらさっさとあの人と別れて二度とあの人の目の前に現れるな」
やはりか。こいつらは絵里のファンの男共だ。まあ考えは分からなくも無い。俺みたいな男があの有名なμ'sのスクールアイドルと一緒にいるんだ。多分この関係を見て反対だと思う奴は100%中99.9%は反対という奴がいるだろう。絵里にとっちゃ俺はこいつらへの魔よけ代わり。こいつらに対したら俺は邪魔者。俺という壁があるお陰でこいつらは絵里とお近づきになれないのだ。
「悪いが俺は絵里と別れるつもりはない。絵里は大事なやつなんでな。お前らの固定観念で出た言葉で指図をしてくるな」
この言葉がこいつらの怒りの炎への油となった。
「やっぱり駄目だ。おい取り押さえろ」
ガシッ
男二人が俺の腕を両腕で掴んで身動き取れないようにしてきた。
やっぱりこうなるのか・・・・・・・・・。
「わからない奴には体で覚えてもらわないとな」
「絵里に声すら掛けられない奴らがデカイ口叩くなよ。かっこ悪いぞ」
「っ!んの野郎!!ウラァ!」
ゴッ!
「ブっ!?」
「これで分からせてやるよ!!」
男の拳が俺の顔面に直撃した。ガードをしようとも腕が押さえられてどうしようも出来ない。
ドガッ!バキッ!
拳が俺の頬、鼻、胸、腹にめり込む。意識が朦朧としてき、鼻からは鼻血が出ていた。
「これで分かったか?分かったなら絵里さんと縁を切れ」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
体に力が入らない。数回ほど急所に当たっているお陰で頭の回転が鈍くなってきている。俺は解放されるが後ろが壁のお陰で逃げれない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・か」
「あ?」
男たちが耳を近づけてくる。
「誰が切るかよ・・・・・・ばーか」
「「「「っ!」」」」
俺はこの後、男たちに何発殴られたか分からないほどの暴行を受けた。
***
「いててて・・・・・・・・・」
男たちが帰った後俺は血を洗い流すため、便所で顔を洗っていた。
「あいつら・・・・・・おもいっきりやりやがって・・・・・・・・・」
あの喧嘩、いや・・・・・・リンチと言うべきか。俺は反撃はしなかった。なぜか?反撃してあいつらが怪我でもしてみろ。学校中に変な噂をたてられるに違いない。
「帰るか・・・・・・」
外はとっぷりと暗くなり学校にはほとんど学生はいなくなった。
今日はバイクでこようと思っていたが少し故障部分があったので徒歩でやってきた。ま、今のこの状態だとバイクに乗ってたら事故しそうで怖いしな・・・・・・。
「今日の晩飯・・・・・・なにすっかな・・・・・・」
家の近くにあるスーパーによろうとした時、
「あれ?隆也君?」
「へ?」
声を掛けられた方向を見ると、買い物袋を持ったスピリチュアル巫女娘。東條希氏が立っていた。
・
・
・
「もう出来るからそこに座ってて」
「お・・・・・・おう・・・・・・」
ありのまま今の状況を説明しよう。あの後、俺は東條の家に連れて行かれ晩御飯を作って貰っている。どうやら占い師の勘と言うものか俺が学校でなにかしらの出来事があったと予想し、俺の逃走を阻止し家に連行されて今の状態に至る。
「なんであんな遅い時間まで学校おったん?」
「んー・・・・・・寝てた」
「寝てたらそんな顔に痣ができるん?」
なんでこうどいつもこいつも勘が鋭いんだ・・・・・・。
「あー・・・・・・俺は出来るんだぜ?」
「なんで疑問系なんよ・・・。まあいいや。はいどうぞ!」
「なっ!?これは・・・・・・・・・庶民の味方!牛丼だと!」
某牛丼チェーン店。俺も作者もお世話になっております。
「もしかして手作り?」
「そうやで。うち特製やで」
「いいのかよ。俺が食って」
「二人分作るのなんか1人分つくるのと変わらんよ。いいから食べて!」
「お・・・おう。いただきます」
「召し上がれ!」
箸で肉と白飯を摘みあげ口に含む。
すると・・・・・。
「ん!?美味い!」
「ほんまに!?よかったぁ~」
「肉がしっかりと味がついていて肉汁が白飯に味が染み付いてて凄い美味い!」
「おいしくいただけてるようでなによりやで。まだあるからおかわりしてな!」
「おう!ガツガツガツガツガツ!!」
牛丼。三杯おかわりしました。俺の好物の1つは牛丼である。
「ご馳走様。美味かったよ」
「お粗末様。まさか作った分全部食べるなんて・・・・・・」
「好物だから仕方ない・・・・・・・・・」
仕方ないのである・・・うむ・・・。
「じゃ俺はこれにて・・・・・・・・・」
「隆也君・・・・・・・・」
「はい?」
気のせいか・・・。東條の声のトーンが低すぎるような・・・・・・。
「学校でなにがあったん・・・・・・?」
「・・・・・・あ・・・・・・え・・・・・」
言葉が出ない。東條の言葉には刃がついているのではないかと思うくらいである。口からでた言葉が俺の心に突き刺さる。おそらく、いや・・・東條は気付いている。内容は分かって居ないかも知れないが学校で何かがあったことに気付いている。今日は嫌な日だ・・・・・・。
「べ・・・別になにもないぞ?こ、この顔の痣だって学校の友達とじゃれあってただけで・・・・・・」
「じゃれあうほどで痣ってできるもんやったけ?」
「お、男だから・・・・・・・・・な・・・・・・」
「その人は相当力が強いんやろな~。じゃあ聞くけど・・・・・・どうじゃれあってきたの?」
「いや・・・・・・ふ、普通にだよ!男のじゃれあいなんか暴れてなんぼだろ?」
「そう・・・。じゃ質問を変えるな。なんで・・・私の顔を見て喋らないの?」
「っ!」
最後の言葉が関西弁じゃなかった・・・・・・。東條の視線が痛い・・・。完全にばれている。
「今、隆也君のこと占ったらこれが出たよ」
「それ・・・・・・は・・・・・・」
「THE FOOL。愚者のカードの逆位置。焦りや意気消沈を意味している」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
当たっている。俺は今のこの状況に焦りが出ている。はやくこの状況を打破したいと思っている。
「私の占いは中々外れないのよ。さ、全て話して・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった」
俺は学校で起こったことを話した。ロッカーの件や、呼び出されリンチに合ったこと。絵里との関係を切れと命令された事を・・・・・・。
「そうやったんや・・・。それは災難やったな」
「別に。いじめやリンチは高校の時でも体験してる」
「でもその人達はひどいもんやな。全てを隆也君のせいにしてるみたいで」
「俺が逆の立場でもそうなると思う。分からなくも無い」
「けど、隆也君でもそんなことはせんやろ?」
「さすがにな。俺は自分の力で何とかしたいやつだからな」
「やんな・・・。で?これからどうするの?」
「そうだな・・・・・・。今はとにかく絵rピロリンッ!ん?」
携帯のアラームがなったので見ると。
『絢瀬絵里』
「嫌な予感がする・・・」
「ウチもやな・・・」
メールの内容は・・・・・・。
『すぐに神田明神に来て』
予感的中。
「すまない。行って来る」
「わかった・・・・・・」
東條の家の扉を空け俺は外に出た。
「まさか・・・こんなカードが出るなんて思わなかった・・・」
隆也が家を出た瞬間に占いでカードを引いた。
出たカードは・・・。
「Wheel of Fortune。運命の輪のカードの逆位置。意味は・・・・・・情勢の急激な悪化、すれ違い、降格、アクシデントの到来・・・・・・そして・・・・・・」
***
急いで神田明神俺は急いで向かった。嫌な汗が背中を流れる。胸が苦しくなる・・・・・・。俺は一体どうしてしまったんだ・・・。病気か?いや・・・気のせいだ。さっきの東條とのやり取りで興奮しているだけだ・・・。
そう言い聞かせながら神田明神の階段を上がった。
そこには、片手に携帯を握った絵里が立っていた。
「意外と早かったわね隆也」
「まあな。彼女を待たせたら嫌われそうだからな」
「そうね。嘘をついたりしたら嫌われるわよ?」
「ごもっともで・・・・・・」
いつもの会話をしているのにこんなに鳥肌が立つのはなぜだろう。なんでこんなにも落ち着かないのだろう・・・・・・。何を・・・恐れているのだろう・・・。
「隆也。ここに呼んだのはあなたに用があったの」
「用?それってなんだよ・・・・・・」
「貴方に言いたい事があってね・・・・・・」
このシチュエーションは映画で告白をするシーンに流れそうである。告白をされ二人は幸せになりました。おしまいでハッピーエンドに終わるであろう。だが絵里から出た言葉はそんなお花畑のような雰囲気をはほど通りものである。それは俺の中の何かが一瞬で崩れるほどの威力を持っている。一種の核ミサイルより効果的かもしれない・・・。
東條が引いたカード。Wheel of Fortune。運命の輪のカードの逆位置。意味は情勢の急激な悪化、すれ違い、降格、アクシデントの到来・・・・・・そして・・・・・・。
「今日から貴方の私との恋人役は終了よ・・・・・・・・・『横山君』」
そしてWheel of Fortuneの最後の意味は・・・・・・・・・・・・・・・。
別れ・・・。
はい。どうもみなさん!今回は頑張ってシリアスな話を書いてみました。どうだったでしょうか?これを考えるために自分は布団の中でダンゴムシの如く丸まっていました!お布団は最強である。
そして新しく評価してくださった!
橘 絵斗さん!しかしまさかさん!バルサさん!Axelsonさん!薺《Nazuna》さん!猫狐獅子さん!ヒースクリフさん!いたんじさん!
ありがとうございます!
続いてシリアス編は続きます!これからの隆也と絵里はどうなるのだァァァァアア!
では次回お会いしましょう!またな!
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