遊戯王ARCーV 生き残った儀式使い   作:AMs

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今回はデュエルはありません


11話 戦士の休息

「バトル!モンスターで攻撃!」

 

「あーあ、また負けた。・・・はやっぱり強いな。」

 

「どうして強いのに大会とかでないの?」

 

「俺はあまり人前に出るのは好きじゃないっていつも言ってるだろ。」

 

「勿体ないよな。もしかしたらプロにもなれるかもしれないのに。」

 

「別にいいだろ。そう言うお前はプロになりたいのか?」

 

「もちろん。でも俺弱いから・・・」

 

「まあこれから強くなればいいだろ。ほらもう一回デュエルするぞ。」

 

「ああ。今度は負けないぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・変な夢だったな・・・」

 

俺は今見た夢についとそう思った。

 

夢の内容は小さい男の子2人がデュエルをしている者だった。

 

しかし変な感じだな。俺があの夢に出てきた子供と同じ年ごろの時はあんな平和なデュエルをするなんてとても出来なかったからな。もしかしたら、こんな平和な時を過ごしたかったていう俺の願望が夢に出たのかもな。

 

「それにしても、昨日のあれは何だったんだろうな・・・」

 

俺は昨日起きた事を思い出していた。

 

共鳴し合うドラゴン

そのドラゴンたちと敵対するブルーブレイズ

ユートの中から現れた黒い何か

 

一番気になるのはやはり最後のだろうな。

ユートの中にいた何かがあの現象を起こしたと考えるのが妥当だが、あれが何だったのかはどう考えても知りようがない。

 

「それにお前も何者なんだ?」

 

俺は手に持つブルーブレイズのカードを見ながらそう思った。

 

こいつがユートに攻撃した後に黒い何かが飛び出てきた。となるとこいつがユートから黒い何かを取り除いたと考えるのが妥当だろうな。

 

よく考えたら俺はこいつの事を何も知らないんだよな。手にした最初の頃は特に何かあるわけでもなかったが、ここ最近は何かに反応するかのようになった。

 

恐らく、先遊矢のオッドアイズ、ユートのダーク・リベリオン、ユーゴの持つクリアウィング、この3人の持つドラゴンと何か関係があるはずだ。

 

やはり情報が少なすぎる。だがこのまま関わり続ければ真実を知る時が来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・これが昨晩あの場所で起きた事だ。」

 

今、俺は社長室で赤馬零児と黒咲に昨晩何があったかを話した。だがユートから出た”黒い何か”については話してない。あれは下手に話を広めるのは危険な気がしたからだ。

 

「そうか。そのモンスターが君をあの場所まで連れて行ったと言う訳か。」

 

「そうなるな。」

 

「ふっ!そんなデタラメを信じろと?」

 

話を聞いていた黒咲は俺をにらめつけながらそう言った。

 

「何だ?俺が自らの意志であの場に行ったって言いたいのか?」

 

「そうだ。貴様は俺たちに協力的な関係を築きその後、俺達を騙して内面から俺達を潰すのが目的だろ。そもそも儀式次元なんてモノが実際に存在するかも疑わしい。」

 

とことん信用されてないな。まっ仲間と敵対したんだから仕方がないがな。

 

「やめろ黒咲。確かに彼の言葉に信憑性は薄いかもしれない。」

 

やっぱり信用してないのか。

 

「だが、彼がアカデミアの仲間だと言う証拠もない。それに彼の話によれば君の仲間が彼をアカデミアの仲間と勘違いしたため、やむなくデュエルしたようだが。」

 

「そんなのこいつの作り話に決まっている!ユートが目覚めればすぐにでもこいつの嘘なんか判明する。そうすればこいつを・・・」プルプルプルプル

 

突如と電話が鳴りだした。

 

「私だ・・・そうか・・・ご苦労だった。」

 

赤馬零児は少し話すと電話を切った。

 

「黒咲、君の言うとおり作り話かどうか実際に本人に聞いてみようか。」

 

「何・・・まさかユートが!?」

 

「君のお仲間が目覚めたそうだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユート!」

 

「隼!?どうしてお前が!?」

 

場所は再び変わり病院。病室を開けるとそこには入院服のユートがベット寝ていた。

 

「ユート無事なのか!?」

 

「心配するな。特に外傷とかもないから。」

 

「そうか・・・」

 

黒咲もユートが無事だった事に安心したのか少し冷静さを取り戻した。

 

「感動の再開のところ悪いが君に聞きたいことがあるのだが。」

 

タイミングを見計らって赤馬零児がユートに話しかけてきた。

 

「お前は赤馬零児!それにお前は昨日の!隼これは一体?」

 

「まずはそこから話す必要があるようだな。」

 

赤馬零児はユートに自分が何をしようとしているかを話した。

 

「なるほどな。それで黒咲がLDSのデュエリストとして大会に出ていたのか。」

 

「ああ、こいつに俺の実力を見せろと言われてな。そこのこいつもな。」

 

黒咲は俺の方を向きながらそう言った。

 

「よっ元気そうだな。」

 

「お前がここにいるって事はお前も・・・」

 

「そうなるな。ただお前のお仲間さんはまだ信用してないようだがな。」

 

「当たり前だ。ユートをこんな目に合わせておいて信用しろと言うのか?」

 

まあそうなるよな。

 

「やめろ隼。今回に限っては俺の勘違いが原因だ。」

 

「しかし!」

 

「もしこいつが本当にアカデミアなら俺はとっくにカード化されているはずだ。」

 

「っ確かにそうだな・・・」

 

黒咲もユートの言葉に渋々納得してくれたようだ。

 

「ではユートと言ったな。昨晩何が起きたのか君の言葉から聞きたい。どうも君のお仲間は彼の言葉を完全には信用してないようでな。」

 

「分かった。」

 

ユートは昨日起こった出来事を話した。内容は当たり前だが俺の話した事と変わらかった。ただし彼は俺と同様に自分の中から飛び出てきた黒い何かについては話さなかった。

 

「どうやらユーキと同じ内容だったな。これで彼が敵じゃない事は理解できただろう。」

 

「ふっ、今回はユートに免じて貴様を信用してやる。だがお前がアカデミアだと分かればその時は容赦しない!」

 

まだ完全には信用されてないが取りあえず納得はしてくれたようだな。

 

「では改めて聞くがユート、君は我々の仲間としてアカデミアと戦う気はあるかい?」

 

「分かった。俺もお前たちに協力しよう。」

 

「そう言ってもらえると助かる。君は後数日すれば退院できるそうだ。それまで体を休めるがいい。」

 

そう言うと赤馬零児は部屋を出て行った。

俺も後を追うように部屋を出ようとしたら

 

「ユーキ、お前と話がしたい。」

 

ユートに呼び止められた。

 

「隼すまないが席を外してくれないか?」

 

「ユート!?しかしこいつは・・・」

 

「頼む。」

 

「・・・おい貴様、もしユートに何かしたらただじゃおかないぞ。」

 

そう言うと黒咲は部屋を出て行った。

 

「すまないな。集は根はいいやつなんだ。」

 

「別に気にしてねぇよ。それで何の用だ?」

 

「・・・お前は俺から出て行ったものについて何か知っているか?」

 

矢張りその事か

 

「悪いが何も知らないな。だが推測はできる。」

 

「何?」

 

「お前のドラゴンだ。」

 

「ダーク・リベリオンの事か?」

 

「そうだ。お前とあのユーゴと名乗る男の2体のドラゴンが場に出た時、お前たちは明らかに様子がおかしかった。その事からもお前のドラゴンが関係ないとは考えにくい。」

 

「こいつがか・・」

 

そう言いながらユートは机に置かれていたデッキからダーク・リベリオンのカードを取りだした。

 

「っ!これは!」

 

しかしカードを見た瞬間ユートの表情が変化した。

 

「どうしたユート?」

 

「ダーク・リベリオンの効果が変わっている・・・」

 

「何だって!?」

 

俺はユートの手に持つダーク・リベリオンを見た。

そこに書かれた効果は昨日見たものとは少し変わっていた。

 

「これは一体・・・」

 

カードの効果が書き換わる。エラッタされる以外で考えたらありえない事だろう。だが昨日起きた事を考えるとある程度推測はできる。

 

「おそらく、お前から出て行った黒い何かが関係していると考えて間違いないだろうな。」

 

「そうなるな・・・だとしたら遊矢は!」

 

「何かしら影響があるだろうな。」

 

 

 

 

 

ー遊矢ー

 

目が覚めると俺は自分のベットに寝ていた。母さんの話だと一昨日、柚子に家まで送られ丸一日眠り込んでいたそうだ。

 

「ユート・・・」

 

俺はあの晩に起きたことについて思い出していた。

 

俺と同じ顔の奴が3人でデュエルをした。

 

3人ともそれぞれの一歩も引けを取らず激しい攻防だった。

 

だがユートとユーゴがドラゴンを出した瞬間から2人の様子が変になった。

 

あの時、俺も突然胸が苦しくなり何が起きたか分からずにいた。

 

デュエルはユーキが勝利に終わったり、ユートは俺にダーク・リベリオンのカードを託そうとしていた。

だがその時ユーキの青いドラゴンに俺とユートが襲われ、ユートはドラゴンの炎に焼かれてしまった。

そして炎の中で苦しむユートの中から突如と飛び出した”黒い何か”

 

「一体あれは何だったんだろう・・・」

 

遊矢は自分の胸を押さえながら呟いた。

 

今俺の中にはその黒い何かが入り込んでいる。

結局これが何なのか俺には知りようがない。

 

「考えても仕方がないか。」

 

俺は考えるのをやめ、机に置かれた1枚のカードを手に取った。

 

「ユート、俺は絶対にデュエルでみんなを笑顔にして見せる。だから見ていてくれ。」

 

俺はユートから託されたダーク・リベリオンを見ながらそう呟いた。

 




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