終る世界の、廃墟に二人   作:K氏

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第三歌

 

 葉隠覚悟、またの名を、エクゾスカル零。神武の超鋼着装(まと)いし正義執行者の中において、とりわけ優れたる七名の戦士―エクゾスカル戦士の一人たる彼は今、危機に瀕していた。

 

(零に損傷はない。だが、肋骨を痛めたか)

 

 廃墟と化したビルの壁。そこに、黒鋼の装甲を持つ鎧―強化外骨格『零』―即ち、覚悟自身―が叩きつけられていた。

 覚悟は、傷の見当たらない鎧越しに胸部を押さえる。触れた瞬間、ジワリ、と痛みが走る。強化外骨格に使われる展性神武合金は、その強度を遺憾なく発揮しているが、しかし、衝撃の威力を殺し切れなかったのか、内部の覚悟の肉体にはダメージを与えていた。無論、この程度のダメージで弱音を吐いたり、泣き言をほざくほど、覚悟は軟弱ではない。

 零のヘルメット内部で、覚悟は痛みに顔をしかめるわけでもなく、ただじっと、眼前の存在を見据える。

 

(確かに、彼女達から得た情報は正しかった。だが、その上でこの様とは、我が身の慢心故か。不甲斐無い。猛省せよ、覚悟)

 

 心の中で自らを戒めると、覚悟はゆっくりと立ち上がる。

 

 はっきり言って、今対峙している『敵』の戦力は、予想以上だ。

 彼女達がいなければまともに渡り合えないというのも、あながち間違いでもないらしい。その彼女達は今、自らのメンテナンスの為に、エルゴノミクス研究所とやらに潜入している頃だろう。

 

―で、あるならば。

 

(此処を死守せねば、勝利はない。…いや、違うな)

 

 覚悟は仮面の中で、やや口を歪める。それは、苦痛より来るものに非ず。

 

(「俺一人でも制圧可能である」。それぐらいの意気込みが無くては、戦士は務まらぬ)

 

 覚悟は静かに、零式防衛術の構えの一つ――破邪の構えを取る。

 

(何の因果か、再び同じ名を聞き、そして相見える事になろうとは)

 

 覚悟の前方、約五十mに、接近する巨体あり。

 

 それは、鋼鉄の塊。歪な鉄箱に無限軌道(キャタピラ)をくっつけただけの、見た目だけであればもはや戦車とも呼べぬ代物であるが、その戦力は間違いなく、覚悟の知るどの戦車よりも強力だ。

 そして、鉄箱の後部より伸びる、幾本ものの機械式アーム。その全てに、それぞれ異なる武装が備えられている。機関砲、鎖鋸(チェーンソー)、火炎放射器、擲弾筒、等々。

 これらの武装も十分脅威ではあるが、それ以上に脅威足りえるものを、この異形の戦車は持ち合わせている。

 

「来い、メデューサ。否…ゴルゴンよ」

 

 かの神話において、戦の女神の嫉妬を買い、そして呪われ、醜い姿に変えられたという三姉妹。その三姉妹が変化した怪物の名を持つ鋼鉄の棺は、『敵』と認識した覚悟に、まるで獲物を狙う蛇の如く、狙いを定めていた。

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

―約二十五時間前

 

「ほんっっっっまにッ!すんませんでしたぁ!」

「いえ。元はといえば、非常時とはいえども、貴方がたの拠点に勝手に侵入した私に非がある。(こうべ)を上げられよ」

「いや、せやかて…」

 

 誤解により、一触即発の状況を生んでいた地下の避難シェルターは、一転して謝罪合戦が始まっていた。

 

 正座にて座する覚悟。そしてその正面に、自らをラビリス―今地面に横たわっている少女、アイギスの姉を名乗る少女が、長いポニーテールを揺らしながら、美事なまでの土下座を披露していた。

 

「それに、人を助けるのは私の義務であり、使命だ。見返りを目当てに行っているのではない。撤収を求めるのならば、喜んで応じよう」

「いっ、いやいやいや!そんな妹の恩人に向かって失礼やって!しかも恩を仇で返すのはともかく、何も返さへんっていうのも流石に考えもんやろ!?」

 

 互いに名を名乗った直後、このような不毛な口論、もといやり取りが始まり、はや二十分は経過している。

 双方共に善人なれど、双方共に譲れぬ信念がある故に、未だ平行線を維持していた。

 

 しかし、いい加減どちらかが妥協をせねば、このやり取り、下手をすれば丸一日どころか、一週間かかるやも知れぬ。そんな時だった。

 

「あの、せっかくですから、お礼をさせて、頂けませんか。私からもお願いします」

「…!アイギス!大丈夫なん!?」

 

 リノリウムよりも冷たさを感じさせる床に横たえられたままの体勢で、アイギスが首だけを起こし、覚悟を見やる。

 ダメージを受けているはずであろう彼女をラビリスが気遣うが、アイギスはただ一言、「大丈夫ですよ」と返すと、なんとか上体を起こそうとする。だが、思う様に体が動かないのか、再び地に伏せてしまう。

 

「無理したらあかんて!」

「…ごめんなさい、姉さん。でも…」

 

 ロボットにしては、非常に表情が豊かだ。儚げな表情を見せるアイギスを見、覚悟はそんな感想を抱く。

 

 だが、このアイギスやラビリスと名乗る者達が、完全なるロボットだというのは、まず間違いないはずである。念の為にモーントヴォルフのセンサーでも確認してみたが、心音が全くないのだ。

 つまるところ、動地憐の妹、澪のように、頭部・脳だけを交換可能な存在ではなく、正真正銘、人の姿を持ったロボットなのだ。それが意味するところはつまり…

 

(明らかに国際法違反の存在だ。だが、こうして現に、目の前にいる。法の目を掻い潜り、潜伏していたのか?)

 

 この崩壊した世界において、もはや法など何の意味も持たない。だが、覚悟はどこまでも、軍規に忠実であった。

 

「…いいだろう。その好意、確かに受け取った。…それに、いくつか訊きたい事もある」

「はい。それは私もです。覚悟さん。…いえ」

 

 直後、覚悟は自身の耳を疑う事となった。

 

 

「…エクゾスカル戦士、とお呼びすればいいでしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 『それ』は、永らく眠りについていた。一日や二日…否、それどころか、一年や十年ですらない。かれこれ、百年以上、『それ』は沈黙していた。

 そして、『それ』が目覚めた時、『それ』は『彼女』になった。『彼女』、と表現するのは、その身体には間違いなく、人格(パーソナリティー)と呼ぶべきものが生まれていたからだ。ただし、その人格が必ずしも一つだけであるという確証はないのだが。

 

 元々、『彼女』は造られた存在だった。

 

 誰が、何の為に。その記憶は、『彼女』からは欠如していた。だが、『彼女』という人格が生まれた瞬間、『彼女』にある感情が芽生えた。

 

 

 それは絶望。憤怒。憎悪。

 

 

 それらのネガティブな感情が、沸々と湧き上がってくる。何故なのか。それは『彼女』にもわからない。その感情を湧き上がらせる、根元足り得る記憶が、『彼女』にはなかった。だが、何かしら理不尽な目に会ったという事だけは、『心』に強く刻まれている。

 

 今ある記憶、つまり数百年の眠りから目覚めた時からの記憶で、最初に目についたのは、暗く、冷たい倉庫の壁。

 何故、此処が倉庫であると理解できたのか?それすらも、『彼女』には理解できない。

 

 そして、しばらく辺りを見回す事で、ようやく自身の目線が妙に高い事に気付く。次に『彼女』が、自分の体を動かそうとした時―

 

 

「――!!!」

 

 

―自分が『何』なのかを、理解した。

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

「…そうか。ここに、『霧』が…」

 

 覚悟は、神妙な顔つきで、凝縮食料から再現・復元されたパンを食していた。

 話に耳を傾けながらも、覚悟はそのパンを噛み締め、そして味わっていた。

 話を聞く態度ではないと思われるかもしれないが、食事をとりながら話を聞くなど、彼には容易い事だ。

 

(噛むべし。存分に噛むべし)

 

 内部より漏れし、温かな芳香。温かな手触り。そして、何よりもその歯ごたえ。噛んだ瞬間に感じる皮の硬さと、中の柔らかさ。

 

(旨し。パン旨し)

 

 破滅的なこの世紀末世界において、このような食糧を口にする事ができるのは、奇跡だと言っても過言ではない。恐らく、今のこの世において、これらの食糧の安定した生産環境を作る事は、非常に難しいだろう。

 覚悟がパンを食すのは、以前、彼と同じエクゾスカル戦士『雪』である少女――初夜六花と行動を共にした時以来だ。

 

(…今、何をしているのだろうな)

 

 一時的にとはいえ、行動を共にした同志であったが故の心配。しかし、心配など無用という事は、彼自身よく分かっていた。着装前の体格は、零式特殊武装の使用体格基準を満たしてはいないものの、まがなりにも零式防衛術の使い手だ。それに、彼女の周りには、他の着装者もいる。

 

「どうかなさいました?」

「…すまない。他のエクゾスカル戦士の事を少し」

 

 どうも、考え込んでしまっていたらしい。不思議そうにこちらを見てくるアイギスに、覚悟はハッとして返した。

 

(…しかしながら)

 

 コールドスリープに入る以前の記憶は失われてしまっているが、それでも知識としては、様々な事を知っている。

 だが、ここまで表情豊かなロボットは、彼も初めて見た。

 動地憐の妹である澪も、肉体は機械ではあったが、定義的に鑑みれば機械化人間(サイボーグ)と呼ぶのが適切だろう。

 

(説明によれば、『黄昏の羽根』、ないしは『パピヨンハート』と呼ばれる部品が、人格を形成しているとの事だが…)

 

 覚悟にある知識内には、どちらの名前も存在しない。未見にして未聞の物質。彼女達を生み出した桐条グループなる企業は、何故にその存在を秘匿したのだろうか。開発された当時にも、覚悟達のように『正義執行者』はいたであろうに。

 

「なぜ、霧は君達と行動を共に?」

「行動を共にした、というよりは、少しばかり話をしただけ、と言った方が正しいですね。彼はどうも、各地で救助活動を行っているようですし、我々は問題なしと見なしたのでしょう」

「…だが」

 

 『問題なし』、だと?

 覚悟はそう判断した霧を疑った。彼が彼女達と遭遇したのは、そう昔ではないらしい。だが、アイギスが最後にメンテナンスを受けてから経った日数を考えれば、『問題なし』などと判断する事はできない筈だ。

 

(何を考えている、霧…)

 

 聞けば、霧の着装者たる少年は、正しく若き戦士といった風体らしい。そして、その性格も。

 アイギスとラビリスは彼の戦闘を見ていないーというより、そもそも『鎧』を纏っての戦闘をしていないらしい―為、一体如何なる武装を所有しているのかは不明だが、話を聞く限りでの印象なら、覚悟は「青い」としか言いようがなかった。

 

 理想に向かって邁進(まいしん)する若き戦士。それは一見すれば、まだまだ未熟な戦士であると、それなりに経験を積んだ戦士であるならばそう判断するだろう。

 だが、そのような人間が、最高の戦士たるエクゾスカルになれるものか。事実、エクゾスカルの称号を背負っているのならば、それに相応しい正義を胸に秘めているものだ。

 

「…ええと、あのな、覚悟、さん?」

 

 すると、ラビリスが遠慮がちに話しかける。

…思えば、このラビリスも、中々に奇妙な存在だ。人工的に作られた人格が、かつて存在していた日本の関西圏に住まう市民特有の方言で喋っているというのも、よく分からないものだ。人格を形成するに当たって、そのモデルとなった人間がいるのだろうか?

 

「その、ツムグくんを責めるんは、やめたって欲しいんよ。その…断ったんは、私らの方やし」

 

 『ツムグ』。確か、エクゾスカル霧の着装者の名前だったか。とはいえ、本名を知ったところで、覚悟は『霧』と呼ぶ事を変えないだろうが。

 

「断った、とは?」

 

 そう問うと、ラビリスは俯きがちに、アイギスの方をチラリと見やる。その目には、迷いの色が見える。

 

「…なぁ、ホンマに頼むん?」

「…この際、背に腹は変えられないから」

 

 迷いを見せるラビリスに対し、アイギスは確固たる決心を持って、コクリと頷いた。だが、覚悟には心なしか、彼女に諦めに似た感情が浮かんでいるように思えた。

 

(元々、何か果たさねばならぬ事があったのか?それも、誰の手を借りる事無く)

 

 聞けば、彼女達は本来の用途で言えば『戦闘用アンドロイド』に属する存在だが、当の戦闘対象は、所謂人外の存在だったという。

 

 『シャドウ』。単なる英単語と捉えるならば、『影』という意味だ。だが、彼女達の話を聞く限り、それほどシンプルな存在ではないようだ。

 彼女達の話の内容を総括すれば、正確には、ユング心理学において『心の影』を意味する単語、と言うのが正しい。

 人間の心の影から生まれる、否、影そのものがシャドウであり、そしてシャドウは人間を襲い、人間の精神を食らう。

 それらから人々を守る事が出来る唯一の存在…それが彼女達であり、そして数百年以上前まで生きていた、彼女の仲間達であった。それらを可能とするのが、彼女達が持ち得る、ある超能力。それもまた、心から生まれたものであり、シャドウとそれは、言わば同じ存在なのだそうだ。

 

 荒唐無稽な話に思えるが、人類を襲う脅威が、何もマッドサイエンティストやカルト集団の放つ怪人等だけではない事ぐらい、良く知っている。

 脅威というものは、必ずしも人目に目立ち、そして分かりやすく人々を襲うというものではない。社会の影、裏の世界、そして日の差さない夜の闇。悪というものは、何時だって暗がりを好み、そこから虎視眈々と、牙無き人々を狙っているのだ。

 故に、覚悟は疑わない。

 

 ここで一つ、覚悟は誤解している事がある。

 シャドウに、善悪という概念はない。

 人の心より生まれ出る彼らの中には、明確な意思を持った者もいる。テレビの中、という奇怪な世界でのみ現出するそれらは、例え元となる人間が善人であったとしても、余程純粋な心の持ち主でない限り、主に対するネガティブな存在として現れるのだ。

 

「何か私に、頼みたい事があるのか?」

 

 単刀直入。葉隠覚悟は、何時でも、何事に対してもストレートである。思いやりの心も確かにあるが、元より彼に「空気を読む」という選択肢はない。というより、空気を読むという事を知らない。何者にも揺らがせる事が出来ないその鉄の心は、記憶無き今、より正義一色に染まり切っている。

 

 あまりにも真っ直ぐな彼の視線、そしてその物言いに、思わずたじろぐラビリスだが、しばらく思案すると、やがて決心したのか、重く閉ざされていた口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

―『彼女』が目覚めてまず行ったのは、己の身体を動かすという事。

 だが、これが中々、うまくいかない。自在に動かす事ができない。

 

 しばらく調整がてら、狭い倉庫の中で可能な限り身体を動かしてみて分かったのは、自分はこの肉体に『嫌悪』している、という事だった。

 

 また、憎しみの感情が沸き上がった。

 

 次に『彼女』は、倉庫内を見渡す。

 だが、そこにあるものが、『彼女』には理解できなかった。人間ならば認識できていたであろう物のことごとく…文字ですら、『彼女』は理解できなかった。

 

 だが、何をどうすればいいのかは、何故か理解できた。

 

 『彼女』は、近くにあった液晶のついた箱―即ちコンソールに気付くと、それを操作した。そこから得られるだけ情報を抜き取ると、『彼女』は思案した。

 

―次に、ワタシは、ナニをスベキか。

 

 

 その時だった。

 倉庫内に、何者かが侵入したのに気付いたのは。

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 荒れ果てた大地に、僅かな日差しが差す。しかし、それも間もなく消え、この世界は夜の闇に包まれるだろう。

 今の地球の自転活動がどうなっているのかは分からないが、ここは少なくとも、正常に一日を刻んでいるようだ。

 

 しかし、地球の地殻変動は、地球の環境そのものに多大な影響を及ぼした。

 今、覚悟達はとあるビルの屋上にいるが、この急激な気温の低下の理由は、高所にいるから、というだけではあるまい。

 

 覚悟は双眼鏡を覗き、数キロ先のビル群を、ただじっと観察する。

 その隣で、自力で立って歩く事が困難なアイギスを、紐で括りつけて背負い、同じ方角を見やるラビリスがいた。

 

 彼女達の視力ならば、遠方を肉眼で―元より、彼女らの身体は余すところなく機械だが―確認する事も容易だ。

 

「それで」

 

 双眼鏡から目を離すと、覚悟が口を開く。

 

「改めて訊くが、頼みとはなんだ」

 

 先程覚悟が訊いた直後、一先ずラビリスは、彼を外へと誘った。

 辿り着いたのは、今彼らのいる、廃墟となった高層ビルの屋上。

 ラビリスは、そこに着いたら話すと、予め覚悟に言っていたのだった。

 

「もうちょいや。もうちょいしたら、出てくるから」

「分かった」

 

 そうラビリスに返されると、覚悟は更に追及するわけでもなく、あっさりと訊くのを止め、再び双眼鏡から見える景色に目を移す。

 一体、これから何が起こるというのか。

 ある程度なら予測はつくが、いずれにせよ、見ない事には話にならない。

 

 すると、ラビリスはハッとした表情をすると、目を閉じ、音を立てず、耳を澄ませた。

 今の覚悟は零を纏っていない為、平時でも並外れた聴覚を持ってはいるが、それでもアイギス達と同じまでとはいかない。

 

「おっ、来た来た」

 

 そう呟いた直後、僅かながらだが、ビルが揺れた。

 地震の初期微動のような僅かな揺れが、やがて段々と大きくなっていく。

 だが、覚悟は至極冷静に、その正体を探ろうとする。

 

―否、これは地震などではない。

 

 覚悟は、今までの揺れ具合から、この揺れが地震によるものではないと察する。

 

(一体、何が…!)

 

 そして再び、双眼鏡に目を戻すと―

 

「…!あれは!」

 

 遠くのビル群の谷間から、土煙が浮かび上がる。その煙が、港の方へ向かって段々と移動していくではないか。

 

(何か巨大な物体が移動している…?)

「あれか?君の頼み事とは」

「…せや」

 

 やや俯きがちに、ラビリスはそう返す。

 その肩が、僅かながらに震えているように見えるのは、今起きている振動のせいなのか。

 

「…あんたに頼みたいんは、他でもない」

 

 そうこうしている内にも、移動する土煙が、廃墟のビル群を抜け―

 

 

 

()()の足止めを、して欲しいんや」

 

 

 

―煙の中から、動く鋼鉄の塊…否、山が、その姿を現した。

 

 

 


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