インフィニット・バリアンズ   作:BF・顔芸の真ゲス

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ep.48 二回戦!氷の王女と外道皇子

side真月

 

 

 

ハッチで待っていたら、試合を終えた簪達がアリーナから戻って来た。

 

簪「零!ただいま!」

 

真月「おう、おかえり簪。良い試合だったな」

 

簪「うん!」

 

物凄くいい笑顔で簪はそう返す。何というか、簪が犬だったら尻尾を勢い良く振ってそうなくらい上機嫌だな。

 

簪「それで零、さっきのお願い……」

 

真月「ん?……ああ、アレか。分かってる分かってる」

 

お願いとは、さっきのやつだろう。簪は目を閉じて、頭を少し下げて催促している。うん、これ完全に犬だわ。

 

真月「よしよし、良く頑張った。偉い偉い」

 

簪「んん……!んぁ……ふあぁ……!」

 

犬耳が生えた簪を頭の中で思い浮かべながら、簪の頭を撫でてやる。撫でられる簪の顔がみるみる弛緩し、だらしなくなっていく。さっき撫でた時より反応が大きいな、俺の撫での技術も上達してきたという事か。

 

天音「ちょっと簪!最後のアレ危なすぎ!私がいる事もちゃんと考え……うん、駄目だこりゃ」

 

簪「うぇへへへ……!零ぃ、もっと、もっとぉ……!」

 

さっきの試合の最後に簪の攻撃に巻き込まれそうになった事を抗議しに来たらしい天音だが、簪の姿を見て匙を投げた。

 

真月「悪い天音、簪こんな感じにしちまって」

 

天音「いや、別に良いよ。私だって本気で怒ってる訳じゃ無いし。それにしたって酷いねこれ、どんな撫で方したらこんな風になるのさ」

 

真月「そんなの俺が聞きたい」

 

天音「ま、そうだろうね。ほら、しっかりしなよ簪。次は零の試合なんだから、零にも色々準備が必要なの」

 

簪「もうちょっと、もうちょっとだけ……」

 

天音「あのねえ……」

 

真月「良いよ天音、ギリギリまで撫でてやるさ。頑張ったご褒美ってやつだな」

 

簪「えへへぇ……♪」

 

天音「いや、まだ一回戦なんだけど……」

 

そんな感じで撫で続ける事三十分、遂に俺の試合の時間がやって来た。

 

ラウラ「零、そろそろ時間……何をしとるんだお前は」

 

簪「えへ、えへへへへぇ……」

 

準備を終えてハッチにやって来たラウラが簪と俺を交互に見比べて、呆れた表情を浮かべながら俺に言った。

 

真月「おお、来たかラウラ。おら、良い加減離れろ簪」

 

簪「あっ……」

 

何処と無く不満気な表情をしながら簪が俺から離れる。その表情に何となく罪悪感を覚えるが、良い加減腕が痛くなっていたので助かった。

 

ラウラ「全く、試合前に巫山戯る時間が有るならその時間を作戦会議に回してくれ。正直な話、私は次の相手に無策で勝てる気がしないぞ」

 

真月「クク、流石に無策で挑みはしないさ。ちゃんと作戦は用意してある。なんたってーー」

 

ーー相手はあのメラグなんだからな。

 

続く言葉を口にせずに、手元の端末に表示された対戦カードを見る。

 

 

 

『Bブロック一回戦:真月・ラウラペア対神代・谷本ペア』

 

 

 

何とも運の悪い事だ。谷本に関しては問題無いが、問題はメラグだ。メラグはバリアン七皇の中でも上位に位置する実力の持ち主、正直言って勝てる気がしない。前世で一度勝利を収めてはいるものの、あれはドン・サウザンドのアシストと色々な良からぬ策をフルで使ったからであって、正々堂々と戦ったら俺の負けは確実だ。

 

真月「まあ、あいつ相手に用意した策がどれだけ通用するかは分からねえ。だからガッツリ頼らせて貰うからな」

 

ラウラ「無論だ。私達はパートナー、互いに助け合うのは当然の事。だから……背中は任せたぞ、相棒?」

 

真月「おうよ!大船に、いやタイタニック号に乗ったつもりでいろよ!」

 

ラウラ「……私は映画という物にあまり詳しくないが、その船は最終的に沈んだのではなかったか?」

 

緊張をほぐす為に軽くジョークを言ったつもりだったのだが、割と真面目に返されてしまった。こいつもしやミザエルと同じ冗談が通じないタイプか?

 

簪「……随分とラウラと仲良くなったんだね、零?」

 

さっきまでの上機嫌から一転、簪の機嫌が急降下する。どうやらスイッチが入ってしまったらしい。凍えそうになる程冷え切った声で、簪は笑顔で俺にそう言った。

 

真月「……簪さん簪さん、一体如何したのですか?何かお気に触る事をしてしまったのでしょうか?」

 

その圧倒的な威圧感に圧されて、思わず変な敬語が出る。仕方ないじゃん、スイッチが入った簪怖いんだもん。

 

簪「何言ってるの零。私はいつも通りだよ?おかしいのは零だよ?何でそんなにラウラと仲良くなってるの?何でラウラは零の事相棒って呼んでるの?何で?ねえ何で?何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でーー」

 

真月「ひっ!?」

 

ラウラ「れっれれれれ零!?何なのだこれは!?簪に何が起こった!?何か怖いぞ簪!?」

 

真月「知るか!?偶にこうなるんだよ簪は!?」

 

簪「無視しないでよ」

 

真月「ひぃぃ!?」

 

ラウラの方に顔を向けて返事をした瞬間、顔を掴まれて強制的に前を向かされる。

 

簪「何で無視するの?人の話はちゃんと相手の目を向いて聞かなきゃ失礼なんだよ?何で私が話してる時に他の女の方を向くの?何で?ねえ何で?」

 

真月「いや、その、えっと……」

 

ラウラ「あわ、あわわわわわわわ」

 

怖い、超怖い。正直メラグを本気で怒らせた時より恐怖を感じてる。ラウラなんてもう半泣きだぞ。

 

簪「何で?なんで?ナンデ?ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデーー」

 

天音「とうっ!」

 

簪「ナンデナンデナンーーはうあっ!?」

 

いよいよ俺達のゲームオーバーが間近に迫ってきたと思ったその瞬間、天音が背後から簪に手刀を浴びせて簪を気絶させた。

 

天音「ふう……あ、ごめんね二人共。私はこの子運んでくから、二人は試合に行って?」

 

ラウラ「あ、ああ。しかし良いのか?簪、結構良い一撃を貰ったようだが」

 

天音「気にしないで良いよ。どうせすぐ起きるだろうし。それじゃ、頑張ってね〜」

 

簪「……きゅう」

 

そう言って天音は気絶した簪を引き摺って行き、ハッチには俺とラウラが残された。

 

ラウラ「……苦労しているのだな。貴様も、彼女も」

 

真月「……もう慣れたよ」

 

ラウラ「そうか。それで、考えた作戦とは何だ?流石にパートナーの私には話しておいて欲しいんだが」

 

真月「おう、構わねえぜ。ほれ」

 

作戦を話す前に、ラウラに一枚のカードを渡す。これが今回の作戦の要である、メラグ唯一の弱点だ。

 

ラウラ「ふむ?このカードを使うのか。ちなみにどうやって使うのだ?」

 

真月「それはだな……」

 

首を傾げるラウラの耳元に顔を近づけ、俺が考えた作戦を話す。

 

ラウラ「…………んなっ!?」

 

 

 

瞬間、ラウラの顔は燃えるような赤に染まった。

 

 

 

璃緒「あら、来たのね。ってどうしたのラウラさん?顔真っ赤になってるわよ?」

 

ラウラ「五月蝿い!良いか零、私はやらないからな!絶対やらないからな!?」

 

真っ赤な顔で俺に怒鳴りつけてくるラウラ。まあそりゃそうだわな。あんな作戦実行するなんて嫌だろう、だって俺も逆の立場なら絶対拒否するし。

 

真月「あはは……あくまで最終手段ですよラウラさん。ああ谷本さん、今回は宜しくお願いしますね」

 

谷本「うん!訓練機だからって簡単に負けるつもりは無いから、覚悟してね真月君!」

 

うん、元気に返事して貰ったが悪いな谷本。今回の試合、君は多分俺の『良からぬ事』の巻き添えになってしまうんだ。

 

ラウラ「やらないからな!?私は絶ッッッッ対にやらないからな!?」

 

真横でまだ怒鳴り続けるラウラはスルーして、前方の二人を見据える。あっちの二人も俺達を見ている、どうやら双方準備は出来たようだ。

 

麻耶『はい!両チーム準備はOKですね!それではBブロック一回戦、試合開始です!』

 

ラウラ「先手は貰った!」

 

開始の合図と同時にラウラが肩のレールガンをメラグに向けてぶっ放す。ほぼ不意打ちに近い形のこの攻撃を前にメラグはーー

 

璃緒「……ふふっ」

 

自分の正面に氷の壁を出現させて冷静に対処。その表情には一切の動揺も無く、寧ろ余裕さえ見てとれた。

 

璃緒「残念、ちょっと威力が足りなかったわね」

 

ラウラ「……傷一つ無しか。情報通りのトンデモ能力だ」

 

真月「ラウラさん!僕は先に谷本さんを片付けるので、暫く璃緒さんの相手を頼みます!」

 

ラウラ「分かった、出来るだけ早く来てくれよ!」

 

真月「了解!という訳で谷本さん、覚悟!」

 

少しの間ラウラにメラグの相手を任せ、確実に相手の数を減らす為に谷本に攻撃を仕掛ける。

 

谷本「おお?こっちに来た!?」

 

真月「弱い人から狙うのは当然ですから……はぁっ!」

 

谷本さんが防御行動を取るより先に接近し、ホープ剣を振り下ろす。完全に先手を取った、一撃で倒せはしないがシールドエネルギーを大幅に削る事が出来る筈だ。

 

谷本「わっ、やられる!?……なんちゃって!」

 

真月「……なっ!?」

 

振り下ろされた剣は谷本に直撃する事無く、谷本を覆うように出現した氷の膜に阻まれて停止する。

 

真月「氷の膜……!?何でっ、璃緒さんはラウラさんが相手してる筈じゃ……!?」

 

璃緒『あら、少し読みが浅かったようね。私の機体の単一能力は、私の目に見えている範囲なら何処にでも使えるのよ!』

 

谷本「驚いたか〜!あ、でもこの中結構寒い……」

 

真月(マジかよオイ!?)

 

いきなり厄介な事になった。つまり俺は、メラグの妨害を上手く回避しながら、なるべく素早く谷本を倒さなきゃならないのか。難易度高過ぎるだろ、普通一回戦からこんなハードな事やらないぞ。

 

谷本「弱い人には、弱い人なりの戦い方ってもんがあるのよ!さあ真月君、覚悟しなさい!」

 

真月「ちぃ……!!」

 

元々簡単にはいかないと思っていたこの試合、メラグの相手をするまでも大変だとはな。

 

真月(悪いラウラ、持ち堪えてくれよ……!)

 

 

 

sideラウラ

 

 

 

零に神代の相手を任されて早数分、状況は神代の方が優勢に傾いていた。

 

ラウラ「チッ!攻める隙が見当たらない!」

 

璃緒「そりゃ当たり前じゃない。隙を作らないようにしてるんだから」

 

此方の攻撃は全て氷に阻まれて、彼方の攻撃は大半が私に通る。一度に複数の氷塊を飛ばして来るので、AICでも対処しきれない。仮にAICで神代本人の動きを止めても、氷自体を出す事は出来るので無意味。

 

ラウラ(絶望的ではないか……!だが諦める訳にはいかない、いかないのだ!)

 

現状のまま神代への有効打が見つからなければ、試合前に零が出した作戦を実行しなければいけなくなる。それだけは、それだけは絶対嫌だ。あんなものやらされたら私は死んでしまう。

 

ラウラ(何か打開策は無いのか!何か……!)

 

96『お嬢さんお嬢さん。すっごい力、空いてますよ?』

 

『空いてますよ〜!』

 

ラウラ(だから要らんと言っているだろうが居候供!今は貴様らの相手してる暇は無いから黙ってろ!)

 

『酷い!?ラウラが冷たいよクロちゃん!』

 

96『クロちゃん言うな殺すぞ』

 

『あーんこっちも酷かった〜!?私の味方一人もいないよ〜四面楚歌だよ〜!?』

 

ラウラ(だから黙ってろと言ってるだろうがぁぁぁぁ!)

 

正面の神代、脳内の居候、二つの存在が同時に私に襲いかかり、私を追い詰める。不味い、本当に不味い。このままでは確実に負ける。

 

ラウラ「っぐ……!」

 

連続でAICを使い過ぎたせいで頭が痛くなってきた。そろそろ限界が近い、如何にかして神代の攻撃の手を止めなくては……

 

璃緒「前ばかり見ていて良いのかしら?」

 

ラウラ「何……っ!?」

 

笑顔で上を指差した神代につられて上を見ると、アリーナを埋め尽くす程の氷塊があった。

 

ラウラ「こ、れは…………!?」

 

璃緒「お終いね。【アイスレイ】!」

 

神代の合図と共に氷塊が落下し、アリーナ全体に降り注いだ。

 

ラウラ「ぐ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

真月「っやべぇ!?護れホープ!【ムーンバリア】!」

 

氷塊が私のエネルギーを削り切る前に私の近くにやって来た零がバリアで氷塊を防ぐ。何とか全損は避けられたが、それでもエネルギーを半分以上持っていかれた。

 

真月「無事か?」

 

ラウラ「……何とかな。だがどうする?はっきり言うが、今の状態では我々に勝ち目は無いぞ」

 

真月「みたいだな。少し璃緒の実力を見誤った。作戦変更だラウラ、俺があいつの相手をする。お前はAICで谷本の動きを止めておいてくれ」

 

ラウラ「分かった。何か策を思いついたのか?」

 

真月「策なんて大したものじゃねぇよ。だけど上手く決まれば流れは変えられる。あの作戦をやらなくてもいいかもしれないぜ?」

 

ラウラ「それは良かった!頼むぞ零!」

 

選手交代、私が谷本の方へ向かい、代わりに零が神代の相手をする。

 

谷本「お?ラウラさんと交代?ふっふっふ、今の私は手強いよ〜?」

 

ラウラ「そうだな。マトモに相手をするのは骨が折れそうだ。だから……」

 

谷本「む?……うぎゅ!?」

 

右手を突き出し、AICを発動させる。結界は問題無く発動して、氷の膜の中の谷本を捕らえる。連発してきた疲れはあるが、少し時間を置いたので暫くの間は発動し続ける事が出来る筈だ。

 

ラウラ「暫くそのままじっとしててもらうぞ」

 

谷本「そ、そんな〜!?」

 

ラウラ(言われた通り谷本は拘束した。後は任せたぞ、零)

 

自分の反対側から響く戦闘の音を聞きながら、私は相棒の勝利を祈っていたのだがーー

 

ラウラ「ーーっ!?何だと!?」

 

私が谷本を拘束したその直ぐ後に音は止み、下半身を凍らされて身動きが取れなくなった零の姿を発見した。

 

ラウラ「は、早すぎるだろ……!?」

 

 

 

side真月

 

 

 

璃緒「……私も正直驚いているんだけど、貴方ちょっと弱すぎない?手を抜いているにしても流石にこれは……」

 

目の前にいるメラグが呆れた表情で言う。無理もない、俺自身本気では無いとはいえこうもアッサリ負けちまうとは思わなかったし。

 

真月「……一思いにやってくれ」

 

璃緒「えぇ……じゃあ、やるわよ」

 

このまま氷の彫像でいるのも恥ずかしいので、メラグにトドメを刺してもらうように頼む。呆れと憐れみが混ざったような表情を浮かべながらメラグは氷で作った剣を構え、俺に引導を渡すため大きく振り上げる。氷によって身動きは取れず、ラウラからの救援も見込めない。完全な詰み、敗北確率100パーセント。振り下ろされる剣が俺を切り裂き、次に一人になったラウラを斬るだろう。

 

璃緒「これで……終わり!」

 

そうだメラグ、これで終わりだ。

 

ーーテメェの敗北でなぁ!!

 

真月「ーーなぁんちゃって!」

 

璃緒「ーーっ!?」

 

真月「トラップ発動ォ!デモンズチェーン!!」

 

突如として発生した禍々しい光と共に鎖が出現し、メラグの身体に巻きついて動きを封じる。それと同時に俺を凍りつかせていた氷が消滅し、俺は身体の自由を取り戻した。

 

真月「アッヒャヒャヒャヒャヒャ!!信じらんねえくらいアッサリ引っかかりやがったなメラグゥ!やっぱテメェは甘ちゃんだァ、こんな演技すら見破れないんだからなぁ!ヒャッハハハハハハハハハ!!」

 

璃緒「っ……!やってくれたわね……!」

 

谷本「へっ、えっ!?なになに、どゆこと!?」

 

突然の急展開に戸惑った谷本が素っ頓狂な声を出す。その周囲を覆っていた筈の氷の膜は、メラグが拘束された時に俺の氷同様消滅していた。

 

真月「氷は無効化したぜぇ、やっちまえラウラァ!」

 

ラウラ「了解した!」

 

谷本「えっ、えっ!?……きゃあぁぁぁぁ!?」

 

未だ状況を理解出来ずオロオロする谷本にラウラがレールガンを撃ち込み、大きく吹き飛ばす。

 

谷本「……きゅうぅ」

 

麻耶『打鉄、シールドエネルギーエンプティ!』

 

機体が解除されて谷本さんが目を回して気絶したのと同時に、谷本さんの失格を告げるアナウンスが響く。これで二対一、形勢逆転だ。

 

真月「さてさてさーて?残るはお前一人になっちまった訳だが。その事について何かコメントはあるかいメラグちゃんよォ?」

 

璃緒「……そうね、上手く騙されたわ。まさかこんな衆人環視の真っ只中で貴方が本性を見せるとは思わなかった」

 

真月「ククク、考えが甘かったなメラグゥ?俺が今まで本性を現さなかったのは単なる気紛れ、その気になりゃいつでもいい子ちゃんの振りなんざ辞めれたんだよ!クク、そんじゃあ今からは俺のターンだ!精々俺を愉しませてくれよぉ?」

 

右手で鎖で縛り付けたメラグの機体に触れ、左手を使って端末を鎖に仕込んだプログラムを起動する。その瞬間、鎖から発生した電流がメラグに襲いかかる。

 

璃緒「……ッ!?あ、ああああぁぁぁぁ!?」

 

真月「ハッハハハハハ!最ッ高だぜメラグゥ!お前ホント良い声出してくれるぜ!やっぱお前はこういう事されてる時の方が可愛げがあって良いなぁ!」

 

璃緒「はあっ、はあっ……!相変わらず、趣味が悪いわねベクター……!」

 

真月「悪いが、これが俺の性分なんでね。一度根付いちまったそれは、そう簡単に変えられないのさ」

 

苦痛に歪むメラグの顔を見て、嗜虐心が満たされる。この学園で常日頃から蓄積されてきたストレスが発散されていくのを感じる。後でナッシュに殺される事を勘定に入れてもお釣りがくるくらいスカッとした気分だ。

 

ああ、やっぱり俺は最低だ。変わろうと誓ったのに、こんな事をして喜びを感じているのだから。

 

真月(まあ、改める気も無いがな!)

 

メラグにも言ったが、これが俺の性分だ。前世でいくらいい子ちゃんな人間だったとしても、それは前世の話。今の俺には関係無い。俺は、俺のやりたいようにやるだけだ。

 

ラウラ(……すっごい良い顔してるな、零)

 

ラウラからなんか生暖かい視線を感じるが当然無視。勝負は決まったようなもんなんだ、これくらい大目に見てくれよな。

 

真月「さぁて、もう少し遊びたい気分じゃああるが、そろそろ幕を引くとするか。悪く思うなよ?」

 

身動きの取れないメラグに向けて剣を構える。メラグの目はまだ戦意喪失してはいないが、この状況でメラグに出来る事など無い筈だ。

 

真月(ラウラに渡した切り札を使うまでも無かったな。俺としてはアレを見たメラグの反応が見たかったが……まあ良いか)

 

剣を持つ腕に力を込め、勢い良く振り下ろす。少々やり過ぎた感はするが、メラグを相手にするならこれくらいやらなければ勝てないからな。

 

真月「あばよぉ!メラグゥゥゥゥゥゥ!!」

 

振り下ろされた剣はメラグの身体を的確に捉え、メラグのシールドエネルギーを削りきるーー筈だった。

 

璃緒「ーーあまり調子に乗らないで貰えるかしら?」

 

真月「ーーッ!?」

 

世界が、凍った。そう錯覚してしまう程の冷気がメラグの周囲から発生し、振り下ろされた剣を俺の腕ごと凍りつかせた。

 

璃緒「変わらないわね、ベクター。自分が有利になるとすぐ遊ぶ癖。遊んでないでさっさとトドメを刺していれば、こうなる事も無かったのに」

 

真月「おい、待て……!?テメェのISの能力は封じていただろうが……!?なのに何でこんな芸当が出来る!?」

 

デモンズチェーンは間違い無くメラグを拘束していた。だからメラグが単一能力を使えるのは可笑しい。何だ、俺は一体何を見落とした。

 

璃緒「別に大した事はしてないわ。そう、本当に単純な事をしただけよ。私の姿に、何か気がつかない?」

 

真月「何ーーんなッ!?」

 

鎖で縛られたメラグはISスーツしか纏っていなかった。展開していた機体を、解除していたのだ。

 

真月「ISの展開を解除して、デモンズチェーンの対象から外れたってのか!?何て無茶苦茶な……!?」

 

璃緒「でも、拘束からは逃れられるでしょう?」

 

真月「まあそうだけどよ……」

 

それでも正直言って頭が可笑しいとしか思えないような行動だ。確かにISを解除すればデモンズチェーンの対象が居なくなり、メラグの拘束は解除される。だがそれは今まさに相手が攻撃しようとしている場面で生身になると言う事だ。一歩間違えれば大怪我は必至、攻撃を防ぐ手段が有ったとはいえ余りにもリスキーな行動だ。

 

璃緒「貴方は賢過ぎるのよベクター。なまじ頭がキレるから、貴方は無意識に選択肢を削ってしまう。『自分ならばこんな馬鹿げた策は使わない』、『自分だったらもっと安全で確実な方法を取る』ってね。だからこうやって足元を掬われる」

 

真月「ハッ、だからどうした!腕一本凍らせたくらいで良い気になってんじゃねぇよ!もうテメェの機体のシールドエネルギーも僅かだ。今更展開し直した所で俺達の勝ちは揺るがねえんだよ!」

 

それにいざとなりゃ凍った腕を鈍器にして殴りつければ良い。どう考えても戦況は俺の有利、メラグに勝機は無い。

 

璃緒「そうね。今シルフィーネを展開しても貴方には勝てない。ーーシルフィーネなら、ね」

 

真月「……おい、テメェ、まさか」

 

いやいやいや、無い無い。いくら俺の態度に腹が立ったからって、流石にそれは無い。よりによって今日、このタイミング、世界中のお偉いさん方が集まる此処で、まさかそんな事をする筈がーー

 

璃緒「ーー来なさいッ、No.94!!」

 

真月「ウッソだろテメェェェッ!?」

 

メラグの身体を強烈な光が包み込み、凄まじい冷気と共にアリーナ全体が凍りつく。

 

璃緒「氷の女王よ!その鋭き剣を以って、世界の時を凍りつかせなさいッ!今こそ顕現せよ、極氷姫 クリスタル・ゼロッ!!」

 

光が止み、メラグの姿が現れる。嘗て神代璃緒がメラグという名の王女だった時の姿を彷彿とさせる、巫女のような姿。その手には一本の細身の剣が握られており、見る者全てを圧倒する迫力を放っていた。

 

真月(マジかよ、マジかよメラグ!?お前使っちゃうの!?ただでさえ黒咲とかミザエルとかが悪目立ちしてんのに、お前までそれ使っちゃうの!?いやまあ現在進行形で悪目立ちしてる俺が言えた事じゃ無いけどさぁ!?)

 

璃緒「貴方には色々と積もる怨みもあるし……二、三度殺されても仕方ないわよね?」

 

真月「良くねえよ馬鹿野郎!?ラウラァ!コイツの相手は俺がやる!テメェは谷本を避難させろぉ!」

 

ラウラ「な、何!?ここは二人で攻めるべきだろう!?」

 

真月「早くしろ!巻き込まれた谷本が死ぬぞ!?」

 

ラウラ「っ!?わ、分かった!」

 

絶対零度の笑みを浮かべるメラグから本気の殺意を感じ、瞬時にラウラに谷本を避難させるよう指示する。今のメラグは間違い無く本気、SEが切れた谷本が戦闘に巻き込まれたら確実に死ぬ。

 

真月(オーバーハンドレッドナンバーズを使ってこないだけまだマシか……!つーか機体を展開していない状態でも俺の腕凍らせるくらいの力が有るのかよ!)

 

さっきメラグが俺の腕を凍らせた時、メラグはISを展開していなかった。それはつまり、あのナンバーズは待機状態の時点でそれだけの事を可能にする力が有るという事だ。

 

真月(出鱈目が過ぎるぞ糞がッ……!)

 

こうなった以上ラウラが加わった所で俺の勝ち目は薄い。何とか俺が粘ってラウラにあの作戦を実行して貰うしか無いだろう。

 

真月『ラウラ、谷本を安全な場所に運んだらお前も適当なトコに隠れてろ。俺が合図したらアレ、やって貰うぞ』

 

ラウラ『はぁ!?ま、まさか本当にアレをやらせる気なのか!?』

 

真月『そうしなきゃ勝てないんだよ!兎に角アレはやらせるからな!』

 

ラウラ『そ、そんなぁ……』

 

プライベートチャネルでラウラに指示を出し、剣を捨てて拳を構える。どの道腕一本使えない時点でまともに剣は触れないので、格闘にファイトスタイルを変更する。

 

璃緒「お喋りは終わった?なら、始めましょうか」

 

その言葉と共にメラグの殺気が膨れ上がり、フィールド内に吹雪が吹き荒れる。

 

真月「はっ、上等だ。あの時と同じ様にボッコボコにしてやるぜ!」

 

拳を強く握り締め、地面を蹴り勢い良くメラグへと突進する。対するメラグも剣を構え、俺へと向かってきた。

 

真月・璃緒『ーー勝負ッ!!』

 

 

 

 

 

side 明日香

 

 

 

明日香「まさかこれ程とはね……」

 

貴賓席からフィールドで行われている攻防を見て、私は思わずそう呟いた。

 

真月『オラァッ!』

 

璃緒『ふっ!』

 

真月君と神代さんの二人はどちらも一歩も譲らない戦いを繰り広げているけれど、戦況は真月君の方に傾いている。

 

明日香(純粋な力量では神代さんが圧倒的に上。ただ戦闘テクニックでは真月君がその上に行っている)

 

目や喉などの急所を狙った貫手、地面を蹴って砂埃を上げて視界を塞ぐ、直前まで相手に悟らせない巧妙なフェイント、その全てが対人戦向けの技術だ。

 

明日香(この動き、現役時代の真耶ちゃんを思い出すわね)

 

現役時代の彼女の姿が真月君に重なる。今でこそほんわかとした印象を見せる彼女だが、現役時代は正に悪鬼羅刹と言っても過言では無かった。

 

見栄えなんか気にしない、優雅さなんか求めない、美しさなんて知るか。そんな事に力を注ぐくらいなら、兎に角一刻も早く相手を潰す。それが嘗ての真耶ちゃんの全てであり、故に彼女は当時の日本の代表候補生の中で最も強い存在だった。

 

明日香(まあ、だからこそ真耶ちゃんは代表候補生止まりだったんだけどね)

 

何処までも純粋に、貪欲に勝利を求める彼女の姿は、それを見る者にとってとても醜悪な物に見えた。人々にとってIS同士の戦いはあくまでスポーツであり、何処までもリアリストな彼女の戦い方は客受けが悪かった。だから彼女は国家代表に選ばれなかったのだ。

 

そんな彼女と似た戦い方をする彼を、人々はどう思うのだろうか。このトーナメントは会場の観客達だけでなく、テレビ中継を通して世界中の人々が見ている。今この瞬間行われている彼の行動は、彼に決して少なくない影響を与える筈だ。

 

明日香(そんな事よりも……)

 

何故未だ試合が続いているのだろうか。普通なら神代さんがISを解除した時点で試合は終わっている筈。それなのに試合はそのまま続行し、更には神代さんは全く別の機体を使って戦っている。

 

明日香(普通止めるわよね?それなのに何も無いって事は)

 

彼女、織斑千冬が許可したという事なのだろうか。

 

明日香(彼女は一体、何を考えているの……?)

 

デュエリストとしての勘が、このトーナメントで何かが起こる事を告げている。それも、良くない物の方が。

 

明日香(……今年は厄年なのかしら?)

 

そんな事を考えながら、私は頭を抱えた。

 

 

 

side 真月

 

 

 

真月「糞がッ!いい加減くたばりやがれ!」

 

璃緒「そっちこそ、片腕使えない身で良くもまあそんなに戦えるわね!」

 

突きを躱された事に苛立った俺の叫びに、メラグは楽しそうにそう言った。現在俺のSEは残り二割を切っており、対するメラグは残り一割だ。

 

数字だけ見れば俺の有利に見えるだろうが、この一割が曲者で、中々削れない。デュエルで例えるなら、残り100まで削った敵のライフが、それ以降中々削れなくなるあの状況である。

 

真月「そらそらそらァ!」

 

凍っていない方の腕で繰り出す連続突き、からのフェイントで回し蹴り。

 

璃緒「っ……!」

 

フェイントに上手く引っかかり蹴りへの反応が遅れたメラグだが、蹴りが当たる寸前に氷の膜を張ってガード、衝撃の大半を殺してダメージを激減させた。

 

真月「ちぃ……!?さっきからウゼーんだよその氷!?それさえなきゃもう四、五回は殺してるぞ!?」

 

璃緒「あらそう!そうやって苛立ってくれるなら、使った甲斐があるってもの……よっ!」

 

真月「うおっ……!」

 

足を弾かれてバランスを崩す。追撃とばかりに振り下ろされた剣を、凍っている方の腕を盾にしてガードする。

 

真月「あっぶねぇ……、思ったより硬くて助かったぜ」

 

璃緒「言っておくけど、その腕にあまり強い衝撃を与えない方が良いわよ?腕ごと氷が砕けるから」

 

真月「嘘ォ!?」

 

慌てて腕を剣から離し、メラグから遠ざかる。幸い腕には傷一つ付いていなかったが、そんな恐ろしい事を言われてしまってはもう乱暴には扱えない。

 

璃緒「それじゃあ今度はこっちから行くわよ!」

 

真月「あっ、ちょっ、卑怯だぞテメェ!?」

 

さっきからの仕返しとでもいうように、メラグが俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。それも、凍っている方の腕を執拗に狙って。

 

璃緒「腕ばかりを気にしてても良いのかしら?隙だらけよベクター!」

 

真月「させるか!『ムーンバリア』!」

 

カバー仕切れない攻撃を、ムーンバリアを使って防ぐ。これでムーンバリアの使用回数は二回、暫くの間再使用は出来ない。

 

璃緒「かかったわね!クリスタル・ゼロの効果発動!『グレイシャルアーツ』!」

 

真月「何……!?」

 

メラグの機体から尋常じゃない冷気が発生し、ムーンバリアを通り抜けて俺の身体に纏わりつく。纏わりついた冷気はやがて氷晶へと姿を変え、瞬く間に俺の首から下は氷の彫像に変わってしまった。

 

璃緒「グレイシャルアーツはあくまで効果、攻撃を防ぐムーンバリアでは防ぐ事は出来ないわ。チェックメイトね、ベクター」

 

真月「……チッ!」

 

氷の彫像となった身体は、下手に動こうともがけば容易く砕け散るだろう。メラグの言う通りチェックメイト、俺の完全敗北だ。

 

 

 

ーーだが、まだ終わりじゃない。俺にはまだ、頼れる『相棒』が残っている!

 

 

 

真月「ーー今だラウラァァァァァァ!!」

 

ラウラ「はああぁぁぁぁ!!」

 

俺の合図と共に今までフィールドの陰に待機していたラウラが姿を現し、メラグへと一直線に突進していく。

 

璃緒「ラウラさん!?……今まで潜伏していたのね。すっかり忘れていたわ、でも!」

 

メラグがラウラに向けて剣をかざし、無数の氷柱を発射する。だがそれでもラウラは止まらない。どれだけの氷柱に命中しようとも、ラウラはメラグに向かって走り続ける。

 

ラウラ「もう……どうにでもなれ〜〜〜!?」

 

璃緒「んなっ!?」

 

ヤケクソになったラウラは止まらない。涙目になり、何とも情けない表情を晒しながらも走り続け、遂にメラグの真正面まで接近した。

 

璃緒「……!!」

 

即座にラウラを斬り払うべく剣を振り上げるメラグ。そしてメラグの真正面に立つラウラはその剣を見て怯む様子を見せず、先のメラグと同じように機体を解除した。

 

璃緒「なっ……!?」

 

ラウラの取った思わぬ行動にメラグの思考が停止し、振り上げられた剣も停止する。その光景に俺は作戦の成功と、俺達の勝利を確信した。

 

真月「やっちまえラウラァァァァァァァ!!」

 

俺の叫びにもう後戻りは出来ないと悟ったのか、滂沱の涙を流しながらラウラは俺が渡した『あるナンバーズ』を天に掲げた。

 

ラウラ「No.29!マネキンキャット、起動!」

 

瞬間、ラウラの身体が閃光に包まれる。その強い閃光に俺を含む会場の全員が思わず目を瞑った。そして目を開けた俺達が見たものはーー

 

 

 

ーーゴスロリ衣装に猫耳と尻尾を生やし、涙目になりながらプルプルと震えるラウラの姿だった。

 

ラウラ「にゃ……にゃ〜ん……」

 

観客『』

 

薫子『』

 

真耶『』

 

璃緒「」

 

ラウラ「う、うぅ……にゃんで私がこんな目に……」

 

誰も、何も言わなかった。いや、あまりにも突然過ぎる出来事に、頭が付いて行けなかったのだ。だがそんな沈黙が続いたのはほんの数秒だった。目の前の光景をアリーナの人々が理解した瞬間、アリーナは絶叫で包まれた。

 

『きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

『ニャンコ、ニャンコキタコレ!』

 

『何あの可愛い生物、超愛でたいんですけど!!』

 

女子達は黄色い歓声を上げ、

 

『うおおおォォォォォォォォ!!』

 

『ネコミミ幼女!ネコミミ幼女が出たぞォォォォ!!』

 

『何をしてるカメラマン!?撮影だ!早くズームで映せぇぇぇぇぇぇ!!』

 

各国の良い年した偉いオッサン供は湧き上がり、

 

シャルル『……ぶはぁ!?』

 

一夏『ああ!?シャルルが鼻血を吹き出して倒れた!?』

 

秋介『誰か救急箱、救急箱〜!?』

 

シャルル『い、一夏……!』

 

一夏『な、何だシャルル!?』

 

シャルル『写真、撮っといて……ガクッ』

 

秋介『いや今際の際に何頼んでんのお前!?』

 

ガヤは騒ぎ出し、

 

ラウラ「うにゃああぁぁぁぁ!?だから嫌だって言ったのにゃあぁぁぁぁ!?」

 

当事者は発狂し、

 

そしてメラグはーー

 

璃緒「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?ね、ね、ね、ね!?猫おぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

真っ青な顔をしながら涙目で叫んだ。

 

そう、これが俺の用意した対メラグ用の切り札。メラグ唯一の弱点である『猫』のナンバーズを使ってメラグを無力化する最強の作戦。

 

真月「ハッハハハハハハハハ!!作戦成功!ぶちかましてやれラウラァ!」

 

ラウラ「後で覚えてろよ零!?」

 

そう言いながらラウラは肉球の付いた猫の手をかざしてメラグの方へ向ける。するとメラグの直上に光の穴が出現して無数の猫がメラグ目掛けて降り注いだ。

 

『ニャーニャー』

 

『きゃああぁぁぁぁ!』

 

璃緒「嫌あぁぁぁぁ!?」

 

猫は鳴き、観客は悶え、メラグは泣き叫ぶ。呼び出された猫達は一斉にメラグへと飛び掛かり、メラグの機体を引っ掻き始めた。

 

璃緒「やめてぇぇぇ!?引っ掻かないでぇぇぇ!?びええぇぇぇ!?助けてりょうがぁぁぁぁ!?」

 

真月「ヒャッハハハハハハハ!!どうしたメラグぅ?さっきまでの凛々しい面構えが台無しだぜぇ?降参するか?降参しちゃうのかぁ?」

 

璃緒「するっ、するからっ!?だからもうお願いだからやめてぇぇぇ!?」

 

真月「んんん?良く聞こえなかったなぁ?もっと誠心誠意、心を込めて言ってくれよぉ?あ、ラウラ?猫もうちょい追加な」

 

ラウラ「鬼か貴様は……」

 

相方がドン引きしてる姿がチラリと映ったが、構わず続ける。だってこの状態のメラグ超面白いんだもん。

 

璃緒「参りました、降参します!?許して下さいベクター様ラウラ様ぁぁぁぁ!?」

 

真月「よぉしそこまで言うなら仕方ない!聞いたな審判!この勝負、俺達の勝ちだ!」

 

ラウラ「私まで悪役にされてるのが凄い納得がいかにゃいんだが!?」

 

真耶『え、え〜っと!?クリスタル・ゼロ、メンタルブレイク!勝者、真月・ラウラペア!』

 

 

 

Bブラック一回戦、大☆勝☆利!!

 

 




次回予告

優香「私が来た!」
モブ子「キャー優香さんカッコイイ!!」
優香「ふっふっふ、私がカッコイイのは当然でしょう?さあ、次回予告行くわよモブ子!」
モブ子「だからそれやめて下さいよ優香さん!?」
『勝者となるのはこのアタシ!クイーン鳳鈴音よ!』
『いや、勝つのは最強のドラゴン使いである私だ!』
優香「あら、結構ヤバい組み合わせ。会場保つのかしら」
モブ子「いや、逆に今までよく保ちましたよね……」
『ミザやんばかりには、任せていられないから!』
『わたくしのウイルスコンボ、とくと味わって下さいな!』
優香「お、あいつと良く一緒にいるのほほんガールじゃない。あの子可愛いけど、闘えるの?」
モブ子「人は見かけによらないですし、闘えるんじゃないですか?あの真月零も大人しそうな顔して内面真っ黒だった訳ですし」
『見せてやる……真のタキオンドラゴンの姿を!!』
優香「おお?覚醒フラグ?」
モブ子「それって普通主人公サイドがやる展開ですよね?彼、どう見てもボス系の顔なんですが……」
優香「細かい事は気にしないで良いのよモブ子!ほら、タイトル出すわよ!」

次回、インフィニットバリアンズ

ep.49 ドラゴン対決!最強VS絶対王者

優香「さあ行くわよモブ子!次はあいつに勝つ為に作戦会議!」
モブ子「良い加減に名前で呼んで下さいよ優香さん!?」

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