インフィニット・バリアンズ   作:BF・顔芸の真ゲス

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ep.36 水色少女の暴走

side楯無

 

 

 

簪「バイバイ、お姉ちゃん♪」

 

放たれた銃弾が命中する直前に首を曲げて回避する。危なかった。もう一瞬反応が遅れていたら脳天をブチ抜かれていた。

 

簪「……あはっ♪さっすがお姉ちゃん、これくらいの不意打ちなら余裕で躱すんだ〜♪」

 

楯無「簪ちゃん……如何して……!?」

 

簪「さっきも言ったでしょ?お姉ちゃんを殺したいからだよぉ♪お姉ちゃんを殺してぇ、私はもっと強くなるの!」

 

人懐こそうな笑みに似つかわしくない悍ましい言葉を話しながら、簪ちゃんは私にそう笑いかけた。

 

楯無「私を殺して強くなる!?どう言う事なの!?バトル漫画じゃないのよ!?」

 

簪「だぁかぁらぁ、言葉の通りなんだってぇ〜!はあ、これ以上説明するの面倒だなぁ。よし、もう少しお話しても良かったけどもう終わりにしよう!お姉ちゃん、今から私はお姉ちゃんを殺すから殺されたくないなら全力で戦ってね♪」

 

楯無「簪ちゃん……!」

 

駄目だ、話がまるで通じない。本当に戦うしかないの!?

 

楯無「……霧纏いの淑女(ミステリアス・レイディ)!」

 

機体を展開して槍を構えて威嚇する。これで思い止まってくれれば良いんだけど……!

 

簪「……あは♪ようやくやる気になってくれたんだ、嬉しいなぁ!それでこそ私が憧れたお姉ちゃんだよ!」

 

楯無「……簪ちゃん、お願いだから馬鹿な考えはよして!私は簪ちゃんを傷つけたくないの!」

 

簪「……傷つけたくない、かぁ。やっぱりお姉ちゃんの中の私って弱いって印象受けてるんだね。なら先ずはその印象をひっくり返して上げる、私が手に入れた……新しい力でね!」

 

新しい力?まさか専用機が完成したの?でも専用機が完成したくらいで此処までの事をやろうなんて考えるかしら?

 

簪「来て、No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター!」

 

その声と共に黒い光が簪ちゃんを包み込み、両手が刃となっている黒く禍々しい機体へと姿を変えた。

 

楯無「ナンバーズですって!?簪ちゃん、どこでそんな物を手に入れたの!?」

 

簪「さあ、何処だったかなぁ?別にそんな事今は関係ないでしょ?さあ、始めようかお姉ちゃん!命を賭けた姉妹喧嘩を!」

 

そう言って簪ちゃんは私目掛けて一直線に直進してくる。どうやらやるしかないみたいだ。早めに片をつけて色々聞く事にしよう。

 

楯無「ああ、もう!拳骨一発は覚悟しなさいよ!」

 

振り降ろされる刃を槍で防ぎ、がら空きの胴体に蹴りを浴びせる。簪ちゃんには悪いが少々強めに撃った。機体へのダメージは少ないだろうが、簪ちゃんの意識を刈り取る事くらいは出来るだろう。

 

簪「甘いよお姉ちゃん!」

 

楯無「……!」

 

蹴りが命中する直前でバリアの様な物に阻まれた。迂闊だった、確かナンバーズにはナンバーズ以外の攻撃を防ぐバリアが有った筈だ。

 

楯無「……ナンバーズ・ウォールね。直接戦った事が無いからそれがある事すっかり忘れてたわ」

 

簪「へえ、完璧超人なお姉ちゃんでも物忘れをする事があるんだ。意外だなあ」

 

楯無「完璧な人間なんて何処にもいないわよ。私は人並以上に色々出来ると思っているけど完璧には程遠いわ」

 

簪「……何それ嫌味?お姉ちゃんが完璧じゃないなら私はそれ以下のゴミって事?」

 

楯無「いや、私別にそんな意味で言った訳じゃ……」

 

簪「……まあ良いや。ナンバーズ・ウォールは解除してあげる。これが原因で勝てなかったとか思われたくないし」

 

え、それオンオフ切り替えられるの?という場の雰囲気に相応しくない間抜けな言葉が口から出かかったが何とか堪え、目の前の簪ちゃんを見る。声こそ不機嫌そうではあるが顔はさっきまでと同じ笑顔、余裕の表情だ。ナンバーズ・ウォールが無くとも私を倒せると確信しているその表情から、何か奥の手があるのだと読み取れる。

 

楯無「随分余裕そうね。そんなにその機体は強いの?」

 

簪「当たり前だよ。私も今日初めて使うけど、今まで乗って来たどの機体よりもこの子は身体に馴染むの!この子となら私は何処までも上に行ける!何処までも強くなれる!お姉ちゃんを倒せば私はもっと凄い力を手にいれる事が出来るの!だからお姉ちゃん、私の為に死んでよ!」

 

繰り出される刃を躱しながら、私はさっきから疑問に思っていた事を簪ちゃんに問いかける。

 

楯無「そこよそこ!私を殺す事と簪ちゃんが強くなる事に何の関係性があるの!?」

 

先程からの簪ちゃんの様子から、私に余裕で勝てると思っているのが分かっているのだが、それならば何故私を殺す事が強さに繋がるのだろうか。格上を倒せば確かに強くなるだろうが、私を格下だと見ているならそうはならない筈なのに。

 

簪「お姉ちゃんを倒せばあの人から力が貰えるの。今の私よりももっと強くなれるの!」

 

あの人、という事はこれは簪ちゃん一人で計画した事じゃないのか。恐らくそいつが今回の黒幕、簪ちゃんを唆した元凶だ。

 

楯無「……良ければそのあの人が誰か、教えて貰えないかしら?」

 

簪「別に良いよ?え〜と…………あれ?誰だったっけ?」

 

楯無「……へ?」

 

簪「忘れちゃった。なんか、最近色々な事が思い出せなくなってるんだよね。まあ、別に良いよね!言おうが言うまいが、私のする事は変わらないんだから!」

 

楯無「うおぅ!?」

 

話しながらいきなり襲いかかってきた簪ちゃんの攻撃を捌きながら、私は考える。やっぱり簪ちゃんは何処かおかしい。そんなに記憶が曖昧になるものか?

 

楯無(記憶が消えてきている?それもナンバーズの影響なのかしら?)

 

だとしたら色々と不味い。この症状がこのまま進行した場合、取り返しのつかない事になるかもしれない。

 

楯無「……簪ちゃんを傷つけたくなかったけど、こうなったらやるしかないわね」

 

少し手荒な真似をしなければいけないようだ。振り降ろされた刃を槍で弾き、右手を簪ちゃんに向ける。

 

簪「……?何してるのお姉ちゃ……!?」

 

直後、無数に現れた水の槍が簪ちゃんに襲いかかり、その身体を吹き飛ばした。『アクア・クリスタル』、霧纏う淑女の単一能力だ。ナノマシンを仕込んだ水を自在に操る事が出来るという物でかなり応用がきく。簪ちゃんは咄嗟にガードしていたらしくダメージはそれ程でも無いが、意表を突く事が出来たのは大きい。さっきまでの流れを断つ事が出来た。

 

簪「いてて……びっくりしたよ。でも嬉しいなあ、『アクア・クリスタル』を使ってきたって事は、やっと本気になってくれたって事でしょ?」

 

楯無「ええ、お望み通り本気で相手をしてあげるわ!」

 

再び水を収束させ、二つの大きな塊を作る。そしてそれを一つは剣に、もう一つは盾に形を変える。攻撃と防御を両方こなせる所がこれのいい所だ。水の盾を自分の正面に配置して、簪ちゃんを止めるべく、私は言葉を発した。

 

楯無「水よ、走れ!」

 

 

 

sideティナ

 

 

 

ティナ「お〜、やってるやってる。結構良い勝負やってるじゃない」

 

廃寮の近く、二人から感知出来ない距離の林の中から、私は二人の戦闘を見ていた。現ロシア代表と元日本代表候補生の本気の戦い、普通なら入場料をとっても良いくらいのものだが、今回のは人に見られてはいけないものなのでそれは無しだ。

 

ティナ「にしても簪弱いわね〜、あんだけ深く侵食させたんだから、ただの第三世代機くらい瞬殺してもおかしくないのに。まあ、渡したナンバーズが低スペックなものだから仕方ないかな」

 

あのナンバーズは単一能力に特化したサポートタイプだ。基本的なスペックは低い。それでもナンバーズ・ウォールがあるからナンバーズ以外には苦戦しないのだが、そのナンバーズ・ウォールを何故か簪は切っている。

 

ティナ「クールに装ってるように見えて、精神は子供って事かしら。……道具としては、まだ使えるレベルでは無いわね」

 

道具に感情なんて要らない、有ってもただ邪魔なだけだ。簪にはこの戦闘の後に色々と調整が必要そうだ。

 

ティナ「ま、適当なトコで切り上げさせようかしら。生徒会長に関しては、殺せたら良いかなあ〜くらいで」

 

元々あの会長を殺す必要は全く無い。敢えて理由を挙げるならば、簪を完全に堕とす為だ。今の簪はナンバーズの瘴気に当てられてるだけで、まだ闇には堕ちていない。完全に堕とす為には、身内を自分の手で殺させた方が手っ取り早いと考えたのだ。

 

ティナ「……ん?」

 

携帯に電話が掛かってきた、鈴だろうか。不味いな、もうじき寮の門限だ。鈴は動物並みに勘が優れているから、疑われたら色々と面倒だ。言い訳を頭の中で考えながら、私は電話に出た。

 

ティナ「……もしもし鈴?悪いけど今はーー」

 

『クク、悪いが俺は鈴なんて名前じゃないぞ?』

 

ティナ「……何だ、アンタか。何の用ですか、『大統領閣下』?」

 

最悪だ、一番嫌な奴からだった。私の言葉を聞いたそいつは、くつくつと薄気味悪く笑いながら返事を返した。

 

大統領『おいおいつれないなぁ、父親をそんな他人行儀に呼ぶような子に、俺は育てた覚えは無いぞ?』

 

ティナ「……アンタを父親だと思った事無いわよ。父さんの身体の中に入ってる『バケモノ』(アンタ)なんかね」

 

その言葉に心底愉快そうに笑いながら、バケモノは言葉をを続ける。

 

大統領『ククク、確かに中身こそ違うが、外側は間違いなくお前の父親だ。少しは優しくしてくれたって良いじゃあないか?』

 

ティナ「……嫌に決まってんでしょ。それで、何の用?挨拶の為だけにわざわざ電話する程アンタ暇な身分じゃないでしょ」

 

大統領『そうだな、確かに俺は暇じゃない。今日も面倒な国家の運営に時間を取られてマトモに眠れる時間が無い。全く、大統領とは面倒な仕事だ』

 

ならとっととその身体から出ていけと叫びたかったが、感情的になった所でコイツは面白がるだけなので必死に激情を理性で押さえ込んで黙っておく。

 

大統領『それでもお前に連絡を入れたのは、これがとても大事な事だからだ。ティナ、何故お前は俺の指示を無視したんだ?』

 

ティナ「……っ!」

 

先程迄の愉快そうな声から180度変わった不機嫌そうな声に背筋が冷える。不味い、コイツかなり怒ってる!?

 

ティナ「な、何訳わからない事言ってんのよ?更識簪を闇に堕としてこちら側に引き込む、それがアンタが私に与えた仕事でしょ?それなら現在進行形でやって……」

 

大統領『ならば何故お前はサターンを使わなかった?アレを使えば即座に更識簪を俺のコントロール下に置ける。何故確実性が無いナンバーズでの洗脳をしている?』

 

ティナ「そ、それは……アンタがプラネットシリーズは貴重だから本当に必要な時以外は使うなって言ってたから温存しておこうと思って……!?」

 

大統領『確かに無駄に使うなとは言ったが、更識簪は中々の優良物件だ。彼女ならサターンの力を十二分に引き出せるだろう。賢いお前が、その程度の事に気付かない筈が無い。ティナ、お前はワザと俺の指示を無視したな?」

 

ティナ「そんな事……がっ!?」

 

不意に喉を圧迫されるような感覚と共に、息が止まる。自分の首に目をやると、服の中に入れて置いたカードから出てきた黒い影が私の首を絞めつけていた。

 

ティナ「がっ、ああぁ……」

 

大統領『これは罰だティナ。言うことを聞かない悪い娘へ与える、父親からの愛のムチだ。忘れるなよティナ、お前は俺の道具、俺の駒だ。お前は俺が身体を取り戻すその日まで俺の為に働く駒なんだ。つまらない反抗なんて止めて、大人しく指示に従え。忙しくなってきたから切るぞ。マアトの羽を探すのも忘れるなよ』

 

それだけ言ってバケモノは電話を切った。バケモノとの通話が終了したその瞬間影は消滅し、私は解放された。

 

ティナ「ゲホッ、ゴホッ!?畜生、覚えてなさいよ、いつか必ずアンタを……!」

 

胸の内を憤怒と屈辱で燃え上がらせながら、私は空を睨みつけた。

 

空は星一つない漆黒の空で。それが、私の未来を表しているように思えて。

 

少し、涙が出そうになった。

 

 

 

ティナ「ああ、転職したいなあ……」

 

 

 

side隼

 

 

 

隼「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……!」

 

走る、ただひたすらに走っていく。校舎を出て、外に出て、ひたすらに走る。目的地は決まっているが、俺はまだそこに着く事が出来ないでいた。

 

隼「廃寮は、何処なんだ……!!」

 

俺は、廃寮が何処にあるか知らなかったのだ。

 

隼「クソッ!看板くらい用意しておけIS学園……!!」

 

立ち入り禁止区域に続く看板なんて用意する筈無いのは少し考えれば分かる事だが、焦っている俺はそう八つ当たりするしか無かった。

 

隼「仕方ない、零の奴に連絡するか……!」

 

そろそろ目が覚めている筈の零に電話をする。他の奴らに連絡した方が良いのは分かっているが、間が悪い事に大半が本社に帰ってしまっていた。

 

隼「おい零!聞こえてるか零!」

 

真月『ーー五月蝿えな!んな叫ばなくても聞こえてるっつーの!で、用事は何だ?』

 

隼「ナンバーズだ!簪が取り憑かれている、一緒にいる楯無が危ない!」

 

真月『なっ!?場所は何処だ!?』

 

隼「廃寮だ!だが場所が分からん!零、貴様この島の地図を持っていたりはしないか!?」

 

真月『んなもん持って……!ちょい待て、今天音に代わる!』

 

獏良の奴も居たのか、アイツと零とはまた珍しい組み合わせだ。

 

天音『話は聞かせて貰ったよ!廃寮なら少し前に立ち寄った事がある!直ぐに地図を送るから、早く簪の所に行って!』

 

隼「言われなくともそのつもりだ!」

 

天音『よし、良い返事!私と零も直ぐに向かうから、それまで頑張って!言っとくけど、簪を傷付けたりしたら許さないからね!』

 

それだけ言って獏良は通話を切った。傷付けたりしたら許さない、か。全く、アイツは俺を何だと思ってるんだ。

 

隼「よし、地図が届いた!……割と近いな、これなら直ぐに着く!待っていろ楯無!」

 

地図を頼りに進路を修正し、俺は廃寮へと駆け出した。

 

 

 

side楯無

 

 

 

アクア・クリスタルの使用により形勢は逆転し、現在は私が簪ちゃんを押す形になっていた。

 

簪「ああもう!?その水硬過ぎ!それホントに水なのお姉ちゃん!?」

 

楯無「水だって工夫すれば硬く、鋭くなるのよ!理科で習わなかったかしら、水はダイヤも切断出来るのよ?」

 

簪「そんな事知ってるよ!バカにしてるの!?」

 

楯無「あら、随分余裕が無いように見えるわね。私を殺すんじゃ無かったの?」

 

攻防の合間合間に挑発を挟み、相手の攻撃を単調で読みやすいものへと誘導する。国家代表としての試合でよくやる手口だが、それをまさか実の妹にやる事になるとは思わなかった。

 

簪「言われなくともお姉ちゃんはちゃんと殺すよ!……ああ、ホント邪魔だなその水。よし、消しちゃうか」

 

楯無「……?」

 

今簪ちゃんが何事か呟いたが、水の操作に集中していた為に聞き取る事が出来なかった。

 

簪「……行くよお姉ちゃん。『ちゃんと』防いでね?」

 

そう言って簪ちゃんは私に突撃しながら腕を振り下ろす。先程迄の挑発が効いたのか、かなり大振りな一撃だ。攻撃前の冷静な口調が少し引っかかったが、この攻撃は最大級のチャンス。確実に防いで、カウンターで勝負を決める!

 

楯無「そんな大振りの攻撃が当たるわけないでしょ!」

 

右手を出し、水を収束させて盾を作ろうとした瞬間、信じられない光景が私の前に現れた。

 

楯無「……っ!?水が!?」

 

収束する筈の水が途中で力尽き、足元で水溜りに変わって行く。何度意識を水に集中させてもその水溜りが動く事は無い。

 

簪「余所見してる余裕はあるの?」

 

楯無「っ!?しまっーーきゃあ!?」

 

水の異常に気を取られて簪ちゃんの攻撃に対して一瞬の隙を見せてしまった。何とか槍で防ぐ事が出来たが、衝撃で槍が弾き飛ばされてしまう。

 

楯無「やっば……」

 

簪「あはは!これで終わりだよ!」

 

攻撃を防ぐ手段を失った私に簪ちゃんが容赦無く刃を振り下ろす。不味い、防ぐ方法が無い!?そう思った私の目に、見覚えのある人の姿が映った。

 

隼「行け、ライズ・ファルコン!!」

 

『キーッ!!』

 

簪「……えっ!?きゃあ!?」

 

楯無「黒咲君!?」

 

こちらに向かってきた黒咲君のモンスターの攻撃により簪ちゃんは吹き飛ばされ、私は何とか助かった。

 

隼「無事か楯無!」

 

楯無「え、ええ!今さっきまでヤバかったけど無事よ!でもどうして此処に!?」

 

隼「お前と簪が去って直ぐ後にナンバーズの反応をキャッチしてな、まさかと思って走って来たが、どうやら俺の勘は正しかったみたいだな」

 

そう言いながら、黒咲君は吹き飛ばされた簪ちゃんの方向に向き直り、普段から悪い目つきを倍くらい鋭くして簪ちゃんを睨みつけた。

 

簪「いったた……もう!折角いい所だったのに邪魔しないでよ!」

 

隼「貴様の都合なんぞ知るか。更識簪、これは警告だ。大人しくナンバーズを渡せ、貴様には過ぎた力だ」

 

簪「……嫌に決まってるでしょ?折角手に入れた力を手放す馬鹿が何処にいるの?」

 

隼「……そうか、ならば仕方ない。少し痛い目を見てもらうぞ!」

 

そう言って黒咲君はデュエルディスクを構え、デッキをセットした。完全に戦闘態勢に入っている。黒咲君の事だ、きっと手加減無しで容赦無くやってしまうだろう。このままじゃ勝敗に関係無く簪ちゃんが危ない。

 

簪「どうかな?痛い目見るのはそっちかもよ!」

 

楯無「ちょっと待って二人共!?」

 

二人が私の制止の声に耳を貸すことは無く、簪ちゃんが黒咲君に飛び掛かる。

 

隼「トラップ発動!『閃光弾』!!」

 

簪「……!?なーー」

 

楯無「うわっ眩しっ!?」

 

簪ちゃんが黒咲君に最大まで近づいたその瞬間に、黒咲君が発動したカードによって廃寮内が激しい閃光に包まれて視界が白い光に塗りつぶされた。

 

簪「あああぁぁぁぁ!?目があぁぁぁぁ!?」

 

隼「今だ!逃げるぞ楯無!」

 

楯無「ホワアァァァァァ!?イィッタイ目ガァァァァ!?目ガァァァァァ!?」

 

隼「何でお前まで喰らってるんだ馬鹿が!?」

 

無茶を言わないで欲しい。閃光弾を使うなんて私は何も言われてなかったのだ。第一、こういう物を使う時は事前に一言話しておくべきだろう。

 

楯無「ホワッ、ホワアァァァァァ!?」

 

隼「チッ!仕方ない、少し苦しいが我慢しろよ!」

 

楯無「ぐえっ!?」

 

未だ目への暴力から立ち直る事の出来ない私を見て黒咲君は苛立ちを含んだ声を出し、私の首を掴んで駆け出した。楯無「ちょっと待って黒咲君!?死ぬ、それ私死ぬから首だけはやめて!?」

 

隼「チッ!重いな……!」

 

楯無「おいコラァ!今重いっつったな!」

 

隼「だぁぁぁ!!五月蝿い黙れ一言も発するな!折角奴の視界を奪ったのに無駄になるだろうが!!」

 

そう叫んで黒咲君は一目散に駆け抜けていく。私の視力が復活した時には、既に廃寮を出て森に入っていた。

 

隼「……上手く撒く事が出来たな」

 

楯無「黒咲君、どうして此処に来れたの?黒咲君って廃寮の場所について知ってたっけ?」

 

隼「来る途中で零達に地図を貰った。あいつらもじきに此処に来る筈だ。それまであいつに見つからないように隠れるぞ」

 

楯無「へ?戦わないの?」

 

意外だ、好戦的な黒咲君なら戦うだろうと言うと思っていた。さっきも簪ちゃんを倒すみたいな事を言っていたのに、随分と消極的な行動だ。

 

隼「誰が戦わないと言った、勿論戦うさ。だが、今までお前が見てきた戦闘スタイルでは無いがな」

 

楯無「……?」

 

隼「今から見せるのはレジスタンスとしての俺の戦い方だ。見せてやる、レジスタンス流の戦い方をな」

 

そう言った黒咲君の顔は、引いてしまうくらい悪い顔だった。

 

 

 

side簪

 

 

 

簪「あぁぁぁぁ!!何処に行ったのもう!?」

 

強い光によって無力化されていた視力が元に戻った時、既にお姉ちゃんの姿は無かった。忌々しい、もう少しでお姉ちゃんを殺す事が出来たのに。

 

簪「ムカつくムカつくムカつく!!何で私の邪魔したのあの人!?」

 

本当に、何で邪魔されたのか分からない。私とあの人は会った事が無い筈なのに、何で初対面の私を攻撃したんだ。

 

簪「……あれ?」

 

本当に初対面だっただろうか。何処かで有った気もするが、頭がぼんやりとしていて良く思い出せない。

 

簪「まあ、いっか。どうせ殺すんだし♪」

 

あの人が誰かは分からないが、私の邪魔をする以上生かしておく必要は無い。お姉ちゃんと一緒に殺してしまえば良いだろう。

 

簪「そうと決まれば早速殺しに行こう!お姉ちゃん達は多分森に行ったよね、じゃあ私も森に……うん?」

 

お姉ちゃんを追いかける為に廃寮から出ようとすると、すぐ近くに落ちていた一枚のカードに目が止まった。

 

簪「何でこんな所にカードが……」

 

気になったのでそのカードを手に取って、見てみる事にする。『万能地雷グレイモヤ』、トラップカードだ。

 

簪「レアカードじゃないか、残念。……あれ、何かこのカード光ってーー」

 

次の瞬間、激しい光と共に、私の身体は爆炎に包まれた。

 

 

 

side真月

 

 

 

ーードオォォォォンッ!!

 

激しい爆音と共に、遠くに見える森の一部が眩い光を放つ。間違いない、簪達があそこで戦闘をしている。

 

天音「なに今の!?爆弾!?」

 

真月「間違いねえ、黒咲だ!あの野郎、簪を殺す気か!?」

 

天音「どう言う事さ!?」

 

真月「あいつの本来の戦闘スタイルは一対一じゃなく多対一、本来のあいつはセシリアとやった時みたいにバカみたいにモンスターで突撃しないんだよ!今あいつはリアルソリッドビジョンシステムで実体化したトラップをフィールド中に設置して攻撃をしてる!今のは多分グレイモヤだ!」

 

天音「つまりモンスター破壊できるようなカードをわんさか使ってるって事!?」

 

真月「そうだ!急ぐぞ天音、早くしねえと簪の命がマジでヤバイ!」

 

天音「了解!」

 

簪、どうか無事でいてくれ!

 

 

 

side隼

 

 

 

隼「第一トラップ『グレイモヤ』作動、ターゲットの進行方向には第ニトラップの『破壊輪』がある。良し、今の所は順調だな」

 

楯無「何処がよ!?何よ今の爆発大惨事じゃない!?簪ちゃんが死んだらどうする気よ!?」

 

隼「ナンバーズに乗っているんだから大丈夫だろう。それとあまり大きな声を出すな。折角カモフラージュをしているのにバレてしまうだろう」

 

楯無「だからって爆発物は駄目でしょ!こんな所で使ったら森に燃え移っちゃうじゃない!?」

 

隼「それは好都合だ、やつが煙にでも巻かれてくれれば無力化する手間が省ける」

 

楯無「私達も巻かれるわよ!?」

 

隼「その前に脱出すれば……いや、良く考えればやつも飛べば脱出出来るか。先にISを飛行不可能なレベルまで破壊した方がいいか……」

 

楯無「本当に簪ちゃん助ける気有るの!?」

 

隼「有るに決まっているだろう。所で楯無、さっきからずっと気になっていたんだが、あいつ何かキャラおかしくないか?」

 

楯無「ええ、私もそう感じていたわ。何というか、その、子供っぽい感じがしたわね」

 

俺の攻撃によって楯無へのトドメを邪魔された時に見せた怒りの態度は、自分の思い通りに物事が進まなくて癇癪を起こす子供そのものだった。間違いなく平常時のあいつとは違う。

 

隼「……ナンバーズは所有者の欲望を増幅させ、暴走させる。そう零に聞いた事がある。恐らくだが、今のあいつはナンバーズによって今まで押し殺してきた本心を剥き出しにされた、本来のあいつなのだろうな」

 

俺がそう言うと、楯無が悲しそうな顔をして項垂れた。しまった、こいつの前で言うべき事では無かったな。

 

楯無「……それって、簪ちゃんが私を殺したいくらい憎んでいたって事よね。ホント、姉失格よね、私」

 

隼「お前は馬鹿か?さっきも言った筈だが、今のあいつはお前への対抗心をナンバーズによって殺意へと歪められているに過ぎない。本来のあいつならばお前に辛辣な態度こそ取るだろうが、今のように殺しにくる事は無い。姉ならば、もう少し妹を信頼してやったらどうだ?」

 

瑠璃を守れなかった俺が言えた話では無いが、血の繋がった兄弟姉妹というものは友人と違って減る事は有っても増える事は無い。いつ失うかも分からないのだから、仲良くするのが一番だ。

 

楯無「……そうよね。ありがとう黒咲君、少し弱気になってたみたい」

 

隼「気にするな。さて、雑談はここまでだ。俺の仕掛けたトラップでは足止めは出来ても倒す事は出来ない。零が来るまで時間を稼ぐ為にも、お前の力が必要だ。力を貸してくれるか?」

 

俺のトラップは相手を殺す為に使う物では無い、相手を負傷させるための物だ。その為威力はかなり落としており殺傷用の物に劣る。さらに言えば今回の相手はナンバーズを纏っているので、負傷させる事はまず無理だろう。だから今回の俺の役割はトラップによる足止めで零が来るまでの時間を稼ぎ、楯無と協力してやつの体力を出来る限り減らす事だ。

 

楯無「勿論、簪ちゃんを助ける為なら喜んで協力するわ!それで、私は何をすればいいの?」

 

隼「楯無には、やつのシールドエネルギーを削ってもらう。見た目こそ派手だが、俺のトラップにはそこまで威力が無いからな。零が来るまでに少しでも削っておいた方がいいだろう。楯無、やつの装着しているナンバーズの効果は分かるか?」

 

楯無「単一能力の事ね。確証は無いけれど、相手の単一能力を無効化する能力だと思う。簪ちゃんが何かをした途端に私のISの単一能力が使えなくなったから」

 

隼「モンスター効果を無効にする効果か、チッ!俺のレイドラプターズと相性が悪いな……!」

 

俺のレイドラプターズは効果こそ強力だが基本的なステータスが低い奴が多い。展開の妨げにもなるので効果無効系の相手をするのは苦手だ。

 

隼「楯無、効果無効はまだ続いているか?」

 

楯無「いいえ、今は大丈夫みたい。多分、視界に入っていないと効果が無いんじゃないかしら」

 

隼「なら良い。楯無、今回はお前が前に出てやつの相手をしろ。俺はトラップによる後方支援に徹する」

 

楯無「了解、頼りにしてるわよ黒咲君!」

 

そう言って楯無は飛び出して行った。仕掛けたトラップは半数以上が発動している。俺はまた新しくトラップを補充した後、楯無の後に続いた。連絡から二十分が経過、そろそろ零達が来る頃だろう。

 

隼「……む?」

 

何かを忘れているような気がして、デュエルディスクを確認する。トラップはさっき設置したし、デッキ枚数も余裕がある。仮に楯無が戦えなくなっても俺が戦えはいいだろう。俺の目的は勝つ事では無く、零が来るまでの時間稼ぎをする事でーー

 

隼「…………あ」

 

そこまで考えた所で、俺は自分が重大なミスを犯した事に気がついた。

 

隼「零達の方にもトラップを仕掛けてしまった……!?」

 

森全体に仕掛けたトラップは正確に作動し、森に入ってきた零達に容赦無く牙を剥くだろう。

 

隼「やらかした……!?」

 

勝ちの目が消えてしまいそうな事態に、冷や汗が止まらなかった。

 

 

 

side真月

 

 

 

爆発を頼りに森へと入った俺と天音だったが、思わぬ妨害に遭い、簪達の下に辿り着く事が出来ずにいた。黒咲が仕掛けたトラップが俺達にも牙を剥いてきたのだ。

 

天音「零!前方に落とし穴有り!硫酸が溜まっているみたいだから絶対に飛び越えて!」

 

真月「クッソ!?巫山戯んな黒咲ィィィィ!?」

 

ジャンプで穴を飛び越えて着地した瞬間、真横に置いてあったトラップが作動し、激しい爆発が起こる。ちらっと見たが仕掛けてあったのは「爆導索」というトラップカードで、発動したこのカードの直線上のカードを破壊するという変わったカードだ。

 

真月「……っぐ、あぁぁ!?」

 

咄嗟に隣にいた天音を覆い被さるようにして庇い、爆炎を受ける。意識が飛びそうになるような激痛に歯を食いしばり意識を保ち、天音の様子を確認する。多少焦げてはいるが何とか無事そうだ。

 

天音「大丈夫かい!?」

 

真月「……平気だ!……行くぞぉ!」

 

この程度の痛みで立ち止まっている暇は無い。今は一刻を争う時なのだ、早く、早く簪の所に行かないと……!

 

天音「……!?危ない!?」

 

痛みによろめいた時にトラップを作動させてしまったらしく、鎖のついたブーメランが俺の下へと飛んで来る。不味い、さっきの爆発で思ったよりダメージを受けたらしく全く身体が動かない。このままでは……!?

 

一夏「はあぁぁぁぁ!」

 

真月「一夏……!?」

 

一夏「ふぅ、何とか間に合ったな。ほらな、俺の言う通りだっただろ?」

 

秋介「ほらな、じゃねぇよこの野郎!?また面倒事に巻き込まれたじゃないか!?だからお前について行くのは嫌だったんだ!?」

 

背後から飛び出してブーメランを蹴り飛ばした一夏に続いて、秋介も後ろからやって来た。

 

真月「二人共、どうして此処に……?」

 

一夏「いや何、さっき廊下でコイツと話してたら生徒会長達が廃寮に行くとか言って駆け出して行ったのが目に入ってな。寮の門限も近いから連れ戻そうと思ったらお前らが森に向かって走ってるのが見えて、直後にあの大爆発だからな。これは何かあると思って、急いでやって来たという訳だ」

 

秋介「僕は行きたくなかったんだからな!?こいつが無理矢理連れて来たんだ!!」

 

真月「……織斑君は、そう言っていますが?」

 

一夏「ははは、知らんな。それより状況を説明してくれ。今何が起きているんだ?」

 

そう言って真剣な表情で俺を見つめる一夏に現在の状況を簡単に説明していく。

 

一夏「成る程、簪にナンバーズがねぇ……。そりゃあ随分と大変な事態になってるな。お?どうした秋介、顔色が悪いぞ?」

 

秋介「……何でもないよ。それより早く行くぞ、時間が無いんだろう?」

 

一夏「随分やる気になってるな。さっきまでとは偉い違いだ」

 

秋介「ほっとけ!……おいへっぽこ、先に行け。どうやら敵のお出ましみたいだ」

 

その言葉を聞いて後ろを振り返ると、蛇腹剣を手に持った蛇のような怪物が木々の間から顔を出しているのが見えた。「アポピスの蛇神」、黒咲の用意したトラップモンスターだ。

 

一夏「通常のトラップだけでなくトラップモンスターまで居るのか。零、俺は秋介と一緒にこいつの相手をする。恐らく他にも居るだろうから、剣の無い秋介じゃあ骨が折れるだろうしな」

 

秋介「ハッ!舐めるなよ一夏。僕は神童だぞ?徒手空拳の一つや二つマスターしているに決まってるだろ?」

 

天音「私も残って戦うよ。零、簪を宜しくね?」

 

秋介「おいおい、君は専用機を持っていないんだろ?どうやって戦うつもりだい?」

 

その問いかけに答えるように天音は右腕にデュエルディスクを取り付ける。

 

天音「森全体にリアルソリッドビジョンシステムが作動しているなら、私のカードも実体化する筈さ。目には目を、モンスターにはモンスターをってやつさ」

 

秋介「ふぅん、まあ戦えるなら別に良いさ。ほらへっぽこ、見てないでさっさと行きなよ!」

 

真月「分かりました!有難う御座います皆さん!」

 

そう言って俺は走り出す。背後で起きる闘争の音を聞きながら、俺はただひたすらに夜の闇の中を駆けて行った。

 

 

 

side天音

 

 

 

天音「……行ったみたいだね」

 

駆けて行く零の姿が小さくなっていくのを見ながら、私はデュエルディスクを構えた。頼むよ零、君が最後の希望なんだから。

 

天音「さて、私も一働きしようか」

 

私じゃ簪を救う事は出来ないけれど、道を切り開く事は出来る。零が簪を救う為にも、こいつらを此処から先へと通してはいけない。

 

天音(聞こえてるかな?君の力が必要なんだ、力を貸してくれないかい?)

 

胸元の千年リングに意識を集中させ、自分の心の奥にいる『彼』に語りかける。彼は気まぐれだが、簪の為にも今回は無理矢理にでも力を貸してもらわなければいけない。

 

 

 

ーークク、言われなくても力くらい貸してやるよ宿主様?

 

 

 

頭に声が響く。良かった、彼は力を貸してくれるらしい。感謝の念を送りながら私は意識を集中させて、彼の精神と自分の精神を同調させていく。

 

天音(有難う。後はお願いね、『バクラ』)

 

 

 

彼にそう伝え、私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

アマネ「ククク、ヒャハハハハハハ!!さァ、破壊と殺戮のショーを見せてやるぜ!」

 

一夏「……!?」

 

秋介「へっ!?何か性格変わってないか君!?」

 

アマネ「細かい事は気にすんな!テメェらは何も考えずに敵をぶっ殺しとけば良いんだよ!」

 

一夏「やだこの子好戦的」

 

アマネ「行くぜ行くぜ行くぜ!来な、死霊伯爵!夢魔の亡霊!死霊騎士デスカリバーナイト!」

 

『オアアァァァァァ!!』

 

秋介「ひいぃ!?何か相手より不気味なんだけどこいつら!?」

 

アマネ「俺様のオカルトデッキの力を見せてやるぜ!さァ、闇のゲームの始まりだ!」

 

 

 

夜の闇は、まだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

ティナ「はいはい、ブラック企業に就職してストレスがマッハな私が予告をしますよー。……はぁ、面倒臭い」
「誰も私を認めてくれなかった!!誰も私を愛してくれなかった!!」
ティナ「あらあら、暴走させた私が言うのもアレだけど、簪の闇って結構根深いのね。これは中々に良い駒に育ってくれそうね。そしたら私はもう働かなくても……良い訳無いわよねぇ……はぁ」
「俺はお前を傷付ける為に此処に来たんじゃない。来い、お前の思いを全て受け止めてやる!」
ティナ「おーおー暑っ苦しいわねー。そういうの、嫌いじゃないけど好きでもないわよー」

次回、インフィニットバリアンズ
ep.37 ヒーロー

ティナ「次も見てねー。……ねぇ、この次回予告って給料とか出ないの?……あ、出ない?……デスヨネー」

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