インフィニット・バリアンズ   作:BF・顔芸の真ゲス

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ep.13 IS学園入学

sideベクター

 

 

 

レジスタンスを仲間にする事に成功した事で、俺の所有する戦力も中々のものになって来た。特に赤馬零児と繋がりを持てた事は大きく、彼が持っていた『リアルソリッドビジョンシステム』の技術を手に入れた事で、俺達の技術は更に進歩した。

 

着々と計画は進み、後数年もすれば世界を変えられるという所でまた面倒事が舞い込んできた。

 

『世界初の男性操縦者、織斑秋介君が発見されました!』

 

織斑秋介(あのクズ)がISを動かしたのである。

 

 

 

 

 

そのニュースを見て、俺は束のラボに急いで帰還した。

 

束「あ!れーくん久しぶり!半年振りかな!」

 

真月「下らねえ世間話なんざ後だ後。事情を詳しく説明しろ。何でアイツが動かせる?」

 

束「それについては私もよく分からないけど、全てのISはコアネットワークで繋がっているのは知ってるよね?」

 

真月「それ今関係あるか?」

 

束「大アリだよ!世界で初めてISを起動したのはちーちゃんで、その時のちーちゃんのデータは全てのコアに記録されてる。これは推測なんだけど、アイツがISを起動出来たのは、アイツのデータがちーちゃんの身体データと良く似ていて、ISが誤認識したからだと思うんだ」

 

真月「まあ姉弟だしな、ある程度は似てるだろ。それで、アイツがISを動かすに至った経緯は?」

 

束「……試験会場間違えてそこにあったISを触ったら起動した、以上」

 

真月「嘘くせえなオイ。アイツ動かせるの知ってて触ったんじゃねーだろうな?」

 

束「私もそう思うけど、だとしたらアイツどこでIS起動出来る事知ったんだろう?」

 

真月「それは確かに気になるが今は放置だ。そんな事よりこれからどうする?アイツがIS起動したせいでこれから色々と面倒な事になるぞ?」

 

束「……ねえれーくん、これはチャンスじゃないかな?」

 

真月「チャンスだあ?」

 

束「アイツが起動した事で、世界は他の男性操縦者を躍起になって探す。このタイミングで私達があのISコアを発表すれば、世界を大きく揺らす事が出来ると思うんだ」

 

真月「まあこの混乱に乗じて俺達がISコアを発表すれば、ただでさえ混乱してる世界を更に混乱させる事が出来るな」

 

束「今の世界が混乱すれば、必ず何処かに綻びが出来る。上手くそこを突けば当初の予定より早く世界を変える事が出来る」

 

真月「そうだな。余計な事をしてくれたと思っていたが、そう考えればナイスと言えなくもない」

 

束「だからついでにいっくんをIS学園に入学させようと思うんだ」

 

真月「……一発殴られたいのか?」

 

そう言って俺は右手をグーの形にして強く握りしめた。その様子を見て、束は顔を青くする。

 

束「ちょっ!?ストップストップ!何でいきなり殴られなきゃいけないのさ!?」

 

真月「問答無用で殴られなかっただけ良いと思え。それで、何でんなこと考えた?」

 

束「ほら、いっくんカイトに引き取られてから大分いい感じになってきたじゃん?そろそろ自分の過去の因縁と決着つけても良い頃だと思うんだよね」

 

真月「それで、アイツが入学するIS学園に一夏も入学させるという事か?」

 

束「イェッス!ついでに言うなら、あそこにはちーちゃんも働いてるから、決着つけるならもってこいだと思うよ」

 

真月「それ敵だらけじゃねェか……。まあ、お前の言いたい事は大体分かった。ちゃんと理由が有るなら俺も反対はしないさ。ただし、一つ条件がある」

 

束「条件?なになに?」

 

真月「護衛役として、俺達七皇から三人、そして俺の部下一人を入学させる。一夏一人は流石に厳しい」

 

束「七皇三人にれーくんの部下一人って、少し過剰戦力過ぎないかな……?」

 

真月「念には念を、って事だ。それに俺の部下が手に入れた情報によると、あの学園結構キナ臭いらしいからな」

 

束「キナ臭い?何が?」

 

真月「あの学園、元はデュエルアカデミアって名前の学園が有ったのはお前も知ってるよな?」

 

束「うん。確か女尊男卑の風潮が広まって廃校になって、その上からIS学園を建てたんだよね?」

 

真月「ああ。そのデュエルアカデミアには昔成績が良い奴らを集めて何やらオカルトチックな研究をしていた特別寮が有ったらしいんだが、ある時その寮の生徒が行方不明になったらしい」

 

束「行方不明!?原因は何さ!?」

 

真月「それがいくら調べてもサッパリ分からなかったらしい。結局その寮は廃止されて、今も使われてないらしいけどな」

 

束「何それ怖い」

 

真月「他にもあるぜ?あの学園、地下に謎の空間があるんだ。用途不明な上に学園の殆どの奴らが知らない謎の空間がな。その空間に何かが居るって噂だ」

 

束「何かデュエルアカデミア物騒過ぎない?」

 

真月「大型の入浴施設と謎の研究施設、あと火山もあるからな。正直言って学校なのかよく分からん」

 

束「まあ、れーくんが護衛を連れて行きたい理由は良く分かったよ。それで、誰を連れてくの?」

 

真月「それは今から七皇で相談して決める。部下の方も同じだ。お前はコア発表の準備をしろ」

 

束「はーい!んじゃ、行ってきまーす!」

 

そう言って束は走っていった。

 

 

 

それから少し経った後、俺は七皇を召集し、事情を説明した。

 

ドルベ「成る程、事情は分かった。つまり一夏の護衛役として我々七皇から三人決めねばならないのだな?」

 

真月「そういうこった。誰かやりたい奴いるか?」

 

璃緒「あら、何言ってるのベクター?言い出しっぺの貴方は当然参加よ?」

 

真月「はあ!?何で俺が!?」

 

ミザエル「元々一夏は貴様の友人だろう。それならば友人である貴様が一夏を守るのは当然だ」

 

真月「俺は裏でコソコソやるのが得意なんだよ!お前らみたいな前に出る脳筋共と一緒にすんな!」

 

アリト「いやお前バッチリ前衛型だろ」

 

真月「……バレたか。はあ、分かった分かった、一人目は俺だ。後二人早く出てこい」

 

ギラグ「はいはーい!オレ、オレやる!」

 

ミザエル「貴様のような新入生がいるか!」

 

ギラグ「酷くね!?」

 

璃緒「まあギラグは論外として、アリトはどうですの?」

 

アリト「俺も良いや。ギラグが行けないのに俺が行っちまったら、ギラグが可哀想だからな」

 

ギラグ「アリト……、ありがとな!」

 

璃緒「となると、私とミザエルになりますわね」

 

ミザエル「何故だ!?何故そうなる!?」

 

璃緒「アリトとギラグは行けない、凌牙はちょっと前に暴れ過ぎて下手にバレると不味い、ドルベは凌牙と一緒にいたがる、ほら、私達しかいませんわ?」

 

ミザエル「アリトとドルベは完全に私情だろう!?」

 

璃緒「まあそうですけど、仮にアリトかドルベが女子校に行ったら、確実に面倒な事になると思いますの」

 

真月「まあそうだな。俺もその二人と一緒に学校生活送るのは嫌だ」

 

璃緒「という事で、消去法で私達二人しか居ないのですわミザエル」

 

ミザエル「……分かった、行ってやる、行ってやるとも!後で私を行かせた事を後悔するんじゃないぞ!」

 

璃緒「決まりですわね。それでベクター、貴方の部下も行かせると聞いたけど誰を行かせるの?」

 

真月「ああ、それなら…………」

 

 

 

 

 

黒咲以外『黒咲に決定な』

 

隼「何故だぁ!?」

 

七皇での会議を終わらせた後、俺の部下達を集めた会議で、黒咲はそう叫んだ。

 

オータム「いやだって、新入生として入るんなら俺やスコールは駄目だし……」

 

ユーリ「かと言って、織斑千冬に似ているマドカを行かせたら騒ぎになるだろうしね」

 

遊矢「そう考えていったら、もう黒咲以外居ないかなって思ったんだけど……」

 

そう言って口々に黒咲を推薦するメンバー達、因みにマドカというのは俺が亡国企業を潰した際に拾ってきたあの女によく似たガキだ。

 

隼「それならばユートやデニス達が行けば良いだろう!」

 

ユーゴ「レジスタンスの貴重なストッパーを行かせる訳ねえだろ!?」

 

ユート「俺やデニス達が居なくなったら、一体誰が遊矢やユーリを止められるというんだ!?」

 

遊矢「俺止められる側なの!?」

 

問題児のカテゴリーに入れられた遊矢が抗議の声を上げるが、レジスタンスの面子は当然の如くそれを無視した。

 

隼「ならば赤馬零児!貴様が行け!」

 

零児「私はこれでも一企業の社長だ。学校に行っている暇など無い」

 

黒咲の言葉を完全論破した赤マフラーの青年赤馬零児、いつも思ってるんだが、何故靴下履いてないんだコイツ?

 

黒咲「そもそも何故俺なんだ!?」

 

真月「お前が一番戦力として優秀だからだ。後お前野放しにしてるととんでもない事を起こすからな、学園に入れて大人しくさせようと思ってな」

 

黒咲「別に俺に限った話では無いだろう!?」

 

オータム「まあそうなんだけどよ、俺達の中じゃお前が一番何仕出かすか分からないからさ、まあ諦めろや」

 

黒咲「諦められるか!?」

 

真月「落ち着けよ黒咲。これはチャンスなんだぜ?」

 

黒咲「チャンスだと?」

 

真月「IS学園に入学するって事は、世界に注目されるって事だ。当然、お前の仲間を攫った日本政府にもな」

 

黒咲「…………!」

 

真月「死んだ事になってるお前が表に出れば、当然奴らは慌ててお前を消しにかかる。逆に言えば、仲間を攫った日本政府の奴らの尻尾を掴む事が出来るのさ」

 

黒咲「……成る程な」

 

真月「つまり、この話はお前にもメリットがある。どうだ黒咲、やる気になったか?」

 

黒咲「…………良いだろう。不本意だがその話に乗ってやる。ただし、俺の専用機のデザインは俺の意見に従ってもらうが構わないな?」

 

真月「それくらい構わないぜ?」

 

そうして、なんとか黒咲を説得する事に成功した。

 

 

 

 

 

その数日後、ある企業の記者会見が世界にさらなる混乱を巻き起こした。

 

Ⅴ『皆さん、我々アークライトカンパニーは遂に、男性が起動出来るISコアの開発に成功しました』

 

言うまでもなく俺達の立ち上げた企業だ。テレビ画面には現在、この企業の社長であるⅤ、『クリストファー・アークライト』によるISコアの発表が行われている。

 

Ⅴ『このISコアは従来のコアネットワークとは違う独自のネットワークによって繋がっており、それによって男性による起動を可能にしております』

 

テレビの中の記者達も、テレビの外の人間も、皆この発表に驚愕し、一言一句聞き逃す事の無いよう真剣に聞いている。

 

Ⅴ『ただ、このISコアにはある欠点が有ります。それはコア一つの生産に膨大なコストが必要であり、現段階では量産出来ないという点です』

 

俺の横に居た女が安堵の溜息をついたのが聞こえた。先程まで目を血走らせた様子で画面を睨みつけていた女だ。恐らく女尊男卑に染まった女だろう。自分達の優位性が失われるのを恐れていたのだ。

 

Ⅴ『しかし、私達アークライトカンパニーは必ずこの欠点を改善し、量産化を可能にしてみせます!そしてかつての社会、男性と女性に格差が無く、平等であったあの時を取り戻す事を誓います!』

 

Ⅴの言葉は全ての人々の耳に届き、その心に響いた。そしてそれを聞いた全ての人々は理解した。Ⅴは本気でそう口にしているのだと。

 

Ⅴ『そしてその一歩として、このISコアを使用したISのテストパイロットとして、四人の男性操縦者をIS学園に入学させます』

 

そうⅤが言った後、テレビに俺と一夏、そして黒咲とミザエルの写真が表示された。

 

Ⅴ『この四人のデータをもとに、私、クリストファー・アークライトは必ず先程の誓いを果たす事をここに宣言します!』

 

 

 

この日、世界に小さな綻びが生まれた。




次回予告

トロン「IS学園に入学する事になったベクター。入学早々彼は面倒事に巻き込まれる事になる」
「そのような紙屑で遊ぶような愚かな男に、クラス代表など務まるはずがありませんわ!」
トロン「金髪ドリルのこの一言に激怒するデュエリスト達、ベクターの日々に安息は来るのだろうか」

次回、インフィニットバリアンズ
ep.14 入学初日、面倒な金髪ドリル

トロン「……所で、今回の話に出てきたクリスはクローンか何かかな?」
凌牙「正真正銘お前の息子だよ!」

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