インフィニット・バリアンズ   作:BF・顔芸の真ゲス

13 / 53
ep.11 集結!バリアン七皇

side真月

 

 

 

ミザエル「……もう良いか?」

 

真月「ああ。みっともないもん見せちまったな」

 

ミザエル「そんな事は無い。涙を流すという事は貴様が良い方向に変化しつつある証だ。恥じる事は無い」

 

真月「そりゃどうも。……で?ナッシュ達は何処に居るんだ?」

 

ミザエル「もう少し先だ。ついて来い」

 

ミザエルに続いて歩いていくと、街の外れの方にある倉庫に辿り着いた。

 

真月「此処か?随分と散らかってるが」

 

ミザエル「人目につかない場所だったからな。お前を連れて合流するなら此処が最適だった」

 

真月「そうかい。んで?他の七皇は何処だよ?」

 

ミザエル「そろそろ来る。少し待て」

 

そう言ったミザエルの言葉に従って暫く待っていると、倉庫の扉が吹き飛んだ。

 

真月「っ!?敵襲か!?」

 

ミザエル「いや、違う。これを見ろベクター」

 

吹き飛んだ扉には拳の後がはっきりと残っていた。俺の知る限り、こういう真似をするバカは一人しか居ない。

 

???「おう!遅くなって悪かった!もう皆いるか?」

 

ミザエル「扉を吹き飛ばす馬鹿がいるか!?常識を考えろアリト!」

 

アリト「ははっ!悪い悪い。所で此処に居るのはベクターとミザエルだけか?ナッシュは?」

 

ミザエル「大人しく待っていろ。貴様こそギラグはどうした?貴様と行動を共にしていると思ったのだが」

 

アリト「ああギラグか?アイツならさなぎちゃんのサイン会に行ったぞ。それが終わり次第来るってさ」

 

ミザエル「何をしているんだあの馬鹿は!?」

 

そう言って顔を覆うミザエルの横を通り抜けて、アリトが俺の前に来た。

 

アリト「久しぶりだなベクター!元気だったか?」

 

真月「……随分とフレンドリーだなお前。俺はお前に殴られる覚悟をして来たんだが。俺がお前に何をしたのか忘れたのか?」

 

アリト「おいおい、いくらお前らより頭良くないって言ってもそれくらいは覚えてるぜ?」

 

真月「なら何でそんな明るく接する事が出来るんだよ?」

 

アリト「その件については確かに怒ってるぜ?でもさ、もう過ぎた事なんだからぐだぐだ引きずってくのは無しにした方が良いだろ?」

 

真月「……そういうもんか?」

 

アリト「おう!まあ、どーしてもそれじゃお前の気が済まないってんなら、ナッシュが来た時に一発殴って貰え。それでこの件はチャラだ」

 

真月「……お前はそれで良くても、他の奴らはそれじゃ納得しないだろ」

 

アリト「分かってないな〜?お前の裏切りなんて、もう誰も気にしちゃいないんだよ。リーダーのナッシュが一発食らわせたなら、皆それで良しにするさ」

 

真月「……分かった。そうする」

 

アリト「おう!それで、ギラグを除くと残りはメラグとナッシュ、後ドルベか。メラグはナッシュと一緒に来るだろうが、ドルベはどうだろうな?」

 

真月「アイツもナッシュ達と一緒だろ。仲良いし」

 

アリト「そうか!なら大丈「どわあぁぁぁぁぁぁ!?」夫……え?」

 

俺達がドルベについて話していた時、天井を突き破ってドルベが落ちて来た。

 

真月「はあ!?」

 

アリト「ドルベ!?」

 

ドルベ「ぐっ……。済まない皆、遅れてしまった」

 

ミザエル「そこでは無いだろう!?何をどうしたら貴様が天井突き破って落ちて来るんだ!?」

 

ドルベ「それには事情がある。ナッシュの召集に応じた私は空を飛んで此処まで行こうとした。しかしナッシュとの再会に浮かれていた私は前方から近づいて来る旅客機に気づかなかったのだ。その結果旅客機と正面衝突し、何とか目的地の此処に落ちるようにしたのだ」

 

真月「いやそれただお前が馬鹿やらかしただけじゃねーか!?」

 

ミザエル「前から来る旅客機に気づかないって貴様どんだけ浮かれていたのだ!?」

 

アリト「つーかそれ大丈夫なのか!?」

 

ドルベ「ああ、問題ない。この通りピンピンしている」

 

アリト「お前の事じゃねーよ!?お前と衝突した旅客機の事言ってんだよ!お前にぶつかったせいで墜落しましたとかシャレにならねぇぞ!?」

 

ドルベ「何だと!?そっちの事は完全に忘れていた!?非力な私を許してくれ……」

 

ミザエル「巫山戯ている場合か!?おい、誰か携帯を持っていないか!?」

 

真月「居候がそんなの頼めるか!?」

 

アリト「悪い!ずっと山にこもってたから携帯どころか金すら無い!」

 

ミザエル「貴様それでよく生きてられたな!?」

 

俺達がガヤガヤ騒いでいると、倉庫に誰かがやって来た。

 

璃緒「全く、喧しいったらないわね」

 

ドルベ「っ!メラグか!久しぶりだな!」

 

璃緒「ええ、久しぶりねドルベ。それとそこの三人、旅客機は墜落してないから落ち着きなさい」

 

メラグの言葉に安堵する俺達。

 

ミザエル「そうか、落ちなかったか」

 

真月「いやあ良かった良かった。危うく大切な仲間を警察に突き出す所だったぜ」

 

アリト「お前ドルベ切り捨てる気だったの!?」

 

真月「当たり前だ。この馬鹿のしでかした事で俺が迷惑受けてたまるか」

 

アリト「お前なあ……」

 

璃緒「まあまあ、終わった事はもう良いじゃない。それより、後は凌牙とギラグだけかしら?」

 

アリト「ギラグならアイドルのサイン会に行ったぞ」

 

璃緒「何をやってるのよアイツ……」

 

真月「んで?俺達を呼んだナッシュは何をしてんだよ?」

 

璃緒「あらベクター、居たの?」

 

真月「さっき俺を数に入れてただろうが……!」

 

さらっと俺を貶すメラグに腹を立てたが、俺が今までこいつらにやった事を考えるとこの扱いも当然なので、ここは耐える事にした。

 

璃緒「ふふ、冗談よ。それにしても、貴方随分丸くなったわね。以前の貴方なら言い返しそうなものだけど」

 

ミザエルと同じく、メラグにも変わったと言われた。彼奴らとの日常は確かに俺を変えていたらしい。

 

ギラグ「おーい!悪い悪い。さなぎちゃんのサイン会に並んでたら遅くなっちまった!」

 

ミザエル「ギラグ!貴様遅刻にも程があるぞ!」

 

ギラグ「悪かったって!ほら、皆の分のサインも貰ってきたからさ、機嫌直してくれよ〜」

 

ミザエル「いらんわ!」

 

ギラグも相変わらずのようだ。というか、この世界にもさなぎちゃん居るんだな。

 

璃緒「はいはいストップ。何はともあれ、これで皆揃ったわね。凌牙!皆集まったわよ!」

 

その声を聞いた瞬間、倉庫の端で何かがモゾモゾ動いた。

 

俺達がそこに目を向けると、その何かから声が聞こえてきた。

 

凌牙「……集まったか。よく来たなお前達」

 

ドルベ「ナッシュ!会いたかったぞ!」

 

真月「いやお前そこで何してんの!?」

 

凌牙「全員揃うまで寝袋で寝てた」

 

ミザエル「寝袋まで使って寝てたのか!?」

 

凌牙「お前らどうせ呼んでも時間通りに来ないと思ってな。実際ギラグが遅れて来たしな」

 

ギラグ「うっ……、済まねえナッシュ」

 

凌牙「気にするな。さて、まずは……」

 

真月「……?」

 

そう言って俺の方に歩いてくるナッシュ。何のつもりか黙ってみていたら、いきなり顔面を殴られた。

 

真月「ぐはぁ!?」

 

凌牙「一発殴って欲しいってさっき言ってたからな、一発くれてやった」

 

真月「心の準備をさせろ……」

 

璃緒「あら、殴って欲しいなんて、ベクターあなたMだったの?」

 

真月「んな特殊性癖俺は持ってねえ!」

 

凌牙「ベクターの性癖については置いておくとして、取り敢えず過去の事はこれでチャラだ。今からはお前も俺達の仲間だ」

 

真月「今まで仲間じゃなかったのかよ……」

 

ミザエル「自分の行動を振り返って発言しろ」

 

真月「へいへい。それで?バリアンのリーダーであるナッシュさんは一体どのような要件で俺達を集めたんですかい?」

 

凌牙「それについて説明するのは俺じゃない。……おい、全員集まったぞ。入ってこい」

 

凌牙がそう言うと、ドルベが突き破った天井から何かが落ちて来た。

 

アリト「うおぉ!?何だぁ!?」

 

ミザエル「これは……?」

 

空から降ってきたのはデカイ人参だった。デカイ人参が空から降ってくるという展開に固まった俺達だったが、俺は何故かあのキチガイ兎の事を思い出していた。

 

???『いや〜無事着陸出来て良かった良かった。あ、凌ちん?今でるから少し待ってて!』

 

璃緒「あら、喋った」

 

凌牙「その凌ちんとか言うあだ名やめろ」

 

他の奴らが人参から出る声に驚いている中で、俺は別の驚きを感じていた。人参から聞こえてきた声は、あのキチガイ兎の声だったからだ。

 

束「よっと!はいはいみなさんちゅうも〜く!皆のアイドル、天才科学者篠ノ之束さんの登場だよ!」

 

ミザエル「篠ノ之束!?」

 

璃緒「あら、あなたがそうなの?」

 

アリト「誰だそれ?」

 

ギラグ「ISの開発者だよ!」

 

ドルベ「現在失踪中で全国で指名手配されていると聞いていたが……」

 

束「そう!間違いなくその束さんだよ!バリアンの皆、宜しくね!」

 

一瞬周りに星が出たと錯覚させるようなウザいピースをしながら、束は俺達に挨拶した。そして挨拶を終えると、俺の方に近づいて来た。

 

束「久しぶりだね、れーくん。元気にしてた?」

 

真月「その言葉、そっくりそのままお前に返すぜ。急に失踪して、箒達も心配していたぜ?」

 

束「そうだね。箒ちゃんやお父さん達には現在進行形で迷惑かけてるからね。近い内に会いに行くよ」

 

そう言って笑う束の姿を見て、居なくなる前の束の姿を見ていた俺は安心した。束はあの時の絶望をちゃんと乗り越えたらしい。

 

ドルベ「それで、貴女は何故此処に?ナッシュの話を聞いた限り、貴女が私達を集めたらしいが」

 

束「おっと!いけないいけない。久しぶりの再会の喜びで本題を忘れる所だった!」

 

そう言って束は人参の上に跳躍して、俺達に宣言した。

 

 

 

束「バリアンの皆には、私が世界を変えるお手伝いをしてもらいます!」




次回予告

次回、インフィニットバリアンズ

ep.12 世界改革の一歩

Ⅴ「…………今はまだ私が動く時ではない」
ナッシュ「いい加減働けよ!働けぇ!!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。