帝side
いつもと同じように、ベッドから起き、軽く欠伸をする
寝惚け目を擦りながら、横に置いてある棚の上のタッチパネル式のケータイを手に取り、時刻を確認した
しかし急に違和感を感じる。よくよく見れば、ホーム画面の日付が、俺の記憶がある日付より、一週間経っている
帝「ん?何だこの手帳?」
枕のすぐ横に置いてあった手帳を取り、表紙を見る
題名は、監禁性活(誤字に非ず)日誌
帝「何!?何なの監禁性活って!?誤字に非ずってなんなの!?」
大声でツッコミを入れ、試しに1ページ目をさっと流し読みし、途中で閉じた
帝「ダメだコレ……自主規制必須だわ……」
全部一応読み、深いため息を吐いた
内容を要約すると、一週間ジャンヌに監禁され、一日中こってり搾られて死を覚悟したというものだ
帝「……うん、思い出した……もう女体は懲り懲りだ……」
まぁジャンヌはテネブラエからかけられた催眠があったから許そう
だがテネブラエ、テメェは後で殴る
元凶はテネブラエなんだし別に殴っても悪くないよね
さて、それよりもだ……っておい待て
あることが頭に浮かび、急いで手帳を開く
帝「……やっぱり生でヤってたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
手帳を床に叩きつけ、壁に頭を何度も打ち付けた
帝「バカヤロォ……学生のうちに親になるとか笑えねぇぞ……」
あんまりのことに、膝から崩れ落ちる
帝「……仕方ない、俺も男だ。腹括って親になろう。金は……まだ悪魔になって契約で稼ぐか……?」
とにかくマジで仕事探した方がいいかもしれない
いやそりゃぁ、リアスと美優とヤるときはいつもコンドーさん着けてますよ?でも今回無しで一週間だからね!?妊娠しちゃってる可能性は大いにあるよ!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!マジでどうすんだよコレェェェェェ!!!!
頭を抱えて、床を転げ回り、地上に打ち上げられた魚のようにビクンビクンと跳び跳ねる
そんな中、部屋に轟く程大きな腹の音が鳴った
帝「……そういや、飲まず食わずだったな……なんかテキトーに作るか」
部屋着姿のまま、階段を降り、居間にたどり着いた
エミヤ「おや、もう歩いて大丈夫なのか?マスター」
真っ先に声をかけてきたのは言わずもがな、エミヤである
というかもう居間に着くといつもエミヤが一番最初に口を開いているような……
エミヤ「当然だ。マスターを見かけたら挨拶をするのは使い魔として当たり前なことだ」
何ッ!?貴様、いつ読心術をッ!?
エミヤ「フッ、読心術はサーヴァントにとっては必須スキルさ」
帝「とか言ってるけど本当は?」
エミヤ「念話のパスを一方的に無理やり開いて心の声を聞いてるだけさ」
帝「なんという恐ろしい奴……!って、そうじゃなかった。エミヤ、なんかテキトーに作ってくれるか?腹減って……」
エミヤ「了解した。だが一ついいか?」
帝「ん?どうした、言ってみ?」
エミヤ「一週間ぶりのまともな食事なのだから、少し豪勢に作ってしまっても構わんのだろう?」
帝「宜しく頼む、料理長」
珍しく即答してしまった。そんなに腹が減ってるのだろうか?
そして次々と出された料理を、貪るように食べ尽くした
エミヤも本気の料理ができたのだろうか、調理中の顔が輝いてた気がする
帝「くふっ……朝から肉というのもキツイな……」
エミヤ「すまん……少し調子に乗りすぎた……」
帝「いや……美味かったからいい……」
エミヤ「そうか……せめてもの詫びとして、紅茶でも飲んでリラックスしていてくれ」
帝「ん、サンキュ」
食器を洗う音をBGMにして、紅茶を飲んで一息つく
暫くして、洗い物が終わったのか、エミヤが向かいの席に座る
エミヤ「……マスター、ジャンヌとは何か進展はあったか?」
帝「ッ!?ゲホッ!ゲホッ!ゲファッ!!」
神妙な面持ちで、聞かれた質問に驚き、気管に紅茶を詰まらせてしまった
エミヤ「ほう、その反応……つまりは……」
すると途端にニヤニヤしてこちらを愉しげに見るエミヤ
帝「な、なんだよ!?別に進展があった訳じゃ……」
ふと脳裏に一週間の記憶が過る
帝「あった訳じゃ……」
どう考えても一歩どころか三歩四歩ぐらい進展してんじゃねぇかよバカタレェェェェェェ!!!!
帝「……アッタワケジャナイヨ……?」
エミヤ「そこまで白々しく言われてもな……もうどうせ私にはバレてるのだから思いきって吐け」
帝「言わねぇぞ!?絶対言わないからな!?」
スカサハ「ほう、病み上がりだから少し心配していたが、どうやら杞憂だったようだな」
帝「うへっ、スカサハさんかよ……ビックリしたな……」
スカサハ「ん?女に対しての口の聞き方がなってないようだな?」
帝「す、すんません……」
スカサハ「まぁ、少しでも申し訳ないと思っているのならいいだろう。それと少し話は変わるが、一週間前に私が言ったこと、覚えているな?今日の昼だぞ」
帝「……わかりました。多分宝具の嵐になると思うんで瓶詰めの血人数分用意しておきます」
あれ?待って、九人分だよ?貧血にならないよね?出血多量で死なないよね?
少し顔を青ざめさせながら、部屋への階段を上った
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時刻は変わって昼時、地下の訓練室では激しく鉄同士がぶつかり合う音が響く
帝「チッ!意地でも覇煌龍の詠唱をさせないつもりかっ!」
実はこの訓練、かなり実践に近い感じでやっている
つまり詠唱も待ってくれない。慈悲はないようだ
今訓練に参加してるサーヴァントは八人。ジャンヌは俺を見る度に顔を真っ赤にするので、訓練にならないとスカサハさんが外した
ん?一人多い?まぁその一人は後々判明するとして、ジャンヌは部屋の隅でこちらをじっと見てるよ。特に俺を
正直視線が気になってやりにくい……
因みにマシュも見学したいとのことで、ジャンヌの隣でちょこんと座っている
クー「オラオラ!どうした、手の動きが鈍ってるぞ!」
帝「うっせ!こっちにも対応力の限界ってもんがあんだよ!」
片手に槍、片手に剣を構えながら、エミヤの放つ剣とアニキの神速の槍を防ぐ
沖田「ハッ!」
総司が持ち前の敏捷性を用いて、俺の胴に鋭い突きを放った
それを剣で進行方向を反らし、刀ごと総司を弾き飛ばした
続いて振るわれた槍の薙ぎ払いを跳んで回避。そのまま宙で体を一回転させ、遠心力を乗せた蹴りをアニキに放ち、吹き飛ばした
間隔を入れず突っ込んできたスカサハさんとアルトリアさんを牽制するように地面から俺を囲むようにして大量の神淵剣を出現させる
帝「よし、今なら……!
ーー我、目覚めるは……
覇の真髄を追い求め、覇の極みへと至りし龍神帝王なり……
ーー無双に憧れ、夢想に焦がれる
ーー我、万物を浄化せし破邪の光を以て
ーー汝、光輝く夢想の世界へと導こう!」
詠唱が完成し、再びあの姿へとなる
覇龍化の余波で周りの剣は砕け散った
帝「あい不意を突かないよ燕青の旦那ァ!」
背後から放たれた拳をすんでのところで受け止める
燕青「嘘だろ!?アサシンの気配遮断使ったのに!?マスターあんたもうマジで軽く人間辞めてんじゃねえかよ!」
帝「残念!元が人間じゃないから非人間扱いしても無駄なんだよね!」
言ってるとかなしくなってくるな……あれ、おかしいな、眼から汗が……
燕青「ま、いいさ!後は頼むぜ!アルトリアの姉御!」
帝「あっ、嘘!?」
いつの間にか拘束を逃れ、逆に俺の腕を掴んで投げ飛ばした
アルトリア「マスター、ご覚悟を!」
アルトリアさんが燕青を通り過ぎて此方に肉薄する
帝「やっぱやるしかないのね!」
体を無理やり動かし、一回目の着地で足の裏を床につける
しかしそれだけでは飛ばされた勢いを殺し切れないので、後ろに滑りながら回転する
アルトリア「ッハアァッ!」
アルトリアさんの槍の距離範囲内に入ると、強烈な風を纏った一突きが放たれた
俺はそれを上半身を後ろに倒して回避。その勢いのまま床に手をつけ、カポエラの要領で槍を蹴り、触手を一つに束ねて壁へと叩きつけた
帝「ぐぅっふにゅっ!?」
完璧に止まったところで、ある大男が大剣を俺に向かって振るった
「くっ、地味に気の抜ける声を出すのは止めてくれるか、マスター」
帝「ちょっとぐらい手加減してくれてもいいと思うよ!?ジークフリート!一応俺龍の血が流れてる訳だからその大剣の一撃が俺にとって致命傷と同等なくらいのダメージになるんよ!わかる!?」
ジーク「……すまない……だがこれも訓練だ。我慢してくれ、マスター」
帝「畜生!説得失敗!」
叫びながらジークフリートを押し戻し、大剣を弾いて横腹を押すように蹴り、距離を取る
クー・エミヤ・スカサハ「「「
帝「え?あっちょっ、どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!????????」
少し息を整えている所で放たれ、回避するも、着地点が爆発し、思いっきり吹き飛ばされ、壁に強く頭を打ち、気絶してしまった
訓練はこうして不完全燃焼な状態で終わった
To be continued.