帝side
しまった、赤ペンをジャンヌの部屋に置き忘れてしまった
かといってあの状態のジャンヌの部屋に行くのは虎のいる檻のなかにステーキを置くようなもんだし……
まだ余っていないかと机の引き出しの中を除いたが、掠れてもうインクが出ない物ばかりだった
書斎から直接俺の部屋にドアを潜り抜けて入り、筆記用具用の引き出しを見ても同じような感じだった
帝「……仕方ない、気配遮断して行くか……」
それから少し歩いてジャンヌの部屋の前に着いた。最悪ダイナミック入店して目的をさっさと済ませるか
帝「……まだ抵抗感が……えぇい!赤ペンをとらなければ!」
あまり音を立てないように素早く開け、サッと扉を閉めた
「あなたはエミル様を見るとどんどんエッチな気分になーる……あなたはエミル様を見るとーー」
帝「……………………」
手早くジャンヌだけを包み込まないように防音結界を張る
というかこの声すごーく聞いたことあるんだが……聞き覚えバリバリあるんだが……
思わず天を手で仰いでそのまま顔を覆った
暫く時間を置いて少し息を吸い、一拍置いて叫んだ
帝「なぁぁぁにやってんだテメエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!」
「おや、これはエミル様ではありませんか。一体どうなさいました?」
声の主の正体は、俺の眷属精霊のテネブラエだった。またの名を陰険ジジブラエ
帝「いっやだから何やってんだって聞いてんだけど!?」
テネ「いえ、ただ少し催眠をかけてるだけでして」
帝「は?でもジャンヌには対魔力の能力があったはずだが……」
テネ「いやはや、そこは私も驚きました。何せ一発で完全にかかるような催眠の効果をこの方は5分の1にしてしまうんですから」
帝「どんだけ強いのかけようとしてたんだお前!?んで?どんな催眠にかけて何しようとしてた?」
テネ「えぇ、よくぞ聞いていただきました!まず、この方には、エミル様を見るとどんどんエッチな気持ちになる催眠をかけました。そして我慢の聞かなくなった彼女は次第に自分の欲望を押さえきれずに、終にはエミル様を襲ってしまうのーです☆ミ」
帝「随分と下世話な真似をしてくれるなオイ!?…………なるほど、それで、犯行動機は?」
多分俺の顔は青筋が浮かんでると思う。ビキビキとを鳴らして
テネ「そりゃぁもう面白そうだからに決まってるじゃぁないですかぁ!」
帝「………………………………………………」
俺は無言でハリセンを取り出した
帝「…………お前が元凶かああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺はハリセンを片手にテネブラエに襲いかかった
テネ「お、お情けを!決して故意等ではなくです!!どうか!どうか!ぎぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
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テネ「うぅ、流石に全力ハリセンフルスイングとかまぼこ板全力投擲は痛うございます……」
帝「抜かせ、元を正せばお前が悪いだろうに……」
申し訳程度に覚えているケガの治療程度の治癒魔法を、いまだに文句をブー垂れているテネブラエに自業自得だと言い聞かせながらかけている
帝「それで、この催眠って解けるのか?」
テネ「いえ、解けません」
帝「じゃぁ今すぐ解除の術式を組んでジャンヌにかけろ」
テネ「えぇ~、いやでごさるぅ~。そもそも、リアス様以外に奥手すぎるエミル様がすみません調子乗ってましたので真顔でかまぼこ板を構えないでくださいおねがいします」
帝「……ったく、少しの時間なら待ってやる。どれくらいかりそうだ?」
流石に半年とかだったら俺怒るからな。死ぬからな……多分
テネ「私の全力を以てしても、精々1ヶ月……いえ、半月ぐらいが限度でしょうか」
帝「いい、それなら十分だ」
テネ「ではエミル様、ここらで私は失礼をば……」
テネブラエが帰還用の魔法陣を空気中に発生させ、そこへと向かって行った
帝「……スケベシスベシフォーウ!!」
テネ「あふぁっ!?」
ボールを相手のゴールにシュゥゥゥゥ!!超☆エキサイティン!!
ドロップキックでテネブラエの背中を蹴って、魔法陣の中に叩き込んだ
帝「ふぅぅ……さて、寝るか」
そそくさと赤ペンを回収し、部屋を出ると同時に防音結界を解くのも忘れずに
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帝・ラタ「【……………………】」
鏡を見て唖然とする俺とラタ
帝「なぁラタ、俺の言いたいことわかるよな……」
ラタ【わかってる……】
帝「オッドアイとか厨二心擽るなぁオイ!?」
あ、ありのままに起きたことを話すぜ。朝起きて鏡見たら左目がラタと同じ赤目になってたんだ。何言ってるかわかんないと思うが夢とか(ry
帝「マジかよおいこんな下らねぇことは一度っきりにしてほしいんだが!?」
どうしてくれようか、この目……
ラタ【取ろう!】
帝「悪鬼外道か貴様ァ!?」
不意にポタポタと液体が落ちる音が近くで聞こえた
周りを見渡すが、何も見えない。辺りを見回し、洗面台に目を向けると、赤い液体が池のように貯まっていた
指で掬い取り、少しだけ舌を使って舐める
生臭さと鉄の味、少しドロッとしたような味が口の中に広がる
血?でもなんで……
鏡に視線を戻すと、そこには、左目から血をボタボタと垂れ流す俺の姿があった
帝「……は……?どう……いう……」
状況が理解できずに脳内が混乱し、呆然と立ち尽くす
帝「ッ!?」
じわじわと酷くなってきていた痛みが急に、余計に酷くなった
ラタ【あー、そういうパティーンね】
なぜかラタは自分で納得し自己解決していた
帝「痛ぁ……で、そういうパティーンってどういうパティーンなんだ?」
ラタ【回復早っ!?さっきまでスゲー痛そうにしてたじゃねぇかよ!?あれは嘘か!?演技だったのか!?】
帝「いやもーなんかね、こういう痛みに慣れた。という訳で説明プリーズ」
ラタ【雑いというか軽いというか……まぁあれだ、お前の体が俺の魂が宿るのに適正な肉体ってのは知ってるだろ?その適正度合いが更に上がってお前の体が俺の元々の肉体に近いものになっていっている。それに耐えきれずに目から血液ブシャーッなわけだ】
帝「思ったよりざっくりしてたー!まぁ取り敢えず血はなんとか止まったし下に降りても大丈夫かな」
ラタ【目から血をドバドバ流しながら平然としてる奴見たら誰だってパニクると思うけどな】
帝「ははははは……そりゃぁ違いねぇ……」
乾いた笑い声を出して思わず苦笑いしてしまった
自分のこと言われてるみたいでまともに笑えねぇ
いつもの如く、タンスの中から適当なTシャツを取り出し、下もジャージに着替えた
エミヤ「おはよう、マスター。ずいぶんと騒がしかったが何かあったのか?」
下に降りて、最早エプロン姿が定番となってしまったエミヤに心配そうな口調で聞かれた
帝「いや、特にないよ。また走り込み行ってくるから朝飯は頼んだ」
エミヤ「あぁ、任された。それはそうとマスター、そんな服装で大丈夫か?」
帝「大丈夫だ、問題ない。じゃ、行ってくる」
覇道という大きな二文字を背中に携えて俺は一歩踏み出した
余談だが、間違えて部屋着を着てしまっていたことに、シャワーを浴びる時に気づいてしまい、一人脱衣場で悶絶しているところ、偶々来た女性陣の皆様方に見られてしまった。
To be continued.