帝side
帝「そう言えばお前ら夏休みの宿題やってんのか?」
その言葉は唐突だった
俺の質問にみんなは黙り、それどころか目を逸らす始末
つまり十中八九……
帝「……はぁ、全員持ってこい。ある程度の範囲までなら教えてやるから……」
駒王学園に通う者は、皆、「はい」と声を揃えて自分の部屋に教材を取りに行った
帝「物のついでだ。ジャンヌも勉強道具と教材持ってこい」
ジャンヌ「……ふぇっ?あぁ、はい……」
どこか気の抜けた様な返事をしてから、ジャンヌも自分の部屋へと行った
邪ンヌ「ん、他のはともかくなんであの白いのまで?」
帝「いやほら、前にあったじゃん、正妻戦争……だったっけ?それの優勝景品が俺に何でも願い事を聞いて貰えるってやつだったらしいじゃん?俺は許可出してないけど。んでその俺へのお願いってのが勉強を教えて欲しいって内容だったんだ」
邪ンヌ「……へぇーそう。ふぅーん……」
邪ンヌはそう言うと、俺に何かを求めるようにこちらを何度もチラチラと見る
帝「どうした?勉強教えて欲しいなら教えてやらんでもないが?」
邪ンヌ「なっ!?バッ、バッカじゃないの!?誰があんたなんかに教えて貰うもんですか!……ま、まぁどうしてもって言うのならまぁ吝かではありませんが……」
帝「教えて欲しいなら教えて欲しいで素直に言えよな、全く……今度食材の買い出しに行くからついて来い。教材やらノートやら買う必要があるだろ」
なんだかんだ言いながらも結局は受けるんだな……と言うのは野暮だろうかな?
って、そう思えばジャンヌのやつ、思えば帰ってきた時からだったか?何を聞いてもずっと上の空であんな調子だ
恐らくは昨日の告白が多分関係してるんだろうが……
帝「……っ……ダメだな……」
気を抜くと昨日の告白をすぐに思い出してしまう……。それにすぐ顔が熱くなる……。正直あんな方法だと困るのはこっちなんだが……
そんなこんなで、皆が自分の夏休みの宿題を持ってきた
木場「あれ?帝君はやらなくていいのかい?」
帝「配られたその日か翌日に全部終わらしてるから問題無し」
俺が少しだけドヤ顔気味に言うと、祐斗は、やっぱりねと言わんばかりにため息を吐いた。解せぬ
一誠「そう言えば兄貴ってどんくらいまでの勉強の範囲教えられんだ?」
帝「あー…………少なくともオックスフォード大学までなら行ける……が、あまり期待するなよ?模試でギリギリ合格できた程度だから」
白音「……ハーバード大学じゃないんですね。帝兄様なら行けると思うんですが」
帝「いやぁ、無理無理、絶対無理。オックスフォードでギリギリ合格なのにハーバードとかマジ無理。っつーかまずハーバード行けるやつの脳がどうなってんのか知りたいよ……」
今度取っ捕まえて解剖でもしてみるか……
ゼノヴィア「なぁエミル、この熟語の意味はこれで合ってるか?」
ジャンヌ「エミルくん、どうですか?できましたよ!」
美優「お兄ちゃんお兄ちゃん、ここの式の公式の確認したいんだけどいい?」
帝「ああもう!お前らそんないっぺんに来るな!ほらえーっとまずゼノヴィアからだな」
冗談に聞こえない冗談を心の中で呟いてから、仕方ないと少し呆れた表情になりながらも世話を焼くこととなる俺であった
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さて、皆さんは迷いの森と聞いて何を思い浮かべるだろうか?いや、正確にはどうやって迷うと思うだろうか?
人によっては、怪物が迷い込んだ人を攫う、方向感覚が麻痺または可笑しくなってしまうetc...と、まぁ様々な意見があるだろう。
そんなわけでビバ!迷いの森!つっても今回はあるものの調査とその調査対象の回収なんだが
ん?宿題?そんなもんエミヤに押し付けて来たよ。まぁエミヤも満更でもなさそうだったが
帝「しかしなんでアルケイデス流星群の隕石の1つがここで落ちたんだか……」
まさかとは思うがここの強力な磁場に引き寄せられたとか……?
久しく存在さえ忘れていたマインドブレスレットを摩りながら、そう考えた
帝「〜♪〜〜♪あだっ!?」
退屈凌ぎに鼻歌を歌いながら歩いていると、足に何かが引っかかって前のめりに倒れてしまった
鼻にクリーンヒットしたので凄い痛い
帝「何これ……紐?……ッ!?」
振り返りざまにリベレーターを振るうと、何かがぶつかったような衝撃が腕に響いた
帝「くっ!ああクソが!どっから来てんだ!」
バク宙をしながら、その何かを2つ斬り、その勢いのまま後方から迫っていたものを斜めに斬り、シャドウ・アイオリオンを逆手に持ち、左右から飛び出したものを、上下に振って斬り落とす
??「「動かないで!」」
周囲を警戒し過ぎて、誰かが近づいているのがわからなかった。これぞ正しく灯台下暗しというやつか
帝「お、オーケーオーケー……わかった、ここはひとつ話をしよう。争いで解決できないことだってあるんだぞ?」
非常に焦った顔で、冷や汗や脂汗を大量に流しながら、首元に添えられた鎌の刃を見てそう言う
?「ま、それもそうね。ミリ、鎌を降ろしましょう」
ミリ「……わかりました、姉さん」
帝「おい待て、ミリって……まさかあんたらの中の1人って、ミリ・アービターじゃないだろうな……?」
ミリ「な、なんで私のこと……!?」
?「なんでミリのことを知ってるわけ!もしかしてあんた……!」
何を誤解してか、ミリと呼ばれた人の姉は、再度俺の首元に鎌を添えた
帝「違う違う!有らぬ誤解があるみたいだけど断じて違うから!」
?「じゃあ誰だって言うのよ!」
帝「……俺だよ。エミル、エミル・キャスタニエだ」
?「う、嘘よ!だったらなんであんたの髪が白いわけ!?」
帝「前のは……ほらあれだ、認識阻害魔法で髪の色素を誤魔化してたんだよ。こっちが本当の色だ」
ミリ「ほ、本当に信じていいのですか……?」
帝「信じてくれ。いや、信じてくださいお願いします。じゃないと俺もやらないといけないことができない」
?「ふーん……そう、わかった、信じてあげる。でもその代わり、たっぷり土産話を聞かせなさい。いいわね?エミル」
ミリの姉はそう言うと、俺の首から鎌を離した
帝「はいはい、ご所望とあらば何なりとお申し付け下さいな、アリスお嬢様?」
ミリの姉ーーアリスに向き合い、ニヤッと不敵な笑みを浮かべた
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アリス「しっかし本当久し振りね。どれくらい会ってなかったかしら?」
帝「だいたい俺は向こうに帰って3ヶ月くらいだけどこっちの日数換算にしたら90年くらい会ってないかな。つっても、だいたい180年くらいは一緒に過ごしてたんだから別にいいだろ?そんなこと気にしなくても」
ミリ「それよりエミルさん、何か用事があったのでは?」
……しまった、思い出話?に花を咲かしてる場合じゃなかった
帝「あぁ、そうだったそうだった。アリス、ミリ、この辺で隕石と湖がなかったりしないか?」
アリス「隕石ならあるわよ?私らの家の裏に。湖ならミリが知ってるわよ」
……えぇぇ……
帝「……非常に申し訳ないんだが家と湖まで案内してくれないか……?今回はその2つの調査と回収のために来たんだが……」
アリス「いいんじゃない?別に」
ミリ「はい。正直な話、隕石が少し邪魔臭いです。それに湖も家からだいぶ近いので」
おぉぅ、ドストレートに言うなぁ。偶に酷いこと言う辺りあんまし変わってないようでよかったよ
アリス「んじゃっ、そう言うわけだから早速行くわよ!」
ミリ「転けたりしないでくださいね!」
帝「わ、わかったわかった!わかったから手ェ引っ張るな!」
長い金の髪と薄紫の髪に鼻を少し擽られながら、2人に手を引かれて俺は小走り気味に歩きだした
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帝「お、そうそう。ここの問題はそうやってxに左の式を代入するだけなんだ」
美優「わぁ、すっごくわかりやすいよお兄ちゃん!ありがと!」
帝「気にすんなって。俺も教えることで理解が深まるからな。まぁわかんなかったりする問題が有ったらいつでも言えよ?一応並の大学くらいまでなら教えれるからよ」
美優「流石、テストは毎回学年トップを獲ってるだけあるね。ありがと」
あの後、まず湖に連れて行ってもらい、そこの水と、アリス達の家の裏にあった隕石を
今後の研究と、ある薬の調合のためにしばらく使うことになる。まぁ目的だけ話せば次の対ヴェルフリート戦で確実に勝てるようにする為だが
ゼフィ【そんでミカド、結局どうすんの?】
ーーどうすんのって……何が?
シエル【決まってるでしょ、ジャンヌさんの告白についてよ】
いや、一応考えてるんだ。考えてはいるんだが……
ーーどうにも、やっぱり3人と付き合うってのは節操とか甲斐性がなさ過ぎるんだよなぁ……
ゼフィ【いや、そんなの今更でしょ】
ーーえぇ!?
ルアン【胸に手を当ててよく思い出せよ!このスケコマシ!】
ーー何という酷い言われよう!?
でもまぁ確かに、しっかりとジャンヌの気持ちに応えなければならない
でも俺の倫理観がそれを邪魔するわけで……うぁぁぁぁ!!!
……結局のところ打つ手はないのかよ……
美優「ねぇ、お兄ちゃん」
帝「どうした?まだわからないとことかあるのか?」
美優「ち、ちがうよ?お兄ちゃんの教え方すっごく上手だからわからないところなんて寧ろある方がおかしいよ!あ、そうじゃなくって、えっと、お兄ちゃん、前に何でも言うことを聞くって言ってたでしょ?今思ったらお願い聞いてもらってないなーって」
まさかここで俺は食われるとでも言うのかね?ヤだよ、俺まだ襲われてしかないのに
美優「だから今からお願いを言うね?…………私を襲って…………?」
美優はそう言うと、俺の手で胸を鷲掴みにさせ、自分が下になるように、俺が上になるように倒れた
帝「……いいのか?止まらなくなっちゃうかもしんないぞ?」
美優「ううん、いいの。今はお兄ちゃんに求められたいの、優しくして欲しいの、愛されたいの。だからお兄ちゃん……来て……」
ここまで言われると俺も黙ってはいられない。据え膳食わぬは何とやら、俺も今は美優のことだけを考えよう
帝「わかった。でもその代わりに、途中で根を上げるなよ?もう俺無しじゃ生きられないくらいまで愛してやるからな」
そうして俺は美優の誘いに乗り、どちらかが精根尽き果てて寝るまで愛し合うのだった
To be continued.