帝side
帝「だぁぁ、まぁた外したよ。遠距離狙撃って結構難しいのな。」
エミヤ「いや、最初に比べれば、幾分かは様になっている。それに何の強化もしていない眼でしているんだ。外さない方がおかしい。」
現在、エミヤの指導の元に、遠距離狙撃の訓練を受けている。やはりエミヤはアーチャーというだけあって、狙撃が上手い。俺なんか足元にも及ばない。
帝「しかし、こんなにでかいのになんでこう軽いのか、ねっ!」
矢を番え、弦を引き、放つ。大弓なので、弦を引く力もかなり要るし、偶に指に弦が食い込んで痛い。しかしその反面、弓はデカイくせに軽い。見た目と軽さが一致していない。
エミヤ「うむ、今度は当たったようだな。それも綺麗に頭を撃ち抜いている。」
帝「いやぁ、動いている物相手に狙撃は結構キツイ。」
エミヤ「そうは言っているが、マスターの要領の良さは眼を見張るものがある。そろそろ私の立ち位置も危なくなってきたし、弓の技術を上げないとな。」
帝「やめてくれエミヤ。まだあんたとの差は散々あるのにこれ以上離されたくはないの、よっと!」
再び矢を放つ。当てたのは鳥だ。
帝「さてと、今日はこれで終わりかな。」
そう言って俺は〈烈空の冥海弓〉から、十字架の首飾り、〈
エミヤ「あぁ、このあとはランサーの元に行くのだろう?猪や鳥は私が回収しておくから早く行ってやるといい。どうせ家で暇を持て余しているんだろう。」
帝「そこそこ酷いな、お前。」
苦笑いし、別れを告げると、俺はアニキの元へ赴いた。
帝「うーっす。アニキ、いるかー?」
アニキの小屋の扉を開けて確認したが、アニキは居なかった。
ラタ「お、エミルじゃねぇか。丁度探してたんだ。」
仕方なく犬小屋に戻ろうと思ったら、ラタに話しかけられた。
帝「どうした?俺の負け犬生活を嗤いに来たのか?犬小屋だけに。」
ラタ「お前いつまで引きずってんの!?いや、そうじゃなくて、お前と俺のことについてだ。もしかしたらドラグソ・ボールのヒューゾーンみたいなことしたらお前の力、元に戻るかもしれんぞ?」
帝「…………それはわかってんよ。わかってるんよ。けどなぁ、あのポーズだけは俺のプライドが許さねぇんだよ!」
ラタ「何のプライド!?そんな意地捨てろ!お前元に戻りたいんだろ!?ならやろうよ!やろうぜ!?やれよ!」
帝「あんな恥ずかしいポーズをするくらいなら僕はこのままでもいいと思うんだ。」
ラタ「おいこら!何悟ったような顔してんだよ!?お前の賢者タイムっていつも変な時に発動するよな!?あれか!?ヤッたのか!?誰かとヤッたんだろ!?」
帝「ラタ、そういうこと、あまり人前で言わない方がいいよ?」
ラタ「お前が言わせてんだろ!?しっかりしろよ!?お前最初あんだけリアスリアスって言ってた癖にもう折れたのかよ!?」
帝「あ……そうだ……俺はリアス達の元に笑ってただいまって言うんだよ!皆が知ってる俺のままで!よしやろうラタ!今すぐ!さぁ思い立ったが吉日!善は急げだ!」
ラタ「……ふっ、ちょろいぜ。」
邪ンヌ「へぇ……面白そうなことやんのね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
-半年後-
帝「チィッ!こんなニーズヘッグを1人でとか無理ゲーにも程があんだるぅおっ!?」
「ゴァァァァァァァァァッッッッッッ!!!!」
俺はニブルヘイムの死の泉に訪れていた。理由は、今までの修行の集大成としてニーズヘッグを1人で討伐しろという、何とも無理ゲーな理由だった。それもそのはず、ここのニーズヘッグは巨大な魔龍。その巨躯に似合わないスピードと、絶大なパワーを誇る。その上、龍殺し系統の武器が効かないと来た。こんなの勝てるはずがない。
ジャンヌ「えっと、皆さん流石にこれはやりすぎでは……。」
クー「いいんだよ嬢ちゃん。男ってのはこんぐらいの無茶しねぇと強くなれねぇんだよ。」
帝「こんのスパルタ!鬼!鬼畜!マジモンの悪魔!あの陰険ジジブラエぇぇぇぇい!!??」
しかも素の状態でやれって言うんだぜ?こんなん死ぬわ!
帝「ぬぁぉう!?クッソ、調子に乗りやがって!千刃、二の刃、〈双雷二閃〉!!」
ニーズヘッグの懐に潜り込み、腹に二閃の斬撃を浴びせる!…………が、
帝「うわぁ、効いてる様子が見えねぇ……。」
確かに血は出ていた。だが、ピクリとも効いていないようで、寧ろニーズヘッグの動きは激しくなるばかりだった。
テネブラエ「えー、ラタトスク様……ご無理なようでしたらもう本気出しても構いませんので……。」
俺の横に出てきたのは燕尾服を着たような姿の犬。闇を司る、センチュリオン、テネブラエだ。
テネブラエ「誰が犬ですか!誰が!」
帝「テネブラエ、心読まないで。あと五月蝿い。ウザイ。話しかけないで。気が散る。」
もぉ!めんどくさい!何なんこの犬!マジ巫山戯とんちゃうぞ!?生きて帰ったら簀巻きにしてどっかの崖から突き落とすぞワレェ!!
帝「ぅぉあ危ね!っ〈零滅刃・神威〉!!」
これ、結構体に負荷かかるんよねぇー。疲れるし。まぁ死んだら元も子もないけどね!
帝「行け、神淵剣!」
ババババババババババ!!!!
神淵剣を無数に生やし、ニーズヘッグに向けて飛ばす!やはり修行の成果か、最後に使った時よりもスゲェ増えてる!
「ガァァァァァァァァァァ!!!!」
ニーズヘッグの体に弾かれるも、ニーズヘッグの眼に突き刺さり、ニーズヘッグが悶えた!やはり体内までは硬くないようだ!
帝「じゃ、最初からこうしたほうが速かったかな?ま、これから死ぬやつに聞いても意味ないよな!じゃぁなニーズヘッグ!アイン・ソフ・アウル!!!」
ニーズヘッグの顔に近づき、ニーズヘッグの口内に向けて闇の波動を飛ばした!そしてそのまま顔を抉り、頭を失ったニーズヘッグは、力なく倒れて行った。
クー「おおおおい嘘だろ!?こっちくんなぬぉぁぁぁぁ!!!!」
エミヤ「ランサーが死んだ!?」
沖田「この人でなしぃ!」
帝「あれ?なんか俺が悪い感じ?」
ジャンヌ「大丈夫ですよ。こういう時って案外ランサーさんは生きていらっしゃいますから。」
なんかあれだ。よくわかんない!
邪ンヌ「まぁよくやったんじゃない?あんな恥ずかしいポーズを決めただけあるわ。」
帝「それ関係ないだろぉぉ!?やめて!もうそのネタで弄らないで!俺のライフはとっくに0よ!?」
そんなこんなで魔界に戻ることに。端折り過ぎだって?何があったって?……知らんな。
帝「ってわけで帰って来たわけだけど、ヴェルフリートの配下とかにバレるとヤバイしローブでも被って行こう。」
因みに、エミヤやアニキ達は霊体化している。
ネザー「お主は何を言っておる?まぁそれは兎も角として、できたぞ。名は〈シャドウ・アイオリオン〉。一応私の最高傑作だ。大切に扱ってやってくれ。」
ネザートレイトから受け取ったのは、ダークソードが強化された剣、〈シャドウ・アイオリオン〉。1種の芸術品と見てもいいぐらいに煌びやかな輝きを持っている。やはり、最高傑作というだけある。重量は前より少し増えたものの、それを補うかのように斬れ味がいい。
帝「んじゃな、ネザートレイト。次は何時になるかわからんが、そん時はよろしく。」
そう言って俺はラタトスクの間を出た。目指すはメルトキオ、そこにリアス達がいる。俺は久しぶりに仲間達と会うことへの期待に胸を躍らせ、魔界の大地へと一歩踏み入れた。
To be continued