ハイスクールD×D 光と闇のラタトスク   作:カルパン

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蘇る悪魔

帝side

 

時が止まった駒王学園。四大勢力会談中に、いきなり駒王学園の時が停止し、俺の憶測ではあるが、何者かのギャスパーを利用した襲撃に遭ったかと。

 

帝「チッ、今動けるのはこのメンバーだけか。」

 

現在動けるのは、俺を含めた各勢力のトップ、聖魔剣を持った祐斗、デュランダルを持ったゼノヴィア、〈赤龍帝〉のイッセー、俺の声に反応し、丁度良くイッセーに触れていて時間停止を受けなかったリアス、〈擬態の聖剣〉を持ったイリナ、〈白龍皇〉であるヴァーリだ。

 

ドォォォォォン!!!!

 

イッセー「!?」

 

帝「今度は何だ!?」

 

外を見ると、オレンジ色の魔方陣から続々と出てくる魔法使いと思わしき人達、そして……

 

千年伯爵「さぁ、我輩のカワイイAKUMAちゃんタチ❤︎もっともーっと撃ちなサイ❤︎」

 

千年伯爵と、卵に顔と銃口を無理矢理くっつけたような生物?ーー対悪性兵器、通称AKUMAが駒王学園に向けて砲撃を放っていた。

 

帝「ヤベェな……ここも何時まで持つかわからねぇぞ……!」

 

しかもAKUMAの数、目視できる限りでは相当数居やがる。

 

ゾクッ!

 

ヤバイ……!何かわからねぇが俺の生物的本能が何かを知らせてくる!それも嫌な感じのが!

 

帝「全員、防御態勢準備!急げ!」

 

ドォォォォォン!!!!

 

AKUMA達の砲撃が会議室の窓を撃ち破り、俺達は紫色の雨に襲われた。だが、生憎俺は神ノ道化を発動さて、マントのような何かで砲撃から身を守った。

 

ミカエル「そんな……!何故AKUMAがここに……!」

 

ミカエルさんが、他の兄様、セラフォルー様、アザゼルのおっちゃんと共に防御結界を張りながら言う。

 

そういえば、黒の教団は一応天界側の団体だったか。まぁ父さんから聞いた限りだとかなり異端とされて黒の教団の関係者は皆腫れもの扱いされているんだとか。

 

千年伯爵「また会えましたネ❤︎エミルくン❤︎」

 

帝「こっちとしては二度と会いたかなかったんだがな。」

 

千年伯爵「あらあら、これは手厳しイ❤︎」

 

帝「俺はあんたが気持ち悪いんだよ!とっととその面、俺の前から消しやがれ!神ノ道化、臨界点突破!」

 

俺はそう叫ぶと、〈終の聖剣 理想郷〉を出す時のように、右手を掴み、剣を鞘から抜くように左手を振り抜いた。そして左手にあるのは、白く巨大な剣。魔だけを浄化する退魔の剣だ。

 

千年伯爵「あなたもその気なラ……レロ!」

 

レロ「はいレロ!」

 

千年伯爵は、かぼちゃが先っぽについた、浮かびながら喋る傘を手に取ると、俺の持つ退魔の剣と対となる黒い巨大な剣を手に取った。

 

千年伯爵「ヌゥゥゥンッ!!」

 

帝「ぅぐっ!?」

 

ガキィィィィィィィィンッッッッ!!!!

 

千年伯爵はいきなり体型に見合わない程のスピードで俺に近づき、黒い剣を振り下ろす!そして俺はそのパワーにビックリした。

 

なんつー馬鹿力だ!?地面がミシミシ鳴ってやがる!?

 

帝「っらぁっ!!!」

 

俺はラタトスク化し、千年伯爵を力任せに遠くに飛ばした。

 

帝「皆、奴の狙いは恐らく俺だ!俺があいつの相手をしてる間に、誰かギャスパーを助けてやってくれ!」

 

俺はそう言い残すと、すぐさま全速力で伯爵に近づいた。

 

伯爵「お話は終わりましたカ?」

 

帝「とっくに済ませたよ。後はテメェを潰すだけだ!」

 

伯爵「……ネア……あなた、本当は起きているのでしょウ?」

 

ネア……誰だ……?俺に宿る14番目のノアとやらと関係でも……?

 

帝「やぁ、伯爵……久しぶり……かな?」

 

!?口が勝手にっ!?しかも全神経の感覚がっ!?

 

伯爵「ネア……。」

 

何故か伯爵は涙をポロポロと零していた。

 

帝「今度こそ……今度こそ……お前を殺して俺が千年伯爵になる……!って言いたいとこだけど、今はパスしといてやるよ。」

 

伯爵「……はイ?」

 

帝「興味が湧いたんだよ、今回の宿主にな。前回、アレン同様イノセンスとまた組まれちまったけど、それ以上に、この宿主の過去に興味があるんだ。」

 

俺の過去?まさか……な……。

 

帝「ま、そういうことだ。んじゃな、伯爵。」

 

漸く、俺の体ーー全神経の感覚が戻ってきた気がする。

 

伯爵「なら、暫くはあなたに会わなくていいですネ❤︎」

 

帝「あ、ちょっ、おい待て!」

 

しかし、俺の叫びも意味がなく、伯爵はどこかに消えてしまった。律儀にしっかりとAKUMAを全部残して。

 

カチンッ

 

ん?今の音……。

 

腰の後ろをよく見ると、ロングソードが鞘にしっかりと収まっていた。

 

帝「意外に早かったな。」

 

そう思い、ロングソードを抜刀した。始めに見た時に思った感想が、綺麗……その一言に尽きた。鉄色のロングソードの刃は、白銀の輝きを宿し、その輝きは、まるですべてを浄化する光のようだった。

 

帝「……んっ?何だこれ?」

 

ロングソードに貼られていた紙を剥がして読んでみた。

 

ラタトスクへ

 

そちらに無事、剣が送られていれば、私の剣をラタトスクは今見ていただろう。その剣の名はリベレーターだ。剣の刀身に、縦に長い窪みがあると思う。それは、お主のソーサラーリングに魔力を込めてはめ込み、スライドさせると、全ての属性が付けられるようにしておいた。お主のアイン・ソフ・アウルと合わせるなり何なり好きにするがよい。もう1つの剣は、残念ながらもう少し時間がかかる。しばし待たれよ。これは私の中でも、最高傑作となり得る物であるからな。それでは、失礼しよう。

 

ネザートレイトより

 

帝「なかなかやってくれんじゃねぇか……。リベレーター……か。……誰だ!」

 

俺はリベレーターを後ろにいる誰かに突き付けた。

 

?「うっへぇ、もぉ〜帝君、少し怖すぎだよー?」

 

帝「リエルか。何故ここにいる。」

 

リエル「何故って言われても気づいてるでしょ〜?」

 

帝「はぁ……あまり当たって欲しくはなかったんだがな。」

 

やっぱりコイツは今回のテロリスト共と共犯、もしくはそのテロリスト共の一員か。

 

リエル「僕以外にも、あと3人いるんだよ。“あのお方の奴隷”がね。」

 

帝「……“ヤツの奴隷”があと3人……ね……。」

 

リエル「ちょっと、いくら何でも“あのお方”をヤツ呼ばわりは止めなよ。じゃないと……殺すよ……?」

 

リエルは俺のうなじにナイフのような物を添え、殺気を込めた声で殺すと言う。

 

帝「やれるものならやって見やがれよっ!」

 

俺はリエルの鳩尾を狙って蹴りを入れたが、腕か何かでガードされた。しかし、勢いは流石に防げなかったのか、少し離れたところまで吹き飛んだ。

 

リエル「やるっていうの?」

 

帝「それ以外にあるか?」

 

俺とリエルは無言で睨み合う。

 

リエル「ほっ!!」

 

帝「はっ!」

 

ガキィィィィィィィィンッ!!

 

先手を打ったのはリエル。俺はリエルのナイフをリベレーターで再び受け止める。

 

クッソ、やはりナイフだからか手数が多い!動きも不規則な所為で軌道が読めない!

 

何とか対処できる限りで受け止めるが、少しずつ、切り傷が増えていく。

 

帝「神滅刃・神威!行くぞ、神ノ道化。」

 

俺は咄嗟に神威を禁手させ、リエルのスピードについて行けるようにした。俺が神ノ道化を展開させたことにリエルは何か勘付いたのか、俺と距離を離した。

 

帝「今度はこっちからだ!」

 

俺はリエルへと駆け出し、リエルもこちらへ駆け出してきた。そして、お互い、殴ろうと思えば殴れる距離まで近づき……

 

帝「はぁっ!」

 

リエル「おいよっと!」

 

互いに通り過ぎ、砲撃準備に入っていたAKUMAの方へと、俺は退魔の剣、リエルは専用?の投げナイフを投げていた。

 

帝「リエル!誠に遺憾だが、今はーー!」

 

リエル「皆まで言わなくてもわかってるよ!あの卵擬き達を倒せば僕達の邪魔もなくなるし、ずっと銃口向けられてたからさっさと壊したかったんだよ!」

 

AKUMAの大群へ突撃し、先ほど投げた退魔の剣を、AKUMAから引き抜き、足場代わりに別のAKUMAの元へジャンプ為に蹴ると、AKUMAは丁度よく爆発した。そして、次のAKUMAも、踏みつけながら切り、踏みつけながら切り、これを何度か繰り返した。

 

帝「よし、これでッ!?」

 

最後のAKUMAを切ろうとしたその時、俺の元へ白い閃光が走ってきた。

 

ヴァーリ「やはり今のを防いだか。」

 

白い閃光の正体は、白き鎧を身に纏ったヴァーリだった。

 

帝「おいおい、ここまで来て反旗を翻す気かよ……!?」

 

しかし、攻撃されてからわかったが、いつの間にか時間が元に戻っている。それもあの魔法使い共も片付いているな。

 

ヴァーリ「いや何、コカビエルの騒動の帰りにスカウトに会ってね。アースガルズの主神クラスと戦ってみないかと。あぁ因みに、俺がスカウトを受けた団体、もといこのテロ集団の名は〈禍の団(カオスブリゲード)〉。トップは無限の龍神、ウロボロスドラゴンのオーフィスだ。」

 

これは厄介だな……。よりにもよって、神もが恐れた世界最強のドラゴンの一角がトップとは……!

 

ヴァーリ「さて、改めて自己紹介といこうか。俺の名はヴァーリ・ルシファー!先代魔王の血族に当たる者だ。」

 

帝「待て、ならば何故お前は神器を、しかも神滅具をやどしている!?」

 

アザゼル「前魔王の孫である父と、人間の母を持つハーフでな。ホントお前は嘘みたいな存在だな。」

 

魔王の孫と人間のハーフ……成る程、それなら確かに合点がいく。

 

ドライグ【相棒、奴は気をつけたほうがいい。】

 

ーーわかっている。なにせ、ヴァーリは恐らく……

 

ドライグ【過去、現在、そして未来永劫において、最強の白龍皇として名を残すだろう。少なくとも、あれ程の奴とは過去に見た覚えはない】

 

ヴァーリ「しかし、皇 一誠。運命とは残酷だな。」

 

一誠「どういうことだ。」

 

お?以外とイッセーが冷静だ。

 

ヴァーリ「俺は魔王の血を引きながら、この身にドラゴンを宿す最強の存在。しかし片やそちらは、つい最近までただの男子高校生だった。これが表す意味がわかるかい?」

 

一誠「天と地の差、月とスッポンって言いたいのか……!」

 

ヴァーリ「そういうことだ。それに、君の過去を少し調べさせてもらったが、幼少期に起きた事件以外は平凡だ。これでは面白味がない。」

 

……胸騒ぎがするな……しかも、普通に感じるような胸騒ぎじゃないぞ……!

 

ヴァーリ「そうだ、こうしよう!君は復讐者となるんだ!

俺が君の家族を殺すのさ……。」

 

一誠「ッ!!??」

 

美優「そ、そん……な……。」

 

予想だにしなかったことを言われ、驚愕の声を上げるイッセー。昔のトラウマを思い出したのか、膝から崩れ落ちる美優。

 

させるかよ……もしやって見やがれ……!

 

一誠「帝……に……い……。」

 

美優「お兄……ちゃ……ん……。」

 

帝「成る程、そんなに死にたいか……。」

 

こいつらに、父さんや母さんに指一本でも触れて見やがれ……!

 

帝「なら、殺してくれと泣き叫ぶまでの痛みを味わってもらうか。まず、爪を一枚一枚剥がさねえとなぁ……?」

 

帝side out

 

一誠side

 

後ろから足音が聞こえる。何かボソボソと喋る声が聞こえる。

 

一誠「帝……に……い……。」

 

あり得ない程の殺気、この前のライザーと会った時のアレとは、比べ物にならない……!!そして、眼……だった。帝兄の眼が、ラタトスク化とは、違う眼になっていた。左眼は紅く、血の色よりも、濃い紅色だった。右眼はチラッとしか見えなかったが、まるでダイヤモンドよりも淡く、ダイヤモンドよりも純粋な透明度の高い水色だった。左眼の瞳孔は黒く、闇に引き摺り込まれそうな、見る者全てに絶望を与えるような深い黒。右眼の瞳孔は、見えなかった。いや、無かった。そして何よりも、帝兄の左側の首が緋色に光っていた。

 

帝「成る程、そうなに死にたいか……。」

 

声も限りなく低く、聞き取ることさえやっとだ。

 

帝「なら、殺してくれと泣き叫ぶまでの痛みを味わってもらうか。まず、爪を一枚一枚剥がさねえとなぁ……?」

 

帝兄がそう言うと、帝兄の姿が“ぶれた”。

 

ヴァーリ「グブァッッ!!」

 

声をした方向を見ると、そこには、緑と黒の剣でヴァーリの鎧を切っていた帝兄が。

 

ドライグ【相棒、あの戦いには気が狂っても入ることはお勧めしない。】

 

ーー何でダメなんだよ。

 

ドライグ【お前の兄は、龍殺しの概念を付与させた武器を創造したのだ!】

 

ーーそれって、アスカロンと同じ感じのやつかよ!?

 

ドライグ【いや、アスカロンには及ばないが、それでも十分に強力なものだったぞ。】

 

ーーじゃあ俺達はただ……

 

ドライグ【傍観することしか出来ない。あの戦いに混ざれば今の相棒の実力ではお前の兄の足手纏いになるのがいいとこだ】

 

それ以上は何も言えなかった。そして、今戦っている帝兄の顔は、負の感情を固めたような顔をしていた。しかも、口の端を歪に歪ませて。その顔に、俺は一種の恐怖を感じた。

 

To be continued.


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