帝side
木下「今日の授業は、先ほど配った紙粘土で好きなものを作ってもらいます。人でも、物でも、何でもいい。ありのままの表現をしてください。そういう英会話もあります。」
そんな英会話ありませんよ!?
さて、雷切の使い心地を確かめてから数日が経った。まぁ実は……雷切、折れました……。一回全力で振ったら刀身が綺麗にスポーンと抜けて近くにあった木にぶっ刺さった。今は何とかして旅の途中で仲良くなった鍛冶屋の人から教わった技術を応用して修理している。因みに今日は授業参観だ。凄く憂鬱です。
ん〜何作ればいい?
木下「キ、キャスタニエ君……それは!?」
帝「………………ん?」
先生に言われて机の上を見てみると……。
何ということでしょう。何も無かった机の上にはオカルト研究部のメンバー全員の像があるではありませんか。
『おお〜!』
俺の作った像は中々の完成度らしく、クラスの人や、保護者の方々からも驚嘆の声が上がった。
木下「特にリアス・グレモリーさんの像は1番完成度が高い!」
帝「いやいや、大体皆の外見で作っただけですしリアスに至っては手が勝手に作ってたわけでして……。」
桐生「へぇ〜。それってつまりさー、手が覚えてるくらいに触りまくってるってわけね。」
帝「おい桐生、そうじゃないとは言えなくもないがそういうことはあまり言わないでくれ。」
松田「帝……。」
帝「どした?松田。」
松田「朱乃さんの像、2万で買ったぁぁぁ!!!」
元浜「ならば俺は白音ちゃんの像を1万で買った!!」
「こんな野獣共には売れないわ!帝君!朱乃お姉様の像5万円!!」
「私は白音ちゃんの像を4万円!!!!」
帝「おいおい、ちょっと皆落ち着け。」
誠「帝!その像全部210万でーー」
帝「あんたは黙っとれぃ!!!!!!」
「帝君!木場きゅんの像2万円で!!」
「リアスお姉様の像8万円だ!!!!お前何時も一緒にいるからこれくらい別にいいだろ!!」
おい、最後のやつ後で屋上こい。お前にはO☆HA☆NA☆SHI☆がある。
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リアス「よくできてるわね。特に私のは。」
リアスが自慢気に言った。
まぁ確かに他の皆の像よりかは上手くできてる自信があるからな。
朱乃「あらあら、今度作ってもらう時には私が目の前にいるほうがよろしいかしら。もちろん、お触りだってありですわよ?」
帝「朱乃さん、作る分にはまだいいですけどお触りはちょっと……。」
目線を逸らして渡り廊下の方を見ると、小走りしている祐斗が見えた。
帝「あ、おーい祐斗!何してんだー?」
祐斗「やぁ帝君。体育館の方で魔女っ子の撮影会をしてるらしいから少し覗いてみようと思ってね。」
帝「体育館で魔女っ子の撮影会?……気になるし行ってみるか。」
-体育館-
一誠「ん?あれは!?」
イッセーが魔女っ子を見ると、驚いた声を上げた。釣られて俺も見ると……。
なっ……あ、あれは……!
帝・一誠「「魔法少女ミルキー・スパイラル オルタナティブ7のコスプレじゃないか!?」」
帝「あ、イッセー覚えてたのか。」
一誠「そりゃ嫌でも覚えるよ。あんなインパクトのあるの見せられたら。」
うん、確かにミルたんのあれはインパクトがあり過ぎた。
リアス「あら、2人共詳しいのね。」
帝「それは……聞かないでくれ……。」
多分今の俺は遠い目になってるだろう。
匙「おらおら!そこのけそこのけ!ここは神聖な学び舎なんだぞ!」
「チッ、生徒会かよ……。」
「折角いいのが取れそうだったのによ……。」
元士郎が現れるや否や、魔女っ子を撮影していた生徒を散らせた。
匙「貴女も貴女です。そんな格好で来られると困ります。来られるならきちんとした正装でお願いします。」
?「え〜、だってこれが私の正装なんだもん。」
匙「ですから……!」
おうおう、元士郎が困ってる困ってる。ここは助け船でも出すか。
帝「相変わらず大変そうだな、元士郎。」
匙「あ、帝!丁度良かった、助けてくれ!」
帝「は?何で俺なんだよ!?」
匙「仕方無いだろ!今頼れる同級生はお前くらいしか居ないんだ!」
帝「だからって俺にそれをなすりつけようとすんな!」
俺と元士郎が口論してると、リアスが口を開いた。
リアス「お久しぶりです。セラフォルー・レヴィアタン様。」
え……?
セラフォルー「やっほーリアスちゃん☆お久しぶりね☆」
どゆこと?
リアス「皆、紹介するわ。この方は現魔王のセラフォルー・レヴィアタン様。出身はシトリーからよ。ほら、エミル、貴方も挨拶なさい。」
いきなり俺に降らないでって!
帝「うぇっ!?え、えっと、兵士の皇 帝です。一応エミル・キャスタニエって名前もあります。一応、今代の赤龍帝とラタトスクやってます。」
セラフォルー「へぇ〜、キミが最近話題のラタトスクちゃんだね。私はセラフォルー・レヴィアタン。レヴィアたんって呼んでね☆」
帝「は、はぁ……。」
ダメだ、この人のテンションについて行けねぇ!
心の中でそう叫んでいると、セラフォルー様が俺を見定めるようにこちらをじっと見ていた。
セラフォルー「よし決めた!リアスちゃん、この子私にちょうだい?気に入っちゃった!」
リアス「なっ!そ、それはダメです!いくらセラフォルー様でもエミルだけは絶対にダメです!」
帝「セラフォルー様。貴女のお眼鏡に叶ったのは大変光栄ですが、こちらとしては我が主、リアス・グレモリーに生涯を掛けて仕えさせて頂くつもりです。申し訳ございませんが、貴女の眷属になるのは……。」
セラフォルー「んー……。仕方ないわね。今日のところは諦めてあげるわ。」
おい待て!?今日のところはってことはまた来んのかよ!?
ガラガラガラッ!
ソーナ「サジ!一体何の騒ぎですか!」
タイミングよく会長さんが入って来た。
セラフォルー「あ!ソーナちゃん見っけ☆」
ソーナ「うっ!?お、お姉様……。」
イッセー「帝兄、どうゆうこと?」
俺に聞くな。俺だって知らない。
帝「リアス、どうなってんだ?セラフォルー様はシトリー出身だからソーナのご親族に当たる人だとは思うんだが。」
リアス「セラフォルー様はソーナの実の姉なのよ。それに私とソーナが幼馴染ということもあって会う機会が多かったの。」
帝「へぇ〜そーなんだー。ってか会長、何やってるんですか?」
会長さんはいつの間にか俺の陰に隠れるように背中に回っていた。
ソーナ「み、帝君!助けて下さい!」
帝「そう言われても……。」
セラフォルー「ソーたん!ここは、お姉様ー!、ソーたーん!って言って抱き合う百合百合な展開があってもいいと思うの!」
ソーナ「…………………………。」
セラフォルー「ソーナちゃん何で授業参観のこと教えてくれなかったのよー!お姉ちゃん悲しくって天界に攻めこもうとしたんだから!」
ソーナ「ご自重下さいお姉様!」
セラフォルー「あ、そうそう、ラタトスクちゃん、ソーたんを助けてくれたお礼として今度ソーたんの小っちゃい時の写真見せてあげるね☆」
あ、会長さんの顔がトマトみたいに赤くなってきた。
ソーナ「…………も、もうお姉様なんか知りません!お姉様のおたんこなす!」
そう言って会長さんは顔を手で覆いながら渡り廊下の方へ走って行った。セラフォルー様も「あっ!ソーたーん!待ってー!」って叫びながら走って行った。
まぁなんというか……嵐のようにきて嵐のように去っていくな……。会長さん……ドンマイ!
心の中で親指を立てて会長さんの健闘を祈った。
サーゼクス「はっはっは。今日もシトリー家は愉快だね。リーアたん。」
リアス「もぅ、お兄様までたんをつけないで下さい!」
美優「今日も平和だね〜お兄ちゃん。」
うーん……ここは便乗してみるか。
帝「うん、今日も平和だな、みゆたん。」
そう言いながら美優の頭を撫でた。
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リアス「…………………………。」
帝「…………………………。」
誠「見ろジオティクス!うちの帝が素晴らしい作品を作っているぞ!」
ジオティクス「なら誠、こっちは料理中のリアスだ!」
もうヤダ……。何この地獄……。
授業参観が終わった後、家の父さんとお父様がばったり遭遇。何やかんやで兄様とグレイフィアさんとお父様が家に来ることになり、授業参観についての話で盛り上がり、現在に至る。
リアス「エミル、私少し休んでくるわ……。」
あ、ずりぃぞ!俺も行く!
帝「待て……俺も行く……。」
上の階に上がり、自分の部屋に入ると、何故かリアスが一緒に入って来て、そのままベッドにうつ伏せになった。
帝「…………………………。」
リアス「…………………………。」
沈黙が凄く辛いんだが……。
リアス「ねぇエミル……。」
帝「何だ?」
リアス「私のこと……本当に好き?」
決まってるだろ、そんなもん。
帝「好き…………ではないな。」
リアス「…………………………そう。」
帝「好き…………じゃなくって、その……何ていうんだろ…………愛してるよ。」
リアス「貴方は何で私のことを好きになってくれたの?」
いつの間にか起き上がっていたリアスは俺に聞いた。
帝「何だろうな……最初は、ただ人気者だなって思ってた。お前の眷属になって、何時しか尊敬に……。憧れに……。そして本当に何時になったかはわからないけれど、それはいつの間にか恋に変わっていた。リアスは何で俺のことを好きになった?」
リアス「私は……最初は興味……だったかしら。少し面白い子がいるなって思った程度。でも、少し触れ合ってその興味が強くなって行って……貴方のことをもっと知ってから、それは恋になったの。」
帝「……そっか。」
リアス「エミル、私……怖いの……。いつか貴方が……どこか遠いところに行ってしまいそうで……。」
帝「何バカなこと言ってんだ。俺はお前のもので、お前は俺のもの……。お前の前から消えないとは断言できない。…………でも、俺はお前の前からは消えたくはない……。」
リアス「でも、貴方が本当に私達のせいで消えてしまったらーー!」
帝「……んっ……。」
リアスが言い終わる前に、その口を口で防いだ。
帝「それ以上は何も言うな。もしお前らを守って死んだとしても、俺にとっちゃ本望だ。それに俺には隠し玉がまだまだあるんだ。そう簡単に死にはしないよ。」
強がりな嘘を吐いた。もう隠し玉なんて数えるほどしかないのに……。でも、リアスには泣いて欲しくない。だから俺は優しくリアスに微笑んだ。それに、いざとなれば覇の力使ってでも、こいつらを守ってみせる。それが、また同じ過ちを繰り返さないように……もう二度と、大切な人たちを死なせないために……!
リアス「ねぇ……さっきの続き……して?」
帝「あぁ、いいぞ。何度だってしてやるよ。」
俺とリアスの唇が近づく。そしてそのまま……
サーゼクス「おやおや、随分と励んでいるようだね。」
リアス「お、お兄様!?」
帝「のわっ!?」
……キスすることは叶わず、兄様の介入で阻まれてしまった。リアスは酷く赤面し、俺は困惑した表情を浮かべた。
サーゼクス「すまないね。少しリアスに大事な話があってきたんだ。」
リアス「大事な話……ですか?」
リアスの顔は急に真面目になった。……まだ少し顔は赤いが。
サーゼクス「ああ。もう1人の僧侶についてだ。」
リアス「あの子に何か問題でも?」
もう1人の僧侶?
サーゼクス「いや違う。ここ最近でのリアスの働きが評価されてね。つい先日、解禁の許可が降りた。明日、その子の元へ行ってあげるといい。」
リアス「了解致しました。」
俺は2人の話についていけず、ただただ混乱するばかりだった。
To be continued