一誠side
俺は部長に家で安静にするように言われたが、今は近くの公園のベンチに座っている。帝兄も俺を看病するという建前上で学校を休んでいる。正直に言うと、帝兄は朝から俺を気遣ってくれたが、ありがた迷惑だった。公園にいても何もないので、立ち上がろうとしたとき、もう会えないと思っていた少女が、俺に声をかけてきた。
一誠side out
帝side
帝「うん、それじゃありがと。」
プツッ
俺はある人に電話をかけていた。ある目的のために。
ここは街はずれの廃教会。俺が堕天使の活動拠点と睨んでいる場所、いや、確信している場所だ。あの後、イッセーから色々と話を聞いて、あのシスターが堕天使側についていたことが判明した。神器の気配がしたが、どんな神器かわからずじまいだったが、多分堕天使は彼女の神器を何らかの方法で取り出し、自らの力にするつもりだろうから、個人としては、出来るだけ早く防ぎ、あわよくばグレモリー眷属の仲間になって欲しいと考えている。さて、誰に説明してるのか自分でもわからないが、さっさと特攻決め込んでしまおう。
ドンッ!
俺が扉を蹴飛ばすと、拠点の中には神父やら堕天使やらがいた。
「な、何事だ!?」「貴様、ここが何処かわかっているのか!」
あー五月蝿い五月蝿い。さっさと終わらせよう。
帝「テメェらに名乗る名なんてねえよ。とっとと失せろ。アイン・ソフ・アウル!」
俺が逆手に持ったロングソードからは、禍々しいオーラが宿っていた。俺がそれを振り抜くと、次の瞬間・・・
帝side out
アーシアside
私は今日、もう会えないと思っていたイッセーさんと出会いました。イッセーさんに私の過去を打ち明けると、イッセーさんは私の事を親身になって慰めて頂けました。それだけではなく、私をハンバーガーショップに連れていってくれたり、ゲームセンターに連れていって頂いたりもしました。あぁ・・・なんとお優しい方なんでしょう。しかし会えるのも今日で最後かもしれません。私は神器を今日抜かれてしまうのですから。イッセーさん、最後に楽しい時間をありがとうございます・・・
アーシアside out
一誠side
俺は今、堕天使と対面している。くそっこんなとき、帝兄ならどうするんだ・・・
レイナーレ「私は至高の堕天使レイナーレ。そこの下級悪魔、その子を渡しなさい。」
こいつが帝兄が言っていた堕天使か。
一誠「ア、アーシアをどうするつもりだ!」
レイナーレ「下級悪魔の分際で私に口を聞くなんて・・・まぁいいわ。今日の私は機嫌がいいから、特別に教えてあげる。その子から神器をとって私の力にするのよ。」
ッ!こいつ、悪びれもなくそんなこと言いやがって!俺は帝兄から聞いたことがある。神器と魂は繋がっていて、神器を抜かれてしまえば、自分の魂も同時に抜けると。
レイナーレ「そういえば貴方、何処かで見たことがあると思ったら私たちのブラックリストに載ってた子じゃない。ちょうどいいわ。貴方もついでに殺してあげる。」
レイナーレが光の槍を出した。刹那、光の槍を投げてきた。
シュンッ
グザァァッ
一誠「うぐっ!グァァァァァァア!!!!」
痛い・・・体の中が焼けるように痛い・・・アーシア、ごめん・・・今度も俺は君を守れそうにないや・・・
アーシア「大丈夫ですか?イッセーさん。」
シュウゥゥゥ
アーシアが<聖母の微笑み(トワイライトヒーリング)>を発動させ、俺の体を癒してくれていた。一瞬のことでわからなかったが、フリードに撃ち抜かれた場所に槍が刺さったようだ。
レイナーレ「アーシア、貴女はなぜそんな下級悪魔に味方するのかしら?」
アーシア「レイナーレ様おやめください!イッセーさんは悪魔でも、優しい人です!どうかイッセーさんをお見逃しください!」
アーシアは悲痛な声で俺を庇ってくれている。・・・情けねぇ・・・
レイナーレ「ならアーシア、そこの下級悪魔を助けたいなら私の元に来なさい。」
ダメだ、そんなことしたら・・・!
一誠「ダ、ダメだ・・・アーシア・・・」.
アーシア「イッセーさん、今日はありがとうございました。さようなら。」
レイナーレ「そう、いい子ね、アーシア。約束通りそこの下級悪魔は見逃してあげる。」
レイナーレがアーシアを翼で包んだ瞬間、紫色の光が辺りを照らし、光が止むと、そこにアーシアとレイナーレはいなかった。
一誠「クッソッ!アーシアッ!アーシアァァァァァ!!!!」
一誠side out
帝side
あっ、やっと来たな。もう少しで神父でどれだけ細切れにできるか世界記録に挑戦するところだった・・・
ガチャッ
?「なっ!こ、これはどういうことよ!」
予想通りのリアクションありがとうございまーす。
帝「おかえり、”天野 夕麻ちゃん”、いや、レイナーレ。」
俺はそう言うと、神父たちの亡骸の山から腰を上げた。
レイナーレ「な、何故あんたがここにいるのよ!」
帝「んなこたぁどうだっていい。それよりもちょっとした交渉をしないか?」
レイナーレ「・・・何よ・・・」
俺は足元に転がってる堕天使を指差すとレイナーレは大層驚いた顔をした。
レイナーレ「カラワーナ!ミッテルト!ドーナシーク!」
カラワーナ・ドーナシーク「「も、申し訳・・・ございま・・・せん・・・レイナーレ・・・様・・・」
ミッテルト「ウ、ウチらが・・・こんな・・・下級悪魔・・・ごときに・・・」
帝「その下級悪魔ごときにやられたお前らはゴミ虫以下だな。んでその交渉内容が、このゴミ虫3匹を解放する代わりに、そこの嬢ちゃんをこっちによこせってこと。」
まぁ交渉内容としては妥当な線だとは思うが・・・
レイナーレ「ふ、ふざけるんじゃないわよ!大体、下級悪魔ごときが調子に乗るんじゃないわよ!」
レイナーレはそう言うと、俺に飛びかかってきた。
帝「交渉決裂・・・か。」
俺はそう呟くと、レイナーレの光の槍を躱し、頭を掴んで床に叩きつけた。
レイナーレ「うぐっ・・・あ・・・」
レイナーレは何かを呻くが、おれには関係ない。さらに俺はレイナーレの背中に回り込み、背中を足で押さえつけて、腕、足の順に骨を脱臼させた。
レイナーレ「ぐぎゃっ・・・あぁ・・・アァァァァァァァァ!!!!」
さて、用事は済んだし、さっさとあの人んとこ送るか。
レイナーレ「な・・・なにを・・・する・・・気・・・」
帝「これからお前らには堕天使総督であるアザゼル殿の所に送る。そこで悔い改めることだな。」
レイナーレ「う、嘘・・・よ・・・あんたみたいな・・・下級悪魔が・・・アザゼル様と・・・知り合い・・・なんて・・・」
帝「ま、とりあえずバイバーイ。」
そして俺は魔方陣を展開し、アザゼルのおっちゃんのもとにゴミ虫4匹を送った。
アーシア「あ、あの・・・」
あ、いっけねぇ、忘れてた。
帝「さ、アーシアちゃん、だっけ?大丈夫?」
アーシア「は、はい。あの、貴方は・・・」
帝「あぁ、俺は皇 帝、もといエミル・キャスタニエ。君の身近な人で言うと皇 一誠の兄だ。」
アーシア「そうなんですか。」
帝「さ、手を出して。今から君を保護してくれそうな人の元へ行くから。」
アーシア「あの・・・そこではイッセーさんに会えますか?」
んん?この子もしかしてイッセーが好きなのか?クァァ!イッセー、兄ちゃんは嬉しいぞ!性欲だけが取り柄のお前を好いてくれる子がいるなんて!
帝「ああ、いるよ。きっと会えるさ。さぁ、早く。」
アーシア「ッッッ!はい!」
うぉ!笑顔が眩しいっ!
俺はアーシアの手をとって、魔方陣を展開させた。そして俺たちを紅い光が包み、光が止むと、俺たちは廃教会から姿を消した。
To be continued