絶対的な力を持つ問題児が異世界から来るそうですよ   作:銀時

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初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします


新たなる異世界、4人の問題児

とある晴れた河川敷

そよ風にあたりコーヒーを片手に読書している黒鉄悠麻はふっとつぶやいた

「今日は久々に良い日差しだ,日向ぼっこなんていつぶりだ?最近色んなことありすぎてこう言うひと時さえ忘れてたわ」

黒のTシャツに白いズボン季節関係なくいつも身につけている白銀のマフラー、赤い髪に黄色の目、彼こそ最強にして無敵な少年

「しかしながらこう何にもないと暇だな,この暇をどうすれば良いのか?」

悠麻は静かな河川敷で1人つぶやいた。しかし、彼の頭上からひらひらと一通の手紙が落ちてきた

「ん?手紙かぁ?随分古臭い感じだな?しかも俺宛だし,まぁどうでもいいかぁ,折角だぁ読んでみますか」

手紙を怪しまずサクサク手紙を読む悠麻

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの

“箱庭”に来られし』

「ふぅーん、箱庭ねぇ〜折角だぁ行ってみてぇが生憎オレは、家族を友人を捨てるのは無理だからな,彼奴ら何かとうるさいからな、まぁどうでもいいかぁ,帰りにコンビニでも寄っ……」

悠麻が手紙を読み終えコンビニに向かうや否いきなり視界が消え急転落下、上空4000m程の位置で投げ出されたのだ

「こりゃ随分手荒なご招待だな,しかも俺以外に3人もいるな」

悠麻は今起きてる現象を分析してスカイダイビングをしている普通は上空4000mから投げ出されたらパニックになるが彼は焦らずゆっくりと落下中

「チッ仕方ねー濡れるのはごめんだ。」

彼は風のベクトルを操り背中に風の翼を作りゆっくりと地面に着地した。その直後に3つの水柱が起きた

「信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に空に放り出すなんて」

「右に同じだくそったれ。場合によっちゃゲームオーバーだぜこれ。石の中に呼び出された方がまだマシだ。つかお前飛べんなら親切に手を差し伸べても良かったんじゃねぇか?」

「気づいたらテメェらが落ちていったんだよ。濡れただけだろ、死なないだけでもありがてぇと思えっての」

2人の男女は悠麻の言葉を聞き,フン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る

「此処……どこだろう?」

もう1人の少女が服を絞りながらつぶやいた。隣には三毛猫が全身を震わして水を弾く

「さあな。さっき世界の果てっぽいのが見えたし,何処ぞの大亀の背中じゃね?」

適当に服を絞り終えた金髪の少年が髪の毛を掻き上げ

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。お前らにもあの変な手紙が?」

「そうだけどまず“お前”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後気をつけて。それで、そこの猫を抱えている貴女は」

「……春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。で野蛮で凶暴そうな貴方は?」

「高圧的な自己紹介ありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義者と三拍子揃ったダメ人間なので、用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

「最後に1人濡れずにいる貴方は?」

「黒鉄悠麻だ。よろしく」

「そう。よろしく悠麻君」

心からケラケラ笑う逆廻十六夜

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥

我関せず無関心を装う春日部耀

怠そうに突っ立てる黒鉄悠麻

そんな彼らを物陰から見ている

(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですね……)

物陰から見ている何かは陰鬱そうに重くため息を吐くのだった

「で、呼び出されたのはいいけどなんで誰もいねえんだよ?」

「そうね。なんの説明ないままでは動きようがないもの」

「……。この状況で落ち着いているのもどうかと思うけど」

「……」

三人が話す中,悠麻は黙ったままだった。そしてある方向歩いて行った。

「どこ行くの?」

「その茂みの中にこの世界について知ってそうな奴を見つけた。こいつに聞きヤァ少なからずわかるだろ」

そういった直後。物陰からドキッと聞こえた

(ば、ばれてるのですか?しかもよりによって一番怖そうな人に……トホホ)

「一番怖そうな奴で悪かったな。さっさと出て洗いざらい説明しろ」

「⁉︎」

驚いて思わず立ち上がった人物を悠麻は睨む。その光景を十六夜達も見ていた。

「おい、気づいたか?」

「悔しいけど、気づかなかったわ。」

「私も気付かなかった。」

三人の反応を気にせず悠麻は新たに出てきた人物を見る

「い,いったい何時から気づいてたんですか?気配とか消していたはずですが……」

「んな事今はどうでもいい、此処が何処だが彼奴らにも説明しろ」

「……わかりました」

うさ耳を生やした少女,黒ウサギは悠麻たちに説明した

箱庭の事,コミュニティの事,ギフトゲームの事。この世界の法則をある程度知った4人は黒ウサギにある場所に案内された

「ジン坊っちゃ〜ん‼︎新しい方を連れてきましたよ〜‼︎」

黒ウサギは4人を連れてペリベット通りの噴水広場にいるジンという少年に会おうとしていた。そう4人を紹介する為に

なのだが……

「おかえり黒ウサギ,そちらの三人が?」

「はいな、こちらの4人の方が……」

その時黒ウサギは初めて知った

「……ってあれ?もう1人いませんでしたっけ?赤髪にマフラーした殿方が」

「悠麻ならいつの間にか消えてたよ」

「えっ⁇」

「誰1人気づかなかったわ。」

「只者じゃないな、彼奴」

「感心してどうするんですか‼︎あぁもう。ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてよろしいですか?」

「わかった。黒ウサギはどうする?」

「黒ウサギは、もう1人の殿方を捕まえに参ります。一刻程で戻ります

ので皆さんは箱庭ライフをご堪能くださいませ」

黒い髪を淡い紅色に染め、4人からあっという間に消えた

悠麻を探し初めて半刻

森林の中を探している黒ウサギは、一向に悠麻を見つける事は出来なかった

(まずい、非常にまずいのです。この辺り一帯は、特定の神仏がゲームのテリトリーにしているはずですもし彼らの口車に乗せられて、ゲームに参加していたら……)

徐々に焦り始める黒ウサギ。その時だった。黒ウサギの耳にとてつもなく大きな音が聞こえてきた。

水しぶきの音と何かの爆発音が

「ま,まさか⁉︎」

音がした方に急ぐ黒ウサギ。

辿り着いた時、黒ウサギは思わず立ち尽くした。

彼女が見たものは、青白い雷を体に走らせ、両腕をズボンのポケットに入れて無傷で立っている黒鉄悠麻の姿を

彼の前には所々焦げている水神が気絶していた。

ありえない。デタラメにも程がある。それ程の事が黒ウサギの目の前で起きている。

(人間が、神格を倒している⁉︎それも無傷で今も平然と立っている⁉︎」

黒鉄悠麻

彼は自分が思っている以上にすごい人間なのかもしえない。

黒ウサギは、驚きと同時に嬉しくもあった。

彼なら、自分達を救ってくれるかもしれないと思ったからだ

「ゆ、悠麻さん……」

「アァ?確か黒ウサギだっけ。何か様か?」

「何か様かはありませんよ‼︎どうして急に姿を消すのですか⁉︎」

「どうしようが俺の勝手だろうが。俺なりに此処から出る方法を探したが広すぎる。案内の1人は必要だなこりゃ」

「では、黒ウサギが案内します。箱庭はこちらです」

「お前何か様か勘違いしてねぇか?俺が出たいのは森じゃね、箱庭から出たいんだよ」

「えっ⁇」

黒ウサギは思わず口に出てしまった

「なっ何を⁇」

「だからよぅ、俺はさっさと元の世界に帰りテェんだよ。あっちには俺の帰りを待ってる奴がいるからな。お前が何か知ってんならさっさと教えろ。」

「それはダメです‼︎」

「ハァ⁇ふざけてんてのか?テメェ⁇一方的に連れてこられたこっちの身にもなれよ」

「話を、話を聞いてください‼︎」

「話だと?俺を連れてきた理由もしゃべるよなぁ」

「……はい」

「そうかい、そりゃ結構……だがその前に、先ずは雑魚をどうにかしねぇとな」

悠麻はそのまま湖の方に向きを変えると

え?っと黒ウサギは硬直した。身の丈30尺はある巨軀の大蛇が鎌首を起こし

『まだ……まだ試練は終わってないぞ、小僧ォ‼︎」

「おいおい、テメェから噛みついてきて、剰え俺に傷1つつけねぇで気絶したテメェが今更、神様気取りですか?」

『貴様……付け上がるな人間!我がこの程度の事で倒れるか‼︎」

蛇神の甲高い咆哮が響き、牙と瞳を光らせる。巻き上がる風が水柱を上げて立ち昇る

「悠麻さん、下がって‼︎」

黒ウサギは庇おうとするが、悠麻はそれを拒む

「いらねぇよ黒ウサギ、むしろ下がんのはテメェだ。俺があんな三下に遅れはとらねぇよ。」

殺気の籠った声音に蛇神は息を荒くして応える

『心意気は買ってやる。それに免じこの一撃を凌げば貴様の勝利を認めてやる。だが、それは貴様の最期だ!』

蛇神の雄叫びに応えて嵐の様に川の水が巻き上がる。竜巻の様に渦を巻いた水柱は蛇神の丈よりも遥かに高く舞い上がり、何トンもの水を吸い上げる。

竜巻く水柱は計3本。それぞれが生き物の様に唸り、蛇の様に襲いかかる。

「ハァ、哀れだなお前。本気で言ってんなら抱きしめたくなる位哀れだわ」

「ゆ、悠麻さん⁇」

「テメェ、まさかこんな程度のもんで俺がテメェに負けるなんて、そんな哀れで虚しい幻想抱いてる訳じゃねぇだろうがよ。アァ‼︎」

悠麻が一歩足を踏むと悠麻の一帯の地面は亀裂が走り、3本あった内2つの水柱は跡形もなく消えた

「嘘⁉︎」

『馬鹿な⁉︎』

驚愕する2つの声。それはもはや人智を遥かに超越した力だ。

蛇神は全霊の一撃を弾かれ放心するが、悠麻はそれを見逃さなかった

「ギィヒャハッハッハッ‼︎」

甲高い声で笑い、一瞬で蛇神の近くに行く悠麻

背中に黒い風の翼を生やしながら

『なっ⁉︎』

「ギィヒャハッハッハッ‼︎」

悠麻の拳は蛇神の近くにある水柱をあっけなく破壊した。

「悪りぃが、こっから先は一方通行だ!大人しく尻尾巻き繋いで無様に元のいる居場所へ引き返ぇしやがれ‼︎」

更なる一撃が蛇神の顔面を打ち、その巨体は宙を舞い、口から血を出しながら蛇神は川に落下した。

「まぁ、三下には、中々の方じゃねぇか?」

冗談なのか、本気なのか、悠麻の声は黒ウサギには届かない。彼女の頭の中はパニックでそれどころではないからだ。

(悠麻さんのお力は一体何なんですか?ですがやはり、悠麻さんなら私たちを……)

黒ウサギは内心の興奮を抑えきれず、鼓動が速くなるのを感じ取っていた

「おい黒ウサギ、邪魔はなくなった。さっさと教えろ。俺を連れてきた理由をな」

「……っは!わ、わかりました。全てを話します」

悠麻はそのまま木に寄りかかった

黒ウサギは緊張気味に自分達の置かれている状況を話した

「……」

「要するにだ、お前らのコミュニティとやらは、魔王に破滅されたってことか?」

「その通りでございます。現在は名も旗印もなく中核をなす仲間たち

も1人も残っておりません。今はゲームに参加出来るギフトを持つものは122人中ジン坊ちゃんと黒ウサギだけです。後は、十歳以下の子供達ばかりなのですよ」

「だからコミュニティの名と旗印を取り戻す為に俺や十六夜達を呼んだってわけかぁ?」

「はい。だから悠麻さんの様な強力なギフトを持つプレイヤーが必要なのです!どうか、その強力な力を、我々のコミュニティ貸していただけないでしょうが⁉︎」

「興味ねぇ」

「……は?」

黒ウサギが戸惑う中悠麻は何処かに行こうと歩き出した

「待ってください。悠麻さん‼︎」

思わず、叫んで悠麻の肩を掴む

しかし、思ったよりもその力が強すぎた為か、悠麻をそのまま押し倒してしまった。その勢いで黒ウサギが覆いかぶさる形になった。

お互い胸がくっ付く中、悠麻は黒ウサギを睨み

「いきなり名にしやがんだ!テメェ‼︎」

「すすすスミマセンスミマセン!今すぐどき……いや、もうこの際どきません!悠麻さんが首を縦にふるまでは!」

「寝言抜かしてんじゃねぇぞ。さっさとどかねぇと……」

悠麻は口を閉じてしまった

自分の頬に何か冷たいものが落ちたからだ

黒ウサギの涙だった

「お願い、します。私、達には、もう道が、ないんです。悠麻さんが、いないと、もう道は、作れません」

「……」

「なんでも、なんでも言うことを聞きます。だから、どうか、どうか」

「ハァ〜、とりあえず離れろ」

「え?」

「この状況どう見てもおかしいだろうがよ。誤解されるぞ」

「し、失礼しました!」

黒ウサギは顔を赤くしながらも、悠麻から離れ立ち上がる

悠麻も立ち上がる

「お前の気持ちはわかった。お前がコミュニティを救いてぇ気持ちが痛い程なぁ」

「そ、それでは⁉︎」

「だが、それとこれとは俺は関係ねぇ話だろ。別に俺がやる必要もねぇだろ」

「そ、そんな……」

「そこでだ、俺の欲しいもんくれたら、お前らのコミュニティに入ってやるよ」

「欲しいものとは⁇」

黒ウサギはゴクリと息を飲んだ

「個室の寝床の確保と本だ。それでよい」

「それだけでよいのですか?」

「あぁ。準備できんのか?」

「もちろんですとも‼︎」

「なら話は終わりだ、さっさとお前らのコミュニティに案内しろ」

「ありがとう、ございます」

満面の笑みで黒ウサギは感謝の言葉を言う

「にしても忙しい奴だなお前。焦ったり、泣いたり笑ったり」

「悠麻さんのせいですよ‼︎///」

「はいはいそうかい。さっさと行くぞ」

「ちょっと待ってください」

「あぁ⁇」

黒ウサギは未だ気絶している蛇神に近づいた

「何してんだ?」

「悠麻さんがギフトゲームに勝ったお陰で勝者としてギフトを貰えるのです!ほら‼︎」

そう言い黒ウサギは何やら苗の様なものを握っていた

「これがあればもう水に困りません。皆大助かりです。」

「ふーん」

心底どうでもよさそうに返す悠麻

ぴょんぴょん跳ねながら黒ウサギは戻ってきた

もう先程までのやり取りを忘れてしまっているかのように喜んでいた

「(そういや、なぜかこの世界、あそことは全く違う世界だが、ホワイトセルを感じる。まぁ俺にとっちゃあれが出来るから都合いいんだがよ)」

「悠麻さん⁇」

「いや、なんでもねぇ。それから、なんでも言うこと聞くなんて軽々しく口にすんなよ。俺みたいな奴には特にな」

「え?」

「お前が望むんなら構わねぇがそうじゃねぇなら気をつけろよ。お前

コミュニティでは重要な役割なんだろ?」

悠麻は黒ウサギを目を見る

「そんな格好してんなら尚更だ。自分の身は自分で守れよ」

「この格好はある理由がありましてね///」

「んなことはどうでもいいから、さっさとコミュニティに案内しろ」

こうして悠麻も黒ウサギのコミュニティに入った

それだけで黒ウサギは満足そうだった

「(悠麻さん、見た目によらず優しそうです)」

日が暮れた頃の噴水広場

黒ウサギが悠麻を連れて帰ってきてジンたちと合流した

だが、また新たなる問題が

「な、なんであの短時間に“フォレス・ガロ”のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか⁉︎しかもゲームの日取りは明日⁉︎それも敵のテリトリー内で戦うなんて⁉︎準備している時間もお金もありません!一体どういうつもりのことですか⁉︎」

「「腹が立ったから後先考えずに喧嘩を売った。反省はしていない」」

「俺がトイレから戻ってきたらこの有様だ」

「黙らっしゃい‼︎」

十六夜の言い分も聞かずはっきり言う黒ウサギ

相当激怒しているのだ

そこに悠麻が口を挟む

「そのゲームはあいつらが売った喧嘩だ。あいつらでなんとかかたずけんだろ」

「当然よ」

「うん」

「……はい」

「だそうだ。お前もちったぁ落ち着け。あいつらにも何かしらの力があんだろ」

「……そうですね。あれ⁇その言い方だと悠麻さんは参加しないように聞こえるんですが……?」

「当たり前だろ。雑魚に興味ねぇ。んなもん、あいつらだけでやらせりゃいいだろ」

「それで本当によろしいのでしょうか?」

黒ウサギは疑問を持ちつつ、悠麻達を案内した

ジンは先にコミュニティに帰り、悠麻達はサウザンドアイズに向かっていく

サウザンドアイズは箱庭の中でもかなり大きなコミュニティだ

そして商業もしている

目的の場所に着き、店の中に入ろうとすると店内から爆走した真っ白な髪

の少女に黒ウサギが抱きつかれたまま転倒した

「久しぶりだな黒ウサギィィィィィ」

「白夜叉様⁉︎どうして貴女がこんな下層に⁇」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっているだろうに‼︎やっぱり黒ウサギは触り心地が違うの!ほれ、ここがいいか?ここがいいか?」

黒ウサギの胸に頭を擦り付ける白夜叉

その顔は何故か幸せそうだった

「ちょっ、白夜叉様⁉︎」

「ほれほれ、ん?」

白夜叉は眉毛をピクッと動かす

顔の動きも止まる

「微かに別の匂いが残っておる。果たしてこれは何なのやら」

「白夜叉様⁇」

「黒ウサギの胸だけではない。この近くに……んん⁉︎」

「あぁ⁇何こっち見てんだよ?」

白夜叉は悠麻に近づきクンクンと匂いを嗅ぎ始める。

「おんし、黒ウサギの胸にあった匂いと同じ匂いがするぞ」

「あぁ?何言ってんだテメェ⁇」

「誤魔化すなぁ!何をした!私の黒ウサギに何をしでかした‼︎」

「ハァ⁇」

勝手に盛り上がっている白夜叉を前に、悠麻は面倒くさそうな表情になる

そこに黒ウサギが割って入る

「白夜叉様!恐らく黒ウサギが悠麻さんを倒してしまって、その上に覆いかぶさったために匂いがついてしまったと思います。だから悠麻さんは何もしていないのです!」

「倒して、覆いかぶさった……だと⁉︎」

「あっ、しまった」

汗をダラダラとかき始める黒ウサギ

もちろん三人の問題児達も黙っていない

「黒ウサギ、私たちがいない間にそんなことを」

「びっくりだね。これからの付き合いを考えないと」

「お二人共、誤解です!やましいことは何もないのですよ‼︎」

必死になって誤解をとく黒ウサギ

その横で、十六夜が悠麻を肘で突いていた

「なんだよ。1人でおいしい思いしてんじゃねぇよ」

「さっきから訳わかんねぇことを言いやがって。下らねぇことしてねぇでさっさと用事済ませんぞ」

「おんし、黒ウサギを泣かしたら容赦せんぞ」

「白夜叉様⁉︎何を言ってるのでございますか⁉︎」

一行の騒動は収まり、本来の目的を思い出す

白夜叉の部屋に案内され、適当に座る一行

先ず、自己紹介から始まった

白夜叉はサウザンドアイズの幹部の一人であり、箱庭の東側では階層支配者(フロアマスター)でもある実力者

それから箱庭の外門の説明もしてくれた

「とまぁ先程は少々取り乱してしまったがおんしらの力になりことは間違いないぞ。して……ずっと気になっていたが黒ウサギが持っておるのは水樹の苗か?その持ち主も強力だったはずだが、誰がどのようなゲームに勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

「いえいえ、これは悠麻さんがここに来る前に……蛇神様を倒しておりましたが、詳しいことは……」

黒ウサギが悠麻の方を向く

他の四人も興味ありげに見ていた

「……」

悠麻は目を瞑っていた

「おい、聞いているのか?」

「……」

「悠麻⁇」

「……」グーグー

「寝てる……ですって⁉︎」

すると黒ウサギが瞬時に行動出た

どこから出したのか手にハリセンを持ち悠麻にめいっぱい叩いた

……はずだが、ハリセンは悠麻の頭に触れた瞬間紙吹雪と化した

「んあぁ⁇人が寝てる時に何すんだよ。」

「何で寝てるのでございますか⁉︎今までの話聞いておりましたか⁉︎」

「興味ねぇ話聞いてりゃ眠くなんだろ。名前は聞いたが、後は興味ねぇ」

「この問題児様は〜‼︎後でたっぷりお説教なのです」

「夫婦コントはその辺でやめろ。それよりも水樹だ」

「あっ、そうですそうです。悠麻さんあの蛇神様を倒した経緯を詳しく教えて欲しいのですが⁇」

「お前は見たじゃねぇかよ。俺があの神様気取りの三下蛇ヤローぶっ飛ばしたの」

「いえ、確かに見ましたが、ちゃんと説明してくれないと黒ウサギはなんとも……」

「チッ、面倒くせぇなぁ。俺よりも目の前にいる奴気にしろよ。一応最強の階層支配者なんだから俺よりおもしれーもん観れるだろう」

「そうね。つまり、貴女のゲームにクリア出来れば私たちは東側最強になれるかしら?」

「無論、そうなるの」

「そりゃ景気の良い話だ。探す手間が省けた」

どうやら十六夜達は戦う気満々らしい

白夜叉も気づいたようだ

「抜け目のない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームを挑むとは」

「ちょっちょっ、御三方⁉︎」

よいよ黒ウサギ。私も遊び相手に飢えておるからの」

「ノリがよいわね。そういうの好きよ」

「ふふ、そうか。……だがゲームの前に1つ確認したい」

それから一呼吸おいて白夜叉は告げる

「おんしらが挑むのは試練への挑戦か?もしくは対等な決闘か?」

一瞬の出来事だった

悠麻達は室内ではなく、白い雪原と凍る湖畔に投げ出された

十六夜達は堪らず息を呑む

白夜叉は彼らを見てもう一度問いかける

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”ーー太陽と白夜の精霊・白夜叉。おんしらが望むのは挑戦か?もしくは決闘か?」

十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じながら、白夜叉を睨んで笑う

「水平に廻る太陽と……そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

「いかにも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の1つだ」

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤……⁉︎」

「如何にも。して、おんしらの返答は?挑戦であるならば、手慰み程度に遊んでやる。だがしかし決闘を望むなら話は別に。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」

「「「…………っ」」」

飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った

しばしの静寂の後ーー諦めたように十六夜が、ゆっくりと拳手し

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるというかの?」

「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。あんたには資格がある。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

「そうか、して、他の童達も同じか?」

「……ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

「…………」

悠麻は黙ったまま白夜叉の問いに答えない

「ん?おんしはどうするんじゃ」

「決まってんだろ。決闘だ、決闘」

「「「「⁉︎」」」」

「決闘……でよいんじゃない」

「あぁ」

「本気ですか⁉︎」

「当然だ、ここまでのもん見たからな、俺の力が魔王に通じるが良い腕試しになるからな」

「なるほど、わかった良いだろう……ふむ。では先に試練を済ませるとしようかの」

それから試練が始まった

グリフォンの背中に乗り湖畔を一周するというもの

耀が挑戦し、振り落されそうになるも、なんとかクリアできた

「して、次はおんしの番じゃの」

そう言って悠麻に『ギアスロール』を渡す

『ギフトネーム 炎竜王VS白夜叉』

プレイヤー一覧 黒鉄悠麻

クリア条件 相手を戦闘不能にする

クリア方法 先に相手を戦闘不能にする

敗北条件 戦闘不能になる

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します

『サウザンドアイズ』印』

「し、白夜叉様⁉︎いくらなんでもこれは無謀すぎます‼︎」

黒ウサギが白夜叉に抗議を入れる

悠麻は気にすることなくじっとギアスロールを眺めていた

「(炎竜王ねぇ、てっきり火竜かと思ったかが、まあいっか)」

ギアスロールを眺めていると十六夜達が声を掛けてきた

「おい、悠麻」

「あぁ⁇」

「お前、勝てんのか?」

「誰にものを言ってる、良く見てろよ」

「期待してるわ。悠麻君」

「頑張って」

悠麻の返答を聞いた十六夜達は

「だそうだ。黒ウサギ、良いじゃねかこれで悠麻の実力が分かる」

と言った、黒ウサギはしぶしぶ抗議をやめた

「ほんじゃ、始めようぜ。白夜叉」

「うむ、かかって来るが良い」

そして、悠麻と白夜叉の戦いが始まった

悠麻の左腕から青黒いオーラを纏い左半身は青黒くなり冷気の様なものをだし

右腕には紅い竜の型がでできて炎が右半身を覆う様に燃えている

「行くぜっ」

炎を纏った拳は白夜叉に当たりあり得ない音を立てながら白夜叉は地面に削りながら飛んでいった

「なんじゃあのデタラメな力は、だがしかし舐めるな」

白夜叉も負けずと掌サイズの太陽を悠麻に放つ

だが悠麻は今度は左腕を裏拳の様に太陽を打つ。そして太陽は一瞬にして凍った

「んな⁉︎ギフトを凍らした⁉︎」

白夜叉は自身のギフトが簡単に凍ったことに放心していた

一瞬の隙を見逃すことなく悠麻は白夜叉に近づいた

ドゴッっと白夜叉の体に悠麻の拳は直撃した

「がはっ」

あまりの衝撃に血を吐く白夜叉

拳の炎は止まることなく、ゲーム盤を破壊するかのように地面は抉られ

ブースターのように炎の威力は増していき

「オラァァァァァァァ‼︎」

全力で拳を振るった

「グワァァァァ⁉︎」

星を砕く程の力がある悠麻の拳に耐え切れず白夜叉を地面を転がり所々服は焼かれて傷も目立つ

「くっ、まさか私がここまで押されるのは久方ぶりだわ。あやつは本当に人間か?」

「戦いに考え事かぁ?随分余裕だな、最強のフロアマスターさんよぉ」

「舐めるなっ‼︎」

白夜叉は全てを飲み込む程の大きさの太陽をだし悠麻目掛けて放つ

「氷悪・零の太刀‼︎」

左テから氷の刀を作り白夜叉の太陽を2つに切り、切られた太陽は氷の柱となった

「オラオラオラ‼︎」

あまりのことに動けない白夜叉に悠麻は連続で拳で殴り続けた。

その戦いはまさに一方通行の如く悠麻の優勢していた

そんな戦いを見た黒ウサギ達はみんな固まっていた

「ヤハハハ‼︎マジかよあいつどんだけ強ぇんだよ!」

「まさか悠麻君がここまでの実力があったなんて」

「悠麻、凄い」

問題児三人は、悠麻の実力に圧倒されていた

白夜叉と悠麻の戦いも終わりを迎えようとしていた

「驚いたわ、まさか私との戦いで傷1つないとは、おんしのそのギフトは何だ?」

白夜叉が気になる、左腕から左半身にある模様に冷気

右腕から見える竜の型

「イグニールからもらった力に悪魔を倒す氷だ」

「⁉︎」

「右腕のはイグニールが俺の為に残してくれた力だ。左腕は悪魔や魔王さえ凍らし倒す滅悪の力だ」

「イグニール?滅悪じゃと⁇」

「あぁ、炎竜王イグニール、俺の育ての親にして炎竜の王だ。この右腕の力はイグニールの執念でもあるんだよ!滅悪は悪魔を滅ぼす力だ!」

「(こやつ、一体何者なんじゃ⁉︎想像できん⁉︎私が手も足も出んとは)」

「モード炎竜王・銀世界‼︎‼︎」

大地が燃え、冷気が全体を包み全てを燃やす炎と全てを凍らす冷気がゲーム盤全てを飲み込む

「嘘だろ⁉︎」

「ゲーム盤が⁉︎」

「炎と氷で包まれてる⁉︎」

「こ、これは⁉︎」

問題児三人と黒ウサギはあまりの衝撃に驚愕していた

「これはなんとも」

最強のフロアマスター白夜叉も驚きを隠せずにいた

「これで終わりだ白夜叉」

冷気を纏った拳は紅く燃える炎を包み白夜叉に放つ悠麻

刹那世界が轟音とともに壊れた

辺り一面地面が崩壊し湖畔は蒸発し雪原は溶けていた

「ハァ、ハァ、ハァ」

悠麻の右腕の炎も徐々に小さくなり、左半身の模様も薄くなっていった

白夜叉は先ほどの一撃でピクリとも動かない

結果の決着を告げる光り輝くギアスロールが悠麻の虚空に現れる

『勝者ーー黒鉄悠麻』

白夜叉の決闘は悠麻の勝利に終わった

白夜叉との決闘が終わり黒ウサギの所に向かうと

黒ウサギからは「すごいです‼︎」と言われ

十六夜は「お前、人間か?」と言われる悠麻

そして黒ウサギが思い出したように白夜叉に言った

「そういえば白夜叉様、ギフト鑑定をお願いしたいんですけど」

「よりにもよってギフト鑑定か、専門外どころか無関係も良いところなのだがの」

白夜叉がパンパンと手を叩く

すると悠麻達4人の目の前に光り輝く

カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた

すなわち、ギフトカードが4人の手の中に収まる

ギフトカードとは、個々のギフト、簡単に言えば能力を収納できるカードだ

コバルトブルー

逆廻 十六夜

ギフトネーム

“正体不明”

 

ワインレッド

久遠 飛鳥

ギフトネーム

“威光”

 

パールエメラルド

春日部耀

ギフトネーム

“生命の目録”

“ノーフォーマー”

 

レインボー

黒鉄悠麻

ギフトネーム

“滅竜魔法”

“滅悪魔法”

“喚装”

“六道仙術”

“九喇嘛”

“幻想殺し”

“ベクトル変換”

黒ウサギは驚いた様な、興奮した様な顔で4人のカードを覗き込んだ

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳墓?」

「お年玉?」

「…………」

「違います⁉︎ていうか、皆さん息が合いすぎです。このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードなんですよ」

「つまり素敵アイテムでオッケーか?」

「あぁ〜もうそうですそうです。超素敵アイテムなんです」

黒ウサギに叱られながらも4人はそれぞれのカードを物珍しそうに見つめる

「そのギフトカードは正式名称をラプラスの紙片、即ち全知の一端だ。ここに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった恩恵の名称

鑑定は出来なくとも大体のギフトの正体が分かるというもの」

「へぇ、じゃあ俺のはレアケースなわけか?」

白夜叉が十六夜のカードを覗き込む

「……いや、そんな馬鹿な」

パシッと白夜叉は顔色を変えてギフトカードを取り上げる

「正体不明じゃと⁇……いやありえん?全知であるラプラスの紙片がエラーを起こすなんて」

「なんにせよ、鑑定は出来なかったってことだろう。まぁ俺的には、この方がありがたいさ」

パシッと白夜叉からギフトカードを取り上げる十六夜

十六夜は白夜叉の視線に気になったが、それよりもと悠麻を見て

「悠麻のギフトは何なんだ?白夜叉を圧倒したあの力の正体を」

「あぁ⁇気になんのか?」

「超気になる」

「チッ」

舌打ちしながら十六夜にギフトカードを渡す悠麻

気になったのか、黒ウサギ、飛鳥、耀、白夜叉も十六夜が持つ悠麻のギフトカードを覗き込んだ

「「「ーーーうわお」」」

「なんですか⁉︎このデタラメなギフトの数々は⁉︎」

驚きの声を上げる十六夜達4人。黒ウサギも驚きのあまり悠麻に激怒してしまう

白夜叉は1人悠麻のギフトを見て考察する

「(滅竜魔法に滅悪魔法、確かにこやつは悪魔を滅ぼす力だと言ったが先ほどのはこの2つ合わせたものか?そしてこの六道仙術とやらは、神仏系のギフトかの?だがわからんのがこの、ベクトル変換に幻想殺し。一体何者なんだ?黒鉄悠麻⁇)」

白夜叉は「うーーむ」と悩んだ

「(今の私ではあやつに勝てぬ。まだあやつは底知れぬ力があるはずだからの、今は様子見じゃ)」

白夜叉は悠麻のギフトである“滅悪魔法”を見て少し震えていた

 

 




初投稿なのでかなり長いです
まぁ大体長文になりますが頑張ります

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