今の私は盗賊のクリスだよっ!   作:ひきがやもとまち

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クリス出てない上に全然関係してこない『ゼロ魔』の二次創作です。
本来であるなら『試作品集』に入れて出すのが筋なのだろうと私も思ったのですが、次話からのクリスはこんな調子で書きたいなと言う作風を知っておいてもらいたかったのでクリスの方に投稿させて頂きました。

時間軸としては最終巻後のアンリエッタ様が主役のお話です。



今後の作風紹介用の小話「女王アンリエッタの、才人が日本に還ってから物語。」

 

 ハルケギニアを救った英雄ヒラガサイトが女ルイズ・フランソワーズを伴侶として選び、関係者全員参加による拍手喝采に包まれながら元の異世界へと帰還してから約一年後。

 彼の仲間たちはそれぞれの道を模索しながら成長していき、サイトと過ごした思い出を大切な宝物として胸にしまい込みつつも明日に向かって今日を生きているなか。

 

 ・・・・・・一人だけ過去の黒歴史を掘り起こし、忘れ去ったはずの悪癖を再熱させてしまったダメ人間がいた。トリステイン女王のアンリエッタである。

 

 途中からずっと惚れっぱなしだったサイトが目の前から消えていなくなってしまったせいで生来の悪癖『惚れっぽさ』と『男癖の悪さ』『自己陶酔しやすい恋愛脳』

 

 これら三種の神器にである。

 

 

 

 

 彼女としては慣れた行為であり、大したことではないと思い込んでいたのかもしれない。サイトがいた時は余程のことでもない限り問題おきたことなかったし、家臣たちもおおらかで自分の性癖として半笑いしながらも受け入れてくれていた。

 

 が。よく考えてみなくとも主君が家臣の恋人を誘惑して奪ってしまおうなど、紛れもなく暴君の所行である。

 時代的にみた場合には、未婚で婚約話を持ちかけた側の女性が別の男性に想いを寄せていたと言うのも超問題視されること間違いなしの大スキャンダルだ。

 

 これらが黙認されていた頃を基準にして『ちょっとした火遊びを楽しんでいた』ところを目撃され、世間に噂が流れ出したら次から次へと問題行為のオンパレードが出るわ出るわで、あっさり失脚。

 

 自然豊かな辺境にある静かな湖城で波乱のない余生をと願う家臣たちの想いは主君に伝わることなくスルーされ、湖畔に立つ木こり小屋にやってきた若く美しい漁師の若者と出会い清純な恋愛を楽しんでいただけのつもりで法律違反。裁判沙汰になってしまった。

 

 

 

 ここまで来ると家臣たちも理解せざるを得ない。

 

 

『ああ・・・この人は能力云々よりも先に性癖が原因で王族にはまったく向いてないんだな』ーーと。

 

 

 とは言え、王族の一員である限り必ず問題をおこすからと言っても、王族辞めて生きていけるような才能も能力も持たない箱入り育ちな貴人としての経歴と出生地の持ち主でもある。

 

 どうしたものかと頭を抱える老家臣たちに、戦後に任官した女性大臣が一言。

 

「ふつうに裁判を受けていただき、適当に都合の良さそうな罰をお与えになればよろしいのでは?」

 

 ・・・・・・言われてみれば確かに、と。老臣たちは納得したのだが、いざ探してみると当然のように都合の良い法律などそうそう簡単には見つからない。

 

 結局、彼らが選んだのは本当に存在してたのかどうかも怪しい限りなお伽噺じみた過去の逸話を掘り起こして埃を払い落とし屁理屈のこじつけによるごり押しで特例として裁判長に採用させることに何とか成功したのだった。

 

 

 そういう事情から、サイト帰還後のアンリエッタはトリステインの女王ではない。

 『傾国の悪女罪』により『裸の女王様の刑』が言い渡され、城も家臣も服すら奪われた無一文すかんぴん。

 スッポンポンの丸裸で生活していくことを義務づけられる羽目に陥らされてしまうが『王様として見てもらえるから、純潔と死ぬ心配だけはしなくていい』身分を与えられれて、市井で生きていけるようにしてもらってはいる。

 当初抱いていた願いの半分は叶えられたからいい・・・・・・のかな?

 

 

 

 

 

 

 丁度そのころ、トリステイン城下町の一角にある小さな忘れられた公園で、トンテンカンテン金槌で釘を打ち付けて日曜大工を誰かが作っている音が響いていたりする。

 

 

 トンテンカンテンダンダンダンーーーードンッ!

 

「ーーーっ、痛ったぁい! 指を間違えて打ち付けてしまいましたわ~・・・(; ;)ホロホロ」

「・・・大丈夫ですか? 陛下・・・じゃなかった、元陛下。気をつけてくださいね?

 私は法律により手助けするのは許されておらず、こうして不審な男に元陛下の全裸を拝ませないよう肉の壁ならぬ服の壁をつくるのが精一杯なのですから」

「だいたい、なんでわたくしがーートリステインの女王であるわたくしが、こんな所で大工仕事していなければならないのですか!?」

「失業されたからでは?」

「~~~~~~~っ!!!!!(だんだんだん!(注地団駄する音。全裸で)」

「何でもいいですから、はやくご自分の新たなお住まいである『女王小屋』を完成させてしまってください。それが完成したら元陛下でも保釈金を稼げるような仕事がないか探しに行く予定なのですからね。

 三食食べれて住む場所にも一応は困らない。最低限度の生活で暮らしていけるよう保証されてるだけの生活なんて刑務所と同じです。

 人間、お金がないなら働いて稼ぎ出すのが一番なのですよ。健康にもいいですから」

「あー、もー! わたくしにシェイクアップは必要ありませんわ! 今のままで十分美しさを誇っておりますのにーっ!

 アニエスには、この素晴らしく形の整ったバストとヒップが目に入らないのですか!?」

「・・・・・・いや、ポージングとかいいんで早く小屋を完成させてください。只でさえ今の格好でそれやったら変質者の痴女にしか見えないんですから急ぎましょうよ・・・」

「ーーああ! 毎度わたくしにのみ降りかかる七難八苦・・・これも今は亡きあなた方がお与えになった愛の試練なのでしょうか・・・?

 ウェールズ様・・・、サイト様・・・。わたくしは今でもあなた達のことを心より愛しているのです・・・・・・・・・って、あ、あら?あら? 足場のバランスが悪くなってきて両足がそれぞれ逆法にーーーーいやぁぁぁぁぁぁぁっっ!? 見ないでアニエス! こんな姿のわたくしを見ちゃイヤっ!」

「見ていません。見たくもありませんしね、夢が壊れるだけですから」

「あ、あ、落ちる! 落ちちゃいそうです! 王位と一緒に杖も取り上げられて得るから魔法使えないまま地面に向かって落ちちゃいそうですわ! アニエスお願い、見ないままで助けてー!」

「・・・・・・いや、アンタそれさすがに無理やて・・・・・・」




なぜだか私がギャグ作で書くアンリエッタ様はお色気恋愛脳なバカキャラになっちゃいますね(苦笑)
ちなみに、真面目に書くと戦争犯罪人ルート一択です。好きなキャラなのにこれは酷い。

後はルイズがサキュバス覚醒してアンリエッタを拉致とかか・・・気に入ったキャラは不幸にしたい病の患者なんですかね? 私って・・・。

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