今の私は盗賊のクリスだよっ!   作:ひきがやもとまち

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本編を進めるつもりで戻したのに。結局は番外編的半オリジナルストーリーになってしまった半端者の私です。これなら「お尻大陸編」を進めてた方が良かったような気もしている今この時です。

原作における10巻と、スピンオフ「悪魔に相談を!」を併用した話となっております。
ゲストヒロインは「アイリス」姫様です。

どうでもいい話になりますが、ネタ集めの為に「魔術師オーフェン無謀編」とかの旧作ギャグ作品を読み返してたら「アクセルの街の住人たちって意外とまともな部類に入ってたんだなー」と感じてしまった、ジェネレーションギャップな今の私の心理状態です。


「正義のお姫様旅に同行しちゃった場合のクリスだよっ!」

 この世界を統べている女神様から魔王討伐の使命を授かってるボクたちは、辺境にあるアクセルの街から遠く離れたこの国の王都までやってきていた。

 そうして王様に会うためにお城までやってきたボクたちは、お城の門番さんたちから胡散臭いものでも見るような目で行く手を阻まれた。

 

「止まれ! この先には用のない者は立ち入り禁止だ、冒険者が近づいて良い場所ではないぞ!」

「用ならあるよ!」

「なんだと・・・っ!?」

 

 高圧的な態度で接してきた兵士さんに、ボクは大きな胸を更にバイーン!と反らして偉そうな口調で(元)男らしく言ってのける!

 

「う、嘘を付くな! お前なんかが王様の住む城に用向きなどあるはずがない! デタラメを口にするのは許さんぞ!?」

「デタラメなんかじゃないさ! ボクにはお城に入りたいキチンとした用件がある!

 それはーーボクがお城の中に入って探検してみたいという用事だよ!」

 

『ーーいやそれ、お前が入りたいってだけだろ!? 俺たち関係なくないか!?』

 

「さっき自分で『用のない者は立ち入り禁止だ』って言ってたじゃん! つまり用さえあれば入っていいって意味なんでしょ!? だったら、お城に入ってみたいって用事があるボクには入る権利があるって事じゃないか!」

「う・・・。そ、それは・・・・・・いや! 違う!違うぞ!そうじゃないぞ! 俺はその後に続けてこう言っていたはずだ! 『冒険者が近づいて良い場所ではない』と! だから冒険者であるお前はこの城に入る資格を持ってはいないのだ!

 資格なき者はいれない通さない入ろうとしたら邪魔をする! それが俺たち門番いとってのジャスティス!」

 

 勝ち誇ったドヤ顔かまして偉そうに胸を張る門番さん。

 ふっ。甘い、甘すぎる。天津甘栗よりも甘すぎるって、なんかのマンガで見たことあるぐらいの甘さだよ!

 

「君の目は節穴かい門番さん!? ボクは冒険者ではあるけれど・・・それ以前に冒険者をやってるだけの『盗賊』だ! 本来なら、お城の中に不法侵入して財宝とか鍵とかを盗んでくる側の職業なんだよ!

 だからボクは、お城の中に通しちゃいけない冒険者さんには当てはまらない!」

 

『そ、そんな!? そんな、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』

 

 

 ・・・門番たちは膝から崩れ落ちた。精神的ショックから立ち直ることができない。

 

 ーークリスは門番たちを倒してしまった!

 

 

「ちゃっちゃら~♪ ビクトリ~☆」

 

 ・・・ドゴン!

 

「「勝ってない(です)バカやってないで早く行く(行きますよ)お姫様が待っているから(待たれていますから)」」

 

 勝利のVだ! Vサインをしているボクに背後からの痛いツッコミ。

 溜めなし、技名叫ぶのなし、発動までのタイムラグもなしなゴッド・ブローツッコミを、いつの間にか撃てるようになってたらしい女神さまズ。

 これでボクとの強弱関係がさらに確かなものになったね! 戦ったら負けるね!勝てないね! 敗者は勝者に一生服従させられるんだろうね! 悦しみだな~♪

 

 

 そんなことを思いつつも片足首もたれてズルズル引きずられていくボク。意外とお城の冷たい床の感触が気持ちいいかも?

 それはともかく、今日ボクたちがお城に来た理由は只ひとぉつ!

 魔王を倒して世界を救いたいけれど、王女様の身分だからお外に出れないお姫様の『非公式』世直し旅に『非公式同行』して、悪人とかを『非公式粛正』しながら国内行脚する水戸の印籠御老公様な放浪記に護衛として付いてくためだよ! その為にお城まで『非公式会談』に来てるんだから!

 

 

 

 

 ーーと、言うような内容をお姫様連れ出しちゃった後に二人に話したら、女神様二人による天罰を受けさせられちゃったボク。

 良い事するために悪い事するとこうなりますって見本だよね! ボクは良い子たちが悪い子にならないためなら全力で悪い子の見本になりましょう!

 

「「上手いこと言ったつもり!?(ですか!?)

  全然上手くも何ともないわーっ!(ですよー!)」」

 

 ぎゃっふん♪

 今日もキッツくお仕置きされて、美少女女神様たち二人の前で地に伏せさせてもらえるボクってチアワセ♪

 あ~、癒されるな~。ローアングルから見上げた先にある、エリス様のフリル付き水色おパンティは♪

 

 

「ああああ・・・・・・どうすんのよ、この依頼・・・。報酬が三日で300万エリスなんて話が上手すぎるとは思っていたけど、まさか王族拉致の片棒を担がされることになるだなんて・・・。本当に、どうすればいいのよエリスぅぅぅ~(ToT)」

「・・・どうするもこうするもありませんよ、先輩。報酬は前払いで半額いただいちゃってますし、内半分は借金の返済に充てて残りは元手を増やそうとして違法賭博場で全額スっちゃった後ですし・・・もはや成功報酬で次のレースに賭けるしかないでしょう!?」

「だから私は言ったじゃないの! 違法はやめときなさいって! せめて合法カジノだったら収入に合わせた賭け金の上限がランク毎に決められてるのに!」

「『私たちの生活水準じゃ勝っても雀の涙程度しか儲からないから違法賭場へ!』って、最初に言い出したのはアクア先輩じゃないですか! 私はその誘いに乗って競走馬に回復魔法を掛けてあげてただけです!

 疲れてるのに走らされてる可哀相なお馬さんを癒してあげる、女神らしい女神活動していただけの私が責められる謂われはありません!」

「やっぱりアンタとは女神としての在り方で意見が合わないわね! 次のレースで勝って配当金を山分けし終えたらコンビは解散よ!

 所詮、わたしたち女神は互いのことを認められないまま戦い続ける宿命をもって生まれてきた種族なのだから!」

「望むところです! 人と人の正義がぶつかり合うのと同じように、私たち女神もまた相容れない正義と信念、そして理を教え貫く普遍性の象徴にして世界の代表者。決して相容れない、線と線でしかありません・・・」

「故に!」

「だからこそ!」

 

 

『次のレースこそ絶対くるわ!(来ます!)ケンタウルスホイミ!!』

 

 

 この世界でも現役だったのかい! ケンタウルスホイミ! もう、本家本元のケイローン先生より長生きしちゃってないかい!? 一体いつまで大物から金を巻き上げる魅力ある失踪を続ける気なんだい!?ホイミ!(馬!)

 

 

 ーーま、それはそれとして置いといて。自己紹介といこうじゃないか!

 新人ニューフェイスのアイリスちゃんで~す♪ 

 

「皆様方! はじめまして。今日からしばらくの間ご一緒させていただく王族n・・・コホン。王侯貴族とは縁もゆかりもない大商家の一人娘でアイリ・・・コホン。イリスと申しますわ。

 なにぶんにも、箱庭のように限られた世界の窓から外の世界を眺めながら育てられた世間知らずの箱入り娘ですので、色々とご迷惑ばかりおかけすることになるとは思いますが、一生懸命みなさまの負担にならぬよう努力するつもりです。

 どうか、クリスさん。そしてアークプリーストのお二方ともにご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします」

 

 

「お、おおぅ・・・。なんなのよ、この正統派美少女オーラは・・・女神であるこの私の方が、思わずひざまずいて懺悔したい気分になりそうで焦っちゃったじゃないのよ・・・」

「ま、まったくですよね。不謹慎ですし、不信心きわまりない愚かな人類種族の方ですよね。

 私たち女神に自身の穢れを自覚させようとするなんて、罰当たりにも程があります。人として許されざる禁断の域に、この方は手を掛けられました!」

 

 存在X理論? 暴君になったエリス様とアクア様に支配された世界になら、ボク幼女の姿で生まれ変わりた~い♪

 

 

 まぁ、そんな感じでイリスちゃんです。

 年齢は12歳から13歳くらい。金髪碧眼ロングヘアーのTHEお姫様な見た目をしている女の子。特徴はかわいい。そして、純粋無垢。騙しやすいし騙されやすそう。守ってあげたくなる年下ヒロイン、この異世界でのナンバーワンはイリスちゃんで決まりだね!

 

 あ、装備に関してなんだけど、蒼色の頑丈そうな軽装鎧の上衣に、下はフリル付きミニスカートで鉄製のブーツも履いてるよ! 姫騎士だね! 持ってる剣が鎧の色と同じで『なんとかカリバー』な所なんか特にそうだね! 最高だね! エクスカリパー! 1のダメージしか与えられない!

 

「・・・実は今日、わたくしが皆様方を雇い、お城を無断で抜け出してまで世直し旅を痛いと思ったのには深い事情があるのです・・・。

 アクア様、エリス様。私のお話を聞いていただけませんでしょうか?(うるうる)」

 

「うっ!? こ、このガキ・・・大人が絶対に子供のお願いを断れなくするスキルなんか、一体どこの誰から習得して・・・考えるまでもないことだったわよね」

「ですね。そんなの王族のお姫様に仕込むバカな方なんて、異世界広しといえども一人か、多くとも二人を越えることは無いでしょうからね」

 

 チャラーッン☆

 

 

 

 

 

「ーーぶえっきしっ!!」

「?? どうしたのカズマ? 風邪でも引いた?」

「うう・・・ズルズル、誰かが俺の噂をしていやがるな。人気者は辛いぜ」

「バカなこと言ってないで早くご飯食べちゃいなよ、この後みんなで討伐クエスト行く予定なんだから」

「おう、すまないリーン。ちょっと待っててくれ。今、ハンカチだして鼻水ふくから。

 えっと・・・ハンカチハンカチはーっと・・・あったあったーーって、え? こ、これはまさかこの前スティールの練習中に手に入れた、リーンの大当たりなお宝ぱんtーー」

「ふんっ!!」

「ぐえほはぁっっ!?」

「おーい、何してんだカズマー? 置いてくぞー・・・って、置いてった方が良さそうですね。失礼しましたー(キィィィィ・・・・・・バタン)」

 

 

 

 

 

 

 

「ーーなんか今ボク、ものすごいお宝レアアイテムを見逃しちゃって損した気分になってるんだけど、何でかな!? みんなわかる!?」

「「「わかりません(わからないわよ)」」」

 

 ですよねー。

 

 ま、それはともかくアイリスちゃん・・・じゃなかった、イリスちゃんが世直し旅に出たがってる理由についての説明を続けるみたいだよ!

 

「・・・わたくしが世直しの旅へとどうしても出なければならなかった理由とは・・・それは・・・」

「「それは・・・・・・?(ごくり・・・)」

「それは・・・・・・正義を世に知らしめるためにです!

 正義! それは、愛! 正義! それは、清きこと! 正義! それは、わたくしです!

 正義の名の下、悪人の皆様方を法を無視して裁いて回るのが正義の味方さんたちにとっての勧善懲悪!

 待っていてくださいませ! 悪の帝王でもある宿敵ホームラン女さん! わたくしは今、正義の復活を貴女を倒すことで証明して差し上げましょう!」

 

「なに教えた!? なに教えやがりましたか、この世間知らずで騙されやすい箱入りお姫様になんて物のことを教えちまいやがりましたか、この元男はーーーっ!!!!」

「あはははは~っ。いやー、まさか本当にこんな話を信じるだなんて思っていなくて、マジびっくりだよね。ボクもびっくりしてるから被害者同盟に入れてもらえる権利もっているよねエリスさmーー」

 

 ぼこり。

 

「・・・・・・あるとでも思いましたか?」

「あるわけ、ないですよね~・・・・・・」

 

 うん、わかってました。わかってたけど聞いてみたくなったの。一人だけ仲間外れは寂しかったから!

 

「さぁ! みなさん! 出動です! 出陣です! 悪を成敗しに行く旅にです!

「いや、あの、王女様・・・じゃなくって、イリス様? 悪を成敗する旅にって、その成敗するべき悪は一体どこに・・・?」

「エリス様、わたくしのことはどうかイリスと呼び捨てでお呼びくださいませ。様づけは不要ですわ。わたくし、皆様方とは本当の意味で対等のお友達になりたいんですの」

「あ、はい。わかりました、イリスさん・・・。ーーで? 倒すべき悪はどこの誰をさしておられるのでしょうか? 事と次第と相手の地位縁故家柄等によっては、私たちは今すぐアクセルの町へと帰らせていただきたいんですけども・・・」

 

 エリス様が、ヘタレて日和りみた! 正義と信念と理を貫き通す覚悟が持ちきれなくなったんだね! 心の中にある神や悪魔の姿をした自分と違って、心弱いね! 実在の神様は! 女神様だからなのかな~?

 

 

 ーーんで、イリスちゃんからエリス様へのお返事はと言うと。

 

「悪なんて、どこにでも転がっている程度の代物でしょう!? そう言った世の不条理に苦しめられてる人々を救うため、世の中の秩序を正すため!

 正義に必要な力を振るうことを、わたくしは恐れたりなど致しませんわ!」

 

「「帰らせていただきます」」

 

 即座に回り右して逃げ出そうとしている二人。

 

 ーーでもね?

 

 

「お待ちください。アクア様、エリス様。

 わたくしは王族です。

 ですのでーー」

 

 イリスちゃんが服の中から取りだした魔導具らしい何かを放り投げて出てきたのはーー大根の挟まってるギロチン台。

 

 

 

「言うことを聞いて頂けない場合には―――死刑です」

 

 

 スパン。(刃が落ちて、大根が真っ二つになる音)

 

 

「―――わかりましたね?」

 

「「アンタ(あなた)いったい、なんのキャラをどんな風にして教え込んじゃったのよーっ!?(たんですかーっ!?)(ToT)!!!」」

 

 

 答え:昔のラノベやアニメです。

 意外と怖い、旧作作品群だよ! みんなで見よう! 結構エロい!


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