今の私は盗賊のクリスだよっ!   作:ひきがやもとまち

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昨日出した「空中大陸編」を書いてる最中に心変わりして本編のと差し替えた、既存の物とは異なる空中大陸編におけるバリエーション展開のひとつです。

巨乳でおバカなお色気悪女キャラが多数登場する系の作品をモチーフにしておりますので、「このすば」原作よりも装備品に現実味が無くなっております。

今作のと言うか、『悪女』と聞いて思い浮かべる対象が問答無用で「NG騎士ラムネ&40」のレスカ様しか居ないため彼女をバリエーション展開したようなキャラたちしか思い浮かばんのですよ。申し訳ない。

注:変更点があったことを忘れてたので本来の形で投稿し直しておきました。


番外編その2「空中大陸・悪女帝国編」

 遙か古代に栄えていた魔術師たちの王国では竜族を使役し、今とは桁が異なる偉大なる魔力で以て島をも空に浮かべていたと伝承にあるが、実物を見た者は一人もいない。

 

 だが、天空に浮かぶ幻の空中大陸は厳然たる事実として実在していた。

 

 嘗て、繁栄の絶頂期にあった魔法王国から何らかの理由によって移り住んできていた者たちの内、地上との行き来に使用していたゲートが故障したことにより生まれ故郷へ帰れなくなった者たちを祖先に持つ民たちの住まう空の地である。

 

 その大陸は、本来の所有者たちが謎の種的衰退から文明諸共に滅び去った後も機能の大半が停止した状態で大空の海を飛翔し続け、現代の地上人からは目視できる高度に無いため存在すら知られぬまま何百年、何千年物永きにわたって空を漂い続けていた。

 

 

 現在、その空中大陸には滅び去った魔術王国の遺産を基にして幾つかの新たな王朝が栄えている。

 

 

 

その内の一国『ア=イァン=ダメエン女王国』

 

 

 

 

 ダンッ!

 

「どうしたことじゃ! このふざけた内容の報告書の山は!」

 

 王座の肘掛けに右の拳を打ち下ろし、豪奢な造りの謁見の間には大きな音が響きわたった。広間に集っていた文官・武官問わず家臣一同は肩を「ビクッ」と震わせながらも顔を俯かせて、主の怒りが自分の方へと八つ当たりで向けられるのを回避しようとする。

 

 その場にいるのは王国内でも最高権力の府に近い位置にいる者たちだけであり、その事実を知らしめるかのように全員が同じコスチュームの色違いバージョンを着用していた。

 身分や役職、果たすべき役割に合わせて微妙なカスタマイズが成されてはいるが、基本的にはベースとして採用されているボンデージ風のハイレグレオタード(後ろはTバックオンリー)に増加パーツや見栄えをよくする目的での装飾による飾りつけが主で、防御力が云々言うよりも攻撃を受けたときに破けてポロリしちゃわないか心配する方が現実的である気がしてならないお色気装備の美女・美少女軍団たちである。

 

 自らの配下であるエロ装備を着た巨乳軍団を見下ろしながら、贅を凝らした王座に座す少女は「ふんっ!」と吐き捨てるように鼻を鳴らす。

 居丈高な態度で足を組み直し、王座の背もたれにふんぞり返って深く沈み込む。

 

 金髪ドリルお嬢様ヘアーの上に氷塊を連想させる銀の王冠を載せて、王族が常時着用するには露出過剰すぎて恥女としか思われない銀色のラメ入りレオタード(当然うしろはTバック)を誇らしげに着こなす彼女は、目前にひざまづいて報答していた女将軍を睥睨する。

 

「・・・で?」

 

 ようやく報告の続きを促された、主や同僚たちと同じく露出度高めの黒カラー・ハイレグレオタード衣装を着こなした若い美女将軍は「は、ははっ!」と額に頭をこすりつけんばかりに平伏し、恐縮を顕わにしながら報告を再開する。

 

 ーー恐怖政治を敷く女王陛下に対して、敗戦の報告を。

 

「せ、先日、我が国辺境部の空に不吉な光の柱が立ったことで国民共が動揺し狼狽し、「すわ、予言の書にあった魔王の復活か!?」と騒ぎ出している醜態を見かね、我らが敬愛し信服する偉大なる『しこうのじょおう(ハイ・クイーン)』陛下が調査団を派遣されましたのはご記憶に新しきことと存知奉ります。誠にご英断であられたと、臣は感服させられた次第に御座いまする」

「うむ! あれは妾が今月中に下した下知の中でも100番目ぐらいには位置するぐらいナイスなアイデアであったからな! 賞賛されるのは当然のこととではあるが、余も悪い気はせぬぞ! もっと褒め讃えることを許して使わす故感謝せよ!」

「ははぁっ! ありがたき幸せに存じ上げまするぅぅぅっ!!!」

 

 精一杯頭を下げて下げて下げまくりながらも女将軍は、下から見上げると顔は見えず、胸しか見えない暴君女王のロケットおっぱいを見つめながら賞賛の言葉を機関銃のように乱れ撃ちまくる。

 

 その一言一言を聞く度に「もっとじゃ! もっともっともーーーーーっと余を褒め称えよ!愚かで阿呆な愚民ども!」と、大きな胸をばいんばいん、ゆっさゆっさと揺らしまくりながら大喜びで自惚れまくる頭の軽い女王さまはご機嫌な様子で有頂天になっており、今なら多少不愉快な話題を出しても罰せられる確率は低そうだと女将軍を確信させる。

 

 そうしてようやく本題へと入った。

 

 ーー恐怖政治を敷く悪女な女王さまに敗軍の将として、敗北をご報告するのである。

 

 

「ですが、その時に調査隊が発見できたのは、無人の古代遺跡から這い出てきた「最強魔王を越える魔力を持った偉大なる魔法使い」を自称する頭のおかしい小娘一人のみであり、魔王の痕跡などどこにも見つけられずに虚しく帰還してくるという無様すぎるものありましたが・・・」

「ーーおお、そうであったな。女王としての公務が忙しくてスッカリ忘れておったが、確かにそのような不届き者が居ったような気がするの。

 おい、大臣。妾の信頼を裏切った無能者共は、その後どうしておるのじゃ?」

「はっ! その件につきましては法務大臣を拝命させていただきました、このわたくしの口からご説明させていただきたいと思います!」

 

 将軍が口を開こうとした瞬間、タイミングを見計らっていたかのように主の傍らに控えていた文官の列から一人が前に出ると、眼鏡のブリッジを「くいっ」と持ち上げて見せる。

 

 いかにも『出来る女』といった雰囲気をした、どっかの国の美女役人さんを連想させられなくもないブルーのハイレグレオタード姿の美女が自分の間合い内に入ってきたことで女王様は眼を細めてギラリと怪しい光りを灯らせる。

 

 相手の視界に入らないよう、意識野の外からソーッと接近させながら獲物の背後へと近づけていく。

 やがて絶好の狩り場ポイントの中へと侵入してきた獲物が声を張り上げ、出世のための売り込みを開始しようとした瞬間。

 

「陛下の期待を裏切り、親近を騒がせした不忠者には相応の報いが必要であると判断しましたわたくしめは、即日の内に処罰の内容をぉぉうぉっ!?」

 

 むぎゅうううううっ!!!!

 

 ・・・そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで左側の尻タブを鷲掴みされた法務大臣は軽くおとがいを跳ねさせてピーンと爪先立ちになって両目を見開き、魚のように口をぱくぱく開けたり閉じたりしている様をクスクス笑いながら面白そうに見物していたハイ・クイーンは自分に仕える家臣を詰問口調でなぶり出す。

 

「どうしたのじゃ? 法務大臣。早よう報告せぬか。余が与えてやった法務大臣の仕事を果たせぬのなら、余の期待に裏切ったのと同じ事じゃぞ?」

「そ、そのようなことは決してぇぇ~ん・・・御座いませぬぅぅぅがぁぁぁああんぅ・・・」

「ならば早く役目を果たせ。サボれば汝ら二人とも同罪じゃ。コスチューム没収の上、ふんどし一丁で町の清掃業務を担わせる故そのつもりでおれ」

「そ、そんにゃぁぁぁぁ~~~あんあんあん・・・・・・」

「役職名はそうじゃな~・・・うむ! そうじゃ!あれがよい! 『便所大臣』じゃ! 遙か古代の偉大なる遺産にして民の健康を守る最重要インフラ『公衆便所』の清掃業務を一手に任せる! 名誉であろう! 喜べ!」

「お、お許しをぉ~・・・それだけはどうかお許しをおおぉんお~ん♪」

 

 女王の魔手から尻を遠ざけるため距離をとろうとする大臣を片手一つで御してしまえる陛下の御手! これが彼女の地位と絶対的な権力の源泉であった。

 まさに! 嗜好の女王(バイ・クイーン)の異名に嘘偽りなし! すべての女の子を愛し!

 すべての女の子をイジメるためにペット化するという野望を掲げて空中大陸全土の統一を目指す若き覇王女! 其れが彼の暴君女王の二つ名の内のひとつであったのだ!

 

 

 ちなみにだが、彼女が持ってる他の二つ名には「おっぱいバカクイーン」「胸だけクイーン」「大陸最強のおっぱい」「胸以外に取り柄なし!」等々がある。

 

 

 実のところ空中大陸には男という生き物が存在していない。

 元々はいたのだが、進化の過程で社会問題が生じて滅んでしまっていたのである。

 

 

 ーー地上へと続く門が閉じた当時、空中大陸に居住していた出産可能年齢に達している女性の数は男性の労働人口の半分以下しか居らず、本国から離れた飛び地にある関係上、その大半が夫と子供を持った移住家族の妻たちであった。

 

 当然、男たちの大半は余る。

 

 余った男たちが頑張って仕事しながら夜の酒場で飲む一杯のビールを人生で唯一の喜びとしている疲れ果てた中年サラリーマンとなっていく一方、妻帯者たちは仕事に疲れて家へと帰りついた途端、柔らかい笑顔を浮かべた妻と子供たちから「おかえりなさい、あなた、パパ」と呼んでもらえて一日の疲れも吹っ飛び「さぁ、明日もか族のために頑張って仕事するか!」な気分で熟睡してから出勤する妻子持ちサラリーマン。

 

 ーーこれでは労働の成果と結果の差が出るのは致し方なく、余所からの補給が利かないためにリソース数が限られすぎてるから成果主義、格差社会が生じてしまうのもやむを得ない状況とはいえ、やはり男も人である。感情の生き物、人間なのである。

 

 必然的な帰結として抗争が勃発し、一人の女を巡って数人の男同士が取っ組み合いの殴り合いに勝利したところを他の所で負けた男が不意打ちして横から掠め取り、またその横から掠め取られる。それを極めて短期間の間だけとはいえ延々と繰り返していった先に待っていたのは負傷者と傷病者しか残っていない男たちと無傷で健康そのものな女たちだけであった。

 

 働き手が片腕なくなってたり、両足動かなくなってたりする状況の中、これからどうしようと嘆き悲しみ悲哀にくれる女性たちの前に女神が降臨してこう言った。

 

“いい男、貢ぎ物にしちゃえばいいじゃナ~イ♪

 女だけで生きていける女神の祝福、男捧げて購っちゃえばいいじゃナ~イ♪”

 

 

 ・・・・・・迷わず女たちは男どもを一人残らず売り払い、女たちだけで繁殖可能な種族特性を手に入れた。こうして空中大陸は女系国家となり、自分たちを救ってくれた女神“アクマ”様を救世主として今でもお供えものを欠かしていない。

 

 

 生き残るための生存競争が必要なくなった大陸民たちの間では、いつしか女神から与えられた繁殖能力とは関係しない心と心の繋がり合いを重視するようになり、それ故にこの大陸では強さの基準が魔力よりも腕力よりも知力よりも『魅力値』によって決定づけられるという平和ボケしまくって意味不明になってしまった強者と弱者との共存関係が成立してしまっていたのであった。

 

 

 

 

「・・・ふむ。すると最初に主が言っていた古代神殿から連れてきた異様な風体の小娘が牢から脱走し、「巨乳死すべし」などと訳の分からんことを言いながら果てなく尽きぬ魔力でもって爆裂魔法を乱発しまくっている。手柄ほしさに其奴を討伐にいったら返り討ちにあったと。・・・そういうことじゃな?」

「はい! その通りにございます陛下!」

 

 我が意を得たりと、輝く笑顔でうつむけていた顔を上げる美女将軍。

 

「・・・んで、それらの件についての報告書作成を命じられた文官であるお主は、「これは出世に利用できる。体力バカの武官に責任押しつけて陛下に取り入るためにも数値を偽造しなければ」と、そういうことか法務大臣?」

「はい~♪ その通りでごじゃまひゅ陛下~ん♪ あっ★ そこ! そこがいい! そこがいいの! もっと! もっと踏んで! 変態マゾ豚のセレナのお尻、ハイヒールの踵で踏み踏みしまくってぇ~んえんえん♪」

 

 

 

 ・・・・・・・・・ブチィッ!!!!!!!

 

 

 

「アァァァァァァァァァァァァホか、己等ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

 

 ぐいっ!

 

 ガコンッ!!

 

 ぽっかりッ!!

 

 

 

『き、きゃあああああああああああああああああっ!!!!!!

 お、落ちる! 落ちちゃう! お仕置きとして奈落の底に落とされちゃうーーっ!!

 イヤ~~~~~~~~ッン★ 落とされてく時のポーズが恥ずかしい~~~っい☆』

 

「お前らの存在そのものの方が遙かに恥ずかしいわボケ茄子どもーーーーーっ!!!」

 

 キィィィィィィ・・・・・・・・・ぱたん。

 

 

 ・・・・・・はぁはぁはぁはぁはぁ・・・。

 

「あ、あれだけ長ったらしい話を聞かされ終えた果てに待っていたオチがこれなどとは・・・万死に値する無能どもじゃ! 絶対許さぬ! 恥刑じゃ恥刑! 全員一人残らず恥刑に処してやるから覚悟しておくのじゃな!

 言っておくが、そこから出てくることが出来るのは王座の横にある『お仕置きボタン(見た目ロープだけど語呂的にはボタンが好きヨン♪)』を引っ張るしかない故、妾が許してやらぬ限り絶対、出てくることは出来ぬ!

 死ぬほどの恥辱と屈辱の最下層で己が罪を悔い改めるがよい!」

 

「ほー、この『お仕置き用』と書かれた紙が張ってあるロープにそんなスゴい名前と機能と権限が付与されてるんですかぁ~。知らなかったです、教えていただけてありがとうございました」

「ん? いやなに、気にすることではない。妾は支配者として愚かな愚民どもをよりよく導いてやらねばならぬ義務があるのでな。その勤めを果たしたまでじゃ。

 故に妾には大いに感謝するがよいぞ、幼い年齢に似つかわしくないミニスカ履いてる幼女よ」

「・・・・・・・・・・・・」

「そなたが何処の誰で、どうやって無礼にも城内に不法侵入してきたかさえ妾は問わぬ。何故なら、その方はまだ子供。人は誰しも幼き頃には過ちを犯すもの故な。

 子供が犯した過ちを許してやるのが大人というものであり、大人になっても過ちを犯すバカを奈落の底へと突き落とし、反省するまでお仕置きしてやるのが大人の果たすべき勤めと言うものじゃて」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・それにしてもお主、歳に似合わぬほど小さくて貧相な胸元をしておるの~。妾が五歳の時には既に達していた大きさよりも小さいではないか。

 一体なにを食べて育てば、そこまで度を超した貧乳に育つのじゃ? あまりにも常軌を逸しすぎておる故、思わず手を差し伸べたくなるほど同情的な気分になるではないかえ」

「・・・・・・・・・・・・」

「そうじゃ! 確か昔バアヤから寝物語として『好きな人に揉んでもらえば巨乳になれる』と聞かされたことがある。あの時点で十分に実っていた妾には必要なかったが、お主であれば多少なりとも救いにならなくもないじゃろう!」

「・・・・・・・・・・・・」

「さぁ、遠慮はいらぬ! 妾を愛し! 妾の胸に飛び込んでくるが良い! さすれば民を愛し慈しむ責務を負った王である妾は、そなたをも愛し慈しんだ末に、哀れみを持って貧相すぎる胸をモミモミしてしんぜよう!

 ーーところで何故さっきから、一切合切すべての感情を損失したような真っ黒くて空虚な瞳で妾を見つめながら『お仕置きボタン』を握りしめて離そうとしておらぬのじゃ? 危ないではないか、早く離すが良いぞ。それは子供が持って良いものではない故な。

 もしも万が一のことがあった場合に、妾がお仕置き穴に落っことされて一生でてこれなくなったら大変はずかちぃことになーー」

 

 

 

 ぐい。

 

 

 

 がこん。

 

 

 

 

「きゃああああああああああああああああああああああっ!?」

 

 

 

 

 ひゅーーーーーーーーーーーーーっん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パタン。

 

 

 

 

 

 

 ーーザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・・・・(静かに歩み去ってく時の効果音)

 

 


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