今の私は盗賊のクリスだよっ!   作:ひきがやもとまち

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「今の私は盗賊のクリスです」を基にしましたが、あちらは一応、原作をなぞるつもりだったのに対し、こちらは元にはしてもなぞりません。

エリス様は基本的に被害者です。
ヤンデレ気味ですが、「です」ほど凶悪ではありません。


今の私は盗賊のクリスだよっ!
プロローグ「転生特典はTSを選んだよっ!」


「○○○○さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの人生は終わってしまったのです。

 私の名はアクア。日本において、若くして死んだ人間をーー」

「異世界に、特典を与えて転生させてくれるんですよね、女神様!!」

「ーー導くめ・・・って、早いわよ! 最後まで言わせなさいよ! 中途半端だとなんか変な気分になっちゃうでしょうが!!」

「イキたいのに、イカせてもらえない時みたいに?」

 

 真っ赤になった女神様に、グーで殴られました。

 

 頭に出来たたんこぶを押さえるボクを、激怒とは違う理由で顔を真っ赤に染めたアクア様が鼻息荒く、すごい形相と、視線だけで人を殺せそうな怖い目で睨みつけてくる。

 

 アクア様は女神を名乗るだけあって、すっごい美人。淡く柔らかな印象の透き通った水色の髪を長いポニーテールにしてる。

 

 オッパイとお尻は大きくて、多分中身をはいてないんだろうミニスカートなんか、もう堪りません。

 

 一言で纏めるとーー

 

「押し倒してもいいですか!?」

「ダメに決まってんでしょうが! バカじゃないの!? バカなんじゃないの!? 死ぬの!? 死にたいの!? 犬なのバカなの死ぬの!?」

「ルイズたんキターーーーーっ!」

「この、おバカ様ーーーーーっ!!」

 

 ハリセンで叩かれるボク。

 そう言えば黒ウサギの髪も水色だったなぁ~。

 彼女も神の眷属だったし、もしかしてアクア様の従兄弟かも?

 

 閑話休題

 

 ひとしきり騒いで、ようやく落ち着いたボクは今、椅子ではなくて床に正座して(させられて)女神アクア様からの、ありがた~いご説明を受けています。

 

 要約すると、死んで此処に来たボクには二つの選択肢が与えられているらしい。

 一つは、人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。

 もう一つは、天国的な所でお爺ちゃんみたいな暮らしをするか。

 

 天国は、ボクたちが親から教えられてきた様な素敵な所じゃなくて、何にもないところ。死なない代わりに、生まれない。失う物がない代わりに手には入る物もない。そもそも何も生み出せない、そんな場所なんだって。

 

「テレビもなければ漫画やゲームもない。もちろん死んだんだから、えっちぃ事だってできなーー」

「転生がいいです! 転生しかしたくないです! むしろ、天国(刑務所以下)に行くぐらいなら消滅させて下さい! お願いします!!」

「ちょっと待てコラ。今なんか不穏な表現しなかったか?心の中で」

「してません。言外に違う意味を込めただけです」

「もっと悪いわ! 一応は神様が治めてる場所なんだから敬いなさい!」

 

 以外にも畏敬の念を持っているらしいアクア様。ーーところで、女神様よりも神様の方が偉いの? 男尊女卑? ギリシャ神話の方が良かったなぁ。・・・でも、ヘラ様には見初められたくない。

 

 どちらかと言えば、フレイヤ様でお願いします。

 ダンまちのエロいフレイヤ様なら、どんと来い!

 

「・・・それにしても、ここまで直接的に非難してきた奴は初めてね。

 参考までに聞くけど、なにがそんなにイヤだったの?」

「エッチが出来ないからです!」

「少しは言葉を選べボケがぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

 炎を纏った、女神の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳、ゴッドブローをお見舞いされました。相手は死ぬそうです。

 

 と言うわけで、死にました。

 

 

 

 

「ーー死に戻りしたよっ!」

「ゼロから始めんな!」

 

 死んでいるので死なないボクは、魔女の加護が亡くても無事に死に戻れたのでした。

 アクア様はさしずめ・・・ネムちゃん? 髪の色はレムちゃんなのに~。

 

「はぁ、はぁ・・・と、とりあえず、あんたの選択は異世界に転生って事でいいわけね・・・?」

「はいっ! 転生特典には銀髪の巨乳盗賊美少女に転生できる権利がいいです!」

「図々しいわね! そう言うのは選ぶ権利を与えてから要求しなさい!」

 

 出会ってから怒り顔しか見せてくれないアクア様。笑顔も見たいお。

 

「・・・でも、どうして盗賊? 言っちゃなんだけど、ダンジョン探索には必須な割に結構地味なクラスよ、アレ。

 攻撃スキルはほとんど覚えないし紙装甲だし。その上、ステータスも軒並み低め。需要が高いって以外には何のメリットもなーー」

「色っぽい格好の巨乳盗賊美少女って萌えませんか!?」

「あんた本当にブレないな!」

 

 良いよね、盗賊美少女! ショートパンツに皮の胸当て! ヘソ出し生足、絶対領域! ビキニアーマーが少なくなった現代に残る最後の希望!

 

 もちろん、ボンテージの女魔道師も考えたけど、やっぱりボク的には盗賊美少女。

 だってーー

 

「“盗む”で美少女を全裸に剥きたいんですっ!」

「死ね変態! 地獄に堕ちろ!!」

 

 天国はあるみたいだけど、地獄もあるのかな?

 

「ああ・・・女顔の美少年が超弩級の変態だなんて・・・乙女の夢が音を立てて崩れ去っていくわ・・・・・・」

「最近のエロゲでは定番ですよ?」

「聞きたくないわよ、そんな生々しい現実!」

「あ、そう言えば知ってますか? ラノベ原作の二次創作でイケメンキャラがオバロの真似して「エロゲーイズマイライフ」って発言してるのを見て爆笑したことがあるんですけど、真顔で眼鏡を光らせながらあの台詞って、なんか格好良かったです」

「死ぬ! 死んでしまう! 私の中の乙女心が死滅するぅぅぅっ!!!」

 

 床をゴロゴロと転げ回るアクア様。

 お陰でスカートの中が見え放題。眼福眼福。

 

「はぁ、はぁ・・・き、今日だけど何度死にかけたか分からないわね・・・。

 ・・・とんでもないのを連れて来ちゃったわ・・・。こんな事なら、エリスの奴が出勤してるときに廻すんだった・・・」

 

 膝を附き、壁の方を向いて絶望しているアクア様のお尻姿は大変見応えがありますね。

 

 とっても、いいお尻です。

 脳内フォルダに永久保存しておこう。

 

「・・・・・・ねぇ、いい加減出てってくれない? 私、金輪際あんたとは会いたくないし話したくもないの。

 仮に魔王倒しても、此処には戻ってこれないようにするつもりだし」

 

 まさかの、攻略後にバッドエンドが待っていることを女神様自ら教えてくれる展開。

 これは・・・新しい! 斬新だ!

 

 ・・・・・・でも、売れないと思います。新人賞で落選確実だろうなぁ~。

 

「じゃあ、早く転生をお願いします。ボクは一刻も早く女の子になりたくてウズウズしているんです。すでにランナーズハイです。光の世界です。

 ボクは今、猛烈に欲情してるぅぅぅっーーー!!!」

「うっさい! 分かったから静かにしてよね! ここでの会話、他の部屋にも聞こえてんのよ! 私まで変態扱いされて婚期逃したら、あんた責任取ってくれんの!?」

「え・・・? ・・・・・・・・・責任、取っちゃってもいいんですか?」

「ごめんなさい、無理です、絶対にお断りです。お引き取り下さい」

 

 うん、わかってたけど辛いね、告白しての玉砕って。

 八幡先生マジリスペクト。だって、いろはちゃんからこんな対応を毎回受けてるのにへこたれないし。

 

 ボクだったら確殺だね。しかも、一確。

 課金アイテムなしのアプリコットがメテオ以外の魔法を使っても普通に死ぬわ。

 

「・・・・・・もういやだ、こいつ。とっとと終わらせて今日はもう退社しよう。帰って刀剣男子に癒されよう・・・」

 

 女神様の好みが発覚。どうやら、美形好きみたいです。

 

 ボクも顔は美形だから、可能性は充分にーー

 

「無いわよ!」

 

 無いそうです。

 残念、こうなったら異世界で出会いを求めよう。

 

 異世界に出会いを求めるのは間違っているだろうか?

 否! 断じて、否である!

 

 そんな、くだらない結末など何度でも覆してやるさ!

 私は心底諦めが悪いのだよ!!

 

「・・・・・・えーと、それじゃあ。

 ーー○○○○さん。あなたをこれから、異世界へと送ります。魔王討伐のための勇者候補の一人として。

 魔王をたおーー」

「あ、ボクの他にもいるんですね、転生者。しかも、勇者候補なんだ。

 ーーうん、その話を最初にするべきだったんじゃないかなと、ボク、思います」

「お黙り! 話の腰を折らないで! 気が散るでしょうが!

 ーーコホン。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう。世界を救った偉業に見合う贈り物。・・・・・・たとえどんな願いでも。たった一つだけ叶えて差し上げましょうーー」

「ドラゴンボールだね!」

「黙れっつってんでしょ! いい加減にしないとチョン切るわよ!」

 

 乙女とは思えない罰則をお考えになる女神アクア様。

 女の子って怖いね。美少女の場合はさらに怖さが倍増するよね。

 何でだろうね、不思議だね。

 愛憎は倍返ししなくてもいいんだよ?

 

「ああ、もう! 面倒くさい!!

 もういいわ、強制的に異世界転移の魔法を展開。解除不能にセット。

 ーーこれで、その魔法陣の中にいれば十秒後には異世界で銀髪の盗賊美少女になってるから。後はどうぞご自由に。贈り物はアンタにだけは用意しとかないわ。じゃあね」

 

 言い捨てて部屋を出ていくアクア様。

 最後までいいお尻姿を有り難うございました。

 

 ・・・ここで待ってればいいんだよね?

 待ってるだけで銀髪の巨乳盗賊美少女になれるんだよね?

 

 ワクワク、ドキドキ。

 

 

 

 

 ーートントン。

 

 ・・・・・・え?

 

「ーー先輩? いないんですか先輩? まだ、お仕事中ですよ?

 もう、アクア先輩がいつもサボるから私が後始末をしなくちゃいけなくなるんですから、もう少し女神としての自覚をもってーー」

 

 ガチャ。

 

 ちょ・・・!

 

「失礼しまーーえ?」

 

『ワープゲート・オープン。強制転移を開始します』

 

 シュウゥゥゥゥゥゥゥゥッン!!!

 

「き、きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」

 

 ・・・・・・あ~あ、やっちゃった・・・。

 

 アクア様の後輩(?)女神様(?)の方、巻き込んでしまってごめんなさい。お詫びの言葉もありません。

 

 なのでせめて、これだけは言わせて下さい。

 

「薄い水色の下地に、濃い青のリボンが付いたおパンツ、すっごく似合ってて可愛いですよ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 なぜか、さっきのものより数段大きい悲鳴を上げてスカートを押さえながらボクの上を飛んでいく白銀の髪と白い肌の女の子。

 

 彼女の黄色い悲鳴をBGMに、ボクの物語が始まろうとしている。

 

 まぁ、ようするにチュートリアルを兼ねたプロローグが終わる辺りって事だね。

 

 ああ、異世界にはどんな女の子が待っているんだろう・・・?

 そして、ボクはどんな女の子になっているのかな・・・?

 

 マズい、ワクワクドキドキが止まらない!

 

 ーーそして、なによりも重要なこと。

 

 それはーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーどんな女の子専用装備が待っているんだろう・・・?(ワクテカ)

 

つづく




エリス様は出来るだけ原作を意識するつもりです。

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