大森林〜くさタイプヘイトの俺がくさタイプ一筋になった訳〜   作:ディア

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シンオウ地方編スタート!


第15草

 シンオウ地方、ナギサシティ。そこで俺は新たにジムを受けようとしていたがナギサジムはシンオウ地方のジムのバッチ7個以上なければジム戦をしてくれないのですぐにジムバッチを集めることを決意した。

 

 

 

「ずいぶん舐め腐った真似をしてくれますわね。ここのジムリーダーは」

 

「エリカさん落ち着いて」

 

 ミカンが宥めるもエリカの怒りゲージは収まらず増幅し続ける。エリカが怒っている理由はただ門前払いさせられたからではない。シンオウ地方のジムバッチ7個云々はあくまでも建前で、実際は弱い挑戦者を相手する時間を趣味に没頭する時間にする為にそうしている。それだけならまだマシだが趣味に没頭し過ぎて条件を満たしても戦えない場合がある。つまり、完全なる職務放棄だ。今回はそのケースにぶちあたりエリカもぶち切れている。エリカも人のことを言えないけども。

 

「ミカンの言うとおりですよお姉様。お姉様が落ち着かずして誰が落ち着くんですか?」

 

「それはそうですが私はコスモの為を思って……!」

 

「いい加減弟離れしてくださいお姉様。最後にここに来ればいいだけでしょう! どうせ戻るんですから」

 

「……コスモがそう言うならそうしましょう。ですが次に来たときはコレですからね」

 

 エリカが手で首を切る動作をし警告する。ありゃマジだ大マジだ。目が笑っていないし、瞳も虚ろになっている。

 

 

 

「エリカさん少しやり過ぎよ。もう少し穏便な手段を考えた方が──」

 

「そうでしょうか? 職務怠慢の理由が理由なだけにそのくらいが妥当ですわ。感情任せに行動を起こしたらポケモンリーグ追放くらいのことをしてあげますわ」

 

 怖っ、ポケモンリーグから追放されるってことはポケモントレーナーの資格を失うだけじゃなく、ポケモンを所持することが出来なくなるってことで、草むらに入ることは当然だがポケモンのいる場所に近づくことすらも出来なくなる。デンジの場合でんきタイプのポケモンがいる発電所に近づけないから趣味の機械弄りの楽しみも半減してしまう。要するにデンジを含めポケモントレーナーにとってポケモンリーグ追放は死に等しく、エリカはその事を理解して言っているから恐ろしい。

 

「それでもだいぶ過激だと思いますよ、エリカさん」

 

 

 

 ミカンの言うとおり、少々過激過ぎる。チャンピオンは大抵放浪しているが、チャンピオンの場合チャンピオンに挑めるほどの実力者がいないから暇になるのであって、仕事を全て放棄している訳ではない。それにチャンピオンは癖こそあれども信念を持った人格者であることの方が多い。チャンピオンとジムリーダーは規模こそ違えど、ポケモントレーナーの象徴だ。つまりジムリーダーにも信念があり、人格者でもあると言える。

 

 サカキも方向性こそ違えど例外ではない。サカキは悪の組織であるロケット団のリーダーだったが部下にはかなり慕われていて、部下が自主的にサカキを呼び戻そうとしていたくらいだ。普通幹部が組織のトップに立ったなら真っ先に自分をリーダーとして認めさせるものだが、その幹部が率先してサカキを呼び戻すんだからサカキのカリスマはそれだけ異常だったということだ。それにサカキ自身も他の悪の組織のリーダーとは違い、息子や部下、ポケモンのことも思いやっている。

 

 息子や部下、ポケモンのことも思いやれないゲーチスとは真逆だ。SMのルザミーネはポケモン愛が酷すぎて息子や娘を犠牲にするどころか敵に回す始末だ。え? SMの悪の組織がエーテル財団じゃなくスカル団じゃないのかだと? この定義でいくとグズマはキャプテン──アローラ地方にはジムはない為ジムリーダーの代わりにキャプテンが存在する──の素質があるってことになるからな。小物だけど。

 

 

 

「そうですよお姉様。もう少しその過激な発想をするのを抑えて下さい。お姉様は穏便に済ませるくらいが丁度良いんです」

 

「だから穏便に済ましていますわ。一度見逃してそれでも尚改善しないようであれば……コレですわ」

 

 再び手で首を切る仕草をして、本気だということを伝える。

 

「も、もうその話は止めましょう。ここでジム戦が出来ないとなれば別の街に行ってジム戦をすればいいだけよ、ね? コスモ」

 

「僕もそう思うな!」

 

 ミカンが話を切り替える為に腰を折る。これに乗っからない手はない。エリカが徐々に不機嫌になっているのを態々油を注いで炎上させたいと思うか? 思わないだろ。つまりそういうことだ。

 

「ジム戦を受ける本人がそういうならそうしましょう。コスモの成長を見届けるのが主な目的ですしね」

 

 しね、死ね……いやまさかな? 本当にデンジ戻ってきてくれよ。そうすればナギサジムで被害者は出ないんだからな! 

 

 

 

 

 

 

 

 草むらを歩き、歩行妨害してくるポケモンをロトムやイーブイを先に出してからフシギソウで倒す。今までとはちょっと違い、レベルがお高めなこの地域。ロトムとイーブイのレベルアップがスムーズに行われる。俺のマイナス特典のおかげでなつき度はそう上がらない為イーブイがエーフィやブラッキーに進化することもない。ちなみに進化関係ないがロトムがロトム図鑑になることもない。

 

 

 

『だ、か、ら! そういう弱いものいじめは止めてっていっているでしょ!』

 

 しかし喧しいのがタマネギだ。何をどうやっているのかは不明だが、テレパシーで俺の頭に響かせる。

 

「ミカン、お姉様、この地域でジムリーダーの知り合いっていないの?」

 

「いきなりどうしたの?」

 

「いや僕が捕まえた某くさ・エスパーのポケモンがテレパシー越しで野生のポケモンを倒すなって苦情が来てて……ポケモンバトルの経験を積ませる為にやれないかなって思ったんだ」

 

「セレビィのことですわね?」

 

「……ひょっとしてあの時、最初から居たんですか?」

 

「船の時なら最初から居りましたわ。コスモが太くて長くてかたいものを持っている女に襲われないように見張っていましたわ」

 

「エリカさん、それは私のネールちゃんを馬鹿にしているのかしら?」

 

「事実を言ったまででしょう? ネールちゃんは太くて長くてかたいですし」

 

「そんな卑猥なセリフはツクシ君だけで十分よ!」

 

「そんな人知りませんわ」

 

 ギャーギャー喚き、口喧嘩する女二人。これを止めようにも俺じゃ無理だ。つーかツクシ、ミカンにそう思われているって何をしたんだ? 一番キャラ崩壊しているのはお前だろ。

 

 

 

『仕方ないね』

 

「うぁっ!」

 

「止めてぇぇっ!」

 

 タマネギがボールから出て来て、念波で二人に頭痛を起こさせる。

 

「ビィ?」

 

「な、何をいっているのかさっぱりわかりませんわ。名門のお嬢様である私が喧嘩などするはずがありませんわ。それにミカンさんとは親友ですもの」

 

「そ、そうよ。エリカさんとはこんなに仲良いもの!」

 

 そう言ってミカンとエリカがひきつった笑顔で肩を組む。どこからどう見ても誤魔化しているようにしか見えない。

 

「ビィ、ビィビビ。ビィ」

 

 それでもタマネギは二人が形式上仲良くしたのに満足してボールの中に戻る。それを見た二人がまた取っ組み合い、口を開いた。

 

「……さて、邪魔者もいなくなったことですしミカンさん。決着を着けましょう」

 

「そうですね……どちらか上かわからせてやりましょう」

 

「ビィ!」

 

 タマネギが再び、ボールから登場。ミカンとエリカがうめき声を上げて頭を抱える。テレパシーじゃなくとも何となくタマネギの言いたいことが理解した。

 

「ミカンもお姉様も喧嘩するからそうなるんだよ……」

 

 

 

「うう……仕方ありませんわ。ミカンさん、この勝負はジムリーダー同士が戦うエキシビションマッチで決着を着けましょう」

 

 まだ頭が痛むのかうめき声を出しながら、エリカが提案する。

 

「そうするしかないですね。でも大丈夫なんですか? はがねタイプの対策をしなくて? エリカさんの持っているポケモンはくさタイプの他にピジョットしかいないのでは?」

 

「この地方でくさタイプ以外のエキスパートタイプを探しますのでご心配なく。口実とはいえそのくらいのことをしなくてはリーグの方に報告出来ませんので」

 

 エリカの第二のエキスパートタイプか。くさタイプに続いて適性が高いのはどくなんだよな。どくタイプはフェアリータイプやはがねタイプを除いたどくどく持ちのポケモンにはかなり強いけど、はがねタイプやじめんタイプに弱い。つまり、どくタイプから見ればハガネールは天敵以外の何者でもない。比較的はがねタイプに強い特性ふしょくのエンニュートでもじしん一発でオワコンだからな。

 

 だからどくタイプをエキスパートに選ぶというのはないだろう。ついでに言っておくとフェアリーもない。フェアリーはドラゴンにこそ強いがはがねタイプが弱点だ。そんなポケモンを使って勝てる訳がない。勝つとしたら圧倒的なレベル差でねじ伏せるしかないんだよな。これ以上考えてもエリカのエキスパートタイプが決まる訳じゃないし、考えるのは止めよう。




USUMを安かったからダブルパックで買っちまった。

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