大森林〜くさタイプヘイトの俺がくさタイプ一筋になった訳〜   作:ディア

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次々と新しい小説のネタが思い浮かぶけど続きのネタが思い浮かばない……


第12草

 さて、ここで問題だ。乗り心地が悪く、しかも高速で移動するようなジェット機になったら大半の人間はどうなる?! 

 

 

 

「気持ちばるい……」

 

 正解は酔う。つまり今の俺の状態のことを言うんだよぉぉっ!! 

 

「無理させてごめんね。コスモ」

 

「うぇぇ……」

 

 ミカンが頭を下げるのを見て、ベッドの上で返事をしようとすると呻き声が上がった。

 

「ごめん……」

 

 そう思うならあんなテクニック二度と使わないでくれ。俺は嗜み程度で弓道をしているが、お前らみたいにオリンピック選手顔負けの超人じみたフィジカルはないんだぞ。

 

 

 

「コスモ、酔い止め薬買ってきたから飲んで」

 

 そんなことを考えているとミカンが酔い止め薬を俺の手に渡す。

 

「……ん、水は必要ないの?」

 

 酔い止めは薬であり、飲むには水が必要だ。だがその為の水がない。いやおいしい水とか買えばあるけどな。

 

「この酔い止めは水がなくとも平気だから直接飲んでも良いようになっているわ」

 

「ありがと。ミカン」

 

「いいえ。元々は私が引き起こしたことだから……」

 

 そう言えばそうだな。そんなこんなで酔い止めを飲むとスッキリと酔いが覚め、立ち上がれるまでに回復した。

 

 

 

「ところでここは?」

 

 酔っていたから気づかなかったが、ここはポケモンセンターだ。ただし近くのポケモンセンターと言うわけでもない。そう思って尋ねてみると予想通りの答えが返ってきた。

 

「ここはポケモンセンターよ」

 

「どこのポケモンセンター?」

 

「カントーの港クチバシティ。これからクチバの港を使ってシンオウに行こうと思っていたんだけど、コスモがあの状態から回復するまで待機していたわ」

 

「確かにあの状態で船や飛行機に乗ったらグロッキーになっていたよ」

 

 ナイス判断ミカン。密閉した空間でゲロの臭いがしたら全員が貰いゲロして吐くことになっていた。

 

「大丈夫そうなら、エリカさんに見つかる前に行きましょう」

 

「そうだね」

 

 一応、ミカンが泥棒したことには違いないし、何よりも今のエリカは不機嫌だ。そんな状態で近づく方が命取りだと言える。泥棒させた原因もエリカが不機嫌なのも俺が原因だと考えると嫌だな。そんなことを考えながら荷物をまとめ、港へ向かうと何やら騒ついており、人だかりが出来ていた。

 

 

 

「すみません、これは何の騒ぎですか?」

 

 ミカンが近くにいた金髪の軍人らしき男にどんなことが起きた、あるいは起きるのかを尋ねる。

 

「ユーたちは観光客だってのに知らないのか? キャプテンが居合い切りのパフォーマンスと新しくマスターした技を披露するんだぜ。俺達はそれを見に来たのさ」

 

 いあいぎりってことはあいつか。いあいぎりを教えてくれる船長か。

 

「ということは皆さんはその船長のいあいぎりを見にここに?」

 

That right(その通りだ)! 船長のいあいぎりはいつ見ても惚れ惚れするぜ。無料だからぜひ見に行くといい」

 

 そこまでいうか。まあそうでなきゃこんなに騒ぐ訳ないよな。

 

「ミカン、どうする? これを見るかい?」

 

「エリカさんが来るのは怖いけど、あの人がお勧めするんだから見ましょう!」

 

「よし、それなら二人とも俺の肩に乗せてやる!」

 

「きゃっ」

 

「うわっ」

 

 先ほどの金髪の男が俺達を左右の肩に乗せ、視点が高くなる。しかしあれだよな。この世界の住民はなぜか力持ちばかりだ。俺達の周りには体重70kgもあるヨーギラスを抱えながらそれを見ようとする客もいるくらいだ。お前ら人間じゃねえ! 

 

「ここならキャプテンのいあいぎりが見えるだろ?」

 

「そうですね。ありがとうございます、え~と」

 

「My name is Lt. Surge. ……失礼、マチスって呼んでくれ」

 

「マチスって、クチバジムリーダーのマチスさん?」

 

 金髪の男がマチスだとわかり、俺はそう尋ねた。

 

 

 

「ボーイはチャレンジャーか?」

 

「そうです。コスモっていいます」

 

「コスモボーイ、それじゃこいつを見終わったらジムにカモン。ジム戦をしてやる」

 

「わかりました」

 

「えっ、ちょっと……」

 

「おっとスタートだ」

 

 ミカンが反論しようとするがマチスが指を口に添え静かにするよう指示する。他人に迷惑をかけたくないと考えるミカンはすんなりそれを受け入れた。

 

 

 

 そして視線の先は鉄板の前に手刀を構えたいあいぎり船長に注がれる。……えっ? 手刀であの鉄板を切るつもりなのか? 無理がありすぎる。いくらなんでも……

 

「でぁぁぁぁっ!!」

 

 鉄板がまるで紙のように切れた切り口を見て俺とミカンは唖然としてしまった。

 

 

 

 あ り え ん

 

 

 

 ここってポケモンの世界だよな? 世紀末覇王とか、サイヤ人とか、念能力者、チャクラ使いの忍者とかがいる世界じゃないよな? そうだとしたら絶対生まれる世界間違えただろ。

 

 

 

「さて、お次は私の新技を披露したいと思います。その名も燕返し!」

 

 燕返し? などと口に出そうとすると船長がピジョットをボールから取り出し、観客に見せる。

 

「ピジョット。音速を超える速さで移動すると言われています。そのピジョットが空を移動している状態で咥えたきのみだけを切ってみせましょう! ご覧あれ!」

 

 またピジョットかよ。エリカもピジョットを使って俺を追いかけたのでどれだけピジョットが便利なポケモンがよくわかってしまう。とにかくピジョットが船長の持っていたきのみを咥え、宙を滑る。そしてピジョットの残像を追うように羽音が耳に残る。そして、船長の腕が一瞬だけ消えると構えた場所とは別の位置にそれがあった。

 

「ピジョット、戻ってこい」

 

 残像から実体になったピジョットが船長の元へ戻り、きのみを見せるときのみが真っ二つに切れ、観客達は船長に大歓声を浴びせた。

 

 

 

「どうだ? いいもん見れただろ?」

 

「……」

 

 ミカンは目を丸くし口を開けながら唖然としている! あんな芸当はこの世界でも珍しいのか。まあ刀持っている状態ならともかく、手刀でそんな芸当出来るのはありえんからな。どのくらいあり得ないかというと固定していないペットボトルの口の根元を手刀で切るのと同じくらいだ。何、それがどういうことなのかわからん? だったら実際にペットボトルの口の根元を目掛けて手刀でそこを切ってみろよ。無理だから。

 

「あんなの人間技じゃない……」

 

 俺の呟きにミカンが頷いた。

 

 

 

「本日の燕返しをご覧頂きありがとうございます。そこでお礼に私の持っている技マシンつばめがえしと秘伝マシンいあいぎりを配布したいと思います」

 

 おおっ、太っ腹! 

 

「いあいぎりは持っているけどつばめがえしは持っていないからもらっておこうかな」

 

「そうしておけミカンガール。つばめがえしは必中の技。なくて損するってことはnothing」

 

「僕はいあいぎりもないから二つとも貰ってくるね」

 

「おう、貰ったらクチバジムにカモンだ。いつでもウェルカムだ」

 

 マチスがそう言って俺達を下ろしクチバジムを向かうのを見ると船長からいあいぎりの秘伝マシンとつばめがえしの技マシンを手に入れた。




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