大森林〜くさタイプヘイトの俺がくさタイプ一筋になった訳〜 作:ディア
第8草でフシギソウに進化していたのを完全に忘れてましたので編集しました。
ミカンとの買い物が終わり、翌日。外はポケモンバトルをするのに絶好ともいえる晴天。特に晴れパなんかは喜ぶ天気だ。それ以外のパーティは知らん。
「コスモ、ジムバッチの確認致しますわ。何個所持していますか?」
「どこのジムバッチも持っていません」
「ジムバッチ0個によりルールはジムリーダー、つまり私が使えるポケモンは2体となります。また戦闘時におけるポケモンの交換は私は不可。存分にその力を発揮してくださ……zzz」
「寝るなよ!!」
しかも立ったまま寝るなんて器用なことをするなよ!
「はっ!? いけませんわね。今日はとても気持ち良い日ですから、眠くなりますわね」
「お姉様、早く始めましょうよ」
「そう焦らないでくださいませ、コスモ。審判!」
「ではこれより、挑戦者コスモ対ジムリーダーエリカの試合を行います!」
「いけっ! フシギソウ!」
「行きなさい! ナゾノクサ!」
俺はフシギソウ、エリカはナゾノクサをフィールドに出し、互いに様子を見る。
「フシギソウ、つるのムチだ!」
「フシッ!」
フシギソウがつるのムチをだし、ナゾノクサを引っ叩く。今回はそれだけで十分だ。
「ナジョッ!?」
ナゾノクサはフシギソウのつるのムチで吹き飛ばされ、壁に張り付く。それはまるで押し花のようだった。
「ナゾノクサ!」
「ナゾ〜?」
エリカがナゾノクサを呼びかけるが本人ならぬ本ポケモンが目を回し、呼びかけてもそれに答えられない。この時点で勝者は決まった。
「ナゾノクサ戦闘不能!」
さて、次はどんな奴が? などと思いエリカを見てみるとエリカがナゾノクサをしまい、モンスターボールを出さなかった。
「お姉様?」
「審判、この勝負棄権致しますわ。そういうわけでコスモ。これを受け取りなさい」
はぁぁぁぁぁっ!? まさかフシギソウのあまりの強さに怖気ついたとでもいうのか!? そんなはずはねえだろ!? 一応レインボーバッチは取っておくが。
「私がこれから出すモンジャラは問題がありまして。レベルでいえばバッチ2個分の強さを持っているのですが──」
「ですが?」
「臆病すぎて格下の相手しかやらないのですわ」
「……はあ?」
「せめて一度だけポケモンバトルの楽しさを感じさせる為にもこのモンジャラをバッチ1個の試合で使いましたが、どうやらそれで味を占め格下の相手しかやらなくなってしまったのです。それでお仕置きという意味でもコスモとのポケモンバトルをやらせたかったのですがコスモの余りの強さにモンジャラが心を折って2度と戦わなくなると思うといっその事棄権したほうが良いと判断を下したのですわ」
格下の相手しか戦わないか。まあ悪くねえとは思うぜ。格上の相手にはくさタイプが得意とする搦め手で封じればいいだけの話だし、そもそもポケモンによって戦い方の個性が出るのは仕方ないことなんだよな。
「お姉様、こんな言葉を知っていますか?」
「なんでしょう?」
「強いポケモン、弱いポケモン。そんなの人の勝手。本当に強いトレーナーなら好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき……ようするにお姉様は努力が足りないんだよ」
エリカがそれを聞いてムッとしたような表情に変わった。
「私は私なりに努力していますわ」
「そのモンジャラはおくびょうなんでしょう? 物理攻撃が下がる代わりに素早さが上がるんです。つまり同じモンジャラでもおくびょうなモンジャラは最速でソーラービームやはっぱカッターなどの遠距離の特殊攻撃が強めの威力で出せるということになります」
それだけじゃなくモンジャラのぼうぎょやとくこうって進化前のポケモンにしてはかなり高いんだよな。しんかのきせきを持たせたら物理受けもいけるほどだ。
「コスモ、何故そんなことを知っているのですか?」
「勉強したんですよ。その一言に尽きます」
まさかこの世界が前世でゲームになっていたなんて言えないしな。そんなことを言えばどんなに良くても生暖かい目で見られ、狂人扱いは避けられない。それだけならまだ良いが精神年齢30歳だということがエリカやミカンにバレてしまう。
「ところでお姉様、なつきやすくなる代わりにポケモンが弱くなってしまうようなきのみってありますよね。いつも売れ残っている奴」
エリカは副業に花屋を経営しているのだがきのみも売っている。その中で必ずと言っていいほど極稀にしか売れないきのみがある。
「ええ、ザロク、ネコブ、タポル、ロメ、ウブ、マトマの6種類のきのみは直接ポケモンに食べさせるとポケモンが人になつきやすくなる代わりにポケモンバトルが弱くなるというジンクスがあって、ポケモンバトルで生活している方々からは忌み嫌われるきのみですわ。極稀になつき進化で進化するポケモンにしか食べさせたということくらいしか聞いたことがありませんわ」
まさかそれほどまでに酷いとは……確かに弱くなるようなきのみはいらねえよな。だけど使い方さえマスターしてしまえばこれらは生活必需品となり得るきのみだ。
「お姉様、そのきのみのジンクスを僕が無くしましょう」
「出来るのですか?」
「簡単ですよ。お姉様、ザロク、ネコブ、タポル、ウブの4種類のきのみをください」
「ロメとマトマは?」
「流石にいりませんよ。4種類だけで十分です」
「ではこれを」
そう言ってエリカが俺の掌に4種類のきのみを渡すとフシギソウにそれを食べさせるとエリカやミカン、その他多くのジムトレーナー達がメモを取る準備をし始めた。
「ポケモンバトルはHP、つまりタフさ、物理攻撃、物理防御、特殊攻撃、特殊防御、素早さの6つのステータスと技で勝敗が決まります。6つのステータスはポケモンの種族による能力、それに性格、素質、そしてもう一つ重要なものがあります。それがオーキド博士達ポケモン研究者達がきそポイントと呼ぶものです」
きそポイント。要するに努力値のことだな。
「きそポイント……たしかに聞いたことくらいはありますが、そのきそポイントと6種類のきのみが何の関係があるのですか?」
「そうです。ザロクはタフさ、ネコブは物理攻撃、タポルは物理防御、ロメは特殊攻撃、ウブは特殊防御、マトマは素早さのきそポイントを下げるきのみなんです」
「でしたら何故それらをフシギソウに食べさせるのですか?」
「その前にワンクッションおきましょう。ポケモンバトルをしてそのポケモンが勝つとそれぞれ決まった量のきそポイントが一部例外を除いて蓄積されます。もちろんタウリンなど薬によるものでもきそポイントは蓄積されます。きそポイントをポケモンに蓄積させることをきそポイントを振ると僕は呼んでいます」
努力値と言ってやりたい。しかしそれをすると「何故努力値とコスモは呼ぶのですか?」などと言われかねない。
「しかしどんなポケモンでもきそポイントを蓄積する量というのは限りがあります。6つのステータス全ての合計で510、一つのステータスに252のきそポイントしか振れません。それを最大限に振ることを極振りと呼んでいます」
「コスモ、510とか252とかの数値って何なの?」
「きそポイントの量だよ。それ以外に何があると?」
「そういう意味じゃなくて、ポケモンバトルでそのポケモンが勝つとそれぞれ決まった量のきそポイントが蓄積するとかいってたじゃない。その基準ときそポイントの量は何か関係でもあるの?」
「ああ……そういう意味かミカン。勝ったポケモンよりも打ち負かしたポケモンによってきそポイントの量と振られるステータスが決まります。例えばさっきの試合でしたらナゾノクサを打ち負かしたフシギソウの特殊攻撃のきそポイントが1ポイント振られます。さらにあそこで僕の持っているイーブイが一度でも出ていた場合は同じように1ポイント振られます」
「極振りのメリットとデメリットはどのようなものでしょうか?」
「極振りのメリットはポケモンの特徴を活かした戦法を最大限に発揮させることが可能になります。例えばタフさで言えば最強級のハピナス。そのハピネスにHPのきそポイントを極振りをするとただでさえタフなハピネスがさらにタフになって並の攻撃では手も足も出ない状況になり得ます。つまり極振りは長所を最大限に生かせるということですね。極振りのデメリットは6つのうち2つのステータスしか極振りが出来ないので慎重に考えなければいけませんね」
流石、ピンクの悪魔と呼ばれるだけのことはあるよな。ノーマルタイプだけど。
「それで僕がこれらのきのみを使う理由についてですがポケモンバトルをして勝ち続けると自然ときそポイントが振られ、いつしか限界値である510まで到達します。そこで不必要に振られたステータスを下げるきのみを食べさせると他のステータスの上昇が見込めます」
「なるほど……革命的ね」
「まさか売れないきのみがここまで凄いものだとは予想もしませんでしたわ」
頭の回転が早いジムリーダー二人は理解したようだがジムトレーナー達は理解していないみたいだな。
「先ほどのハピナスで例えると、ハピナスは物理攻撃や特殊攻撃が他のポケモンよりも低く、とてもではありませんが物理攻撃や特殊攻撃にきそポイントを振るのはきそポイントの無駄です。そこでネコブとロメのみを食べさせ物理攻撃と特殊攻撃のきそポイントを0にして他のステータスに減らした分だけきそポイントを振れることが出来ます」
「あ……!」
これでほとんどのジムトレーナーが歯車が噛み合うように理解したのか、すっきりとした顔つきになった。
「これできそポイントと売れない6種類のきのみの活用性の講座について終わります。ご静聴ありがとうございました」
ふう、長かった……これでエリカも少しは見直すだろ。
「ますます、アサギジムトレーナーとして欲しくなったわ」
あれぇ? ミカンが獲物を見つけた野獣のような顔をしているぞ!
「ミカンさん、コスモは渡しませんわよ?」
ちょっと!?
「そうよ! コスモ君は私達のアイドルよ!」
ダメだこりゃ……タマネギェ〜助けてくれプリーズ。
しかしコスモの願いは届かなかった! そう脳内に響くと俺はこっそりと外へ出た。
ORASでフリー対戦して思ったことは「僅差こそ美学なり」ということですね。トリプルバトルをやっていたら非伝説だけで構成された相手と出会い、ギリギリで勝って「どうだ見たか!バトル検定6500点の貫禄! どこまでいっても勝ってやる!」などとほざく作者。落ち着き始めると「僅差勝利だったのに貫禄もクソもないだろ」と悟ってしまう有様。楽しかったのは事実なので「僅差こそ美学なり」という結論を出しました。
シンオウの次の地方はどの地方が良い?
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