戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない   作:imuka

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勢いに乗るとどんどんかけるんですよ。

ではどうぞ。


クィディッチとクリスマス

 クィディッチシーズン開幕の日。最初の試合はグリフィンドール対スリザリン。ハリーの初試合でもある。そのハリーというと緊張でガチガチになっていた。

 

「大丈夫か?ほら、深呼吸しろ?」

 

「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。」

 

「それ、ラマーズ法ね。」

 

 フレッドにジョージがジョークを言うがそんなのは今のハリーにはどうしよもないだろうと思い、イーニアが突っ込みを入れる。緊張で食欲がないと言い張るハリーに"少しでいいから食べないさい"と説教し、胃に入れさせる。

 その後、温かい飲み物を飲まし、ゆっくりと呼吸をさせた。多少は緊張がほぐれたようだったがまだ動きがぎこちなかった。イーニアが"どうしたもんか"と悩んでいると少し周りが騒がしくなる。見るとドラコがこちらに歩いてくる。

 

「ずいぶんと緊張してるみたいだな。僕はスリザリンの生徒としてスリザリンを応援するからグリフィンドールは応援できない。けどハリー、君個人は応援している。全力を出して頑張ってくれ。」

 

 そういうとドラコはハリーの返事を待たずにスリザリンの方へと戻っていった。ハリーは少し呆けた顔をしていたが少したつと目に力が入り、緊張も取れていたようだった。それに安心したイーニアたちは応援席に移動した。

 選手たちが入場し、会場のボルテージが最高潮へと上がる。審判の号令で、選手たちは全員箒に乗り、空中高く舞い上がった。ホイッスルが鳴り試合開始となる。

 試合中、イーニアやロン、ハーマイオニーは夢中になって応援し続けた。ハイタッチを交わしたり抱き合ったり、箒で飛ぶなんてめんどくさいなどと考えているイーニアも気が付けば試合から目を離せなくなっていた。よほど夢中になっていたのか気が付けばいつの間にかハグリッドが隣に座っている。

 

「あれ?ハグリッドいつの間に?」

 

「結構前からいるぞ。ずいぶん夢中になっていたようだな。」

 

 試合に視線を戻すとハリーが箒から振り落とされそうになっていた。会場がハリーを指さしざわめきだす。異変に気が付いたフレッドとジョージが助けに近づくがさらに動きを激しくし、近づくことができない。

 

「故障…?いや、でもハリーの使ってるのってニンバス2000だよね?しかもマクゴナガル先生がくれた。」

 

「そうね。故障は考えづらいわ。」

 

「しかし魔法で邪魔するにも、強力な闇の魔術でもなけりゃ、箒にあんな悪さはできん。」

 

 ハグリッドがそう告げた途端イーニアはハグリッドの使っていた双眼鏡を借り観客席を見て回す。2人、ざわめいている会場の中で、2人だけおかしな動きをしている。スネイプとクィレルだ。

 

「どっちかが邪魔をしてるかな…?」

 

 イーニアはそうつぶやくと双眼鏡をハーマイオニーに渡し、杖を出す。ハリーを見ると箒がさらに激しい動きをしている。どちらかを選ぶ時間はないと判断したイーニアは集中し、2人同時に狙う。

 

オブスキュロ(目隠し)

 

 2人は突然視界を奪われ、その拍子に転ぶ。ハリーを見ると持ち直している。安堵したイーニアは呪文を終わらせる。その後持ち直したハリーがスニッチを取り試合終了となった。

 

 

 試合後、ハグリッドの小屋へお邪魔した。

 

「スネイプがやっていたんだよ!」

 

 ハーマイオニーに渡した後、ロンに双眼鏡が渡り丁度イーニアが魔法をかけたタイミングでスネイプを見たようだった。

 

「なんとも言えないよ。私は2人同時に魔法をかけたし、何より証拠がなさすぎる。」

 

「ぼくらが見たじゃないか!?」

 

「それじゃ他人に対して説得力がないって言ってるの。」

 

 ハーマイオニーもどちらとも言えないと言う。

 

「今回の犯人が誰であれ、スネイプは何か隠してるとは思うんだよね。」

 

「その根拠は?」

 

 ハリーはトロール襲撃の時にスネイプが足を怪我していたことを話した。

 

「なるほど。私たちが知ってる先生でも怪我しそうな場所っていうと3頭犬のところ?」

 

「ちょっと待て、なんでフラッフィーを知っとる?」

 

 それまで黙っていたハグリッドが口をはさむ。4人は"フラッフィー?"と声をそろえて聞き返す。

 

「あいつの名前だ。去年パブで会ったギリシャ人から買ったんだ。ダンブルドアに貸した。守るために。」

 

「なにを?」

 

「もう、これ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ、これは。」

 

「そこまで喋って聞くなって言われると余計に聞きたくなるけど。」

 

「ハリーが殺されてたかもしれないのよ!?」

 

 冷静なイーニアと少し興奮気味のハーマイオニーが突っ込むがハグリッドは首を振る。

 

「お前さんたちは関係のないことに、危険なことに首をつっこんどる。あれはダンブルドアとニコラス・フラメルの―――」

 

「ニコラス・フラメル?」

 

 ハリーが聞き返すとハグリッドはしまったという顔で自分の頭に拳骨を当てた。その後、4人を追い出すように帰した。

 

 

* * *

 

 

 明日からクリスマス休暇ということで皆、実家に帰る準備をしている。イーニアはアリシスが仕事で海外に出ていると連絡をもらいホグワーツで過ごすことを決め、図書館で調べ物をしていた。

 "うーん。錬金術師、賢者の石。私の知っていること以上のことは出てこないなー。"

あの時ハグリッドが喋ってしまったニコラス・フラメルについて調査したが自分が持っている知識以上のものは出てこず、ひとまずあそこに賢者の石があるのだろうと仮定することにした。確定ではないが結論を出したイーニアは寮に戻る。談話室に着くとハリーが1人暖炉の前で読書をしている。

 

「もしかしてもう皆行っちゃった?」

 

「うん。つい15分くらいまで待ってたんだけどね。汽車の時間があるから。」

 

「あらら。――ま、すぐ会えるからいっか。」

 

 そういうとハリーの隣に座るイーニア。ハリーは本を閉じるとイーニアの方へ向く。

 

「グリフィンドールの寮にいるの僕たちだけだって。マクゴナガル先生が。」

 

「そうなの?なら帰らなくて正解ね。ハリーを1人にしちゃうから。」

 

 ハリーは少し顔を赤くし、照れたように頭を掻いた。

 

「ああ、そうそう。ニコラス・フラメルなんだけど、賢者の石の創造に成功した唯一の者って言われてる人だね。賢者の石っていうのは金を作ったり、永遠の命が手に入ったりするって言われるもの。」

 

「つまりそれをスネイプは狙ってる?」

 

「可能性としてはクィレルも容疑者だね。」

 

「ただクィレルにそんな度胸あるのかな?」

 

「うーん、難しそうではあるけど二面性の持ち主かもしれないよ?」

 

「結局今はなにもわからないってことだね。」

 

「確証を持てるこれだってものが何もないからね。こればっかりはどうしよもないよ。ただ――。」

 

「ただ?」

 

「2人とも私の魔法を受けたのに犯人探しもしないってことは何かしら追求されると困ることがあるんじゃないかな。」

 

 教師を攻撃したともなればそれなりに問題になるはず。にも関わらずなにも音沙汰なしというのはどこか不自然だった。"それでも何かあるとしか言えないけどね"とイーニアは笑う。

 

――――――――――――――――――

 

 次の日、12月25日。イーニアが目を覚ますとプレゼントが置かれていた。アリシスをはじめとする親戚の人たち、両親の友人たちから大量の本が届いていた。中身を確認するとすべて持っていないもので、しかも一つもかぶりがない。"これは皆で合わせたな"と苦笑い。アリシスからは本の他にレポートのような紙束が手紙とともにあった。

 

『親愛なるイーニアへ

 本がほしいとのことだったので今年のプレゼントは皆で本を買ってあげることにしました。アイザックの書斎を調べて一つもかぶりが無いようにしたので楽しめると思います。

 また紙束は私が研究した魔法について記載してあります。貴女好みの魔法もたくさんあるので頑張って解読してください。

 帰れる時に休みとれなくてごめんなさい。この埋め合わせはどこかでするわ。

 あなたの伯母 アリシス・コーランドより』

 

 手紙を読んだイーニアはプレゼントをくれた親戚、両親の友人に電話…はないのでお礼の手紙を書くことにした。手紙を書き終わり談話室へ行くとハリーが待っていた。

 

「イーニアこれを見てくれ!」

 

 ハリーが大きめのマントを見せる。"これは?"とイーニアが聞くとハリーはマントを被る。するとハリーの姿が消えた。しかし触るとそこにいる。

 

「目くらまし術が使われてるマント?…いやもっと高位の魔法がかかってるのかな。」

 

 マントを夢中になって触っているイーニアに苦笑しているハリーが目に入り、慌てて謝る。

 

「ごめん。夢中になっちゃって。――でもいいものが送られてきたね。誰から?」

 

「それが何も書いてなかったんだ…。」

 

 イーニアは顎に手を当てると少し考え、可能性があるのはダンブルドアかなとあたりをつける。

 

「害があるようなものじゃないしありがたくもらいましょ。」

 

 ハリーもその言葉に肯いた。その後2人で宿題をやったり、イーニアが独自に編み出した魔法について話していると夕食の時間になった。するとマクゴナガルがカートを引っ張りながら談話室に入ってくる。

 

「先生?どうかしたんですか?」

 

「いえ、今日残っている生徒は貴方たちだけでした。大広間で2人食事というのは寂しいと思ってここに食事を持ってきたんですよ。」

 

「「え!?」」

 

 2人が驚いているとダンブルドア、ハグリッドも談話室に入ってくる。

 

「せっかくのクリスマスじゃ、1人でも多いほうがいいじゃろ。――セブルスを誘ったんじゃが1人で食事をしたいと譲らなくての。」

 

「彼はそういう人ですので仕方ありませんよ。――どうしました?2人とも。」

 

 固まってるイーニアとハリーにマクゴナガルは不思議そうに聞く。

 

「むむむ、それともお邪魔だったかの?」

 

「い、いえ!そんなことありません!」

 

「そ、そうです!急にだったので驚いてるだけです!」

 

 イーニアとハリーは慌てて返事をする。

 

「そうか。それならよかった。ほれ、2人ともクリスマスプレゼントじゃ。」

 

 そういうとダンブルドア、マクゴナガル、ハグリッドが2人にプレゼントを渡してくる。

 

「他の生徒には秘密じゃぞ?プレゼント欲しさに残る輩が出ては困るからの。」

 

 少し悪戯したような顔でいうダンブルドアに2人は笑う。ダンブルドアからのプレゼントは30㎝ほどの鎖だった。

 

「それはグレイプニルという。」

 

「決して切れないっていう!?」

 

「そうじゃ。それはほとんどの魔法を受け付けないが縮ませることと伸ばすことはできる。」

 

 マクゴナガルからはイーニアは本を、ハリーは箒の整備道具をもらった。

 

「Ms.シュツベルは読書が好きということを聞いたので私が一番面白いと思った魔法書を。Mr.ポッターには今後もクィディッチで活躍できるよう整備道具を。」

 

 ハグリッドからはイーニアは木のダンベル、ハリーには木の置物だった。

 

「俺は大したもんはわたせねぇ。すまねぇな。」

 

「ううん。ありがとう、ハグリッド。」

 

「ダンベルって…うれしいけど私、女の子だからね。」

 

 笑顔を向けるハリーに対しイーニアは苦笑いだった。

 その後、授業や魔法について話しながら5人で夕食を楽しんだ。




トロールを爆破してしまったイーニアは少し反省したのでスネイプたちには目隠し魔法を駈けました。2人を爆破したら原作崩壊もいいところなのでw



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