戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
ではどうぞ。
汽車がホグワーツに着き、待っていたハグリッドの誘導で城へ向かう。
少しだけ険しい山道を登り、大きな湖を船で渡ると石段を登る。その先には城の入り口の大きな扉があった。ハグリッドが扉をノックする。すると扉が開き濃い緑色のローブを羽織った1人の魔女が出てきた。
「マクゴナガル先生、イッチ年生を連れてきました。」
「ごくろうさまです、ハグリッド。あとは私が預かりましょう。」
マクゴナガルと呼ばれた魔女はそういうと生徒たちを先導し始める。ホールを横切りざわめきが聞こえる扉の前を通り過ぎると一年生たちは横の部屋に通された。
部屋に入るとマクゴナガルは"入学おめでとう"だとか”身だしなみをしっかりする"ようになどと言い部屋を出ていく。出て行った途端に皆が喋り出す。内容はもちろん組み分けについてだ。
「やっぱり試験とかなのかな?」
「どうだろうね。」
不安そうに聞いてくるハリーに対し全然知らないという態度を取るイーニア。もちろん知らないのは嘘である。ホグワーツについてはある程度アリシスに聞いているので組み分けがどのように行われているか、イーニアは知っている。
しかし皆、それなりに緊張しながら待っているのでここでネタばらしはつまらないとあえて知らない風に装ったのだった。ハーマイオニーはもちろん、ハリー、ドラコやロンまでも緊張した顔をしていた。皆が緊張しながら待っているとマクゴナガルが戻り呼ばれていく。
先ほど通り過ぎた扉に入ると中は大広間になっており蝋燭が宙に浮いていた。マクゴナガルが一年生の前に帽子を置く。すると帽子は歌いだした。
グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が住まう寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目標遂げる狡猾さ
とのことらしい。帽子が歌い終わると拍手が送られる。
「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子にすわり、組み分けを受けてください。」
マクゴナガルの指示に従い、帽子をかぶると帽子が組の名前叫ぶ。これが組み分けの仕組み。それを見た大半の生徒はホッとしたような顔になる。次々と帽子をかぶり組が決まっていく。
「グレンジャー・ハーマイオニー!」
ハーマイオニーが呼ばれ"いってらっしゃい"と背中を押してあげるイーニア。少し早足で椅子に近づき座る。
『グリフィンドール!』
笑顔で椅子から降りるハーマイオニーにイーニアは微笑み返した。
「マルフォイ・ドラコ!」
イーニアをチラッと見ると特に何も言わずに椅子に向かい座る。イーニアはドラコはすぐに決まると思っていたが意外と長く悩んでいた。
『スリザリン!』
悩んだ割には予想通りのところへ組み分けされ拍子抜けだった。ドラコは嬉しそうでも悲しそうでもないとても普通の顔をしていた。
「ポッター・ハリー!」
ついにハリーの番が回ってくる。呼ばれた途端、大広間が静かになる。少し悩んだようなちょっとした間が空いたがすぐに呼ばれる。
『グリフィンドール!』
そう言われハリーがグリフィンドールのテーブルへ向かうと大歓声で歓迎されていた。
「シュツベル・イーニア!」
ようやくイーニアが呼ばれ、待ちくたびれた顔をしながら帽子をかぶると耳元で声が聞こえた。
《アイザックとアリスの子か。》
《お父さんとお母さんを知っているの?》
《もちろん。さらに言えば君の伯母や祖母、祖父も知っているよ。》
《長生き?なんだね。―どおりで臭うわけだ。》
《失礼な!今日の日のためにちゃんと洗って消臭もしたぞ!》
《ね、念入りなんだね。で?どうするの?》
《父親ならグリフィンドール。母親ならハッフルパフ。伯母ならレイブンクロー。祖母ならスリザリンだ。》
《え゛お祖母ちゃんスリザリンだったの?そんな感じ全然見えない。》
《君の祖父と出会って変わったんだろう。ちなみに祖父はグリフィンドールだ。》
《というか私が決めていいの?》
《構わないよ。君はすべての要素を持っている。》
《うーん。―――話変わるけどドラコはなんで悩んでたの?すぐにスリザリンになると思ってたのに。》
《そのことか。まあ親しい君ならいいだろう。―――本当はグリフィンドールにしようと思っていたのだ。》
《へ!?なんで?》
《彼にはもうまことの友がいる。そして勇気を持っている彼にはグリフィンドールがふさわしいと思ったんだが…。》
《が…?》
《グリフィンドールに行ったら親とケンカしなければならなくなるからスリザリンにしてくれと頼まれた。》
《ああ、だからあんな顔してたのね。》
《まことに残念だ。だが彼の意思だ。問題はないだろう。》
《ふーん。―――じゃ、グリフィンドールでいいや。》
《理由を聞いても?》
《他とは違うってものを手に入れるために、かな。》
《ではこれからの君に期待しよう。》
『グリフィンドール!』
ハーマイオニーに手招きされ隣に座る。
「これからよろしく。」
「ええ。イーニアも一緒でうれしいわ。」
「7年間よろしく。」
「トレバ―のことは本当にありがとう。よろしくね。」
イーニアが声をかけるとハーマイオニー、ハリー、ネビルが返事をする。
「結構時間かかっていたから心配したわ。」
ハーマイオニーに言われ、帽子との話に夢中になっていたことに気が付く。少しバツの悪そうな顔をしつつ"えへへ"とごまかすように笑う。そんなことをしていると最後のロンがグリフィンドールに決まりこちらへやってくる。皆ロンにも"よろしく"と声をかける。するとマクゴナガルが教職員のテーブルにもどり、ダンブルドアが立ち上がりお祝いの言葉とズッコケるようなギャグを聞き歓迎パーティが始まる。様々な料理が並び、家庭のことやこれからのことを話ながら食べていく。
テーブルの上にあった食べ物のほとんどがなくなるとダンブルドアが立ち上がる。諸注意をいくつか言われる。その中には"死にたくなければ四階の右側の廊下に近づいてならない"とのこと。"ここは世界一安全の場所じゃなかったっけ?"などとイーニアは思いながら監督生の後に続き寮へ向かう。
寮へ着き、同じ部屋になったハーマイオニーたちに軽く挨拶をしたイーニアは日課である寝る前の軽い運動を行う。開脚をし、床にぺったりとくっついたイーニアを見てハーマイオニーが関心した声を上げる。
「すごいわ。体柔らかいのね。」
「運動が趣味なの。今日はあんまり体動かせてないから柔軟くらいはしっかりやらないとね。」
いつもの3分の2ほどやると、皆寝る準備を始めたのでキリのいいところでやめイーニアも寝間着に着替えるとベットにもぐりこんだ。
ドラコをグリフィンドールに入れようかと考えていたのですが、立ち位置的にはハリーの良きライバルみたいな感じにしたいのであえて同じくクラスにせずそのままにしました。
ドラコにとってのまことの友とはハリーやイーニアのことです。
そして自分の置かれている状況に立ち向かう勇気。
今回は父親とケンカする勇気が持てずスリザリンに行ってしまいましたが、今後グリフィンドールに選ばれるような勇気を見せてくれるでしょう。
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