戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
ではどうぞ。
ドラコは走っていた足をゆっくりと緩めた。息を吐きながら深く被っていたフードを取り、黒いコートからスリザリンのマークの付いたコートへと変える。
コートを変えた所で足を止め、もう一度息を吐く。そしてそのままわき腹を押さえながら壁にもたれかかった。
”想像以上に厳しかったな。――だが十分な情報は得た。”
わき腹を押さえつつ空を見上げる。
”ひとまず治療を――”
ドラコがそう考え自分の傷を確認しようと思ったとき、人が歩いてこちらに来る音が聞こえてきた。
本来ならそこまで警戒する必要はないが、事のあった後ともなると警戒を怠るわけにはいかない。ドラコは胸ポケットに入っている杖を手に持ちながら歩いてくる人物を見ていた。
「ここに居たのか、マルフォイ。」
「セル…か…。」
あまり会いたくない人物の登場にドラコは思わず渋い顔をする。
”カロー家は死喰い人だ…。恐らくセルもッ…。”
「そう警戒するな。別に俺はお前に害は加えない。」
「…本当か…?」
「信用がないな。――まぁ、日頃の行いからすればそうかもしれんが。」
セルはそういうとポケットから杖を出しドラコの足元に転がした。
「これで少しは信用してくれるか?」
「どういうつもりだ。」
セルの行動にドラコは目を見開き驚く。
「俺を
――いや、つい最近まではそう考えてたよ。だがな、俺は見たんだ。従兄弟たちがマグルを殺す様を。俺はその時気が付いたよ。狂ってるのはこいつ等なんじゃないかって。
人を殺すのが愉しいなんておかしい、そんな人として当たり前なことに今まで気が付かなかった。」
セルの告白をドラコは黙って聞いていた。
「魔法族もマグルも関係ない。人間としてあいつらは狂ってる。
――俺はそうは成りたくないし、何より人間としての俺の心がアレは間違ってると叫んでる。だから俺はあいつらの仲間になんてならない。」
「だが僕の考えには賛同できないんだろう?」
「そうだな。アイツ等とは違っても俺はマグルは関わらせるべきではないと思ってるからな。――でも、考えが違うから敵対するなんて、アイツ等と同じじゃないか?俺はただ怪我をしているクラスメイトを助ける、それだけだ。」
セルが少し笑ったように言うとドラコもつられて笑い”違いない”と呟いた。
「悪いが治療を手伝ってくれるか?」
「もちろんだ。」
ドラコに助力をお願いされ、肯き治療をする。
そのセルの横顔は今までにないくらいに憑き物が無く、清々しい顔だった。
セル君が仲間になりました。
相も変わらず亀更新ですみません。
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