戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
つまりは私の好みがもろに出ている…。
頑張ります。
ではどうぞ。
キングス・クロス駅 9と4分の3番線
9月1日
アリシスに見送りに来れないと言われ、一人キングス・クロス駅9と4分の3番線ホームの椅子に座り読書しているイーニア。予定よりずっと早くに着いたせいでまだ汽車は来ていないがイーニアの他にも少しだけ人がチラホラいた。
イーニア自身特に緊張などはしているつもりはないが早くに起きてしまったところを考えると多少なりと緊張しているのだろう。それを自覚したイーニアは日頃と同じように読書をすることを決めた。
すっかりいつもの調子を取ろ戻し読みふけっているとそうそうに3冊の本が読み終わり、ちょうど汽車がきたところだった。人も多く来ている。本をしまうと立ち上がり汽車に乗り込むと最後尾のコンパートメントに入ることにした。
入るなりイーニアは左手を振り、外の音が入ってこないよう魔法をかける。窓のカーテンを閉め、制服に早着替えするとローブを羽織りそのまま眠りに入る。
――――――――――――――――――
「ここ、いいかしら?」
コンパートメントに入ってきた人物に起こされ目を覚ますイーニア。いつの間にか魔法が解け列車の動く音が聞こえる。声をかけた人物は栗色のふわふわした髪をした少女だった。
「どうぞ。」
イーニアは目をこすりながら場所を空ける。2、3回伸びをすると"失礼"といいながらストレッチをする。体を伸ばし終わるとカーテンを開け外を見た。外の様子からして出発してからそれなりに時間が経っていることが判断できた。
「ここに来るまで全部のところに聞いて回ったの?」
「さすがに全部には行ってないわ。結構の数回りはしたけど。」
少し苦笑する少女にイーニアも苦笑で返す。
「そう。災難だったね。私はイーニア。イーニア・シュツベル。よろしくね。」
「私はハーマイオニー・グレンジャー。ハーマイオニーって呼んで。」
お互いに自己紹介をして1年生だと言うとハーマイオニーにはおずおずとした雰囲気を醸し出しながら聞いてきた。
「イーニアは前から魔法を知っているの?」
「魔法族の家系だから生まれたころから魔法には触れているよ。」
「そうなんだ…。私は両親ともマグルだから私が魔女だって知った時は驚いたわ。」
「原始の魔法族はマグルの間に生まれたって言われてるからどこで魔法族の人間が生まれてもおかしくはないの。だからハーマイオニーが魔女だっておかしくはないのよ。」
「そうなんだ。――実は私、心配なのよね。マグル出身でやっていけるのかどうかって。」
「大丈夫よ。そのためのホグワーツだから。」
少し暗い顔をしたハーマイオニーを元気つけるように言う。
「マグルの勉強と一緒。頑張ればその分成果はでるよ。」
その言葉にハーマイオニーは笑顔になり、イーニアも微笑む。
それからはホグワーツについてや魔法について、車内販売のお菓子がひどい味だのと話していた。ひどい味のお菓子を食べ、二人で眉間にしわを寄せているとノックされ一人の男の子が入ってくる。
「ごめんね、僕のヒキガエルを見なかった?」
イーニアたちは眉間にしわを寄せながら首を横に振る。男の子は"そう"とさらに落ち込んだ様子になると出て行こうとする。
「どんなヒキガエルなの?」
イーニアは口のものをしっかりと飲みこみ、寄っていたしわを戻すと男の子に声をかける。男の子が驚いた顔をするとイーニアは"手伝うよ"と立ち上がった。ハーマイオニーもそれに続く。
驚きながら断ろうとする男の子に"見つからないと困るでしょ?"と告げコンパートメントを出る。男の子はネビルといい、ヒキガエルはトレバ―という名前だそうだ。
ネビルにいたコンパートメントの場所を聞き、イーニアはそこより前方の車両に向かって探すと告げハーマイオニーとネビルにはもう一度同じ場所を探してもらうことにした。
イーニアが魔法を使って呼べば楽なのだが、イーニアはなんでも魔法に頼らないと決めている上に、杖を持たずしかも無言魔法ができる彼女にとって杖を振ることは面倒なことだった。"ずっと座ってたし、少しは動けていいね"などと考えてたりもしていたイーニアは少し早歩きで向かう。するとネビルの言っていた場所のコンパートメントの扉の前でヒキガエルが鳴いていた。恐らくこのカエルがトレバ―である。それを見て苦笑するとひとまずトレバ―を持ち上げ戻ることにした。
戻る途中で探しているネビルたちに会い、トレバーをネビルに渡す。ネビルは何度も何度もお礼を言い、イーニアは"次は気を付けてね"というとハーマイオニーとともに自分たちがいたコンパートメントに戻る。
戻る途中、仲良さそうに話しているハリーとドラコに遭遇した。
「二人とも元気?」
声をかけるとハリーはパッと顔を輝かせドラコはいつもの顔をしていた。
「うん。元気だよ!イーニアは?」
「どこのコンパートメント覗いてもいなかったがどこにいたんだ?」
「私も元気よ。ハリー。――最後尾。ハーマイオニーが来るまでは寝てた。」
二人の他に赤毛の男の子がおり少し居心地が悪そうであった。
「最後尾はまだ見てないからいなくて当然か。ところで彼女がハーマイオニーか?」
ドラコが後ろにいたハーマイオニーを見て言う。イーニアはハーマイオニーを見て肯くと前に出させる。
「ハーマイオニー・グレンジャーよ。よろしく。」
「ドラコ・マルフォイだ。」
「ハリー・ポッターです。」
ハリーの名を聞いた途端、ハーマイオニーは"貴方があの生き残った男の子ね!"とハリーに近づいていった。
ドラコはその勢いに少し驚き後ろに数歩下がる。
「彼女はマグルか?」
「うん。マグルよ。――ってこらあんまり変なこと吹き込まない。」
「なにを言っているんだ。ここは純血の僕が彼女に魔法界のなんたるかを…」
「それはこれからホグワーツで学ぶでしょ。その前に色々言わないの。」
「くっ…。邪魔を――。」
「どうせ赤毛の子にも何か言ったんでしょ?」
「僕は純血の人間はこうあるべきだと言っただけだ。」
その言葉を聞き流しイーニアは赤毛の男の子に近づく。
「ごめんなさい。ドラコが余計なことを言ったでしょ。気を悪くしないで?悪気があるわけじゃないのよ。私はイーニア・シュツベル。あなたは?」
赤毛の男の子はいきなり謝るイーニアに驚きつつも差し伸べられた手を取り握手を交わす。
「ロナルド・ウィーズリー。皆ロンって呼ぶよ。」
「よろしくね、ロン。」
「ウィーズリー家は純血一族なんだ。それなにこいつときたら――。」
「個人の自由じゃない。」
飽きれた顔でドラコに言うと目を見開いて喋りだす。
「こいつの父親はマグル製品不正使用取締局長をやっていてる。マグルびいきなどと言われているが魔法省で局長を務めてるんだぞ。一番上の兄はグリフィンドール寮で5年生の時監督生に選ばれ、OWL試験では12科目全てパスするという秀才ぶりを発揮し、7年生で首席になった。2番目の兄は優勝こそ逃したが伝説の“クィディッチの名キャプテン”と呼ばれるほどの腕前で、今はドラゴンキーパーとして仕事をしている。3番目の――。」
ひっきりなしに喋るドラコにハリーとハーマイオニーは驚き、もはや貶したいのかのか褒めたいのかわからない内容にイーニアはため息をつき、ロンに向く。
「ごめんね、めんどくさくて。直訳するとお前も頑張れって言いたいみたい。」
「う、うん。マ、マルフォイの言いたいことはわかったよ。」
その言葉を聞きドラコは喋るの止め"わかればいい"と告げるとハリーたちに"また後で会おう"というとその場を去った。
イーニアたちも"また後で"と告げ自分たちがいたコンパートメントに戻った。
杖なしで魔法を唱えたり無言魔法できたりしますが最強にする予定はありません。あくまで強キャラの予定です。
この世界の純血派には色々あり、ドラコは純血の人間はマグルや半純血を導くべきだ、みたいなことを考えています。
もちろん原作通り差別的な態度を取る純血派の人間もいます。
ドラコの父親、ルシウス・マルフォイはそちら側のためドラコとたまに喧嘩をします。
もはやドラコという名の別キャラになっていますがこれでいいんです。私はこういうドラコが書きたいんだ!(笑)
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